寝台特急「北陸」の旅



1.寝台特急「北陸」の現状


寝台特急「北陸」は、上野と金沢を結ぶ夜行列車である。
年々寝台夜行列車の廃止が続く中で、
上野と金沢を結ぶ「北陸」は健闘している存在といえる。
ほぼ同じダイヤの夜行急行「能登」がある中で、
A個室“シングルデラックス”とB個室“ソロ”を連結し、
「能登」との差別化を図ることで逆に成功したのかもしれない。
また現在運行されている寝台特急の中では距離が一番短く、
そのため乗車時間も短いし夜遅く乗っても早朝には到着する。
そのためビジネスユースには好評を得ているようである。
朝6時台に到着すれば通常の企業の営業開始時間には行動できる。
しかし安泰に思える寝台特急「北陸」だが、
北陸新幹線の金沢延伸開業が現実味を帯びてきており、
今後の動向が気になるところだ。


2.寝台特急「北陸」のダイヤ


寝台特急「北陸」は上野−金沢間の517.4kmを結ぶ寝台特急で、14系客車を用いている。
牽引機は上野から長岡までが直流区間専用のEF64型1000番台電気機関車である。
長岡でスイッチバックし、金沢まで交直流用のEF81型電気機関車を使用する。
下り列車は23:03に上野を出発し、翌朝06:26に金沢に到着する。
上り列車は22:18に金沢を出発し、06:19終点上野に到着する。
上下線とも長岡到着は深夜のため、旅客扱いは行わず、
機関車の付け替えのための運転停車のみである。


牽引機関車

上野−長岡間
EF64型1000番台電気機関車(直流専用機)


取材場所:上野駅
長岡−金沢間
ED81型電気機関車(交直流専用機)


取材場所:金沢駅

客車

上野−金沢間
14系客車


取材場所:上野駅


3.A寝台一人用個室“シングルDX”の室内



寝台特急「北陸」の一人用A寝台は、
“シングルデラックス”というグレードになっている。
      

寝台特急「北陸」の個室は、
カードキー式である。
カードは使用後は記念に持ち帰っていい。

またシャワーは車掌からシャワーカードを購入して、
シャワー室に行く。
利用時間は指定されなかった。
お湯の出る時間は6分間である。


3−1.A個室のアメニティ
寝台特急「北陸」のA寝台個室“シングルDX”のアメニティは、
洗面セットがベッドマークの入ったポーチ入りで付いている。
しかしタオルが入っていないので持参するしかない。
北陸のアメニティ

  TOOTH BRUSH(ハブラシ)2本
    資生堂製/歯磨きもついている。
  SHAVER(エフティ資生堂レザー・スマッシュU)
  Comb(ヘアブラシ)
  ウエットティッシュ(服部)
  石けん(資生堂サボンドール30g)
  AUSLESE・Hair Tonic 8ml
  AUSLESE・Hair Liqud 8ml
  AUSLESE・After Shave Lotion 8ml、3本セット
別売りでタオルセット\300も販売されている。
A寝台以外の利用客のために、
ハブラシ、髭剃り、シャンプー、リンス、固形石鹸、
それにシャワーキャップまで付いている。
タオルはJR西日本のロゴと、
何故か681系がデザインされている。


3−2.シングルデラックスの寝台設備

室内にはシングルベッドがあり、出発時間が遅いために既にベッドメーキングされている。
シングルベッドはソファにも変形するが、
到着時間も朝早いためベッドのまま利用する乗客も多いらしい。
ベッドには最初に、
最初に木製ハンガーと、
寝間着が備え付けられている。

座席と寝台の変更の仕方が、
壁に貼ってある。
小さな棚は、
ベッドを固定して、
座席の背もたれにするための、
フックの役目も兼ねている。
ベッドは安全柵を下げて、
持ち上げるとソファに変形する。

さらにソファの隣には、
テーブルに変形する。

到着時間が早いので、
このソファでゆっくりする事は出来ない。
もう少し到着時間が遅ければ、
ゆったり出来るのだが・・・。


3−3.シングルデラックスの車内設備

A寝台一人用個室“シングルデラックス”には、
小型のテレビが設置されていて、
ビデオが見れるようになっている。


ビジネスユースを考慮してか、
スーツや革靴のための、
メンテナンスの備品も設置されている。
普段は収納されている洗面設備。 開くと洗面台になり、お湯も出る。
廊下側扉上のスペースは荷物置き場になっている。
部屋が狭い分、このスペースはありがたい。
カメラ用バッグ、旅行用バッグ、
お土産の手提げ袋が十分に置けた。
天井の様子。
エアコンのダクトがあった。


クローゼットの近くにある室内スイッチ。
スイッチを入れるとライトが付く。
カーテンで仕切られた、簡易なクローゼットが壁に設置されている。
これもビジネスユースを意識しての事だろうか。
窓側の壁にはデジタル時計や室内BGMやビデオ、
それに空調関係のためのコンソールパネルが設置されている。
テレビはブラウン管式で、かなり草臥れたものであった。


3−4.その他の車内

2005年7月21日に上野から金沢まで乗車したが、
その時はB寝台個室“ソロ”を利用した。
出発時間が遅く、到着時間が早いため、
「北陸」は“ソロ”で十分でないかと個人的には思う。


4.金沢から上野へ−寝台特急「北陸」の旅



 


4−1.金沢の夜−寝台特急「北陸」の到着

2008年9月14日日曜日、
寝台特急「北陸」で金沢から上野まで乗車した。
金沢からの牽引機はEF81型151号機。
交直流型電気機関車である。


乗車する予定のA寝台「シングルデラックス」のある3号車。
金沢駅に早めに行くと、寝台特急「北陸」がEF81型電気機関車に牽引されて入線してきた。
暫く停車していたが、またホームを出て行ってしまった。
牽引機を逆側に付けて再び入線してきた。


4−2.寝台特急「北陸」と夜行急行「能登」

寝台特急「北陸」が入線して暫くすると、
今度は夜行急行「能登」が入線してくる。
「能登」も夜行で金沢から上野まで行く急行である。
寝台特急「北陸」の隣のホームに、
国鉄色の特急車両が入線してきた。
隣同士に並んだ「北陸」と「能登」。
寝台と座席車両、特急と急行、客車と電車という違いはあるが、
ほぼ同時刻に同じルートを走る二つの列車。


出発時刻前に3号車に乗り込む。
22:18に8時間34分の上野への旅が始まる。
程なくして車掌が検札に回ってくる。
駅の改札で“ありがとうございます9.14 金沢駅”とスタンプを押される。
そのため車掌の検札印はなかった。
乗車券・金沢→東京都区内9月14日から4日間有効\7,350、
特急券・A寝台券(個)金沢→上野9月14日北陸号3号車3番
個室 シングルデラックス\16,180内訳:特2,830、寝13,350。



4−3.早朝の上野駅の到着

出発が22:18と夜遅い時間のため、直ぐに夜中になってしまう。
途中目が覚めたら水上駅だった。
さらに寝て大宮駅の手前で車内アナウンスが流れて起床する。
しかし大宮から上野までノンストップだとたいした時間もかからず、
室内の整理をして荷造りをしているうちに上野駅に着いてしまった。
車両が到着いると係員が寝具の回収して列車外に持ち出す。
車両基地回送の前のわずかな時間であっという間に回収する。
乗客が全て降りた事を確認し、
寝具の回収が終わった段階でドアを閉める。
推進回送のために後部の貫通扉を開ける。
このあと牽引してきた機関車が更新して尾久の車両基地に回送されていく。
金沢から続いた線路は、
上野で終わった。



取材期間:2008年9月14日日曜日〜9月15日月曜日
取材区間:金沢駅(JR西日本)〜上野駅(JR東日本)




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