寝台特急「サンライズ瀬戸」の旅



1.寝台特急「サンライズ瀬戸」の現状


寝台特急「サンライズ瀬戸」は、東京と高松を結ぶ夜行列車である。
年々寝台夜行列車の廃止が続く中で、
寝台電車を投入したことで新しい寝台の旅を提供している。
過去にも寝台電車は国鉄時代に581系列が存在したが、
JR化後に初めて投入した寝台電車285系は
個室を中心に構成され、開放B寝台はない。
その代わり、のびのび座席という寝台料金不要のフルフラットシートが設置された。
もともと「瀬戸」は寝台客車を使用したブルートレインだったが、
1998年7月10日に「サンライズ瀬戸」が誕生し、
前日の7月9日で「瀬戸」は廃止された。


2.寝台特急「サンライズ瀬戸」のダイヤ


寝台特急「サンライズ瀬戸」は東京−高松間の804.7kmを結ぶ寝台特急で、285系寝台電車を用いる。
285系は7両固定編成で、JR西日本所属車が0番台、JR東海所属車が3000番台となっている。
東京−岡山間は「サンライズ出雲」と連結して運転され、
東海道本線、山陽本線を14両で走り抜ける。
「サンライズ出雲」は岡山から伯備線経由で出雲市まで行く。
下り列車は10:00に東京を出発し、翌朝06:27に岡山に到着する。
岡山で「サンライズ出雲」と切り離され、07:27に高松に到着する。
一部の列車は多客期には松山まで延長運転される。
上り列車は21:26に高松を出発し、22:22に岡山に到着する。
後から来る「サンライズ出雲」と連結して翌朝07:08に終点東京に到着する。


使用車両

東京−高松市間
285系電車(交直流電車)


取材場所:高松駅


3.A寝台一人用個室“シングルDX”の室内

寝台特急「サンライズ瀬戸」の一人用A寝台個室は、
“シングルデラックス”というグレードになっている。
他のブルートレインとは違い、
車内は木材をふんだんに使って落ち着いた雰囲気になっている。
室内は住宅メーカーによって設計された。
   
ドアのキーは暗証番号方式で、
自分で登録した暗証番号で、
ドアを開けるようになっている。


3−1.A個室のアメニティ
サンライズ出雲のアメニティ

  TOOTH BRUSH(ハブラシ)1本
    資生堂製/資生堂歯磨ホワイト5gもついている。
  Razor(資生堂レザー・スマッシュU(L)、アウスレーゼシェービングフォームN 12g)
  折りたたみ式ヘアブラシ
  シャワーキャップ
  シャンプー(資生堂スーパーマイルドW 12ml)
  コンディショナー(資生堂スーパーマイルドW 12ml)
  石けん(資生堂サボンドール30g)
  爽快ヘアトニック HAIR TONIC VACANZA 容量不明
  ソフト整髪 HAIR LIQUID VACANZA 容量不明
  スッキリ化粧水 SKIN WATER VACANZA 容量不明
  Ladies Kit(コットン、綿棒2本、ヘアバンド)
  洗顔フォーム Perfect Whip 15g
  ポケットティッシュ
  SANITARY BAG
  Shoe Polisher
  タオル(無地)


3−2.シングルデラックスの寝台設備

サンライズエクスプレスのシングルデラックスの寝台は固定式である。
そのため変形機能はない。
寝具のほか、使い捨てのスリッパが用意されている。
寝具の上には電車内の案内が置かれている。

使い捨てスリッパが設置されていて、
袋には、
「ご自由にお持ち帰り下さい」と書かれている。

アメニティにはシャワーカードがついている。


3−3.シングルデラックスの車内設備

サンライズエクスプレスのA寝台一人用個室“シングルデラックス”は、
4号車の2階部分に設置されている。
4号車の1階部分は“サンライズツイン”という、
B寝台二人用個室になっている。
窓にはブラインドが曲線に沿って稼働するように設置されている。
こういった設備も住宅メーカーならではのデザインと云えるだろう。


テーブル兼用の客車の“シングルデラックス”とは異なり、
洗面設備も固定式になっている。
手を近づけると自動的にでるタイプの蛇口である。

コップはプラスチック製で、テーブルに設置されている。


ベッドの頭の部分にスペースがあり、荷物置き場になっている。
カメラ用バッグ、旅行用バッグなどが十分に置ける。


室内燈、床燈のスイッチ、冷房と暖房の調節つまみ、
それにテレビやBGMの操作ができるコンソールパネル。
ベッドの脇に設置されている。

警報装置はコンソールパネルの上にある。
ベッドの脇にはテレビが設置されている。
小さな画面だが、可動式になっていて、
ベッドに寝ながらも、
椅子に座っても見ることが出来る。

ただ、衛星放送なので、
トンネル区間などでは、
視聴することが出来ない。


3−4.シャワールーム

一般用のシャワールームは、
車掌からシャワーカードを購入しなければならないが、
“シングルデラックス”には専用のシャワー室があり、
このシャワー室専用のシャワーカードがついてくる。
このシャワー室の利用料金も寝台料金に含まれているのだ。
この列車の最高グレートだからこその特権だ。
更衣室に設置されているコンソールパネル。
カードを挿入すると、6分間使用できるようになる。
使用後は“洗浄ボタン”を押すとシャワー室を自動洗浄する。
更衣室の中。
脱いだ服を入れるかごがある。


ドライヤーも設置されている。
送風は今ひとつ非力だが、
列車内を考えれば、
それも仕方ないだろう。
入口のドアのロック。
鍵をかけないと、
シャワーが使用できないようになっている。
シャワー室内。

ボタンでスタートし、
途中で止めたい場合は、
ストップボタンを押す。
合計6分間お湯がでる。
シャンプーや、
ボディソープも設置されている。


4.東京から松山へ−寝台特急「サンライズ瀬戸」の旅




4−1.電車寝台2度目の旅

サンライズエクスプレスに乗るのは2度目で、前回は出雲市から東京に戻るのに使用した。
今回もA個室“シングルデラックス”を利用する。
個室内には洗面設備もあるが、バス、トイレはない。
その代わり、シングルデラックス利用者には専用のシャワールームが用意され、
使用料金も寝台料金に含まれている。
入線して出発時間まで車両取材し、出発後は車内取材をする。
車掌が来て検印して貰い、シャワールームの空きを見計らって先に浴びる。
シャワールームは時間の制限はないが、お湯に関しては6分間である。
普通にシャワーを浴びる時は6分は短いように思えるが、
実際列車内では6分あれば十分である。
部屋に戻って出発直前に買ったビールを飲みながら、買い込んだ駅弁を喰う。
部屋には小さなテレビもあるが、
衛星放送を受信しているためトンネルに入ったときなど受信状態が悪いときも多く、
このテレビはあまり集中してみるには耐えられない。
ビールの酔いもあって眠くなり、沼津を通過するのを確認したところで寝てしまった。


4−2.東京駅出発前

今回は金曜日に仕事をしたあと、「サンライズ瀬戸」に乗ることになる。
そのため、22日の金曜日に如何に早く仕事を上がるかが鍵となる。
8:30p.m.以前に家を出ないと予定通りの行動ができない。
なるべく“まいて”仕事したが、それでも金曜日である。
忙しくて何とか仕事が終わったのは6:45p.m.だった。
それから急いで日報を書き、慌てて帰宅する。
家に戻って着替え、予定より1本早い電車で東京まで行く。
そして9番線10番線ホームに上がる。
ここからいよいよ「サンライズ瀬戸」の旅が始まるのだ。
東京から岡山までは、
「サンライズ出雲」と「サンライズ瀬戸」が、
連結して運転される。

貫通扉が開放され、
2つの列車の間は行き来できるようになっている。
「サンライズ出雲」側から
「サンライズ瀬戸」を見る。
「サンライズ瀬戸」側から
「サンライズ出雲」を見る。


東海道本線9番線10番線ホームは主に特急などに用いられる。
かつてあった「はやぶさ」や「富士」などの寝台列車もこのホームから発着していた。

寝台特急「サンライズ瀬戸」は、「サンライズ出雲」と連結したまま、
9番線から22:00ちょうどに発車する。


「サンライズ瀬戸」のA寝台、
“シングルデラックス”は、
4号車に配置されている。
発車3分前の“サンライズエクスプレス”。

285系は7両固定編成で、JR西日本所属車が0番台、
JR東海所属車が3000番台となっている。
車内の設備に若干の違いはあるものの、基本的な構成は同じである。



4−4.岡山での解結

「サンライズ瀬戸」と「サンライズ出雲」は06:27に岡山に到着する。
ここまで東海道本線、山陽本線を14両編成でやってきた“サンライズエクスプレス”は、
ここで高松方面の「サンライズ瀬戸」と、出雲市方面の「サンライズ出雲」に解結される。
作業員によって連結幌が外される。
あとは自動で解結され、
前面扉が閉じられる。

先に「サンライズ瀬戸」が発車し、
瀬戸大橋線に入っていく。
そのあとポイントが切り替わり、
信号が変わると「サンライズ出雲」が、
倉敷まで山陽本線を行き、
ここから伯備線経由で山陰本線を目指す。


4−3.サンライズ瀬戸の車窓

岡山ではまだ夜の帳が空け切れていなかったが、
瀬戸大橋を渡る頃には朝焼けが広がり、
高松に到着したときにはすっかり夜は明けていた。


4−4.「サンライズ瀬戸」の高松到着

東京から岡山を経て、
夜を徹した旅してきた「サンライズ瀬戸」は、
07:27に高松駅に到着した。
「線路は続くよ どこまでも」という歌があるが、
高松は全ての列車がスイッチバックする構造で、
ここで線路は終わっている。


7号車
クハネ285形3000番台
6号車
サハネ285形3000番台
5号車
モハネ285形3200番台
4号車
サロハネ285形3000番台
3号車
モハネ285形3000番台
2号車
サハネ285形3200番台
1号車
クハネ285形3000番台


「サンライズ瀬戸」に従事した285系3000番台I5編成は、
7:50a.m.頃に高松駅を出て高松運転所に回送される。
整備や車内清掃を施し、夜まで留置される。
285系を見送って高松駅の外に出ると、
既に朝は明けて清々しい空気が流れていた。



取材期間:2010年1月22日金曜日〜1月23日土曜日
取材区間:東京駅(JR東日本)〜高松駅(JR四国)




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