土日きっぷの旅




 1.さよなら、土日きっぷの旅

JR東日本に以前からあったお得な切符のひとつに“土日きっぷ”がある。
これは大人が18,000円で連続する土曜日と日曜日に、
フリーエリア内の新幹線を含む特急が乗り放題になるというもの。
指定席も4回まで取ることが可能で、
今までこの切符を使って多くの鉄道取材の旅に出掛けてきた。
フリーエリアは大まかに云うとJR東日本管区の首都圏を含む南側で、
東北新幹線では古川まで、東北本線では小牛田まで、
奥羽本線では湯沢まで、羽越本線では酒田までである。
またJR東日本と関係の深い北越急行線、伊豆急行線も対象になっている。
しかしこの切符が3月28日の利用を以て終了する。
今後はこの切符をリニューアルし、“ウイークエンドパス”とする。
これは土日きっぷと同じフリーエリア内の運賃のみを有効とする切符で、
新幹線を含む特急に関しては、別に特急料金のみで利用できる。
大人8,500円という価格設定で、土日きっぷ18,000円と比べると9,500円安い。
つまり、この金額内なら特急料金を支払って利用すれば、
土日きっぷの代わりになるということである。
しかし気ままに特急を利用できる土日きっぷとは違い、
いちいち特急料金を別に支払わなければならず、思いの外面倒くさいような気がする。
いずれにしろ、土日きっぷは今まで数十回利用してきたし、
このきっぷが廃止される前にもう一度、最後の土日きっぷの旅を計画したいと思う。
土日きっぷでは今まで“0泊2日”を基本に考えてきた。
つまり平たく云うと、土曜日と日曜日でそれぞれ日帰り旅行をするということである。
今回もその法則に従い、土曜と日曜で別の計画を考えた。
以前からの企画もあり、検討した結果、以下のような計画を立てた。

3月6日(土)

05:44幕張-総武緩行線・上り515C(41)-06:25秋葉原[5]
06:30秋葉原-京浜東北線・南行509A(4)-06:34東京[18]
06:52東京※-長野新幹線「あさま503号」(88/1:28)-08:20佐久平[41]
09:01佐久平-小海線・下り131D(15)-09:16小諸[42]
09:58小諸※-小海線・上り228Dハイブリッド車両「こうみ」(146/2:26)-12:24小淵沢[35]
 ※中込10:24-30(6)
 ※小海11:00-09(9)
 ※野辺山11:46-54(8)
12:59小淵沢-特急「あずさ13号」(29)-13:28岡谷[4]
13:32岡谷-中央本線・下り230M(4)-13:36川岸[79/1:19]
14:55川岸-中央本線・下り232M(5)-15:00-05辰野[2]
15:03辰野※-中央本線・下り163M(10)-15:13小野[74/1:14]
16:27小野-中央本線・上り162M(5)-16:32信濃川島[35]
17:07信濃川島-中央本線・下り165M(15)-17:23塩尻[4]
17:27塩尻-特急「あずさ30号」(203/3:23)-20:50千葉

3月7日(日)

05:44幕張-総武緩行線・上り515C(41)-06:25秋葉原[5]
06:30秋葉原-京浜東北線・南行509A(4)-06:34東京[22]
06:56東京※-「はやて1号」(101/1:41)-08:37仙台[58]
09:25仙台※-快速「リゾートみのり」(183/3:03)-12:28新庄[49]
 ※鳴子温泉11:00-25(25)
13:17新庄※-「つばさ118号」(219/3:39)-16:56東京[34]
17:30東京※-特急「さざなみ15号」(33)-18:03蘇我[4]
18:07蘇我-内房線・上り1124M(5)-18:12千葉[10]
18:22千葉※-総武緩行線・上り1857B(10)-18:32幕張

この計画に従い、計画1ヶ月前に指定席券売機で土日きっぷを購入し、
さらに6日土曜日のあさま503号とあずさ30号、
7日日曜日のこまち1号とつばさ118号の指定席も発券した。
さらに別料金でみどりの窓口で「リゾートみのり」の指定席券510円も購入した。
しかしこの計画は当日になって、大きく狂うことになる。
その原因は雨だった。


 2.小海に吹く風-ハイブリッドな完乗の旅

この土日きっぷの旅の一日目は雨に悩まされる旅となった。
3月6日土曜日、05:44の総武緩行線上りで秋葉原に出て、京浜東北線で東京へ。
家を出る頃はまだ良かったが、秋葉原に到着するあたりから雨が降り出した。
売店で駅弁「季節の吹き寄せ 春小町」1,300円などを購入し、
06:52東京駅発の長野新幹線「あさま503号」に乗り込む。
指定席は6号車18番E席で、1時間28分で佐久平に到着する。
雨が止むことをは乗ったが、下車した時にも雨は本格的に降り続いていた。
この駅で下車するのは初めてで、乗り換え時間に駅取材する。
雨の中の強行取材となった。
佐久平は長野新幹線と小海線の接続駅であり、
新幹線の線路を跨ぐように高架で小海線が接続している。
小海線は単式ホームで駅員は常駐しておらず、
列車が到着する時間になると新幹線側の駅舎から駅員がやってきて集札業務などを補助する。
佐久平からいったん小諸まで行く。
ここで駅取材し、小海線を完乗しようという計画である。
小海線は今まで全く乗ったことがなく、小淵沢駅でキハ110系を取材したのみである。
今回は駅取材に加えて、小海線に導入されたキハE200形の取材も楽しみの一つである。
キハE200形は日本の鉄道で初めてのハイブリッド車両である。
この車両は事業用試験車キヤE991形「NEトレイン」で試験が繰り返され、
その結果を受けて開発されたハイブリッドシステムを搭載する気動車で、
現在は量産先行車3両が小海線で営業投入され、さらなるデータ収集を行っている。
直噴式直列6気筒ディーゼルエンジンとリチウムイオン蓄電池を搭載し、
車輪の駆動にはかご形三相誘導電動機MT78×2基を搭載する。
発車時には蓄電池の電力で電動機を動かし、
加速時にディーゼルエンジンで発電機を駆動し、蓄電池と合わせて使用する。
減速時は電動機を発電機として減速による負荷エネルギーを電気に変換して蓄電池に充電する。
バッテリーとディーゼルエンジンを組み合わせて電動機を動かし、
VVVFインバータ制御の電車では回生ブレーキ使用時に架線に戻していた電気を、
バッテリーに充電して発車、加速に利用するという画期的な車両である。
時刻表でこの車両の投入ダイヤを調べ、小諸から終点の小淵沢までを完乗した。



小諸では駅弁を購入しようと思ったが売っておらず、
駅の改札外で天売していた焼きそばパンのみを購入し、車内で喰う。
小諸から小淵沢までは2時間26分の旅である。
この間もずっと雨が降り続いていて、思ったような駅取材もできなかった。
清里駅では蒸気機関車C56型が静態保存されているのを確認した。
全区間の完乗は終了したが、まだ思ったような駅取材ができていない。
野辺山は日本で一番標高の高い駅として駅取材したかったし、清里も取材するべきだろう。
今回のリベンジは青春18きっぷを使って近いうちにやりたい。
12:24に小淵沢に到着し、ここの「観音生そば」で天ぷらうどん400円喰う。
雨で体が冷えたため、うどんの温かいつゆが心地よい。
今回の旅の一つの目的はし完了したが、今日はもうひとつの目的を持って中央本線まで来た。
中央東線に関しては既にほとんどの駅取材が完了していたが、
辰野線と呼ばれる旧線の駅取材が手付かずとなっている。
そこで12:59小淵沢発の特急「あずさ13号」で岡谷に行き、旧線の駅取材に着手する。
だが、この段階になってもまだ雨は強く降り続いていた。


 3.予定変更の中央東線辰野支線

小淵沢で12:59に乗った特急「あずさ13号」は29分で岡谷に到着する。
特急乗り放題だからこそ、こういった移動も可能になる。
土日きっぷがウイークエンドパスに変わったら、
特急に乗る旅に特急料金を払わなければならない。
岡谷で13:32発の中央本線旧線の川岸に行く。
中央本線は1906年6月11日に岡谷から辰野を経由するルートで塩尻まで延伸した。
長らくこの迂回ルートが中央本線となっていたが、
1983年6月21日に塩嶺トンネルが完成し、短絡線の新線が正式な中央本線となった。
そのため辰野を経由する旧線が支線となる。
辰野は飯田線が接続しているため、岡谷から直通する列車もあるが、
塩尻-辰野間は直通する列車も少なく、多くは123系が往復している。
今回はこの旧線の川岸、辰野、信濃川島、小野の未取材駅を駅取材するつもりでいた。
しかし川岸に到着した時も雨は激しく降り続いていて、
この駅は駅取材を強行したものの、これ以上は無理と判断した。
そこで急遽岡谷に戻り、こから塩尻まで行って123系に乗って辰野まで行くことにする。
駅取材は諦めて123系を楽しむことにしたのだ。
13:32に岡谷を出た電車は飯田線直通のJR東海所属の313系、
13:50に川岸から岡谷まで戻る列車は飯田線専用のJR東海所属119系だった。
岡谷で直ぐにしなの色の115系長野行きに乗り換え、塩尻まで行く。
塩尻では既に123系が停まっていた。



123系は余剰になった荷物電車を改造して誕生した1両編成の車両である。
101系以降の新性能電車は基本的に2両1ユニットの電動車となっているが、
単行できる荷物電車の改造のため、利用者の少ないローカル線向けに使用され、
未だに中央本線辰野支線や小野田線などで使用されている。
辰野支線に使用されている123系はクモハ123-1で、
この電車は何回か写真を撮っているものの、乗ったのは初めてである。
これで塩尻から辰野まで行き、また塩尻まで戻る。
15:23には塩尻まで戻ってきたが、
帰りの特急は塩尻を17:27発であり、2時間以上の時間がある。
雨のおかげで時間を持て余してしまった。
そこで色々と考えた挙げ句、松本まで行くことにする。
松本駅のみどりの窓口で塩尻-千葉で予約を取った指定席券を、
松本発に変更して貰うことにした。
15:53塩尻発の383系特急「しなの15号」で松本まで行く。
松本に行く途中の車窓から松本車両センターに湘南色の事業用車両を見つけた。
そこで17:18始発の「あずさ30号」の発車時間まで、ここを取材することにする。
車両基地であるため中には入れないが、外に道もあり、敷地外から撮影は可能である。



留置されていたのはクモヤ143-52で、荷物車改造の牽引車である。
湘南色を纏っていて、荷物車の面影を残したスタイルが魅力的である。
このあと松本駅まで戻り、車両取材などをしてから、
松本電気鉄道上高地線に使用されている7番線の先にある「信州そば」に行き、天ぷらそば360円喰う。
普段は“天ぷらうどん”を喰うのだが、
やはり信州は蕎麦の名産地だけあって、駅蕎麦もそばが前面に出されていた。
但し、うどんの設定もあるようである。
「駅弁あずさ」で駅弁「アルプスの四季」1,050円などを購入する。
普段は帰りの列車では缶ビールをチョイスするのだが、
信州はぶどうの名産地ということもあり、モンラックカップワイン180mlをチョイスする。
特急「あずさ30号」は3時間32分で終点の千葉に到着する。
長い取材の疲弊が蓄積していて車内で爆睡したが、
それでも3時間以上の乗車にはさすがに辟易した。
千葉で21:02の中野行きで帰る。
横須賀線内に人身事故があり、そのため快速線は遅れているようだった。


 4.鳴子に吹く風-リゾートみのりの旅

2日目も昨日と同じ05:44の上り電車で秋葉原まで行き、京浜東北線で東京に出る。
新幹線ホームのNRE売店で「日本のおもてなし弁当」1,100円購入し、車内で喰う。
弁当の外側もお品書きも日本語、ハングル語、中国語、広東語、英語で書かれている。
東京から仙台まで06:56発の「こまち1号」で行く。
家を出る時から雨が降り続いていて、東京駅を出る時も窓に雨が叩き付けられていたが、
仙台に着いた時には既に雨は止んでいた。
仙台からジョイフルトレイン「リゾートみのり」の旅を楽しむ。
乗り換え時間は58分で、その間を利用して車両取材する。
E721系0番台、E721系500番台、
キハ29形・キハ59形ジョイフルトレイン「こがね」などを取材する。
E721系500番台と同一仕様で、
仙台空港鉄道自社発注車のSAT721系は残念ながら目撃できなかった。
そうしているうちに快速「リゾートみのり」が入線してくる。
「リゾートみのり」は陸羽東線の観光列車として2008年10月1日に、
キハ48形500番台を改造して誕生したジョイフルトレインである。
種車はキハ48-550+キハ48-549+キハ48-546で、改造後も車番は変わらない。
デザインは「リゾートしらかみ」のブナ編成とクマゲラ編成に似ている。
快速「リゾートみのり」は09:25に仙台駅を出発する。
仙台から東北本線を北上し、小牛田から陸羽東線に入る。
小牛田に到着する頃には日差しも見えて来た。
途中、鳴子温泉には25分停車する。
この時間を利用して車両取材と駅取材を敢行する。



鳴子温泉には駅舎は足湯も併設されており、「リゾートみのり」の利用者も楽しんでいた。
この駅を出発すると車窓には積もった雪が見え始めた。
12:28に新庄に到着し、49分の乗り換え時間で「つばさ118号」で帰る。
E3系2000番台に当たるかなと期待していたが、E3系1000番台だった。
それでもその前に到着したE3系2000番台を目撃できたし、
そのあと到着した「つばさ118号」に充当されていた1000番台との並びも見られた。



構内で売られていた駅弁「最上のとりもつ弁当」を購入し、車内で喰う。
新庄から3時間39分で東京に到着する。
34分の乗り換え時間で17:30東京発の特急「さざなみ15号」で蘇我に行く。
E257系500番台が充当されていた。
土日きっぷでは特急に乗り放題のため、敢えて蘇我経由で帰ることにした。
蘇我で千葉まで209系2100番台で移動し、総武緩行線で帰る。





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