伊予日帰りの旅




 1.夏期休暇一日目の緊急旅行計画

現在務めている会社には統一しか夏期休暇というものがない。
全てカレンダー通りである。
その代わり、交代で7月、8月の2ヶ月間のうち、2日を休むことが出来る。
8月26日金曜日に夏期休暇を取得し、鹿児島旅行を計画していたのだが、
残り1日分に関しては特に計画もせず、自宅でゆっくり過ごすつもりだった。
しかし同僚との日程調整の末、8月12日金曜日に取得することになり、
結果的に3連休になることとなった。
そこで日程が決定してから急遽、旅行を計画することとにした。
しかしこの日は既に“お盆”に入っており、この計画には思ったより苦労することとなった。
鹿児島旅行で鹿児島市電の全電停取材をする予定であり、
それが完了することとして、それ以外に未取材電停があるのは、
富山地鉄市内線、岡山電軌、広島市電、伊予鉄市内線の4社である。
そこで1泊2日で富山地方鉄道の取材に行くことにした。
富山地鉄は南富山駅前電停以外は取材を完了していたが、
2009年12月23日に廃止されていた環状線が復活し、富山都心線として940mが新設された。
そしてここに国際会議場前、大手モール、グランドプラザ前の3つの電停が新設された。
そこでこの4つの電停を取材するために陸路で富山まで行くことにする。
以前は寝台特急「北陸」で富山までアクセスしたが、この列車は既にないため、
昼行特急と新幹線を組み合わせ、折角なので行きと帰りで別ルートを考え、
行きは上越新幹線「とき」と特急「はくたか」を越後湯沢乗り換えで、
帰りは特急「ワイドビューひだ」と東海道新幹線「のぞみ」を名古屋乗り換えで利用する。
しかしこの計画は富山で宿が取れないために断念した。
予定していたホテルは勿論、駅近辺のビジネスホテルをネットで調べてアクセスしてみたが、
何処も8月12日金曜日は満室になっていた。
きっと何かのイベントなりがあるのだろう…。
そこで仕方なく、伊予鉄道市内線の取材を検討する。
3日間あるので松山で1泊して土曜日に寝台特急「サンライズ瀬戸」で帰って来る計画を立てた。
しかし12日金曜日は松山では宿が取れない。
そこで高松で1泊して高松琴平鉄道を取材して帰るという計画に変更したが、
高松でも宿を取ることが出来なかった。
やはりお盆の時期だけに、ホテルも利用客が多いのだろう。
予定が早めに決まっていれば部屋を押さえられたのかも知れないが、
7月に入ってからではもう無理である。
そこでいろいろと検討した結果、無泊で松山取材を決行することにした。
8月12日金曜日に空路で松山に行って伊予鉄市内線の未取材電停と車両取材、
当日移動で特急「いしづち」で高松まで移動し、そのまま寝台特急「サンライズ瀬戸」に乗り込む。
土曜日朝には東京に到着するということになり、日曜日は完全に自宅静養ということにする。
飛行機を利用した旅行でホテルに泊まらないというのは、
過去にも一度計画したことがあったが、その時は航空システムのトラブルで飛行機が飛ばず、
結局計画は中断し、成田から引き返してきたことがある。
今回は初めての航空機利用の無泊の旅となる。
その計画を以下のように立てた。

8月12日(金)

5:14幕張-総武緩行線・上り509C(5)-05:21津田沼[14]
05:35JR津田沼駅-空港リムジンバス(55)-06:30羽田空港第2旅客ターミナル[55]
07:25羽田空港-ANA583便-08:50松山空港[15]
09:05松山空港-伊予鉄リムジンバス(15)-09:20JR松山駅前[560/9:20] \300

 ※伊予鉄 市内電車・バス1Dayチケット購入 \400
 ※伊予鉄市内線取材

18:40松山※-特急「いしづち30号」(150/2:30)-21:10高松[16]
21:26高松※-寝台特急「サンライズ瀬戸」(582/9:42)-07:08東京

この計画に合わせてANAのホームページから羽田発松山行きの583便の座席を抑え、
京成高速バス予約センターに電話を入れて行きのリムジンバスの予約をして、
7月12日に会社の帰りに稲毛駅のみどりの窓口で、
「いしづち30号」の特急券と「サンライズ瀬戸」の寝台特急券、
それに松山から幕張までの乗車券を購入する。
A寝台が取れなかったらB寝台“ソロ”でもいいかと思ったが、
ちゃんと“シングルデラックス”の禁煙室を取ることが出来た。


 2.増便されたリムジンバスと空路伊予へ

当日は05:14の電車に乗らなければならず、4:30a.m.には起床した。
総武緩行線で津田沼まで行き、予約した空港リムジンバスで羽田空港まで行く。
予約番号は107番で結構混むことを予想していたのだが、
予約が多くて増便されたため、意外とゆったり乗ることが出来た。
JR津田沼駅から羽田空港に向かうリムジンバスは、
JR津田沼駅を出たあと、京成津田沼駅を経由して羽田空港に向かい、
羽田空港第2ターミナル、羽田空港第1ターミナル、羽田空港国際線ターミナルと行く。
しかし予約者が多かったため、増便され、
JR津田沼駅発のバスと京成津田沼発のバスの2台が用意され、
結果的にJR津田沼駅を出たあと、京成津田沼駅には寄らずに直接湾岸に向かった。
羽田空港第2ターミナルでバスを降り、直ぐに保安検査場へ。
66番搭乗口は羽田空港第2ターミナルでも端の方で、
既に乗り込む予定の飛行機は駐機場に待機している。



搭乗開始まで少し時間があったため、
売店で羽田空港限定販売の「四季楽庭 ひれかつ弁当」を購入し、ベンチで喰う。
07:25離陸予定のANA583便に乗り込み、松山空港を目指す。
今回の旅ではサブカメラであるコンパクトデジカメをキヤノンIXY DIGITAL 110ISから、
キヤノンPowerShot S95に変更して最初の旅でもある。
予約した座席は22Kで窓際の席である。
離陸してベルト着用サインが消え、電波を発しない電子機器の使用が可能になってから、
窓から見える景色を撮ってみた。



これがこのカメラで撮影した最初の画像であり、
画像番号“ps0001”となる。
翼の近くで空の様子がよく見えなかったのが残念ではあるが…。
松山空港に到着して、券売機でチケットを購入し、
伊予鉄リムジンバスでJR松山駅前を目指す。
料金は300円で約15分で到着する。
途中で伊予鉄市内線も見えてきて、興奮も高まってきた。


 3.伊予鉄取材とオムライス

JR松山駅に到着し、コインロッカーに旅行用バッグを預け、
ここからいよいよ取材開始である。

伊予鉄道は松山市を中心に郊外鉄道と路面電車を運営する地方鉄道である。
松山の中心地と外港である三津とを結ぶ鉄道として、1887年9月14日に設立された。
1988年10月28日に四国初の鉄道として、現在の高浜線の一部が開業した。
その後、森松線、横河原線が開業、道後鉄道と南予鉄道を合併した。
1921年に松山市内に軌道線を運営していた松山電気軌道を合併し、
それが現在の松山市内線となった。
森松線が廃止され、郊外線は高浜線、横河原線、郡中線が現存する。
伊予鉄市内線は城北線、城南線、本町線、大手町線、花園線の5線があり、
松山市駅前から松山駅前、木屋町、上一万、大街道、そして松山市駅前に戻る環状線外回りが1系統、
この環状線の逆向きである内回りが2系統、
松山市駅前から大街道、上一万を経て道後温泉までを結ぶ市駅線が3系統、
松山駅前から南堀端、大街道、上一万を経て道後温泉までを結ぶJR松山駅前線が5系統、
本町六丁目から南堀端、大街道、上一万を経て道後温泉までを本町線が6系統で、
合計5系統の運転形態である。
営業距離の合計は9.6kmで27電停がある。
そのうち未取材の電停は城北線では木屋町と鉄砲町と赤十字病院前の3電停、
城南線では道後公園、南町、警察署前、勝山町、県庁前、西堀端の6電停、
本町線では西堀端、本町四丁目、本町五丁目、本町六丁目の4電停で、
大手町線と花園線は取材済みである。
使用されている車両は「坊ちゃん列車」を除き、
超低床車を含めて全て単車で連接車両はない。
かつて蒸気機関車で運行されていた「坊ちゃん列車」を、
蒸気機関車に似せたディーゼル機関車で2001年10月から復活させた。
D1形は1888年製甲1形1号がモデルであり、5m車のハ1とハ2の2両を連結する。
D14形は1908年製の甲5形14号をモデルとして、7m車ハ31を牽引する。

JR松山駅の観光案内所で市内電車・バス1DAYチケット400円を購入し、
平成23年と8月12日のところのスクラッチを削り、
いよいよJR松山駅前から取材開始である。



まずは県庁前に行って電停取材、勝山町では「坊ちゃん列車」を目撃した。



警察署前、南町、道後公園と取材していく。
道後温泉駅で少し車両取材してから本町四丁目、本町五丁目、鉄砲町と取材、
萱町六丁目まで行ってここから徒歩5分の距離にある「キッチン マロヤ」に行く。
ここは事前にネットで調べておいた店で、
デミグラスソースオムライス950円をオーダーする。
ここから今度は古町まで歩き、車庫の外から少し車両取材、
中に入って郊外線の車両取材などをしてから本町六丁目の電停取材する。
ここは城北線と本町線に電停があるが、
城北線は専用軌道で踏切で196号を渡り、本町線は城北線の踏切の直前で線路が切れている。
乗り換えは可能だが車両同志は線路が切れていて乗り入れは出来ない。
木屋町、赤十字病院前と取材し、道後温泉まで行って日本最古の温泉の建物の取材もする。
ここでまたしばらく車両取材し、西堀端の取材をして電停取材は完了。
少し時間が出来たので、JR松山駅に行ってJR車両取材をすることにした。


 4.無泊鉄道取材の強行軍-讃岐へ

JR松山駅に入場券を買って入場、ここで時間まで車両取材することにした。
まずはTSEが停車中でこれを取材する。
TSEはJR四国が開発した2000系気動車特急の試作車で、
試作後も2000系と共通で営業運転に使用されている。
7000系直流電車、国鉄時代の気動車の代表格の一つであるキハ47形気動車、
そしてキハ32形気動車、キハ54形気動車、
留置中の2000系2110“クリームパンダ号”、電気機関車EF65型1091号機、
そして臨時列車に充当されたキハ185形特急形気動車+キクハ32-501トロッコ形の、
“2011夕焼けビールトロッコ列車”などを取材する。
JR松山駅の1番線はホーム長が長く、2本の列車が停車できるようになっている。
高松方面から来た特急「いしづち」と宇和島方面へと向かう特急「宇和海」が、
一つのホームの前後に停車して平行移動で乗り換えられるようになっている。



こうすることによって8000系特急形電車を使用している「いしづち」と、
非電化区間のため気動車特急2000系特急形気動車を使用している「宇和海」の、
乗り換えをスムーズにして乗客の利便性を図るとともに接続時間も短くできる。
幾ら短いとはいえ、特急2本を同じホームに停めるとは良いアイディアである。
取材後に一端改札外に出て少し伊予鉄市内線の車両取材をしてから、
コインロッカーから荷物を取り出し、お土産と弁当などを購入し、
事前に購入しておいた18:40松山発の特急「いしづち30号」の切符で入場する。





特急「いしづち30号」は電化区間を走るために2000系直流電車が充当される。



キオスクで購入した駅弁「醤油めし」を喰いながら予讃線の車窓を楽しむ。
3両編成で1号車の後半分が指定席となっており、あとは自由席であった。
この列車は岡山方面の「しおかぜ30号」と連結されており、
宇多津で切り離しが行われる。
松山を出た時にはまだ充分に明るかったが、高松に着く頃には既に夜の帳が降りていた。
今回はホテルには泊まらず、ここから寝台列車「サンライズ瀬戸」に乗り込み、帰京するのだ。


 5.「サンライズ瀬戸」の旅

列車がホームに滑り込んだ時には既に夜闇に包まれていていた。
特急「いしづち30号」が高松に到着したのは21:10で、
16分の乗り換え時間で寝台特急「サンライズ瀬戸」に乗り換えなければならない。
まず最初にしたことは、キオスクに行ってビールを購入したこと。
以前にも「サンライズ瀬戸」で高松から帰ったことがあったが、
その時にも危うくビールを買いそびれるところだった。
そこでまず最初にキオスクに行ってビールを購入したのだ。
そのあと残りの時間で停車中の気動車の取材をしてから列車に乗り込む。
21:26に高松を出発して、暫くして車掌が検札にやってくる。



検札の時に洗面セットとシャワーカードが渡される。



今回のA寝台個室“シングルデラックス”は、シャワーカードが無料で着いてくる。



「サンライズ瀬戸」には2つのシャワールームが設置されているが、
ひとつは別にシャワーカードを購入して利用する一般向けであり、
もうひとつはA寝台個室の利用客専用のもので、専用カードでないと利用できない。
「サンライズ…」のシャワー室はなかなか空きにならないことでも有名で、
高い料金を払って“シングルデラックス”を利用する理由の大きな部分がこのシャワーカードの取得にある。
同時に渡されるアメニティの中はこんな感じ。



「サンライズ…」のアメニティの中身は以下の通り。

  TOOTH BRUSH(ハブラシ)1本
    資生堂製/資生堂歯磨ホワイト5gもついている。
  Razor(資生堂レザー・スマッシュⅡ(L)、アウスレーゼシェービングフォームN 12g)
  折りたたみ式ヘアブラシ
  シャワーキャップ
  シャンプー(資生堂スーパーマイルドW 12ml)
  コンディショナー(資生堂スーパーマイルドW 12ml)
  石けん(資生堂サボンドール30g)
  爽快ヘアトニック HAIR TONIC VACANZA 容量不明
  ソフト整髪 HAIR LIQUID VACANZA 容量不明
  スッキリ化粧水 SKIN WATER VACANZA 容量不明
  Ladies Kit(コットン、綿棒2本、ヘアバンド)
  洗顔フォーム Perfect Whip 15g
  ポケットティッシュ
  SANITARY BAG
  Shoe Polisher
  タオル(無地)

男性用、女性用の区別はなく、シャワールームで使用が想定される大半のものが入っている。
シャワールームは同じ車両の端に付いており、お湯は6分間使用できる。
途中で止めることも出来るので、時間的に短すぎるということはない。
更衣室にはヘアドライヤーもセットされていて無料で使用できる。
最後に洗浄ボタンを押すと高圧で洗浄液がシャワールーム内に噴出されて一気に洗浄する。
何時も「サンライズ…」を利用する時にはそうしているのだが、
まずは購入したビールを飲む。
冷蔵庫がないために購入したビールが直ぐにぬるくなってしまうからだ。
そうしているうちに列車は瀬戸大橋を渡り、岡山に到着する。
ここで後方に出雲市から伯備線経由で到着した「サンライズ出雲」を連結する。
連結作業はいつ見てもワクワクするもので、この時も列車を降りて見学した。



そのあとは直ぐに寝てしまい、早めに起きてシャワーを利用する。
スッキリして列車を降りることが出来るし、寝ていて汗もかくので丁度いい。
285系「サンライズ…」の“シングルデラックス”は寝台個室の中では広い方である。
部屋全体の感じはこんな風である。



鏡の下は洗面台になっており、お湯が自由に使える。



その脇は机と椅子がセットされていて、ビジネスユースにも対応している。



ベッドは固定式で寝具の脇には室内用のスリッパがある。



また車内の案内を兼ねた絵はがきも置かれている。



岡山から山陽本線、東海道本線を旅した「サンライズ瀬戸」と「…出雲」は、07:08に東京駅に到着する。



ブルートレインが次々に廃止になっていく中で、
夜行寝台の新しい形として登場した285系直流形寝台特急電車だが、
今後増備や新形式の誕生の噂もなく、老朽化によってこの特急がどうなるのかはまだ不透明だ。
しかし寝台列車の旅には早さだけでは語れない旅情が残されている。
今後とも是非継続して欲しいし、出来ることなら交直流の寝台特急電車も開発されて欲しいと願っている。

 -撮影結果-

2011.08.12. 撮影 3104枚 保存 144枚
    08.13. 撮影  16枚 保存  1枚

 合計    撮影 3120枚 保存 145枚 採用率 4.65%





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