薩摩の旅2011




 1.残された鹿児島市電取材計画

日本には21の路面電車の会社や自治体交通局がある。
現在はその全路線の全電停の取材に挑戦している。
勿論、取材の中で取材路線のの乗り潰しも達成している。
しかし日本の21社の中で唯一乗り潰しが未達の路線がある。
それどころか、全く乗ったことがないのだ。
乗る機会がなかったということもあるけれど、意図的に“後回し”にしてきたとも云える。
それは九州新幹線の存在があったからだ。
九州新幹線鹿児島ルートは2004年3月13日に新八代から鹿児島中央が部分開業し、
博多からは特急「リレーつばめ」が結んでいたが、
その後も全線開通に向けて工事が進められていた。
そこで九州新幹線鹿児島ルートが全通したら、東京から陸路で鹿児島中央を目指してみたいと思っていた。
鹿児島市電の取材はその時に行えばいいと思って、他の路線より後回しにしてきたのだ。
当初は21:05に千葉中央駅を出る京成の夜行高速バスで新大阪まで行き、
ここから山陽新幹線、九州新幹線直通の「さくら」に乗って鹿児島中央を目指す計画を立てた。
この時点では「みずほ」の存在はまだ発表になっておらず、ダイヤも未発表だった。
その後、九州新幹線鹿児島ルートの全通が2011年3月と発表され、
それに合わせて優等列車の「みずほ」の設定、及びダイヤが発表になった。
原則的に山陽新幹線と九州新幹線を直通する列車は「みずほ」と「さくら」、
球種新幹線のみの各駅停車及びそれに近い停車駅のものが「つばめ」となる。
つまり東海道、山陽新幹線と比較すると「のぞみ」が「みずほ」、「ひかり」が「さくら」、
そして「こだま」が「つばめ」となる。
新大阪を朝一で発車する「みずほ601号」は06:00に新大阪を出て、
新神戸、岡山、広島、小倉、博多、熊本と停車して09:46に鹿児島中央に到着する。
この時間なら朝から鹿児島市電の取材が充分に出来る。
しかし21:05千葉中央駅の京成高速高速バスは新大阪到着が06:41で、
これでは「みずほ601号」には間に合わない。
そこで2つの接続案を考えた。
ひとつは夜行寝台電車の「サンライズ…」で岡山まで行くというもの。
本当は新大阪で降りたいのだが、「サンライズ…」は新大阪には停車しない。
そこで岡山で乗り換えて「みずほ601号」に乗る。

22:00東京※-「サンライズ出雲」(507/8:27)-06:27-34岡山[12]
06:46岡山-山陽・九州新幹線「みずほ601号」(180/3:00)-09:46鹿児島中央

もうひとつの案は東京から新大阪まで東海道新幹線で前乗りするというもので、
新大阪のビジネスホテルに一泊して06:00の「みずほ601号」に乗り込む。
計画段階ではまだ外勤で勤務終了時間が当日にならないと分からないため、
ぎりぎりの時間に設定し、新大阪行き最終電車を選んで計画した。

21:20東京※-東海道新幹線「のぞみ269号」(145/2:25)-23:45新大阪[375/6:15]
 ※新大阪駅ビジネスホテル1泊
06:00新大阪※-山陽・九州新幹線「みずほ601号」(226/3:46)-09:46鹿児島中央

しかし2011年の夏期休暇が8月12日金曜日と26日金曜日に決まり、
26日金曜日の前日が千葉県がんセンターの通院日で、
夕方から時間が空くことになった。
この時間を無駄にするのはもったいないと思い、結局空路で前乗りすることとし、
新幹線での鹿児島アクセスは断念し、未乗車区間の新八代-博多の区間を含む、
鹿児島中央から博多までを「さくら」で移動し、博多から空路で帰京することにして、
以下のような計画を制定した。

8月25日(木)

16:25幕張-総武緩行線・上り1605B(7)-16:32津田沼[8]
16:40JR津田沼駅南口※-空港リムジンバス(65/1:05)-17:45羽田空港第2ターミナル[65/1:05]
18:50羽田空港-ANA629便(105/1:45)-20:35鹿児島空港[20] スーパー旅割 \15,670
20:55鹿児島空港※-南国交通・直行便72(38)-21:33鹿児島中央駅 \1,200

 ※B&B パークホテル鹿児島チェックイン 10:00p.m.予定

8月26日(金)

 ※朝食 7:00a.m.~9:30a.m.
 ※B&B パークホテル鹿児島 7:30a.m.

 ※市電一日乗車券\600購入
 ※鹿児島市電取材

 ※鹿児島中央駅入場券

 09:25特急「はやとの風」
 09:54特急「指宿のたまて箱」

 ※B&B パークホテル鹿児島イン

8月27日(土)

 ※B&B パークホテル鹿児島アウト

 ※市電一日乗車券\600購入
 ※鹿児島市電取材

 ※B&B パークホテル鹿児島イン

8月28日(日)

 ※B&B パークホテル鹿児島チェックアウト

08:34鹿児島中央※-九州新幹線「さくら550号」(88/1:28)-10:02博多[21]
10:23博多※-特急2425A(10)-10:33博多南[29]
11:02博多南※-特急742A(10)-11:12博多[113/1:53]

13:05博多-博多市営地下鉄空港線458C(5)-13:10福岡空港[80/1:20]
14:30福岡空港-ANA256便(100/1:40)-16:10羽田空港

この計画だと丸二日、鹿児島市電の取材に当てることが出来るし、
これならたとえ1日雨に降られたとしても1日あれば何とか全電停取材は可能だろう。
この計画に合わせて6月25日には往復の飛行機の予約を入れ、
同時にB&B パークホテル鹿児島にも予約を入れた。


 2.遅延した夜間飛行-旅の始まり

今回の旅は鹿児島行き最終便に乗るところから始まる。
8月25日木曜日は千葉県がんセンターの診察日になっており、
夏期休暇とは別に有給休暇を取得して受診した。
それが終わり、千葉に戻って昼食を済ませ、少し買い物をしてから一端帰宅。
受診用の鞄から旅行用の鞄やカメラバックに持ち替え、着替えて再び家を出る。
16:25幕張発の電車で津田沼に行き、ここから予約しておいた空港リムジンバスに乗る。
乗り換え時間は8分で、乗り場に行くと程なくバスが到着した。
空港に到着した時には既に陽が傾きはじめ、飛行機を待っている間に夜の帳がおり始めた。
空港に着いて保安検査場を通過し、68番搭乗口に向かう。
売店で夕食として空弁「四季楽庭 幕の内弁当」850円と、
鹿児島に着いてホテルにチェックインしてからビールのつまみになるものとして、
「元祖・羽田空港ひとくちおこわ・松阪牛」500円を購入する。
幕の内弁当をロビーで喰い、搭乗開始を待っていると構内アナウンスがある。
それによると「鹿児島空港行きANA629便は、使用する機材の到着の遅れにより、
出発時間を19:05に変更します」とのこと。
予定では18:50発なので、15分の遅れとなる。
念のため、今日泊まる予定のホテルに電話を掛け、事情を説明しておく。
暫くして搭乗開始となり、飛行機に乗り込む。
座席は15Kで窓際を取れたが、もう夜なのであまり意味はない。



約1時間45分のフライトで鹿児島空港に着き、
そこから南国交通のバスでJR鹿児島中央駅を目指す。
直行便に乗れたので途中何処に停まることもなく、鹿児島中央駅に着いた。
案の定、10:00p.m.近い時間では飲食店以外の店は開いておらず、
ホテルの部屋でつまみになるようなものも購入出来ない。
やはり羽田空港で購入しておいて正解だった。
B&Bパークホテル鹿児島にチェックインする。
今回は奮発してデラックスシングルルームを予約しておいた。
これは思った以上に部屋が広くて驚いた。



普通に生活できるくらいのスペースは確保されており、
ベッドも大きい。



それにテーブルとテレビも充分。



そして今回何より気に入ったのが、このマッサージチェアが標準装備されていること。



これは宿泊中なら自由に使える。
さらにウエルカムドリンクとして冷蔵庫の中には350mlの缶ビール、スーパードライが冷えている。
全く至れり尽くせりである。
自販で購入したビールと合わせて、「元祖・羽田空港ひとくちおこわ・松阪牛」をつまみにビールを飲む。
長旅の疲労もあって、ビールの酔いも早く回り、11:00p.m.には就寝した。


 3.goodmorning-9匹のこぶた、1日目

翌朝は6:00a.m.前に起床してシャワーを浴び、7:00a.m.から、
ホテル1階で無料の朝食を喰う。
食事場所は昼以降は「9匹のこぶた」という店名の鹿児島豚の料理店となっている。
朝だけはホテル宿泊客専用の朝食を提供している。
料理はバイキング形式で和食が提供される。



おかずは南瓜の煮物、里芋の煮っ転がし、鹿尾菜の炒め物、玉子焼き、サラダ、高菜など。
それに御飯、海苔とわかめと豆腐の味噌汁が付く。
食後にはコーヒーも用意されている。
御飯は当然おかわりをしてしまった。
健康的な朝食で腹を満たし、ここからいよいよ鹿児島市電取材のスタートである。


 4.“…風”と“…たまて箱”

ホテルを出てまず最初にJR鹿児島中央駅に行く。
ここの観光案内所で鹿児島市観光地周遊バス一日乗車券を購入するためである。
駅前ではテレビの収録をやっているらしく、
レポーターらしき人がテレビカメラの前で喋っていた。
さらに駅の中にもテレビカメラを担いだカメラマンやアシスタントらしき、
テレビクルーがうろうろしていた。
その時は何があったのか分からなかったが、
その日の夜にホテルに戻り、テレビニュースを見てその意味が分かった。



駅舎を撮った写真の右側に見切れている救急車だが、
駅に向かっている途中にサイレンを鳴らしながら駅に近づき、
そのまま歩道に乗り上げて停まった。
この救急車には病気の赤ちゃんとそのお母さんが乗っていて、
新大阪に直通する九州新幹線を使って救急搬送するところだったのだ。
九州新幹線では多目的室を利用して“ドクタートレイン”として、
患者の搬送に使おうという計画があり、今回は2例目だそうだ。
この赤ちゃんは大阪在住のお母さんが鹿児島に里帰りして出産されたのだが、
検査で心疾患が見つかり、長期の経過観察が必要とされ、
自宅のある大阪の病院に搬送されることになったのだ。
飛行機では点滴に必要な電源が確保出来ないことなどから、
新幹線が選ばれたのだ。
これも九州新幹線が全通したからこその恩恵なのだろう。
結局、観光案内所が混んでいたため、車内で買うことにして、
一端駅を出て鹿児島中央駅前から鹿児島市電に乗り込み、
運転手から“市電・市バス一日乗車券”600円を購入する。



これで隣の都通電停から取材を開始、純心学園前まで行ってJR指宿枕崎線郡元駅を取材し、
再び純心学園前まで戻って郡元電停を取材して再び鹿児島中央駅に前に戻る。
JR鹿児島中央駅の入場券を購入し、ここから車両取材を開始する。
今回は取材時間を丸二日取っているため、
その間にJR鹿児島中央駅で観光列車の「はやとの風」と「指宿のたまて箱」を取材する。
「はやとの風」は以前取材したことがあるが、
「指宿のたまて箱」は未取材のために今回は是非取材したいと思っていたのだ。
「はやとの風」は09:25発、「指宿のたまて箱」は09:54発と時間が近いため、
逆算してこれらの列車とそれに前後して発着する気動車の取材をする。

「はやとの風」はキハ40系気動車を改造した3両編成で、
キハ140 2066+キハ147 1045+キハ47 8092が充当される。
人吉から松吉までを結ぶ「いざぶろう・しんぺい」に接続し、
松吉から鹿児島中央を結ぶ観光特急列車である。



「指宿のたまて箱」はキハ47形気動車を改造した2両編成で、
キハ47 8060+キハ47 9079が充当されている。
「なのはなDX」を置き換えて誕生した指宿線の特急で鹿児島中央から指宿を結ぶ。



両列車ともにデザインは水戸岡鋭治氏で、車内は木の温もりを重視したデザインとなっている。
これらの列車をじっくり取材し、鹿児島中央駅を出て再び鹿児島市電の取材を再開する。


 5.鹿児島市電全電停取材

鹿児島市電は鹿児島市交通局が運営する13.1km、全37電停の路線で、
1912年に鹿児島電気軌道が開業した路線を、
1928年7月1日に鹿児島市が買収して鹿児島市電気局を発足させた。
鹿児島電気軌道が最初に敷設したのは武之橋-谷山間の谷山線で、
1912年12月1日に全線が開通した。
1914年12月20日第一期線として武之橋-鹿児島駅前間の1系統が開通、
1915年12月17日には第二期線として高見馬場-鹿児島中央駅前が開通した。
鹿児島市に買収され、電気局、交通課、交通部、交通局と管轄が移動し、
1959年10月1日には唐湊線の鹿児島中央駅前-郡元間が開通し、第2系統が全通した。
1961年に全通した上町線、伊敷線は1985年9月30日に廃止された。

鹿児島中央駅前電停で少し車両取材し、
そこから中洲通、たばこ産業前、神田、唐湊、工学部前、中郡と取材して、
一端郡元まで行って一気に高見馬場まで行き、ここから徒歩で「豚とろ天文館本店」に行く。
ここは事前にネットで“鹿児島ラーメン”について検索し、
その中で鹿児島市電からの徒歩圏内で行ける店で有名なところを探し、来店した。
ここで昼食を喰い、再び取材開始する。
全37電停中今回の訪問前に取材が完了していたのは鹿児島中央駅前電停のみで、
残りの36電停中、午前中に取材出来たのは唐湊線の9電停のみで、
午後に27電停も残してしまった。
明日もまる一日鹿児島市電取材に使えるので焦ることはないが、
それでもこの体たらくに少し気を引き締めて取材しなければならないなと思った。
高見馬場はT字路の2ヶ所に電停が設置されていて、
第一期線をそのまま市立病院前、新屋敷、武之橋と取材する。
武之橋の隣が交通局前だが、交通局の車庫の端が武之橋電停まで来ており、
600形605号車の“ビール電車”など、留置中の車両を敷地外から取材しながら、
徒歩で交通局前まで行き、ここから荒田八幡、騎射場、鴨池、郡元、涙橋と取材する。
供用区間でもセンターリザベーション化された区間の一部には芝生が植えられてている。



涙橋から専用軌道に入り、南鹿児島駅前、二軒茶屋、宇宿一丁目、脇田、笹貫、上塩屋、谷山と取材する。
南鹿児島駅前電停では指宿枕崎線南鹿児島駅、脇田電停では宇宿駅、谷山電停では谷山駅も取材する。
ダイヤが合えば谷山駅から肥薩線に乗ってもいいと思っていたが、
駅に着く直前に上り列車が発車してしまった。
谷山からそのまま天文館通、いづろ通、朝日通、市役所前、水族館口、桜島桟橋通、鹿児島駅前と取材する。
鹿児島駅前電停は3線4面の櫛形プラットホームがあり、連接車両が止まれるだけのホーム長がある。
鹿児島市電には1000形低床3車体連接車「ユートラム」と、
7000形低床5車体連接車「ユートラムII」の2種類の低床連接車があり、
これらの車両が収まるだけのホームの長さとそれに合わせた屋根が設置されている。
単車の場合は奥に詰めれば2両がぎりぎり停まることも可能になっている。



ここでは運転手がモップで前面を掃除していた。
この時は特に何とも思わず、綺麗好きな運転手なのかなと思っていた。
このあと第二期線の高見馬場、加治屋町、高見橋と取材し、
取材しそびれた郡元(南側)を取材しに行って、
ここで鹿児島市電の全電停の取材が完了した。


 6.目が点-薩摩黒豚と薩摩揚げな夜

電停取材を完了し、郡元から鹿児島中央駅前へ。
昼はネットで調べた鹿児島ラーメンの店に行ったのだが、
鹿児島の名物といえばもうひとつは薩摩黒豚である。
そこで夜はネットで調べていた黒豚専門店に行くことにした。
それが「とんかつ川久」という店で、
県道21号線都通の裏通りにあたる場所にあり、
夜は5:00p.m.からで丁度5:00p.m.に店の前に到着した。
しかしそこで目が点になった。



臨時休業していたのだ。
これは困った…。
そこで明日の夜に行く予定にしていた「黒かつ亭」に急遽行くことにした。
ここは停まっているB&Bパークホテル鹿児島の少し先にある、
やはり薩摩黒豚の専門店である。
ここで盛り合わせの黒かつ亭定食1,290円を喰う。
そのあとホテルに行く前に駅に行き、お酒とつまみを買う。
この時に妙に目が痛いと思った。
周りを見ると日傘を差している女性も目立つ。
もう日も暮れかかっているのに何故なのだろう…。
その時は特に理由分からなかった。
駅ビルに行き、お土産コーナーで薩摩揚げと芋焼酎の水割りを購入し、
ホテルに戻って自販機で更にビールを購入し、
部屋に戻ってマッサージチェアに乗って、
薩摩揚げをつまみにビールや芋焼酎を飲む。
テレビを見ていて驚いたことがった。
それは天気予報で普通に桜島の上空の風向予報をやっていることだ。
火山灰の飛散の予報のためである。
鹿児島市内が風下になっている場合には、灰が降り注ぐことになる。
今日は火山灰の飛散予定地域に鹿児島市内が入っていた。
それで鹿児島市電の運転手がモップで窓掃除をしたり、
夕方なのに日傘を差して歩いている女性が多かったのか…。
確かに夕方になって目が痛くなった。
火山と共に生きるというのはこういうことだと、
改めて思い知らされた。
テレビを見ながら芋焼酎の水割りを飲んでいたのだが、
アルコールも手伝ってマッサージチェアの上で思わず寝てしまう。
マッサージチェアは動いている時は気持ちがいいけれど、
その上で寝ると止まった時にヘンなところにローラーが当たったままになってしまい、
背中が痛くなって逆効果だ。
痛みを堪えながら改めてベッドの中に入り込んだ。


 7.goodmorning-9匹のこぶた、2日目

昨日は疲弊が蓄積していて早めに寝たのだが、
その分早めに目が醒め、シャワーを浴びて7:00a.m.になるのを待ち、
1階に降りて「9匹のこぶた」で無料朝食を喰う。



おかずは鶏とブロッコリーの炒め物、鹿尾菜の煮物、春雨サラダ、玉子焼き、サラダ、高菜など。
それに御飯、海苔とわかめと豆腐の味噌汁が付く。
食後にはコーヒーも用意されている。
今日も御飯は当然おかわりをしてしまった。
部屋に戻って歯を磨いてからカメラバッグを持ってホテルを出る。
既に全電停の取材は終わっているため、今日は車両取材に主眼を置いて撮影を開始する。


 8.再びの鹿児島中央駅-“…風”と“…たまて箱”

鹿児島市電取材2日目は既に電停取材が完了しているため、
あとは車両取材を残すのみとなっているために余裕である。
そこでホテルの部屋で朝からマッサージチェアに乗りながらテレビを見て、
ゆっくりと支度をして出掛ける。
今日は09:25発の特急「はやとの風」、09:54特急「指宿のたまて箱」に合わせ、
鹿児島市電の取材を挟まずに直接JR鹿児島中央駅に行く。
入場券で入場し、ちょっとだけ在来線の取材をしてから、新幹線ホームに上がる。
昨日は在来線ホームの取材のみだったので、今日は新幹線も狙ったのだ。
既に「はやとの風」、「指宿のたまて箱」は取材済みのため、
今日は取材出来なくても支障はない。
それに九州新幹線鹿児島ルート全線開業に伴い、
JR西日本とJR九州が共同開発した、
N700系7000番台、及びN700系8000番台を狙いたいと思っていたのである。
それに九州新幹線800系の増備車両であるU009も取材したい。
前面デザインが若干変更されているのである。
九州新幹線用のN700系は東海道・山陽新幹線用とは社内外のデザインが変更されていて、
N700系7000番台がJR西日本所属のS編成、
N700系8000番台がJR九州所属のR編成である。
800系が6両編成であるのに対し、N700系7000番台及び8000番台は8両編成である。
今回はN700系と増備用800系1000番台の撮影を期待した。
しかし実際にはJR西日本所属のN700系と800系0番台ばかりで、
思ったような取材はできなかった。



800系も何回か入線したが、全て0番台で増備1編成は鹿児島中央には姿を見せなかった。



新幹線ホームでの取材を終え、在来線ホームに行き、キハ40系列やキハ200形などを取材し、
JR鹿児島中央駅での取材を終了する。
ここからは鹿児島市電の補完取材を開始である。


 9.鹿児島市電車両取材と気紛れの桜島渡航

今日は電停取材は完了しているので車両取材のみだが、
昨日の電停取材で今ひとつうまくいかなかったところを追加取材することにする。
今日も鹿児島に宿泊するので正直云って時間を持て余し気味である。
勿論、昨日も今日も快晴になるということは計画段階では分からなかったので、
2日間のうちに1日は雨が降っても大丈夫なように余裕を持った時間配分にしてある。
今日は鹿児島中央駅の観光案内所で一日乗車券を購入する。



昨日購入したものとはデザインが違っていた。
まずは純心学園前で車両取材、都通で電停補完取材をして、
鹿児島中央駅前電停で暫く車両取材する。
このあと更に鹿児島駅前電停で車両取材をしようと向かったが、
途中急に思い立って桜島桟橋通電停で下車し、桜島の写真を撮ることにした。
時間に余裕があるので、「ライトレールの時代」で電停紹介の添付画像を撮ろうと思ったのだ。
この時は海岸から全景を見渡せる位置で写真を撮るつもりでいたのだが、
実際にフェリー乗り場まで行くと、更に気が変わって桜島まで行くことにした。
フェリーの料金が150円だったからである。
鹿児島市電の初乗りが160円なので、陸上交通よりも安い。
しかも15分おきに出発し、深夜帯も1時間に一度は便がある。
これに乗って桜島を目指し、その途中、船上から桜島の様子を撮影する。



運行時間は15分で桜島に到着する。
しかし桜島は路線バスやタクシーで移動しないと船着き場には特に遊ぶところはない。
次の便を待合室で待って再び鹿児島港を目指し、徒歩で鹿児島駅まで行く。
ここから武之橋に行って暫く車両取材する。
12両の車両取材を敢行して、鹿児島中央駅前電停に行く。
ここで「観光電車」を見掛ける。



観光電車は鹿児島市電が土曜、日曜、祝日に運行する観光特化の列車で、
鹿児島市電で各地を巡りながら同乗したボランティアガイドが観光案内するというもの。
1日4便で鹿児島中央駅前から鹿児島駅前まで行き、折り返して郡元まで行き、
ここから鹿児島中央駅前まで戻るというコースで、料金は320円。
使用車両はユートラムIIで、約70分のコースである。
これは一日乗車券でも乗ることができるが、迷った挙げ句乗らないことにした。
まだホテルに戻るには時間があるが、この時間を観光に使うのであれば、
JR鹿児島中央駅に入って車両取材をしたいと思ったからだ。


 10.駅弁と薩摩揚げと薩摩芋焼酎な夜

鹿児島中央駅前電停で少し車両取材したあと、
今日2回目のJR鹿児島中央駅の入場券を購入し、入場。
午前中に取材出来なかったJR九州所属のN700系8000番台R編成と、
増備用800系1000番台を狙った。
暫くしてN700系8000番台が入線してきた。



外見上はS編成と変わらず、JRのマークの色と編成記号でしか区別出来ない。
このあと800系1000番台の入線も待ったが姿を見せなかった。
今日は運行されていないのだろうか…。
暫く粘ったが入線しそうにもないので断念して在来線ホームに降り、
気動車を中心に取材して改札を出る。
今日の夕食に行く予定だった「黒かつ亭」は既に昨日行ってしまい、
改めて店を探すのも面倒だったので、売店で駅弁を購入することにした。
鹿児島中央駅の売店で駅弁「黒豚横丁」1,100円と田苑・芋・黒麹仕込みボトル缶300円を買い、
また昨日と同じ揚立屋で薩摩揚げを購入してホテルに戻った。
ホテルの自販機で缶ビールを購入し、
ビールを飲みながら駅弁で夕食、
マッサージチェアに乗りながら薩摩揚げをつまみに芋焼酎のボトル缶を飲む。
今日も11:00p.m.を待たずに眠くなり、そのままベッドに潜り込んだ。


 11.goodmorning-9匹のこぶた、3日目

鹿児島で3連泊したマッサージ付きの部屋も今日が最後である。
早めに起きてシャワーを浴び、7:00a.m.を待って1階に降りる。
「9匹のこぶた」の無料朝食も今日で3日目である。



おかずはピーマン、筍、ソーセージのピリ辛炒め、里芋の煮っ転がし、春雨サラダ、玉子焼き、サラダ、お新香など。
それに御飯、海苔とわかめと豆腐の味噌汁は昨日と同じ…。
食後は今日もコーヒーを戴く。
当然今日も御飯はおかわりをした。
部屋に戻って歯を磨いてから支度をしてチェックアウトする。
08:34の新幹線に乗らなければならないため、
早めに出て時間まで車両取材することにした。


 12.九州新幹線鹿児島ルート完乗!-さくら、咲く

8:00a.m.前に入場し、まずは在来線のホームに降りてキハ200形などを取材する。



そのあと新幹線ホームへの改札を潜り、少し車両取材する。
既に「さくら550号」は入線していて、指定した座席に荷物を置く。
使用されていた車両はJR九州所属のN700系8000番台R9編成で、
指定席は2+2の座席配列になっていた。



これはJR西日本の700系“ひかりレールスター”と同じだ。
ここで800系1000番台を狙ったが、今日も入線はなかった。
新800系の取材に関しては、今回の旅では断念するしかないなと、この時は思っていた。
08:34に鹿児島中央を出発し、川内、熊本、久留米と停車して博多に至る。
九州新幹線鹿児島ルートは新八代から鹿児島中央まで暫定開業した時に、
既に乗り潰しは完了しているし、
さらに鹿児島中央、川内、出水、新水俣、新八代の全駅取材も完了しているが、
新八代から博多までは3月に開業したばかりで、
当然のことながら今回初めて乗ることになる。
これで九州新幹線の全区間を乗り潰したことになる。
10:02に博多駅の14番線ホームに滑り込む。


 13.新幹線で特急で各駅停車の旅

博多駅に到着したのは定時の10:02で、
福岡空港から羽田に向けての飛行機は14:30出発である。
つまりその間、4時間28分の余裕がある。
この時間を利用して博多南駅の駅取材に行く。
この取材は新幹線でありながら、在来線特急であり、
そして各駅停車の旅となる。
それはどういうことなのか…。
この博多南駅というのは、実は特別なところに設置された駅なのである。
それは山陽新幹線博多総合車両所である。
この博多南駅は地域住民への要望により、車両基地へ改装される新幹線を利用するというもの。
新幹線の回送車両をそのまま利用するため、
当然のことながら車両は「こだま」などに使用される500系、700系などだが、
法律上は新幹線ではなく在来線扱いになり、
博多から博多南まで9.2kmの在来線“特急”ということになって、
運賃の190円のほかに、特定特急券100円が必要になる。
新幹線回送車両を利用した在来線のため、
当然のことながらこの博多南線には途中駅というものはなく、ひと区間のみとなる。
つまり新幹線車両を使った“新幹線”でありながら、
特定“特急”料金を必要とする在来線であり、
ひと区間なので“各駅停車”ということになる。
10:02に博多に到着し、10:23の博多南線に乗り換える。
荷物をコインロッカーに預けようとしたが、空いているところがなく探すのに手間取った。
しかも切符を買う時に特定特急券を買うのを忘れて自動改札が閉まり、
駅員に切符を買って貰うという不始末をしてしまった。



それでも何とか10:23の列車に間に合う。
使用されていたのはひかりレールスターの700系E6編成だった。
乗車時間は約10分で博多を出ると九州新幹線と同じ高架上を走り、
途中で分岐して地上に借りて車両基地の一番端の留置線上に設置されたホームに入線する。
当然のことながら、ホームからは留置されている山陽新幹線の車両が見える。



上り列車が出るまでの29分間で駅取材をして、再び博多に戻る。
帰りは8両に短編成化された500系V3編成が充当されていた。
11:02に博多南を出て11:12に博多に到着する。


 14.博多駅取材-JR九州車両の現状

博多南から再び博多に戻ってきたのが11:12で、
14:30のフライトまで3時間18分ある。
博多から福岡空港までは博多市営地下鉄空港線で5分の距離だ。
搭乗手続きや保安検査など、余裕を持って考えて13:05の地下鉄に乗ることとし、
それまでの1時間53分を博多駅での駅舎取材、車両取材に当てる。
まずは改札を出て新しくなった筑紫口の駅ビルの全景取材をする。
そのあと再び入場券を購入して入場し、車両取材する。

 787系BM-6編成
 783系CM32編成
 885系SM5編成
 813系R107編成
 885系SM9編成
 883系AO-2編成
 キハ185-7、キハ185-5
 885系SM1編成
 783系CM31編成
 783系CM13編成
 883系AO-18編成

これらの車両取材をしている途中で新幹線ホームに800系1000番台を発見した。
そこで直ぐに新幹線ホームに上がる。
入場券なので新幹線ホームにも上がることが出来る。
ここに停車していた800系1000番台U009編成はポケモン列車に充当されていた。



このU009編成は前面の形状が少し違っていて、
ヘッドライトの部分が微かに球面になっている。
また妻壁は金箔の貼られている車両もあり、
従来の新幹線の機能性重視の車内とは一線を画す、水戸岡鋭治氏の真骨頂と云える。
国鉄分割民営化後に水戸岡鋭治氏をデザイナーに迎え、
奇抜なデザインの車両をどんどん投入し、
国鉄時代の残留車両と比較が話題になったが、
今ではそれも見慣れた感があって、JR九州に馴染んできた。
逆に国鉄時代の車両はJR九州でも激減しつつあり、
今回の取材でも臨時列車に充当された気動車特急キハ185系のみであった。
新規投入された車両もずいぶん老朽化してきており、
883系などは塗色変更されているが、
ほかの特急車両は少し色あせた感じもする。
予定通り、約2時間の車両取材を完了して、コインロッカーから荷物を受け取り、
博多市営地下鉄空港線で福岡空港へ向かった。


 15.駐機場渋滞と湾岸高速渋滞-旅の終わり

JR博多駅での取材を終え、博多市営地下鉄空港線に乗り込む。
丁度乗り込んだ車両は303系だった。
303系はJR九州が筑紫線用として投入した通勤型車両で、
筑肥線は姪浜で博多市営地下鉄空港線と接続して相互直通しているのだ。
国鉄時代から九州全域は交流電化されているが、
筑肥線は直流電化されている博多市営地下鉄空港線と相互直通運転するために、
九州地方の電車としては例外的に直流とされており、
そのため地下鉄対応の直流通勤形303系が投入されているのである。
福岡空港に到着して出発ロビーに上がり、お土産を買ってから保安検査場を潜る。
出発ゲートにある売店で空弁を買って喰おうと思ったが、あまりいいものがなかった。
これなら博多駅で購入しておけば良かったと思った。
華味鳥照焼弁当980円など購入し、ベンチで喰う。
今回は3泊の長時間の取材に対して、
明日から仕事ということもあって14:30福岡空港発の便を取っていた。
明日に疲労を残さず、早めに帰って体を休めなければならない。



ANA256便は予定通りに福岡空港を離陸した。
行きは夜間飛行だったために窓の外は暗かった。
しかし今回は昼間の帰京のために窓の外は当然明るい。



普段は朝早く出掛けるために行きは明るく帰りは暗いことが多いが、
今回は全く逆になった。
羽田空港に着陸するまでは順調だったが、
駐機場に向かう途中で止まってしまった。
到着予定の駐機場に前の飛行機がまだ停まっていたのである。
16:10の到着予定時間では、これから離陸する飛行機もたくさんあって、
その分駐機場も混雑しているのだろう。
3分程待たされてから再び走り出し、漸く駐機場に到着した。
ここから空港リムジンバスでJR津田沼まで帰るのだが、
乗り込んだバスが何時もとは違う方向に走り出した。
何時もは空港第2ビルで乗り込んだら、JALの空港第1ビルに寄り、
そのあとは空港中央ICから湾岸に入って湾岸習志野ICまで行くのだが、
高速には乗らずに側道に入り、そのまま交差点を右折した。
そのまま埋立地域をぐるぐると回り始めた。
何だかだんだん不安になり、もしかしたら運転手がルートを間違えているのではないかと思ったが、
そのまま一般道をお台場から東京ビッグサイト、そして新木場へと進む。
新木場駅付近に到着した頃には既に羽田空港を出てから50分が過ぎていた。
新木場ICから湾岸に入り、湾岸習志野ICまで行く。
高速に入って遠回りをした意味が漸く分かった。
日曜日の夕方と云うことで行楽渋滞が発生していたのだ。
運転手は経験的にそれを知っていたので渋滞地帯を回避したのである。
大幅に遅れてJR津田沼駅に到着した。

   -撮影記録-

 2011.08.25. 撮影 76 枚 保存 6枚
    08.26. 撮影 1767 枚 保存 131枚
    08.27. 撮影 1448 枚 保存 91枚
    08.28. 撮影 908 枚 保存 40枚

  合計   撮影 4199 枚 保存 268枚 採用率 6.38%





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