四国バースデイきっぷの旅




 1.Happy Birthday to me−2ヶ月前の申請

JR四国には“バースデイきっぷ”という企画切符がある。
その名の通り、誕生月限定で発売される価格10,000円の切符である。
JR四国全線と土佐くろしお鉄道全線に3日間乗り放題になる。
しかも普通列車だけでなく、特急にも乗り放題で、
さらに指定席もグリーン車を含めて取り放題なのである。
この切符の存在は以前から知っていたが、
誕生月の9月は仕事の上では仮決算月であり、その分忙しい。
なかなか有給休暇を取得しづらい月なのである。
そのために3日間の有効期間を生かした計画がなかなか立てられなかった。
今年は祭日がハッピーマンデーで月曜日に来たため、
この3日間を利用してバースデイきっぷの旅を企画することにした。
四国には飛行機でのアクセスが基本だと思うが、
今回の旅は鉄道の旅を楽しむことをコンセプトとして企画するため、
四国アクセスも鉄道を利用したい。
そこで行きは寝台特急「サンライズ瀬戸」を利用して高松にアクセスし、
帰りは瀬戸大橋から岡山まで戻り、新幹線で帰京することにした。
今までにも四国には何度も行っていて、
青春18きっぷの旅でも一部区間を乗りつぶしている。
JR四国の所有路線は以下の通り。

 予讃線/高松−宇和島297.6km、向井原−内子23.5km、新谷−伊予大洲5.9km
 内子線/新谷−内子5.3km
 予土線/若井−北宇和島76.3km
 高徳線/高松−徳島74.5km
 鳴門線/池谷−鳴門8.5km
 徳島線/佃−佐古67.5km
 牟岐線/徳島−海部79.3km
 土讃線/多度津−窪川198.7km
 本四備讃線(瀬戸大橋線)/児島−18.1km

このうち既に乗ったことのある路線は予讃線の新谷から伊予大洲を除く区間、
予土線全区間、高徳線全区間、土讃線全区間、本四備讃線全区間である。
逆に乗ったことのない区間は内子線と予讃線新谷から伊予大洲、
鳴門線と高徳線、牟岐線である。
内子線と予讃線未乗車区間は愛媛県内、鳴門線、高徳線、牟岐線は徳島県である。
区間の長さからいっても徳島県の未乗車区間を選択するべきである。
土佐くろしお鉄道は国鉄再建法により建設が凍結された宿毛線と阿佐西線を引き受けるために、
高知県や沿線自治体が出資して出来た第三セクター鉄道である。
宿毛線に接続する中村線も引き受けて開業、以下の3路線を所有する。

 中村線/窪川−中村43.0km
 宿毛線/宿毛−中村23.6km
 阿佐線(ごめん・なはり線)/後免−奈半利42.7km

この中で乗車したことのあるのはごめん・なはり線の後免から後免町までの区間のみである。
そこで牟岐線からの流れで土佐県内のこの3路線も同時に完乗することを計画した。

1日目の9月15日土曜日は、最初の計画では高松から鳴門線を経由して徳島まで行き、
徳島から特急「むろと1号」で牟岐、普通に乗り換えて牟岐線の海部まで行き、
ここからは別料金となるが、阿佐海岸鉄道阿佐東線で甲浦まで行く。
ここからはバス移動で奈半利まで行き、ここからごめんなはり線を完乗して高知まで行く。
しかし甲浦からなはりまでのバス移動は1時間48分、2,340円の別料金がかかる。
あくまでも鉄道を楽しむ旅を計画しているのに、
2時間近くもバスに揺られるのは本望ではない。
それにこの計画では徳島線が全線未完乗になってしまう。
そこで甲浦から徳島まで引き返し、徳島線で阿波池田まで行き、
土讃線で高知まで行って1泊する。
2日目は午前中はごめん・なはり線の完乗、
いったん高知に戻って午後は中村線、宿毛線の完乗を遂行する。
しかし思ったような接続ができず、中村線、宿毛線を午前中に行き、
午後からごめん・なはり線の完乗に挑戦する。
3日目は高知から特急「南風8号」でJR四国とJR西日本の境界駅児島まで行き、
ここから快速「マリンライナー26号」で岡山まで、
山陽・東海道新幹線「のぞみ26号」で東京まで戻ることにする。
この案で7月15日日曜日にはJR四国の夢四国予約センターにネット経由で申し込みをする。
17日火曜日には夢四国予約センターからメールが届き、
「発売はご利用日より1ヶ月前からとなっておりますので、
『8月17日』頃に改めてお支払方法等のご案内をさせて頂きます。」とのこと。
また「お誕生日を証明する公的書類(免許証のコピー等)をFAX・郵送・メール添付等にてお送りください。」とのことで、
運転免許証をプリント複合機で読み込んでJPEGにし、メールで送る。
これで準備は完了、予約結果を1ヶ月前の連絡まで待つだけである。


 2.計画決定と代替案−北海道の攻防

予定通りの指定席が取れるかどうかが分からなかったので、
ホテルの予約は入れなかったが、コンフォートホテル高知駅前の宿泊を考えていた。
しかしそうしているうちにこのホテルのシングルが満室になってしまった。
そこで以前高知に泊まった時に利用したスーパーホテル高知に予約を入れることにした。
9月15日土曜日の朝から活動するために、
前日の「サンライズ瀬戸」を予約することにしたのだが、
よく考えたら三連休の前日である。
夏休み過ぎの三連休でちょうど秋の行楽シーズンのただ中である。
寝台券が撮れない可能性も十分に考えられた。
そこで「サンライズ瀬戸」のすべての個室が取れなかった場合、
「サンライズ出雲」の個室がもし開いていたらこれで岡山まで行き、
快速「マリンライナー」で高松を目指すことも考えた。
しかしそれも駄目だったらこの計画自体が結構不可能になってしまう。
そこでその時の代替案として前日に高松まで行って一泊するという計画も考えた。

9月14日(金)

17:49稲毛−総武緩行線・上り1761B(5)−17:54幕張[25]

18:19幕張−総武緩行線・上り1879B(7)−18:26津田沼[3]
18:29津田沼※−総武快速線・上り1834F(28)−18:57東京[16]
19:13東京※−新幹線「のぞみ195号」(209/3:29)−22:42岡山[30]
23:12岡山※−快速「マリンライナー73号」(67/1:07)−00:19高松

 ※ホテルエリアワン高松 チェックイン

9月15日(土)

 ※ホテルエリアワン高松 チェックアウト

ホテルエリアワン高松のシングル素泊まりは5,000円である。
8月14日火曜日の仕事帰りにJR稲毛駅に行き、
みどりの窓口で「サンライズ瀬戸」の寝台券を購入する。
予定では“シングルデラックス”を取るつもりだったが、それは満席だった。
仕方がないので“シングル”で見て貰ったが、これも満席だった。
悪い予感が的中した。
やはり三連休の前日だけに観光利用が多くて発売日の夕方には満席になっていたのだ。
“ソロ”でも駄目だったら、代替案しかないなと思い、
念のために“シングルツイン”も見て貰った。
するとこれは予約が取れた。
“シングルツイン”はシングルの部屋にベッドが二人分用意されているもので、
一人でも二人でも利用できる。
2回のベッドは折りたたみ式なのでそれほど邪魔にならない。
代替案に頼らなくても済んだ。
帰りの新幹線は8月17日金曜日に発売される。
しかしこの日は旅行中なのだ。
8月15日水曜日の仕事終わりに飛行機で北海道に行き、19日日曜日の朝に帰ってくる。
そこで帰りの新幹線はJR札幌のみどりの窓口で購入することになった。
旅行中に次の旅行の機撒布を購入するのは、
九州旅行中に「北斗星」の“ツインデラックス”を取った以来だ。
この時は“ロイヤル”を取りたかったが、満席で諦めかけたが、
職員の提案でこの部屋を予約したのだ。
北海道旅行から帰ってメールソフトを立ち上げてみると、
JR四国の夢四国案内センターから支払いの案内が来ていた。
クレジット決済で料金と郵送料の10,630円を振り込む。
8月20日には発送の案内が来る。
最終的に以下のような計画になった。

9月14日(金)

20:19幕張−総武緩行線・下り1980B(11)−20:30千葉[19]
20:49千葉※−総武快速線・上り2054F(38)−21:27東京[33]
22:00東京※−寝台特急「サンライズ瀬戸」(567/9:27)−

9月15日(土)

−寝台特急「サンライズ瀬戸」(567/9:27)−07:27高松[56]
08:23高松※−特急「うずしお3号」(72/1:12)−09:35徳島[16]
09:51徳島−特急「むろと1号」(68/1:08)−10:59牟岐[6]
11:05牟岐※−牟岐線・下り4539D(14)−11:19海部[9]
11:28海部※−阿佐海岸鉄道・阿佐東線・下り5535D(11)−11:39甲浦[37]
12:16甲浦※−阿佐海岸鉄道・阿佐東線・上り5544D(11)−12:27海部[6]
12:33海部※−牟岐線・上り4554D(14)−12:47牟岐[5]
12:52牟岐※−特急「むろと4号」(69/1:09)−14:01徳島[33]
15:00徳島※−特急「剣山7号」(76/1:16)−16:16阿波池田[52]
17:08阿波池田−土讃線・下り4263D(29)−17:37大歩危[13]
17:51-52大歩危−特急「南風17号」(56)−18:48高知

9月16日(日)

08:20高知※−特急「あしずり3号」(104/1:44)−10:04中村[30]
11:34中村※−土佐くろしお鉄道・中村線・下り615D(30)−12:04宿毛[46]
12:50宿毛※−土佐くろしお鉄道・中村線・上り616D(30)−13:20中村[4]
13:24中村※−特急「南風20号」(99/1:39)−15:03-13高知[6]
15:19高知※−土讃線・上り/ごめん・なはり線・下り5840D(76/1:16)−16:35奈半利[43]
17:18奈半利※−ごめん・なはり線・上り5881D(20)−17:38安芸[34]
18:12安芸−ごめん・なはり線・上り5883D(62/1:02)−19:14高知

9月17日(月)

09:13高知※−特急「南風8号」(147/2:27)−11:19-20児島[19]
1139-40児島−快速「マリンライナー26号」3126M(22)−12:02岡山[46] Suica使用
12:48岡山−山陽・東海道新幹線「のぞみ26号」−16:13東京

今回は行きの「サンライズ瀬戸」はJR東日本、
四国内はJR四国、帰りの新幹線はJR北海道から購入することになった。
しかし予定日が近づくにつれ、先月の北海道旅行と同様、雨の心配に悩まされることになる。


 3.天気予報は雨−旅の始まり

出発一週間前の天気予報ではこの三連休は良い天気となっていたのだが、
決行日が近づくにつれて四国地方の予報がどんどん悪くなっていった。
それは接近する台風16号の影響で、雨風が次第に強まりつつあるということだった。
9月14日金曜日は普通に会社に行って仕事をし、約40分の残業で退社する。
いったん家に帰って風呂に入ってからクールダウンし、
予定通り20:45の電車で千葉まで行き、20:49の快速で東京まで行く。
幕張から高松までの乗車券を用意してあるため、それで入場する。



東京に到着してから乗り換え時間の33分の間に駅弁を購入する。
今回は三連休の前日ということもあり、駅弁が思ったよりも売れているようで、
どこの店も残り僅かだった。
いろいろと迷った挙げ句、「駅弁屋 祭」で米沢牛炭火焼・特上カルビ弁当1,500円を購入、
さらにNEWDAYSでビールなど買って22:00東京発の「サンライズ瀬戸」に乗り込む。



今回は初めてB寝台個室のシングルツインを利用する。
“シングルツイン”はその名の通り、“シングル”と“ツイン”の両方を兼ね備えた部屋で、
一人と二人の両方の需要に対応できるようになっている。
“シングル”の部屋の広さにツインベッドが用意されている。
二名の利用となると一人分は“ソロ”に匹敵する狭さになるが、
親しい友人や恋人、夫婦の場合などはそれでもいいのであろう。
逆に云うとそれを一人で利用するとなると、それなりの広さと狭さを同時に味わうことができる。
二段ベッドの上段に荷物を置き、下のベッドで寛ぐ。
東京駅を出て暫くしてから車掌が検札にやってくる。



奮発して購入した駅弁を喰いながら、夜の深まりを車窓を見ながら楽しんだ。
この旅の期待と雨の不安を感じつつ、ビールの酔いもあって11:00p.m.には就寝した。


 4.牟岐線と阿佐東線−幻の阿佐線計画

翌朝、6:00a.m.頃に起床し、
岡山で「サンライズ瀬戸」と「サンライズ出雲」の切り離し作業を見学する。
これまでにも285系“サンライズ・エクスプレス”は何度も乗ってきたし、
そのたびに岡山での分割、併合を見学してきた。
切り離し作業は何度見てもワクワクするものだ。
今回は「・・・瀬戸」に乗っているために岡山での停車時間は4分間で、
ゆっくりと取材する暇もなく慌てて「・・・瀬戸」に乗り込む。
ここで「・・・出雲」と分かれて瀬戸大橋を通り、07:27に高松に到着した。
ホーム内で少し車両取材し、改札を出る。
乗り換え時間に56分の余裕があるため、高松琴平電気鉄道高松築港駅に行き、
敷地外からホームに停車している車両は片原町方面から来る電車の取材などする。
高松駅に戻って駅弁を購入してからバースディきっぷで入場する。



予定では構内の「連絡線うどん」で朝食を喰うつもりだったが、
琴電取材で時間を使いすぎたため、朝食は駅弁に変更した。
ここから08:23始発の特急「うずしお3号」で徳島まで行く。



今回のバースデイきっぷでは2ヶ月前にアクセスしていたため、
ほとんどの列車で一番いい席をキープできていて、
「うずしお3号」では1号車1番A席で運転席反対側の全面眺望が確保された席である。



予定通りの09:35には徳島に到着したが、
車掌のアナウンスで牟岐線のダイヤが大雨の影響で乱れていると知った。
詳しくは駅員に尋ねて欲しいということで、
16分の乗り換え時間で旅行用バッグをコインロッカーに入れ、
改札口の駅員に状況を尋ねると牟岐方面の列車は時刻通りだが、上りは大幅に乱れているという。
取り敢えず行けるところまで行こうと思い、予定通り09:51始発の「むろと1号」に乗り込む。



この列車も1号車15番A席で最前列だった。



牟岐線は徳島から牟岐を経由して海部までの79.3kmの地方交通線である。
この路線は改正鉄道敷設法により「高知縣後免ヨリ安藝、徳島縣日和佐ヲ經テ古庄附近ニ至ル鐵道」として、
阿佐線とともに室戸岬をショートカットして徳島と高知を結ぶ路線として計画された。
因みに“古庄”は現在は廃止された牟岐線の駅で、現在の羽ノ浦から分岐される予定だった。
この予定線の大部分は阿佐線として建設される予定だったが、
結局国鉄時代には建設されず、
第三セクターの阿佐海岸鉄道が海部から甲浦までが阿佐東線として、
土佐くろしお鉄道が後免から奈半利までを阿佐線、通称ごめん・なはり線として開業している。
しかし甲浦から奈半利までは開業する予定はなく、路線バスが繋いでいる。
牟岐線と阿佐東線を合わせて“阿波室戸シーサイドライン”の愛称がつく。

特急「むろと1号」で牟岐まで行き、ここで普通列車に乗り換えて海部まで行く。
バースディきっぷが通用するのはここまでで、
ここから阿佐海岸鉄道に乗り換え、甲浦まで行く。
下車する時に270円を運転手に支払う。
予想に反して甲浦では晴天だった。



37分の待ち時間で駅取材を十分にして、売店で切符を購入、
12:16の折り返し列車で海部まで戻り、普通列車で牟岐まで行く。
ここから特急「むろと4号」に乗り込む。



特急「むろと」は国鉄末期に登場したキハ185系が充当されており、2両編成だった。



1号車14番D席で、1時間9分で徳島に着く。
徳島に着いた時にも全く雨は降っておらず、予定通りの行動ができていた。


 5.3回目のキハ185系−徳島線完乗の旅

徳島に到着した時にも空は晴れ渡っており、雨の気配はなかった。
事前に調べておいた「麺王・徳島本店」で徳島ラーメン\480+麺王セット\500喰う。
少し遅めの昼食を喰い、徳島駅の改札を潜ってホームで車両取材し、
15:00徳島始発の特急「剣山7号」に乗り込む。
この特急もキハ185系が充当されていた。



この旅でキハ185系に乗るのは徳島から牟岐までの特急「むろと1号」、
牟岐から徳島まで戻る時に乗った特急「むろと4号」に続き3度目だ。
キハ185系は国鉄末期に登場した車両で、
国鉄分割民営化後の経営基盤が脆弱な四国地区の経営安定化のためと、
急行形の特急格上げ投入のために国鉄末期の1986年に投入が始まった特急形気動車である。
車体はステンレス製軽量構造、片側2扉、
機関はDMF15HS、機関出力は250PS/1,900rpm、駆動装置は液体式、最高速度は110km/hである。
国鉄分割民営化によりJR四国に全車両が継承され、後に一部がJR九州に売却された。
国鉄によりキロハ186-1〜8、キハ185-1〜18、キハ185-1001〜1012の38両が、
JR四国によりキハ185-19〜26、キハ185-1013〜1018の14両が製造された。
「むろと1号」と「むろと4号」が2両編成だったのに対し、
「剣山7号」は中間にアンパンマン車両を連結した3両編成だった。
これは“ゆうゆうアンパンマンカー”と名付けられたキロハ186 2が充当されている。
もともとは普通車とグリーン車の合造中間車だったが、
経年の劣化や2000系の登場で活躍の場がなくなり、
普通座席の空間をプレイルームに改造し、車両の内外をアンパンマンで飾っている。
元グリーン室は普通車に格下げして子供連れに人気だ。
「剣山7号」は一番後ろの1号車15番A席だった。



先頭である3号車と1号車の前半分は自由席のため、この場所となったのだろう。
これに乗って終点の阿波池田まで行く。
徳島線は今まで全く乗ったことのない区間であるが、
これで一気に完乗したことになる。
16:16に阿波池田で下車して駅取材して17:08の普通車を待つ。
このあと29分かけて大歩危まで行く。
既に日は傾きかけており、光量不足が心配だった。
大歩危は“おおぼけ”と読み、隣の“小歩危”と並んで、
おもしろい駅名として有名な駅である。
また祖谷のかずら橋への最寄り駅でもある。
ここは是非駅取材したいと思い、敢えて普通列車で移動して駅取材した。



ここは子泣き爺伝承の発祥地として駅に“妖怪駅長”の木像がある。
またここは“虎太朗”という名の犬が助役を務め、
駅舎とコンクリートの間からは“ど根性もみじ”が生えている。
無人駅ながら三好市の話題作りの努力が窺える。
光量的には限界に来ていたが何とか駅取材を完了させ、
17:51着の特急「南風17号」に乗り込む。


 6.高知一日目の夜と朝−三志士像と無料morning

JR四国のバースデイきっぷは指定席も取り放題で、
しかもグリーンも指定できるのだが、
ここまで乗ってきた4本の特急はいずれもモノクラスで、
グリーン車は連結されていなかったのだが、
特急「南風17号」に充当されていた2000系にはグリーン車が連結されている。



座席は1号車1番C席で5両編成の一番前である。
大歩危駅の駅舎はホームの後ろの方にあるために停車時間では1号車まで行けず、
途中の車両に乗って先頭まで車内を歩いて行った。
もう既に日は傾いて夜の帳が降りつつあった。
56分で高知駅に到着する。



この段階で既に雨が強くなっていた。
駅改札を出て四国Kioskで駅弁や冷酒などを購入し、
ネットで予約しておいたスーパーホテル高知に向かう。
駅のロータリーには三志士像が設置されていた。
前回来た時にはこんなモノはなかった筈だ。
三志士像とは坂本龍馬、武市半平太、中岡慎太郎の3人で、
夜はライトアップされていた。
ここは3度目の利用なのでやり方もよく分かっている。
チェックインの手続きをしたらチェックイン機に入金し、
レシートの領収書を受け取る。
そこには部屋番号と6桁の暗証番号が書かれており、
テンキーで暗証番号を入力すると扉が開くようになっている。
部屋の鍵がないためにチェックアウトの手続きが必要ないのだ。
ホテル内の自販機でビールなどを購入し、ビールを飲みながら駅弁を喰う。
さらに冷酒「土佐鶴」を飲みながらゆっくりする。
翌朝は5:15a.m.に起床し、大浴場で朝風呂を楽しむ。
このスーパーホテルは大浴場がひとつしかなく、時間によって男湯と女湯が入れ替わる。
部屋でクールダウンしてから1階で無料の朝食バイキング。



おかずは焼き鰤、玉子焼、鶏肉と筍の煮物、大根のサラダ、生野菜、
それに御飯と味噌汁、海苔、それに食後にはコーヒー。
このホテルは経費削減のためか、コーヒーやジュースなどは別に用意せず、
紙コップの自販機をモーニングタイムだけ無料で開放してくれる。
部屋に戻って歯を磨いてから出掛ける。
連泊なのでホテルに荷物を置いてカメラバッグだけを持って出掛ける。


 7.土佐くろしお鉄道の取材−中村線・宿毛線

高知発08:20の「あしずり3号」に乗る予定だったが、
少し早めに出ることができたので土佐電の車両取材する。
駅のホームに上がって列車を待っていると外は雨となった。
この先の天候が不安だが、そのまま予定を決行する。
特急「あしずり3号」は2000系2両編成が充当されていた。



この車両はモノクラスのために普通席だったが、
1号車1番A席が用意されていた。



高知から土讃線を下り、窪川から土佐くろしお鉄道中村線に入る。
土佐くろしお鉄道中村線は国鉄の特定地方交通線だった中村線を、
分割民営化後の1988年4月1日に転換した43.0km非電化単線である。
1時間44分で終点の中村に到着する。
車窓からも時折雨が見えたが、中村駅でも時折雨の降る最悪の天候だった。
その止み間を縫って駅取材する。
ここから先の列車は普通車が接続発車したが、そのあとは1時間30分の間が開く。
待ち時間に駅前で開催されていた“よさこい四万十2012”を見学する。



11:34中村始発の普通車で土佐くろしお鉄道宿毛線の終点宿毛駅まで行く。
土佐くろしお鉄道宿毛線は日本鉄道建設公団であった宿毛線を引き継ぎ、
土佐くろしお鉄道が開業させた23.6kmの非電化単線である。
1974年2月から建設が開始された宿毛線は1980年の国鉄再建法の施行に伴い、
翌年には工事が凍結されてしまったが、
1986年5月8日に設立された土佐くろしお鉄道が翌年宿毛線の免許を受けて工事を再開、
1997年10月1日に開業させた。
30分で終点の宿毛に到着する。
相変わらず雨が降ったり止んだりで、その隙間を縫って駅取材し、
「豚太郎宿毛店」で昼食を喰う。
46分の乗り換え時間ギリギリで駅まで戻り、再び宿毛線で中村まで行く。
ここから接続発車する特急「南風20号」に乗り込む。
この列車は中村から高知を経由して岡山まで行く列車で、途中の高知まで行く。
2000系3両編成が充当されていた。



1号車は半室グリーン車となっており、4番C席が用意されていた。



グリーン車は2+1の座席配列となっている。
1時間39分の旅で高知まで到着する。
高知で6分の乗り換え時間でごめん・なはり線に乗ることになっていたが、
雨の影響のためか、高知到着が遅れてしまった。
しかし接続する列車も遅れて高知にやってきたため、乗り損なうことはなかった。


 8.土佐くろしお鉄道の現状−ごめん・なはり線

高知駅で乗り込んだ土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の列車は、
快速運転で終点の奈半利駅まで行く。
日曜だったが学生が多く、立ち客も沢山いた。
しかし途中で大半が降りてしまい、そのあとは車内もゆったりしていた。
土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線は正式には「阿佐線」という名称であるが、
一般的には愛称の“ごめん・なはり線”で統一されている。
日本鉄道建設公団の建設線であった「阿佐西線」を引き継ぎ、
土佐くろしお鉄道が建設、開業させた路線である。
もともとは改正鉄道敷設法別表第107号に掲げる予定線であった、
「高知縣後免ヨリ安藝、徳島縣日和佐ヲ經テ古庄附近ニ至ル鐵道」として計画された路線の一部で、
昨日完乗した牟岐線や阿佐海岸鉄道阿佐東線もその一部である。
阿佐線は阿佐海岸鉄道側から阿佐東線、土佐くろしお鉄道側から阿佐西線として建設され、
最終的にはひとつの路線として接続される筈だった。
しかし結局甲浦と奈半利の間は建設の計画さえ立たないまま現在に至っている。
全線が非電化単線の42.7kmの路線で、大部分が高架で建設されている。
後免町から安芸の区間は1930年に全通した土佐電気鉄道の安芸線が走っていたが、
国鉄阿佐線の建設のために廃止、用地を売却した。
阿佐西線は1965年から建設が始まっており、土佐電気鉄道の路線売却によって用地を確保し、
建設工事が進められていたが、
1981年に施行された国鉄再建法によって工事は凍結され、
建設途中の高架橋などはそのまま放置されることとなった。
中村線を転換を目的に設立された第三セクターの土佐くろしお鉄道が阿佐西線についても引き継がれたが、
既に開業していた中村線の維持存続が主目的であったため、
開業後は中村線と接続する宿毛線の建設の方が優先され、
阿佐西線が完成し、土佐くろしお鉄道阿佐線、通称“ごめん・なはり線”が開業したのは、
安芸線が廃止されてから28年後の2002年となってしまった。
奈半利駅に到着したのは16:35で、空には相変わらず灰色の雲が蔓延っていた。



奈半利駅には「トンノ」という名のイタリアンレストランが併設されており、
ここで少し早めの夕食を喰ってもいいと思っていたが、
訪問した時間が半端だったらしく、ランチとディナーの中休みで閉店していた。
43分の滞在で折り返す列車に乗車して安芸まで行く。
空きの到着時間は17:38で既に光量的には限界に来ていた。
しかも天候が悪く灰色の雲が迫り出し、高知行きの列車を待っている間に本降りの雨が降ってきた。


 9.高知二日目の夜と朝−豪雨と無料morning

安芸駅から18:12の列車で高知に戻るが、
列車をホームで待っている間にも雨は本降り担っていった。
安芸から高知までは1時間2分の乗車時間だが、
高知で下車してホームに降りた時にもまだ雨は降り続いていた。
昨日と同じ四国Kioskで駅弁を購入してホテルに戻って喰おうと思ったが、
今日は駅弁が売り切れになっていた。
途方に暮れていると、次第に雨は小降りになっていき、
ほとんど傘が必要のないほどになっていった。
そこで高知駅付近で夕食を喰うことに変更し、店を物色した。
蓮池町通電停から一本入ったところにある「しなとら追手筋店」に入る。
ここは何回か高知に来た時にも気になっていたラーメン店で、
オーダーは味噌ラーメン780円、半チャーハンセット350円。
喰い終わってからホテルに行く前に再び高知駅まで戻り、
売店でつまみなど買いってホテルに戻って部屋で飲む。
翌朝は昨日と同じ5:15a.m.に起床して大浴場で朝風呂に入る。
部屋に戻ってクールダウンしてから1階で無料の朝食バイキング。



おかずは焼き鯖、玉子焼、肉じゃが、里芋の煮っ転がし、隠元の和え物、スパゲティサラダ、生野菜、
それに御飯と味噌汁、海苔、お新香、それに食後にはコーヒー。
コーヒーは紙コップの自販機で無料開放しているものを頂く。
部屋に戻って歯を磨いてから荷物をまとめてホテルを出る。
このホテルはレシートによる暗証番号方式なのでチェックアウトの手続きは必要ない。
少し駅前で土佐電の車両取材してから高知駅でJR四国イヤーブックを貰う。



これは2012年にJR四国に在籍している列車や主な置きなどを葉紹介している、
B5版24ページのフルカラーのブックレットである。
“バースディきっぷ”の特典である。
ここから09:13高知始発の特急「南風8号」に乗り込む。


 10.さよなら四国−土讃線の旅と児島での下車

“バースディきっぷ”の有効範囲はJR四国の管内である。
09:13に乗り込んだ特急「南風8号」は岡山行きであるが、
瀬戸大橋を渡りきったところにある児島駅がJR四国とJR西日本の境界であり、
この切符の有効範囲もここまでなのだ。
そこで特急「南風8号」では児島で下車することになっている。
児島からは快速マリンライナーで岡山まで行くことにする。
特急「南風8号」は2000系3両編成が充当されている。



瀬戸大橋の通過には騒音問題などから気動車は2000系に限定されている。
この車両には3両編成で1号車が半室グリーンになっている。
座席はグリーン席の1号車1番C席だった。



高知から児島までは2時間27分で四国を縦断して瀬戸大橋を渡る。
昨日までは雨が激しかったが、今日は快晴だった。
・・・と思ったら突然車窓が雨模様になり、また晴れたといった具合だった。
瀬戸大橋を越えて四国に別れを告げ、児島駅で降りたのは11:19だった。
乗務員の交代があるために1分の停車時間が取られており、
その間に車両取材し、“バースディきっぷ”で改札を出て駅取材する。



そのあと持参したSuicaで入場する。
JR西日本のICパスのICOCAとSuicaは互換性があり、
ICOCA区間でもSuicaが使えるのである。
11:39に到着する快速「マリンライナー26号」を待っていると、
隣のホームに山吹の単色に塗色変更された115系が停まっている。
車掌に尋ねると11:55児島発で12:29に岡山に到着するとのこと。
岡山からの新幹線が12:48なのでこれに乗っても間に合うと思ったが、
結局快速「マリンライナー26号」で岡山まで行くことにした。


 11.台風16号と最後のグリーン車−旅の終わり

岡山での乗り換え時間は46分で、この時間で気動車を中心に車両取材する。
十分に取材したあと、Suicaでいったん改札を出て、
岡山から幕張までの乗車券で再び入場する。



改札内の売店で駅弁「岡山後楽園のお弁当」1,100円を買い、
ホームに上がって売店でビールなどを買って「のぞみ26号」に乗り込む。
座席は9号車9番D席で、これもグリーン車を取っている。



12:48に岡山を出た「のぞみ26号」は3時間25分で東京まで行く。
駅弁を喰い、ビールを飲んだために車中で爆睡してしまった。
3日間の旅の疲弊も溜まっていたのかもしれない。
東京から快速で帰ることになるのだが、
東京駅の改札内は大混雑だった。
連休の最終日だから仕方がないのかもしれない。
また丸の内駅舎が開業当時の姿に復元され、
この“東京駅”を目的に訪れた客も多いのかもしれない。
ここで夕食用の駅弁を買おうと思ったのだが大混雑で思うように行かなかった。
そこで東京駅での購入は断念し、総武快速線で千葉まで出る。
快速も混雑していたため、Suicaでグリーン券を購入し、グリーン車で帰る。
総武快速線はE217系の11両編成か、増備4両を加えた15両編成が充当されていて、
グリーン車は2階建て車両が2両連結されている。
この車両は2階建て部分は1階、2階ともどうしても天井が低くなってしまう。
だから何時も車端部の2席か3席しかないところを狙って座る。
千葉で夕食用の駅弁を購入して緩行線で帰る。

 −撮影記録−

2012.09.14. 撮影 9枚 保存 2枚
2012.09.15. 撮影 821枚 保存 86枚
2012.09.16. 撮影 575枚 保存 55枚
2012.09.17. 撮影 229枚 保存 19枚

 合計   撮影 1634枚 保存 162枚 採用率 9.9%





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