岳南鉄道デイドリーム




 1.漠然とした取材計画

それは漠然とした取材計画から始まった。
岳南鉄道は富士急行グループの鉄道会社であり、
東海道本線吉原駅から岳南江尾までの9.2kmの単線電化路線を所有する。
戦後の1948年12月15日に駿豆鉄道が路線免許を所得、
資本金の約半額を出資して岳南鉄道が設立している。
駿豆鉄道とは1957年6月1日に伊豆箱根鉄道に社名変更する西武鉄道系列の鉄道会社である。
1949年11月18日に鈴川(現・吉原)から吉原本町が部分開業、
1953年1月20日に岳南江尾まで延伸され、全通した。
開業当時は西武系列であったが、富士急行が発行済み株式の19.87%を所有、
さらに富士急の子会社であるフジヤマリゾートが15.87%、富士急セールスが10.31%を所有する、
富士急行のグループ会社となっている。
以前は貨物輸送も行われ、今でも電気機関車を4両所有するが、
2012年3月に貨物輸送が廃止され、電気機関車は岳南富士岡駅に動態保存されている。
実は以前から貨物輸送のある中小私鉄としてこの鉄道会社の取材は計画していた。
所在位置から日帰りでの取材が可能なため、逆に漠然と計画はあるものの、
具体的に計画を遂行するに至らなかった。
しかし今年のゴールデンウイークは天気が良く、
また1月に関西旅行に出掛けてから鉄道取材をする機会もなかったため、
4月27日土曜日にこの計画を実行に移すことにした。
計画は以下の通りである。

05:13幕張−総武緩行線・下り452B(10)−05:23千葉[12]
05:35千葉※−総武快速線・上り510F(39)−06:14東京[42]
06:56東京※−東海道新幹線「こだま633号」(57)−07:53三島[25]
08:18三島−東海道本線・下り1423M(22)−08:40吉原[40]
09:20吉原※−岳南鉄道・下り23(4)−09:24ジャストコ前[31]
 ※徒歩移動
09:55吉原本町−岳南鉄道・下り25(2)−09:57本吉原[36]
10:33本吉原−岳南鉄道・下り27(3)−10:36岳南原田[34]
11:10岳南原田−岳南鉄道・下り29(3)−11:13比奈[22]
11:35比奈−岳南鉄道・下り31(2)−11:37岳南富士岡[36]
12:13岳南富士岡−岳南鉄道・下り33(2)−12:15須津[28]
12:43須津−岳南鉄道・下り35(2)−12:45神谷[32]
13:17神谷−岳南鉄道・下り37(4)−13:19岳南江尾[40]
13:59岳南江尾※−岳南鉄道・上り42(21)−14:20吉原[14]
14:34吉原−東海道本線・上り436M(36)−15:10熱海[8]
15:18熱海※−東海道本線・上り874M(66/1:06)−16:24大船[13]
16:37大船−横須賀線・上り1662S/総武本線・下り1663F(79/1:19)−17:56津田沼[5]
18:01津田沼−総武緩行線・上り1646B(6)−18:07幕張

前日の26日金曜日の出社前に幕張駅の指定席券売機で、
「こだま633号」ま指定席特急券と幕張から吉原までの往復乗車券を購入した。
ゴールデンウィークなのでもしかしたら指定席が取れないかと思ったが、
意外にも簡単に取れてしまった。


 2.東海道新幹線「こだま」の運用車両と“春らんまん”

当日は05:13の電車に乗らなければならないので、4:05p.m.に起床する。
購入しておいた吉原までの切符で入場する。



予定通りの電車に乗って千葉まで行き、ここで始発の総武快速線に乗り換えて東京へ。
東京駅での乗り換え時間は42分で、まっすぐに東海道新幹線の改札を潜る。



今回は三島に停車する列車は一部の「ひかり」と「こだま」全列車で、
時間的に「ひかり」はなく、「こだま633号」の利用となった。
以前は「こだま」では300系が中心だったが、それも既に離脱して、
東海道新幹線の中では700系とN700系しか走っていない。
そのため「こだま」の運用にもN700系が使用されることもある。
早めにホームに入り、少し車両取材をしながら予定していた「こだま633号」を待つ。
「こだま633号」は700系での運用だった。



東京から三島までの乗車時間は約1時間で、
その時間を利用して乗車前に購入した駅弁「春らんまん」を喰う。
途中、車窓には富士山が見えていた。
07:53に三島駅に到着し、そのまま在来線への改札を出る。
駅取材は既に終了しているために改札は出ずにホームで少し車両取材する。
三島から吉原までは313系が充当されていた。
東海道本線吉原駅に到着したのは08:40である。


 3.岳南電車全駅取材と富士山

JR吉原駅と岳南鉄道吉原駅は線路を並べているものの、
駅舎は少し離れていていったん外に出て駅取材をしてから岳南鉄道の駅に行く。
岳南鉄道の駅舎はJR吉原駅の跨線橋と繋がっていて、
こちら側には駅員配置はされていないものの、自動改札で直ぐに岳南鉄道改札には入れる。
駅窓口で「岳南電車全線1日フリー乗車券」400円を購入する。



これは少し長めの硬券切符になっている。
そして平日は700円だが、休日は大きく割引になる。
沿線に大した観光資源がないために休日の利用客が少ないのだろう。
予定より1本早い08:51の列車に乗り込み取材を開始する。
吉原から順番に途中下車して取材していくが、
ジヤトコ前から吉原本町までは徒歩可能な距離のためにここは歩く。
吉原本町からは電車に乗って一駅ずつの取材とする。
吉原本町、本吉原、岳南原田、比奈と取材していく。
この旅では昼食の予定は特に組んでいない。
それでも吉原本町や本吉原駅では“付けナポリタン”の幟が立っていて、
これを喰うことに決め、列車の待ち時間にケータイで調べてみた。
以前にテレビで紹介されていて、“つけナポリタン”があることは知っていたが、
これが吉原のご当地グルメだとは知らなかった。
吉原本町から徒歩で10分くらいの場所に発祥の店があるようで、
比奈で上り列車に乗って吉原本町に戻り、ここで昼食を喰う。
吉原本町からまた取材を開始する。
岳南電車はその名の通り、富士山の南側に位置する鉄道会社で、
駅や車窓からも富士山がよく見える。



吉原本町から下り列車に乗り込んで岳南富士岡から取材を開始する。
昼食に時間をかけたために取材開始当時は予定より1本速い列車だったが、
ここからは予定より1本遅い列車での取材となってしまった。
岳南富士岡は検修設備が併設されており、
貨物営業をしていた時代に活躍していた電気機関車が留置されている。
1927年に製造された豊川鉄道からの譲渡機であるED29型1号機、
松本電気鉄道から譲渡されたED40型2号機、3号機の2両、
そして1928年製造の上田温泉電軌(現・上田電鉄)から名古屋鉄道を経て入線したED50型1号機。
そのほかにも有蓋車が2両留置されていた。
ここで十分に取材したのち、須津、神谷と取材していく。



そして神谷でも予定より1本遅い13:46の列車で終着駅の岳南江尾まで行く。
途中で新幹線の高架下を潜る。
岳南江尾には8000形電車が停車していた。


 4.在来線の帰宅と“鰺の押寿し”

終着駅の岳南江尾には8000形が留置されていた。
岳南鉄道の電車は京王電鉄の3000系中間車を先頭車化改造した、
7000形と8000形が使用されている。
7000形は両運転台の単行運行車で3両が在籍、
8000形は片運転台のモハ8001+クハ8101の2両編成1本が在籍。
所在したこの日はモハ7001とモハ7002が運用され、
モハ7003は岳南富士岡の車庫に留置されていた。
一方の8000形は普段岳南江尾に留置されていて、
通勤通学などの混雑時間帯にのみ使用されるようである。
8000形には「がくちゃんかぐや富士」と愛称が付けられている。
これは岳南鉄道の近隣に竹取物語発祥の地といわれる「竹採公園」があるからで、
最寄り駅の比奈の駅名表示板には以下のように書かれている。

 遠く平安時代から幻想的な物語のヒロインとして親しまれてきたかぐや姫。
 公園の竹林の中には、「竹採姫」と刻まれた古い石碑があります。
 また、公園の周辺には、かぐや姫に因んだ地名や伝説も多く残されていることから、
 竹取物語由来の地として人々に語り継がれています。

この島式の駅では7000形と8000形の並びが見られた。



ここでは1本見送って40分の取材時間を取っていたが、
折り返しの11分の間に駅取材と車両取材を済ませ、
結果として予定通りの13:59岳南江尾発の列車に乗り込んで吉原に戻る。
吉原では岳南電車の改札を出て、そのままJRの自動改札に幕張行きの切符を挿入する。



吉原から熱海までは211系が充当されていたが、思った以上に満員だった。
熱海での乗り換え時間は8分で始発の東京行きに乗るが、
これが横須賀線から転出した211系だった。
東京までは行かずに予定通り大船駅で下車、
駅構内の大船軒の売店で“鯖の押寿し・中鯖・八貫入”920円を購入、
さらにニューデイズでトリスハイボールも購入してスイカでグリーン券情報750円を購入、
入線してきた総武快速線直通の横須賀線千葉行きに乗り換え、
グリーン車で鰺の押寿しを楽しみながらゆったりと帰る。

 −取材結果−

 撮影 597枚 保存 67枚 採用率 11.22%





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