磐越の風 勝田の風




 1.SLばんえつ物語のグリーン車

SLばんえつ物語はC57型180号機牽引による臨時快速列車で、
新潟から会津若松の間を信越本線、磐越西線経由で基本的に週末に運行されている。
但し、雪の季節である12月から3月までは運行されない。
牽引機のC57型180号機は現役引退後に新潟県新津市(現・新潟市秋葉区)の、
新津市立新津第一小学校の校庭に静態保存されていたが、
SL復活の気運の高まりを受けてJR大宮工場に移送され、動態復元された。
客車は新潟車両センター所属の12系7両編成で、5号車がイベント車となっている。
運行開始は1999年4月29日であるが、2007年4月よりリニューアル車両で運行、
さらに2013年からは7号車をグリーン車に改造、
1+2の座席配列、回転式リクライニングシートの採用など、
在来線特急電車のグリーン車並みのアコモを実現、パノラマ展望室も完備する。

SLばんえつ物語はかつて2001年11月24日に乗ったことがある。
その時はまだ新潟までは乗り入れておらず、新津から会津若松までの運行であった。
新潟から新津までは165系充当のSLリレー号が運行されていた。
勿論、当時はグリーン車の連結はなく、リニューアル工事前のボックスシートで、
しかも偶然取れたチケットはその日の運行の最後の1枚であった。
当日は長岡の農協の方々と相席となり、お酒やお料理などをご馳走になり、
結果としてそのあとはへべれけでとても取材どころではなかった。
それでも、旅の中でのみ知らぬ人との触れ合いの素晴らしさを味わったひとときであった。



今回は今年から新たに登場したSLばんえつ物語のグリーン車に乗り、
再びSLの旅を楽しみたいと思い、この列車の旅を絡めて新たな旅の計画を考えることにした。


 2.週末パスの旅−企画と敗北

SLばんえつ物語は快速扱いで、乗車券のほかに普通席なら指定席料金、
グリーン車ならグリーン料金を加算するだけで乗ることが出来る。
しかし新潟や会津若松までは普通列車ではアクセスすることは不可能だし、
ただ、SLばんえつ物語に乗るだけでは収穫が少ない。
そこでJR東日本の企画切符の“週末パス”を利用することにした。
“週末パス”は主にJR東日本管区の南半分をフリーエリアとして、
快速を含む普通列車の自由席に2日間乗り放題の週末限定切符で、
さらにJR東日本だけではなく、提携する富士急行、山形鉄道、
鹿島臨海鉄道、しなの鉄道、北越急行、ひたちなか海浜鉄道、上田電鉄、
伊豆急行、福島交通、長野電鉄、会津鉄道、阿武隈急行、アルピコ交通にも乗り放題になる。
また、新幹線を含む特急にも特急券を追加すれば乗車することが出来る。
これはかつての“土日きっぷ”の代わりに誕生した企画切符である。
“土日きっぷ”は週末の土日に特急を含むJR東日本管区の南半分に乗り放題になり、
さらに指定席も4回まで取ることが出来ると云うものだった。
以前はこれを使って土日に日帰り旅行を企画する、0泊2日の旅によく行った。
日帰りなので距離は制限されるが、もともとフリーエリアが限られているため、
車両取材のみで行動するには日帰りでも十分だ。
それに2日間で全く違う方面に出掛けた方が収穫も多い。
“土日きっぷ”だけでいろいろなところに出掛けたが、
“週末パス”は運賃のみ有効になるため、別途特急券の購入が必要である。
そこで土日のうち1日はSLばんえつ物語の旅を楽しみ、
残りの1日は全く別の企画を考えようと思った。
“週末パス”のフリーエリアの中で云ってみたいところは、
以前“パワフル×スマイルちばフリーパス”を使った旅で行く予定だったが、
予定になかった久留里線に乗車してしまったために取材を飛ばした、
鹿島線佐原駅と鹿島神宮駅の取材をしたい。
さらにこれまで何回か乗ろうと企画をしながら実現出来なかった、
ひたちなか海浜鉄道の取材と完乗もやってみたい。
そこで鹿島神宮駅取材のあと、鹿島臨海鉄道に乗ってそのまま水戸まで行き、
勝田でひたちなか海浜鉄道の取材を決行、
帰りはE657系充当の「スーパーひたち」若しくは「フレッシュひたち」で帰京する。
E657系も車両取材が済んでいないので、ここで実現しようと思った。
予定日を11月9日土曜日と10日日曜日に決め、
その1ヶ月前となる10月9日水曜日に仕事の帰りに津田沼駅で下車、
みどりの窓口で取り敢えずSLばんえつ物語のグリーン席の空席状況を調べて貰った。
しかしこの日は行きも帰りも全て満席だった。
とほほ…。
翌日、10月10日木曜日も再びみどりの窓口に行き、空席状況を調べて貰ったら、
11月10日日曜日の帰りのB席ならひとつだけ空いていますとのこと。
SLばんえつ物語のグリーン車は1+2の座席配列になっており、
A席が一人掛け、B席、C席が二人掛けになり、B席はその通路側になる。
せっかく取れたグリーン席だが、やはり観光列車なので窓際はキープしたい。
そこで今回はこのB席は断り、SLばんえつ物語の旅は断念することにした。


 3.SLばんえつ物語号の断念−想定外の理由

11月9日土曜日と10日日曜日の週末パスの旅は、
SLばんえつ物語のグリーン車指定席券が思うように取れなかったために断念した。
次の週は土曜日に日直が入っていたために、
さらにその次の週の11月22日土曜日と23日日曜日に再び計画した。
SLばんえつ物語は冬期は休業になるために、
11月23日日曜日が今期の最終日になる。
そこで今回はSLばんえつ物語のグリーン車指定席券が取れても取れなくても、
週末パスの旅は決行しようと思った。
SLばんえつ物語は09:43に新潟を出て13:31に会津若松に到着、
15:25に再び会津若松を出て19:00に新潟に到着する。
往路の方が希望だが、もう駄目だったら復路でもいい。
午前中は別取材を入れて会津若松まで異動することにしよう。
そう思って10月23日水曜日に仕事帰りに津田沼で下車して、
みどりの窓口に行って11月23日土曜日の、
SLばんえつ物語のグリーン車指定席券を見て貰おうとした。
しかし窓口の職員がマルスを叩きながら首を傾げ、
時刻表を見たり、ファイルに綴じてある資料を見たりして、
さらには奥に入って誰かと話している。
何があったのかと不思議に思っていると、職員が戻ってきて話し出した。
「SLばんえつ物語号は機関車に不具合が発生したため、
指定席の発券が出来ません」と云った。
現在修理中だが、何時運転再開するか分からないので、
今のところ指定席の発券を止めているという。
運転再開はどころで確認すればいいか訊ねると、
「JR東日本新潟支社のホームページで確認して欲しい」とのこと。
正確に云うと列車自体はディーゼル機関車により牽引して運転しているものの、
全席自由席として普通の快速として運転しているらしい。
とほほ・・・。
指定席が取れないのなら諦めようもあるが、
牽引機の修理のために計画を断念しなければならないとは・・・。


 4.週末パスの旅 信濃の風 勝田の風

11月23日土曜日のSLばんえつ物語号の旅は断念し、
代替案を作成してそれを当て、11月24日日曜日は今までの計画を使用する。
そうして以下の計画案を作成した。

11月23日(土)

06:00幕張−総武緩行線・下り516C(9)−06:09千葉[14]
06:23千葉※−総武快速線・上り658F(39)−07:02東京[22]
07:24東京※−長野新幹線「あさま505号」(72/1:12)−08:36-37上田[3]
08:40上田※−上田電鉄別所線・下り105(16)−08:56下之郷[26]
09:22下之郷−上田電鉄別所線・下り11(13)−09:35別所温泉[60/1:00]
10:35別所温泉※−上田電鉄別所線・上り18(29)−11:04上田[19]
11:23上田※−しなの鉄道・下り1637M(43)−12:06長野[26]
12:32長野※−篠ノ井線・上り1532M(27)−12:59-13:02姨捨[64/1:04]
14:06-10姨捨−篠ノ井線・上り1230M(68/1:08)−15:14松本[43]
16:05松本※−アルピコ交通上高地線・下り29(30)−15:57新島々[8]
16:05新島々※−アルピコ交通上高地線・上り34(30)−16:35松本[43]
17:18松本※−特急「あずさ30号」(212/3:32)−20:50千葉[12]
21:02千葉※−総武緩行線・上り2128B(10)−21:12幕張

11月24日(日)

06:00幕張−総武緩行線・下り516C(9)−06:09千葉[36]
06:45千葉※−総武本線・下り(成田廻り)427M(77/1:17)−08:02-06佐原[15]
08:17佐原※−鹿島線・下り527M(22)−08:39鹿島神宮[31]
09:10鹿島神宮※−鹿島臨海鉄道大洗鹿島線・下り134D(82/1:22)−10:32水戸[11]
10:28-43水戸−常磐線・下り125(6)−10:49勝田[35]
11:24勝田※−ひたちなか海浜鉄道・下り125(15)−11:39那珂湊[36]
12:15那珂湊−ひたちなか海浜鉄道・下り127(11)−12:26阿字ヶ浦[13]
12:39阿字ヶ浦※−ひたちなか海浜鉄道・上り130(26)−13:05勝田[50]
13:55勝田※−常磐線・上り560M(5)−14:00-01水戸[24]
14:25水戸−常磐線・下り1375M(6)−14:31勝田[15]
14:46勝田−特急「フレッシュひたち44号」(80/1:20)−16:06上野[10]
16:16上野−京浜東北線・南行1525C(8)−16:24東京[22]
16:46東京※−総武快速線・下り1665F(28)−17:14津田沼[7]
17:21津田沼−総武緩行線・下り1672B(6)−17:27幕張

この計画に合わせ、10月25日金曜日の出勤前に、
JR幕張駅の指定席券売機で週末パス8,500円と、
11月23日土曜日の「あさま505号」と「あずさ30号」の指定席、
11月24日日曜日の「フレッシュひたち44号」の指定席を購入する。
これで全ての計画は完成し、準備は整った・・・と思ったが、またここで大どんでん返しがあった。


 5.大どんでん返し−復活したSLばんえつ物語号

SLばんえつ物語号を断念して計画を立てたが、
一方で津田沼駅のみどりの窓口の職員のアドヴァイス通り、
JR東日本新潟支社のホームページを毎日確認していた。
そうすると10月29日付けで「快速『SLばんえつ物語』
SL(蒸気機関車)での運転計画について」という文章が、
「新潟支社からのお知らせ」にアップされていた。
それによると11月2日土曜から「SLばんえつ物語」を、
SL牽引による運転を再開するとのこと。
修理が完了したのだろう。
11月2日から24日までの運転日の指定席券を、
10月30日水曜日14時から発売予定だとも書かれていた。
つまり情報がアップされた翌日から一斉に発売されるのだ。
津田沼駅のみどりの窓口の職員の提案は正しかった。
明日早速津田沼駅のみどりの窓口に行き、
グリーン車指定席券の予約状況を確認して空きがあったら購入しよう。
往路がベストだが、なければ復路でもかまわない。
それぞれに合わせて計画を立ててみた。

 −往路の場合−

05:45幕張−総武緩行線・下り508C(10)−05:55千葉[13]
06:08千葉−総武快速線・上り628F(38)−06:46-47東京[13]
07:00東京※−上越新幹線「Maxとき303号」(118/1:58)−08:58新潟[45]
09:43新潟※−快速「SLばんえつ物語」(228/3:48)−13:31会津若松[43]
14:14会津若松※−快速会津ライナー4号(63/1:03)−15:17郡山[19]
15:36-37郡山−東北新幹線「やまびこ144号」(80/1:20)−16:56東京[40]
17:36東京※−総武快速線・下り1781F(29)−18:05津田沼[6]
18:11津田沼−総武快速線・下り1641C(5)−18:16幕張

 −復路の場合−

05:45幕張−総武緩行線・下り508C(10)−05:55千葉[13]
06:08千葉−総武快速線・上り628F(38)−06:46-47東京[9]
06:56東京※−東北新幹線「スーパーこまち3号」(97/1:37)−08:33-35仙台[27]
09:02仙台※−東北本線・上り428M(27)−09:29槻木[12]
09:41槻木※−阿武隈急行・上り922M(79/1:19)−11:00福島[20]
11:20福島※−福島交通飯坂線・下り36(23)−11:43飯坂温泉[27]
12:10飯坂温泉※−福島交通飯坂線・上り36(23)−12:33福島[10]
12:43-47福島−東北新幹線「やまびこ54号」(13)−13:00-01郡山[46]
13:47郡山※−磐越西線・下り3235M(69/1:09)−14:56会津若松[29]
15:25会津若松※−快速「SLばんえつ物語」(215/3:35)−19:00新潟[24]
19:24新潟※−上越新幹線「Maxとき348号」(116/1:56)−21:20東京[25]
21:45-48東京※−総武快速線・下り2025F(27)−22:15津田沼[9]
22:24津田沼−総武快速線・下り2108C(6)−22:30幕張

この計画に沿って2つの指定席申込書を作成し、
翌日、仕事終わりで早速津田沼駅のみどりの窓口に行き、
SLばんえつ物語のグリーン車指定席券を見て貰った。
結果は往路は完売だったが、復路はC席が取れるとのこと。
勿論そのグリーン席の指定席券を購入し、
さらに復路の計画に合わせて「スーパーこまち3号」と「やまびこ54号」、
「Maxとき348号」の指定席も購入する。
これで信濃の旅はオールキャンセルすることにして、
11月23日土曜日はSLばんえつ物語復路の旅、
11月24日日曜日には鹿島臨海鉄道経由で水戸に行き、
ひたちなか海浜鉄道を楽しむ旅にする。


 6.信濃の旅のキャンセルと出発準備

予定が決まったところで、不要となった指定席券をキャンセルする。
11月1日金曜日の仕事の帰りに津田沼で下車してみどりの窓口に行き、
10月25日金曜日の出社前に幕張の指定席券売機で購入した特急指定席券の払い戻しをする。
払い戻しはみどりの窓口でないと対応できない。
11月23日土曜日の分で指定席を購入したのは、
東京から上田までの異動に使う予定だった「あさま505号」6号車4番E席。



購入価格は3,230円で、払戻手数料は320円である。



帰りは松本から千葉までの「あずさ30号」グリーン車8号車12番A席。



購入価格は5,310円で、同じく払戻手数料は320円である。



これで全ての準備は整った。
今回は0泊2日なので宿泊の準備は必要なく、通常の日帰りの旅を2日連続で行うのと一緒となる。
最終的な予定表は以下の通り。

11月23日(土)

05:45幕張−総武緩行線・下り508C(10)−05:55千葉[13]
06:08千葉−総武快速線・上り628F(38)−06:46-47東京[9]
06:56東京※−東北新幹線「スーパーこまち3号」(97/1:37)−08:33-35仙台[27]
09:02仙台※−東北本線・上り428M(27)−09:29槻木[12]
09:41槻木※−阿武隈急行・上り922M(79/1:19)−11:00福島[20]
11:20福島※−福島交通飯坂線・下り36(23)−11:43飯坂温泉[27]
12:10飯坂温泉※−福島交通飯坂線・上り36(23)−12:33福島[10]
12:43-47福島−東北新幹線「やまびこ54号」(13)−13:00-01郡山[46]
13:47郡山※−磐越西線・下り3235M(69/1:09)−14:56会津若松[29]
15:25会津若松※−快速「SLばんえつ物語」(215/3:35)−19:00新潟[24]
19:24新潟※−上越新幹線「Maxとき348号」(116/1:56)−21:20東京[25]
21:45-48東京※−総武快速線・下り2025F(27)−22:15津田沼[9]
22:24津田沼−総武快速線・下り2108C(6)−22:30幕張

11月24日(日)

06:00幕張−総武緩行線・下り516C(9)−06:09千葉[36]
06:45千葉※−総武本線・下り(成田廻り)427M(77/1:17)−08:02-06佐原[15]
08:17佐原※−鹿島線・下り527M(22)−08:39鹿島神宮[31]
09:10鹿島神宮※−鹿島臨海鉄道大洗鹿島線・下り134D(82/1:22)−10:32水戸[11]
10:28-43水戸−常磐線・下り125(6)−10:49勝田[35]
11:24勝田※−ひたちなか海浜鉄道・下り125(15)−11:39那珂湊[36]
12:15那珂湊−ひたちなか海浜鉄道・下り127(11)−12:26阿字ヶ浦[13]
12:39阿字ヶ浦※−ひたちなか海浜鉄道・上り130(26)−13:05勝田[50]
13:55勝田※−常磐線・上り560M(5)−14:00-01水戸[24]
14:25水戸−常磐線・下り1375M(6)−14:31勝田[15]
14:46勝田−特急「フレッシュひたち44号」(80/1:20)−16:06上野[10]
16:16上野−京浜東北線・南行1525C(8)−16:24東京[22]
16:46東京※−総武快速線・下り1665F(28)−17:14津田沼[7]
17:21津田沼−総武緩行線・下り1672B(6)−17:27幕張


 7.長すぎたノーズのE6系−旅の始まり

いよいよ出発の日、会社に行くより早く起きて、
週末パスでJR幕張駅を入場する。



予定ではいったん千葉に出てそこから快速に乗り換えようと思ったが、
それだと東京での乗り換え時間は9分しかなく、駅弁購入の時間が取れないため、
急遽予定を変更して05:44の上りで津田沼に出て、ここから快速で東京に行く。
06:31には東京駅近ホームに到着、新幹線ホームに上がり、
週末パスと「スーパーこまち3号」の指定席特急券とともに改札を潜る。



ホーム売店で駅弁「秋露のささやき」を購入し、「スーパーこまち3号」に乗り込む。
東京駅ホームで「スーパーこまち3号」に充当されているE6系を撮ろうと思ったが、
ノーズが長すぎて写真に入りきれなかった。



E3系の時はホームの端に立てば撮影できたのだが、E6系では無理だった。
この列車はE5系が充当されている「はやぶさ3号」と連結して盛岡まで行く。
仙台までなら「はやぶさ3号」でも良かったのだが、
まだ乗ったことのないE6系に乗ってみたかったので、「スーパーこまち3号」を選んだ。
06:56に東京駅を出た「スーパーこまち3号」は1時間37分で仙台に到着する。


 8.予定変更の「ジパング」と福島へ

仙台で新幹線ホームから在来線連絡通路の改札を出る。
そこはちようど在来線の跨線橋に繋がっていて、
ここで乗り換え時間の27分を使って車両取材をして、
09:02仙台始発の東北本線に乗って槻木まで行き、
ここから阿武隈急行の乗り潰しをする予定であった。
阿武隈急行は国鉄丸森線を転換した阿武隈急行線を所有する第三セクターで、
開業から2年後には未完成区間も延伸開業させ、同時に交流電化した。
東北本線から直通運転されるために交流50Hzで電化されていて、
第三セクター鉄道としては珍しい交流電車の自社発注車8100系を所有する。
本来は阿武隈急行線経由で福島まで行くつもりだった。
しかし在来線の跨線橋にある発車案内掲示器を見て考えが変わった。
そこには09:12発の「ジパング平泉」の文字が見えた。
充当されている485系「ジパング」は2012年4月1日に登場した、
盛岡車両センター所属のジョイフルトレインである。
4両編成で先頭車は元ジョイフルトレイン「やまなみ」を流用している。
最近は最小限に改造して種車のフォルムを残すジョイフルトレインが多いが、
“ジパング”は“ニューなのはな”のようにドーム形の車体を新造したタイプ。
何れは取材したいと思っていたので、かなり迷ったが、
予定を変更してこれを取材することにする。



仙台のゆるキャラ“むすび丸”もスポーツバージョンでお客さまの見送りに来ていた。
さらに時間差で09:25には「リゾートみのり」が発車する。
しかしこの列車は既に取材済みなので、09:25始発の常磐線浜吉田行きに乗車する。
東日本大震災とその後の福島原発の事故の影響で、
常磐線は広野から浜吉田までの区間が相馬から原ノ町を除いて不通となっており、
乗り込んだ電車も浜吉田止まりであった。
常磐線と東北本線の分岐駅である岩沼まで行ってここで駅取材する。
東北本線上りの白石行きは10:03発で、これに乗って終点の白石まで行き、
25分の待ち時間で福島行きに乗車する。
白石は既に駅取材済みだったので、少し時間を持て余した。
阿武隈急行廻りを断念して東北本線でまっすぐ南下したことによって、
仙台の出発時間が23分遅れになったが吸収されると思ったが、
白石の待ち時間が影響して福島駅到着は予定より28分遅れの11:28となってしまった。


 9.前倒しの「やまびこ」と会津若松へ

予定では11:00に福島に到着し、福島交通飯坂線の完乗をしてから、
12:47の「やまびこ54号」で郡山に行く予定になっていたが、
予定を変更したために、結局福島に到着したのが11:28となってしまった。
既に乗る予定だった11:20福島駅始発の福島交通飯坂線下り電車は出てしまった。
どうやら福島交通飯坂線取材は断念するしかない。
新幹線ホームに行ってみると11:38の「やまびこ212号」にギリギリ間に合う。
そこで予定を変更してこの新幹線で郡山に向かうことにした。



事前に福島から郡山の新幹線特急券は購入しておいたものの、
今回は一駅で乗車時間も13分と短いことから、自由席を購入した。
指定席を買っておいたら指定席料だけが無駄となってしまうところだったが、
自由席を選択しておいたことがここで生きてきた。



11:38に福島を発車した「やまびこ212号」は14分の乗車時間で11:52に郡山に着く。
予定では13:00に到着することになっていたので、
逆に1時間以上予定より前倒しすることになった。
駅の外に出て、昼は「平八郎」で麓山高原豚ラーメンの平打ちラーメン750円喰う。
予定では13:47の磐越西線下りで会津若松に行くことになっていたが、
1本前の12:42郡山始発の磐越西線快速で会津若松へ向かうことにした。
この列車には719系赤べこ仕様が充当されていた。
郡山から会津若松までは13の途中駅があるが、
快速だったために停車するのは喜久田、磐梯熱海、猪苗代、磐梯町の4駅だけだった。
会津磐梯に到着したのは13:54で、15:25の“SLばんえつ物語”には1時間半以上ある。
到着した時は時間を持て余してしまうなと思ったが、
この前倒しの行動は結果的には正解だった。
到着した時には1番線に国鉄色の485系「あいづライナー」が停車していた。
その他にも何台かの気動車が発着しており、側線にも留置されていた。
また5番線の会津鉄道線ではAT-103「会津浪漫」やAT701+AT751も取材、
さらに留置線にはC57型180号機を外された“ばんえつ物語”の客車も留置されていた。
一時機関庫で休んでいたC57型180号機も側線をバックで運転してきて客車と連結した。



連結作業が終わってから客車を連結したまま測線を走っていった。


 10.快速「SLばんえつ物語」グリーン車の旅

側線からいったん北側に移動したSLばんえつ物語はポイントを切り替えて2番線に入線してくる。
会津若松駅は頭端式2面3線と島式1面2線の計3面5線の地上ホームを有する。
頭端式ホームは中線のある3本の線路が行き止まりになっていて、
その南側から平行移動で2番線、3番線ホームに行ける。
1番線から3番線が磐越西線が使用、3番線と4番線は只見線、
そして只見線経由で乗り入れる会津鉄道線は4番線と5番線を使用する。
磐越西線は途中駅であるが、会津若松でスイッチバックする線形になっており、
そのため頭端式ホームを使用できるのである。

側線に止まっていた時のSLばんえつ物語の勇姿。



2013年4月からグリーン車に改造された7号車。



この時にはまだ理由は分かっていなかったが、
2004年から1号車をオコジョ展望車に改造するために、
通常の1号車を外して代わりにオヤ12形1が連結されていた。
出発まで駅で車両取材などして、SLばんえつ物語に乗り込む。
ホームには赤べぇの着ぐるみも来てお見送りをしてくれ、15:25会津若松を発車する。
出発して直ぐに車掌が検札にやってくる。



検札時に乗車手帳とグリーン車記念乗車証が渡される。
乗車手帳は2つ折りで、裏面は記念スタンプが押せるようになっている。



中には沿線マップや運転時刻と停車駅、蒸気機関車が動く仕組みなどが載っている。
グリーン車記念乗車証は乗車日の記念スタンプ付き。



グリーン車の先端には展望室もついているのだが、
グリーン車のある7号車の入口には車掌やアテンダントが常にいて、
座席の指定券を持っているものしか入ることが出来ない。
その時に切符の代わりにパスとしても使用する。
トイレや売店、途中でホームに出た時などはこれを見せて車内に入るのだ。
途中、野沢駅で10分、津川駅で15分の停車時間がある。
この時間に駅取材したのだが、既に日が暮れ始めており、
津川駅では完全に日が落ちており、フラッシュを使わなければ撮影できなかった。
夕食は車内売店で駅弁「SLばんえつ物語弁当」950円に、
新潟の地ビール、エチゴピルスナー290円を購入して車内で喰う。
SLばんえつ物語は夜闇の中を19:00に新潟駅に到着する。
新潟に到着すると蒸気機関車は切り離されて自走回送、
客車はEF81型151号機に牽引されて回送されていった。
19:24発の「Maxとき348号」で東京まで戻る。



E4系8両編成が2連で充当されていた。



東京から快速で帰ろうと思ったが、
ちょうど21:45発の「あやめ3号」がありそれに乗り込む。



特急券を購入していなかったため、車内精算で500円払い千葉へ。



ここから総武緩行線に乗り換えて帰る。


 11.鹿島神宮と“鹿島臨海鉄道”の旅

週末パスの旅、二日目は鹿島臨海鉄道とひたちなか海浜鉄道の旅である。
この企画は以前、千葉県内のJR、小湊鐵道、いすみ鉄道、銚子電鉄乗り放題の切符があり、
その切符を使って木更津で久留里気動車を取材してから鹿島神宮を取材、
そのあと銚子電鉄を取材するという企画を考えた。
しかし車両取材に時間を取れずにそのまま乗り込んで久留里まで行ってしまい、
結果的に鹿島神宮を断念してしまった。
そこで何時かは香取、鹿島神宮の取材をしたいと思っていたのだ。
今回はその時のリベンジの意味合いもあって、このルートを選んだ。
06:00の電車で千葉に出て、「そば処 万葉」で朝食を喰おうと思ったが、
開店が6:30a.m.だったために20分も早く着いてしまった。
仕方がないので千葉の街を散策する。



どこかで朝食が喰える場所があればそこで喰ってもいいなと思っていたが、
結局気に入ったところがなく、時間まで待って「そば処 万葉」に行き、
カレーうどん\390を喰う。



余談だが、以前姉ヶ崎や木更津に通っていた時は、
ここで朝食にここでカレーうどんを喰うのが定番だった。
当時は「万葉軒」という店名で、今よりももっと広かったが、
常連だったので店員にも挨拶を交わす仲となり、
ほかの客よりもカレーの量を多めに入れてくれたりした。
06:45千葉始発の総武本線成田廻りで佐原まで行く。
1時間17分の旅で佐原まで行く。
ここでの乗り換え時間は15分で、駅取材して鹿島線ホームに行く。
ここには既に始発の209系が停まっており、
08:17佐原発の電車で鹿島神宮まで行き、ここで駅取材。
鹿島神宮駅の乗り換え時間は31分あるので、鹿島神宮まで行ってみる。



途中の鹿詰公園には「剣聖塚原卜傳先生像」という石像があった。
鹿島神宮は塚原卜伝の生誕の地なのだそうである。
鳥居は建設中だったが、それでも時間ギリギリまで鹿島神宮を参拝する。
鹿島神宮は武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)を祭神とする。
タケミカヅチは雷の神であり、大国主命に国譲りを迫った神である。
ここから鹿島臨海鉄道に乗り換えて水戸を目指す。



鹿島臨海鉄道は専用の駅舎やホームはなく、
JR鹿島神宮駅の島式高架ホームの1番線を発着する。
6000形6009+6019が2両編成で運用されていた。
思ったよりも混んでいて、立ち客もいるくらいだった。
1時間22分の旅で水戸駅に到着する。


 12.社長からの書き込みと“ひたちなか海浜鉄道”の旅

鹿島臨海鉄道で水戸駅に到着したのは10:32で、
11分の乗り換え時間で常磐線下り電車に乗り換える。
水戸の隣の勝田はひたちなか海浜鉄道の起点駅でもある。



ひたちなか海浜鉄道は茨城交通湊線を引き継ぎ、2008年4月に設立された、
茨城県とひたちなか市が中心となった第三セクター鉄道である。
茨城交通は1921年に設立し、袴塚-湊間の水浜線を敷設した水浜電車と、
1923年に設立し、赤塚-御前山間の茨城線を敷設した茨城交通と、
1907年に設立し、勝田-阿字ヶ浦線の湊線を敷設した湊鉄道が、
戦時中の1944年8月1日、茨城県内の交通統合に伴い合併して設立した。
しかし水浜線は1966年6月1日に全廃、茨城線は1971年3月11日に全廃され、
残った湊線も茨城交通は廃止の意向を示した。
湊線の存続のために設立された会社で、茨城交通湊線時代に車両取材はしたことがあるものの、
まだ載ったことがなかったのでこの機会に終着駅まで行ってみることにする。
さらに車両基地や本社機能を有する那珂湊駅も取材する。
ひたちなか海浜鉄道は以前、ウィークエンドパスで利用可能になった時に行こうと思ったが、
結局いろいろな事情が重なっていくことが出来ず、今回はそのリベンジの意味合いもある。
ウイークエンドパスは現在の週末パスの2013年3月までの名称で、利用方法など若干異なる。
このウィークエンドパスが誕生した時に自分のブログ「林檎乃『とほほ・・・。』ブログ」で、
「“ウィークエンドパス”のリニューアル」として2010年7月26日に記事を書いた。
その書き込みに際して“ひたちなか海浜鉄道”のハンドルネームでコメントが書き込まれた。
その全文をコメントに対するレスも含めて全文記載する。

    “ウィークエンドパス”のリニューアル

 2010-07-26 | 鉄道・旅行


 JR東日本のホームページを見て知ったのだけれど、
 7月22日付けのプレスリリースで“ウィークエンドパス”のリニューアルが発表された。
 “ウィークエンドパス”は旧・土日きっぷの改訂版のようなもので、
 土日きっぷから「新幹線を含む特急乗り放題、指定席も4回まで」を差し引いた様なもの。
 特急に乗れない分、料金も安くなり、おとな8,500円となった。
 旧・土日きっぷが18,000円だったので、無理して特急を利用しなければ、よりお得になったと云える。
 しかも“ウィークエンドパス”は別に特急料金を支払えば、運賃は有効になる。
 別に考えれば差額の9,500円以内に特急料金を抑えれば、土日きっぷの代用として利用できる。
 勿論、土日きっぷの場合には気楽に特急に乗れたので、
 一駅だけ特急に乗るとかいった贅沢な使い方は出来なくなったが、
 それでも上手く計画を立てれば十分に使えると思う。

 その“ウィークエンドパス”が今年10月発行分からリニューアルされる。
 今まではエリア内のJR東日本線に加え、
 会津鉄道線西若松−津田島間、伊豆急行線、北越急行線が利用可能だったが、
 今度はこれに加え、阿武隈急行線、上田電鉄線、鹿島臨海鉄道線、しなの鉄道線、長野電鉄線、
 ひたちなか海浜鉄道線、福島交通線、富士急行線、松本電気鉄道線、山形鉄道線の各社線も、
 利用可能な鉄道線に含まれることになった。
 価格は8,500円から8,700円と200円だけ値上げしたが、
 それでもこれらの私鉄各社を完乗、及び駅取材、車両取材するには有効な切符と云える。
 この切符は今まで使ったことがなかったが、10月以降、計画を考えてもいいと思う。

  JR東日本
 http://www.jreast.co.jp/


 はい (ひたちなか海浜鉄道)
 2010-07-27 15:37:06

 ひたちなか海浜鉄道も仲間入りです。
 使い勝手はいいので、ぜひご活用を。
 (吉田)

 response (れい)
 2010-07-27 19:20:36

 ひたちなか海浜鉄道 吉田さん、コメント有り難う御座います。

 以前、「大人の休日倶楽部会員限定 スーパーホリデーパス」でひたちなか海浜鉄道さんを含む、
 地方鉄道も乗り放題の切符が発売されて、
 残念ながらまだ“大人”じゃないおいらは歯痒く思いましたが、
 この度ようやくおいらも利用できる切符として発売されて喜んでいます。
 10月以降、この切符を使って訪問させて戴きたいと思います。

この時は「吉田さんって誰だろう?」と思っていたのだが、
後でひたちなか海浜鉄道のホームページを観てみると、
転換開業時に公募により就任した吉田千秋社長だった。
3年を掛けて漸く社長との約束を果たすことが出来るのだ。
ひたちなか海浜交通のホームは茨城交通時代から勝田駅1番線から発着していて、
単独のホームや駅舎はない。
11:24の阿字ヶ浦行きに乗り、那珂湊で途中下車する。
駅の器具箱には“おさむ”と“ミニさむ”の指定席があった。



これはひたちなかの駅猫のようで、指定席の前には水飲み皿が置いてあった。
残念ながらこの時は“巡回中”の用で逢うことが出来なかった。
また駅の改札を出たところでは、時刻表や近隣の地図などを配っていた。
この中には“乗車証明書”も入っており、「この紋所が目に入らぬか」と書かれている。



これは地図に載っている店で割引などのサービスなどが受けられるもの。
近隣の店とひたちなか海浜鉄道がタイアップして、地域を盛り上げようとしている。
この駅は車両基地を兼ねているため、側線や車庫にはミキ300-103や、
キハ205、キハ2005、ホップ車のホキ7、ホキ8なども留置されていた。
12:15の下り列車で終点の阿字ヶ浦まで行き、
押し返しの13分で駅取材、12:39始発列車で勝田まで戻る。
勝田での乗り換え時間は50分を設定、このし時間で昼食を取ることにする。
事前に調べておいた駅前の「印度屋らんがる」でランチBセット\900喰う。
チキンカレーとキーマカレーのナンを選択、ドリンクはラッシーにする。
これで今回の大まかな予定は終了した。


 13.E657系「フレッシュひたち」の帰京−旅の終わり

勝田で昼食を喰ってから少し車両取材して、13:55の常磐線上りで水戸に向かう。
帰りの特急まではまだ時間があるので、水戸で車両取材する。
水戸には水郡線が接続していて、ここで使われるキハE130系を取材したかったのだ。
この車両は偶然だが、昨日郡山でも取材している。
水郡線は“水戸”と“郡山”を結ぶ非電化単線路線で、
以前はキハ110系が使われていたのだが、2007年に登場したキハE130系が投入された。
アルミ車体に3色の部分塗色となっており、
両運転台のキハE130形と片運転台のキハE131形、キハE132形とでは、
側面の塗色が異なるのが特徴的。
キハE131-5+キハE132-5を取材して、
水戸駅南口を取材して14:25の常磐線下りで再び勝田に行く。
ここから14:46始発の「フレッシュひたち44号」で上野まで戻ることにする。



ここで使用されているのがE657系特急形交直流電車である。
E657系は2010年12月7日にJR東日本から投入が公告された。
それまでの常磐線は上野から仙台まで直通する「スーパーひたち」と、
勝田やいわき止まりの「スーパーひたち」に分かれ、
主に「スーパーひたち」には651系、「フレッシュひたち」にはE653系が使用された。
2012年春に運行体系を見直し、
上野からいわきまでを651系で運行、いわきから仙台をE653系を使用し、
いわき駅で同一ホームでの乗り換えが出来るようにし、
上野−いわき間は順次E657系に置き換え、2012年秋には置き換えを完了する予定だった。
しかし2011年3月11日に発生した東日本大震災と、
そのあとの福島第一原発事故の影響でこの予定は頓挫し、
E657系の投入計画も遅れたが、2013年3月16日のダイヤ改正で全車置き換えが完了した。
流線型を確保するためにヘッドマークが省略されている。



フレッシュひたち」はE657系K9編成が充当されていた。
勝田から1時間20分で上野まで行く。
中途半端な時間だったためか、車内もそれほど混んでいなかった。
上野から16:25の京浜東北線で東京まで出て、東京駅の駅舎取材する。



東京駅丸の内駅舎が2階建てから建設当時の3階建てに復元されてから、
まだ外から見たことがなかったのだ。
残念ながら東京に到着したのが16:24で既に日は傾き始めていた。
16:55東京発の総武快速線上総一ノ宮行きで千葉まで行く。
事前購入550円でグリーン車に乗るが、既に満席に近い状態だった。
千葉から17:47の総武緩行線で帰る。

 −撮影結果ー

2013.11.23. 撮影 1428枚 保存 83枚
2013.11.24. 撮影 1028枚 保存 56枚
 合計  撮影 2456枚 保存 139枚 保存率 5.7%




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