愛と青春の旅立ち−四国完乗の旅




 1.伊予鉄乗り放題と予讃線非電化エリアの完乗計画

国鉄時代から発売されているJRグループの企画切符「青春18きっぷ」は、
学生が長期に休みとなる時期に合わせて夏、冬、春に発売される。
利用期間の間に普通車自由席に5回分乗ることが出来るJR全線乗り放題の切符である。
この冬にもこの切符を購入、九州旅行で2回、紀伊半島の旅で2回分使っている。
あと1回分残っており、これを利用して四国を旅する計画を立てた。

四国は何度かの旅でJRはほとんどの区間を乗り潰し、
予讃線の向井原から伊予大洲の区間と鳴門線を残すのみとなった。
一方で私鉄は伊予鉄道郊外線が全区間が未乗車であり、
琴平高松電気鉄道は宿泊先からの帰りに、
琴平線瓦町から高松築港まで乗ったことがあるが、ほかの区間は未乗車である。
そこでそこで松山市駅を起点、終点とする伊予鉄道郊外線と、
松山始発列車で行ける予讃線向井原から伊予大洲の区間の取材を1泊2日で企画した。

1日目は空路で松山まで行き伊予鉄道郊外電車1日乗車券を購入、
高浜線、横河原線、郡中線の全区間を乗り潰す。
さらに高浜線梅津寺駅に隣接する梅津寺公園では伊予鉄道1号機関車を取材、
松山市駅から徒歩圏内にある子規堂に保存されている客車も取材する。
2日目は「青春18きっぷ」の5回の最後の1回分を使い、
午前中は伊予大洲まで未乗車区間を乗り潰し、
午後からは予讃線を高松まで普通列車の旅を楽しむ。
そして高松から寝台特急「サンライズ瀬戸」で帰京する。

最初は1泊2日で考えていたが鳴門線も乗り潰し出来ないかと考え、
いろいろと検討した結果、3日目に琴平高松電気鉄道の完乗をして、
そのあとで鳴門線を完乗してから「サンライズ瀬戸」で帰京することにした。
往復には特急「うずしお」を利用して時間を短縮することにした。


 2.「サンライズ瀬戸」が取れなかった場合の代替案と計画決定

サンライズエクスプレスは日本で唯一の電車寝台特急であり、
客車使用の寝台特急が次々に廃止になっていく中で、
ホテル並みの内装を備えて未だに人気が高い。
特に出雲神社の式年遷宮で「サンライズ出雲」はプラチナチケットとなりつつある。
「サンライズ瀬戸」ももしかしたら取れないという可能性が無きにしも非ずである。
そこで万が一「サンライズ瀬戸」のシングルデラックスとシングルが満席だった場合、
代替案を直ぐに実行できるように用意しておく必要がある。

ひとつは鳴門線取材から高松に戻った段階で直ぐに「快速マリンライナー」に乗り岡山に移動する。
そうすれば東京まで戻れる新幹線には充分に間に合う筈である。
しかしそれでは正直云って面白くないし、たとえグリーン車でも岡山からの帰京は退屈である。
鳴門線を取材して池谷から戻る特急「うずしお」から余力を持って移動すると、
20:33岡山発の「のぞみ64号」が無難な線だろう。
東京には23:45に着くから終電には間に合う。
だが、折角岡山まで行くのならば、ここで一泊して翌日の午前中は岡山電軌の取材に当てたい。
昼食後に新幹線で帰れば夕方には東京に到着できる。
ダイヤを調べて代替案も用意して2014年12月10日水曜日にJR津田沼駅のみどりの窓口に行った。
結果から云うと、1月10日高松から東京の「サンライズ瀬戸」のシングルデラックスは、
禁煙席は満席だったものの喫煙席は残っていた。
背に腹は代えられないのでそれを予約する。
個室なので隣で煙草を吸われると云うことはないし、清掃してから営業運転に出ているので、
室内に煙が充満しているということもないだろう。
室内に染みついた煙草の匂いがどれほどのものなのか気になるが、
やはり「サンライズ瀬戸」シングルデラックスの魅力には勝てない。
この時に同時に往復の特急「うずしお」の指定席特急券と志度から池谷と帰りは高松までの乗車券を購入する。
窓口の係員は「志度」が読めなかった。
まあ、今は別会社なのだから仕方あるまい。

ホームページから07:25羽田空港発松山空港行きのANA583便を予約する。
松山での宿泊には「ホテル松山ヒルズ」を選んでネットから予約する。
以前にも松山で何回か泊まったことがあったが、あまりいいホテルが見つからなかった。
そこで今回はネットで探してJR松山駅と伊予鉄道大手町との中間あたりにあるこのホテルにしてみた。
高松での宿泊には「ホテルエリアワン高松」を選んだ。
以前は「東横イン高松中新町」に泊まったが、ことでん瓦町から徒歩10分と立地が悪く、
高松駅前で探してこのホテルになった。
今回はどちらも初めて泊まるホテルなのでちょっと不安だが、
それも含めて四国の旅を楽しみたい。


 3.いよてつ郊外電車1日乗車券の一日目−木曜休園の梅津寺公園

2015年1月8日木曜日、05:15の上り電車で津田沼まで行く。
「青春18きっぷ」は明日使用予定なのでここはSuicaを使用する。
05:35JR津田沼駅南口発の空港リムジンバス羽田空港第2ターミナルに行く。
平日だったので利用客が多く、京成津田沼には寄らずに羽田空港を目指した。
予約が多かったために別便が出たのだろう。
保安検査場を通って出発ゲートまで行き、売店で空弁「石垣牛焼肉弁当」1,080を買ってベンチで喰う。
空港内のアナウンスで札幌空港行きは現地の大雪のため、
到着先の変更、或いは羽田に引き返す可能性がありますと云っていた。
07:25羽田空港離陸の松山空港行きにANA583便に乗り込む。
今回の座席は10Kで中間の非常用ドアの前だった。
CAから「緊急脱出時にお手伝いをお願いしていいですか?」と訊かれ、
そのやり方の載ったしおりを渡され、離陸までに目を通すように云われた。
上空まで上がるとLEDにより機内が七色に照らされた。



乗る時には気付かなかったが、ボーイング787が充当されていた。
窓の外は白い雲が広がっていて、窓の明かりが虹のように映っていた。
窓の外の写真を撮っていたらCAから「飛行機お好きなんですか?」と声をかけられ、
ボーイング787-9やポケモンジェットの絵はがきを貰った。



順調に松山空港に到着し、予定より1本早い連絡バスで松山市駅まで行く。
駅地下にあるコインロッカーに旅行用のバッグを預け、
松山市駅いよてつチケットセンターで郊外電車1日乗車券1,200円を購入する。



伊予鉄道はその名の通り、愛媛県松山市を中心に市内線と郊外線を運営する地方鉄道である。
路面電車の市内線は既に全電停取材を終了しているが、郊外線は全く乗ったことがなかった。
そこで今回は1日券で全区間を乗り潰すことにした。
まずは高浜線で終点のひとつ前の梅津寺まで行く。
ここで降りたのは隣接する梅津寺公園で、「坊っちゃん列車」の取材をするためだ。
「坊っちゃん列車」とは伊予鉄道1号機関車の通称で、現存する最古の軽便機関車である。
しかし入口の前まで来て目が点になった。
梅津寺公園は「木曜休園」だったのである。
とほほ…。
梅津寺駅は織田裕二氏と鈴木保奈美さんが主演した「東京ラブストーリー」のロケ地でもある。
終点の高浜まで行き、駅取材してから横河原線直通の折り返し列車で終点の横河原まで行く。
昼は事前に調べた「マッケンジーファミリーレストラン」に行き、カツカレー850円喰う。
ここから郡中線に乗り換えるために松山市まで戻ることになっていたが、
予定より早めの列車に乗れたので、古町で下車して留置している市内線の車両取材する。
古町駅は郊外線と市内線が並行して走っており、利用線の車両基地が併設されている。
自由分に車両取材してから松山市まで戻る。
残るは郡中線だけになった。


 4.子規堂の客車とレプリカの1号機関車−松山の夜と朝

松山市から郡中線に乗り換える前に駅の裏にある子規堂に行く。
子規堂は俳人正岡子規の生家を再現したもので、正岡家の菩提寺である正宗寺にある。
ここには松山で実際に走っていた坊ちゃん列車の客車が展示されている。



郡中線に乗り換える前にこれを取材して再び松山市駅に戻る。
戻る途中で伊予鉄道本社前に1号機関車が飾られているのが見えた。
近寄ってみるとそれはレプリカであり、
プレートには「文豪漱石の名作『坊っちゃん』に登場した1号機関車は、
現在我が社の梅津寺パークに保存されている」と書かれていた。



松山市から郡中線に乗り、まずは郡中まで行って下車する。
さらに下り線で終点の郡中港まで行き、近接するJR予讃線伊予市駅も駅取材する。
予定よりも早く進んでいるため、折り返し列車で終点の松山市まで戻り、
高浜線で大手町まで行き、徒歩でJR松山駅まで行ってしない線の車両取材する。
陽が傾いて自然光の撮影が限界に達した4:15p.m.で撤収し、
「レストラン北斗・駅前店」でジュウジュウハンバーグ1,010円、和風セット360円喰う。
宿泊予約した「ホテル松山ヒルズ」はJR松山駅と伊予鉄大手町駅の中間に位置していたが、
松山市駅のコインロッカーに荷物を預けているので、大手町からいったん松山市まで行く。
松山市駅の駅ビルには高島屋となっており、地下で焼酎の小瓶を探したが、720ml瓶しかなかった。
仕方がないので荷物を取り出して大手町まで戻り、
セブンイレブン松山大手町店でジンビームのポケット瓶や炭酸水、氷、
つまみとしてじゃこ天やミックスナッツなど買って「ホテル松山ヒルズ」にチェックインする。
ビル自体は古く老朽化も目立つが、部屋は広くて朝食付で3,880円は格安である。

翌朝は4:00a.m.頃目が覚め、ベッドの中でうとうとする。
昨日は昼間の疲弊もあって10:00p.m.には寝てしまったので仕方がない。
5:30a.m.には起床してシャワーを浴び、6:30a.m.を待って2階の朝食会場に向かう。



焼鮭、スクランブルエッグ、鹿尾菜の煮物、金平牛蒡、焼きそば、生野菜、マカロニサラダ、
ご飯、味噌汁、沢庵、梅干、オレンジジュース、ヨーグルト、コーヒー。
春休みのためか、親子連れが多く朝食会場はかなり混んでいた。
部屋に戻って歯を磨き、8:20a.m.頃チェックアウトする。


 5.青春18きっぷの二日目−愛ある伊予灘線と苦役列車

二日目は松山から高松まで移動するが、その前に予讃線で伊予大洲まで行く。
再び松山まで戻って午後から高松を目指すことになっていた。
そこで旅行用バッグをコインロッカーに預け、
JR高松駅の改札で「青春18きっぷ」の5回(人)に、
「松山駅 1.−9 JR四国」と検印スタンプを押して貰う。



余談だが、1回(人)は幕張駅でJR東日本、2回(人)は鹿児島中央駅でJR九州、
3回(人)は伊勢市駅でJR東海、4回(人)は御坊駅でJR西日本、
今回はJR四国なのですべて別の旅客会社で使っている。
予定より1時間早く改札を通過したため、内子線経由の八幡浜行きに乗り込む。
予讃線で松山から宇和島方面に向かうには海側を通るルートと、
内陸部を通る内子線経由のルートがあり、向井原から伊予大洲までの区間で分かれる。
特急などは短絡線である内子線ルートが使われるが、
海沿いを走るルートには「愛ある伊予灘線」という愛称が付き、専用の観光列車も登場している。
この海沿いのルートが未乗車区間であり、今回乗り潰しに挑戦したのだ。
ただ、乗り込んだ列車が内子線経由だったため、分岐駅の向井原で下車する。
ここは高架上に無人の単式ホームがあるだけで、寒風吹き荒ぶ中で次の列車を1時間も待つのは辛い。
そこで上り列車でいったん伊予市駅まで行き、改めて愛ある伊予灘線経由の列車を待つ。
10:11の宇和島行きに乗り込んで伊予大洲を目指す。



25分の折り返し時間で内線経由で松山まで戻る。
41分の乗り換え時間を利用して「カレーショップデリー松山店」で唐揚げカレー760円を喰い、
コインロッカーから荷物を取り出して13:34の電車で伊予北条まで行く。
30分の待ち時間を持て余し、ハトマート北条店内の「たこ家」でソフトクリーム喰い、まったりする。
いったん下りで伊予和気まで行って18分の乗り換えで観音寺行きに乗り換える。



ここから3時間24分かけて観音寺を目指すが、さすがに普通列車で3時間半は辛かった。
しかも今回はウォークマンを忘れてしまい、車内でやることがなくなってしまった。
平日だったため学生の帰宅時間と重なり車内は混雑していた。
伊予和気を出た15:06は勿論まだ充分に日差しがあったが、観音寺に着く頃にはすっかり夜の帳が降りていた。


 6.代替案の意外な効果と高松弁当店と空海の道−高松の夜と朝

観音寺での乗り換え時間は12分で、ここから更に1時間9分で高松まで向かう。
ボックス席の前には親子連れが座り、保育園に通っているという娘の方がいろいろと話しかけてきた。
母親の方は子どもに注意しながらもスマホでいろいろと調べているようである。
娘に訊くと、急遽これから東京に行かなければならなくなったのだという。
母親はどういうルートで行けばいいのか調べているようである。
そこで宇多津で特急に乗り換えれば最終の「のぞみ」に間に合うのではないかとアドヴァイスしてあげた。
確か、快速マリンライナーでは間に合わず、岡山泊で計画を立てたことを覚えていたのだ。
このルートで検索したら確かに20:33岡山発の東京行きに乗れることが分かったとのこと。
最終日に「サンライズ瀬戸」に乗れなかったことを想定して、
幾つか代替案を検索したことがこんなところで役に立った。
母親は恐縮していたが、長旅で辟易していたのでいい暇潰しにはなった。
宇多津で彼女たちと別れ、残りの30分で高松に到着する。
高松に到着したのは19:51で、まずは改札を出他駅構内の高松駅弁当店に行く。
おつまみ用に駅弁「いいとこ鶏弁当」980円を購入する。
店員に営業時間を聞いてみると8:00p.m.までで、閉店3分前だった。
明日も「サンライズ瀬戸」車内で喰う朝食用の駅弁を購入しなければならないので、
閉店時間の把握は今日の大事な仕事なのだ。
サンポート高松3階の「高松拉麺築港」にある「むらさき食堂」で玉子入りラーメン800円を喰う。
このあとマリンタイムプラザ高松内のShikokuShop88で米焼酎「空海の道」300mlなどを購入、
セブンイレブン高松サンポート店で水、氷、ビール、コーヒーなど買い、
ネットで予約しておいた「ホテルエリアワン高松」にチェックインする。
ほぼ駅前といった距離にありながら素泊まり4,800円は安いし、部屋も悪くない。
更にインターネット予約特典で発泡酒350ml缶までプレゼントされた。
購入した駅弁をつまみにビールや焼酎を飲み、早々に寝てしまう。

翌日はシャワーを浴びて7:40a.m.頃チェックアウトする。
素泊まりなのでまずはコインロッカーに荷物を預けてから、
駅に併設された駅蕎麦「連絡船うどん」で天ぷらうどん430円喰う。
高松駅の駅舎は顔のようなデコレーションが施されていた。



高松城址にある高松琴平電気鉄道高松築港駅に行く。
最終日は高松琴平電気鉄道の全線乗り潰しに挑戦するのだ。


 7.ことでん電車全線1日フリーきっぷの三日目−予定変更の琴電完乗

高松琴平電気鉄道高松築港駅に行き、切符売り場で、
「ことでん電車全線1日フリーきっぷ」1,230円を購入する。
切符のデザインは3種類あり、そのうちふたつは京浜急行電鉄とのコラボ企画のようである。
琴電1300形は元京浜急行電鉄で活躍していた車両で、
京急時代と琴電になってからの姿が並んだ形でデザインされている。



この切符を使って琴電全線の乗り潰しに挑戦する。
当初の予定では午前中に琴平線、午後から長尾線と志度線を取材することにしていたが、
先に長尾線が入線したのでこれを取材し、車内で暖を取っていたら閉じ込められてしまった。
発車時間ではないのにいきなりドアが閉められてしまったのである。
あとで車内放送があって知ったのだが、車内保温のために長時間停車する時にはドアは閉めているようだ。
しかし手動で開けられるようになっていて、出たければ出られるようである。
そのまま長尾線で終点の長尾まで行き、折り返しの5分で駅取材する。
瓦町で琴平線と乗り換えられるが、この駅は取材済みのためひとつ先の片原町で乗り換える。
琴平線で終点の琴電琴平まで行き、さらにJR琴平駅も取材する。
場所が分からず少し迷ったため、折り返し列車に間に合わなかった。
11:43の高松築港行きには1200形「ことちゃんひやく号」が充当されていた。
「ことちゃん」は琴電駅員という設定のゆるキャラで、
琴電のICカードがIruCaのため、イルカのゆるキャラが採用されたのだろう。
外装にラッピングされているだけではなく、車内にもぬいぐるみが座席に座っている。



この列車に乗り、今度は瓦町で下車して昼食を喰えるような場所を探す。
予定では高松築港まで戻り、JR高松駅の駅ビルの中にある店に行くつもりだったが、
寒さが厳しく高松築港からJR高松駅まで歩くのが嫌だったのだ。
駅近くの「中華料理 福園」を見つけ、ここで中華丼750円を喰う。
駅に戻って駅ビル内を少し散策してから志度線のホームに行く。
琴平線と長尾線は高松築港から瓦町まで線路を共有していて、瓦町でもホームが並んでいるが、
志度線は駅ビルからは道路を隔てた場所にあり、線路は繋がっていない。
13:46始発列車で八栗新道まで行き、20分の乗り換え時間の間にJR高徳線牟礼駅も取材する。
この付近から志度までは琴電志度線とJR高徳線が近接している。
次の列車で終点の琴電志度まで行き、駅取材してからJR志度駅に行く。
これで琴電の全線の乗り潰しは完了した。
ここからJRに47分の乗り換え時間で駅取材し、ここから池谷を目指す。


 8.特急「うずしお」と鳴門駅の街並み−持て余した時間

志度駅では47分の乗り換え時間があり、ゆっくり駅取材しても時間は充分だった。
外は寒いので駅舎内2階のベンチで時間を潰す。
高徳線はダイヤが乱れているようで上りの特急は遅れていると構内アナウンスで行っていた。



改札を通ってホームで列車を待ったが、特急「うずしお17号」はほぼ定刻通りにやってきた。



N2000形が充当され、指定席は1号車の4列目までだった。
池谷で乗り換えるが、予定では3分の待ち合わせ時間がある筈だったが、
高徳線遅れの影響なのか、接続発車になっていた。
終点の鳴門駅は思っていた以上に開けており、観光地というよりは中都市の駅といった感じだった。
実際に鳴門海峡は駅よりも更に北にあり、観潮船のりばは路線バスで20分の距離となる。
折り返し列車を見送り、次の列車まで46分あるので少し駅周辺を散策してみた。
近くのドラッグストアで買い物などをして時間を潰し、17:17発の列車で再び池谷に戻る。



乗り込む時には既に陽は傾きかけていたが、池谷に到着する頃には夕焼けが空を覆っていた。
池谷は高徳線と鳴門線が分岐した先にホームがあり、駅舎を挟んで扇状にホームが広がる。
乗り換えには跨線橋を使用し、跨線橋から夕日を撮っていたら特急「うずしお24号」のヘッドライトが見えてきた。



この列車で終点の高松まで行き、いったん改札を出る。
寝台特急「サンライズ瀬戸」は21:26発であり、乗り換え時間は2時間54分もある。
まずは駅舎2階の「キッチンスタイルロケットカフェ」に行き、オムライス820円を喰う。
予定では「麺王・高松駅前店」に行くつもりだったが、外は寒くて出歩きたくなかった。
しかし駅舎内で食事を済ましてしまったため、余計に乗り換え時間まで余裕が出てしまった。
駅弁やお土産を購入し、荷物を取り出して寝台特急「サンライズ瀬戸」に乗り込む。



高松から幕張までの切符は自動改札を利用できるためにそのまま進む。
既に285系7両編成は9番線に停まっていた。
部屋に荷物を置いてからビールを買いに行こうと思い、
11号車に乗り込んだところで車掌に会い、部屋に入る前に検札する。



今まで出発してからなかなか検札に来なかったことはよくあったが、
部屋に入る前に検札されたのは初めてだった。


 9.寝台特急「サンライズ瀬戸」−さよなら四国

特急「サンライズ瀬戸」は東京と高松を結ぶ寝台電車による夜行特急である。
充当される車両は285系直流電車で、同じ直流区間のみを走る「サンライズ出雲」と、
岡山駅で分割併合して、東京から岡山までは14両編成で運転される。
特急「サンライズ出雲」は18:55に出雲市を出て伯備線経由で山陽本線に至るが、
岡山到着は22:29になってしまうため、それに合わせてダイヤを組むと、
岡山までの距離の短い「サンライズ瀬戸」は高松を出発するのが21:26になってしまう。

改札を潜ると既に9番線には「サンライズ瀬戸」285系7両編成は停車していた。
部屋に荷物を置いて閉まる直前のKioskでビールを購入する。



今回は禁煙室が取れなかったのでやむを得ず喫煙室を予約したのだが、
机の片隅に灰皿が設置されている以外は禁煙室とは変わらず、
危惧していた煙草の匂いも全く感じないくらいきちんと清掃されていた。
A寝台「シングルデラックス」はベッドとほぼ同じ居住スペースが確保されている。

ベッドは窓側に線路と平行に設置されている。



通路側には机と椅子があり、机の上にはアメニティーセットとシャワーカードが置かれている。



正面には洗面台があり、その上は全面鏡になっている。



シャワー室は10号車と11号車に設置されているが、
10号車が車掌からシャワーカードを購入して使用するのに対し、
A寝台「シングルデラックス」の利用者は最初からシャワーカードがあり、
11号車のシャワー室はこのシャワーカードでないと利用できない。



寝台特急「サンライズ瀬戸」は21:26に高松を出て瀬戸大橋を渡って本州に入り、22:22に岡山に到着する。
到着と同時に8号車の前面扉が開き、貫通路が引き出される。



出雲市から来る「サンライズ出雲」と7分の間に連結して14両編成の列車となる。
「サンライズ出雲」も少し距離を置いた場所に停車し、前面貫通扉を開く。



お互いの貫通扉を開きながら「サンライズ出雲」が微速前進して連結する。
連結してから4分で岡山を出発する。
岡山で連結を見るまではビールを押さえていたため、戻ってから残りを飲む。
ビールがぬるくなる前に早めに飲んだため、列車の揺れも手伝って酔いが回った。
翌朝5:00p.m.頃起床してシャワーを浴び、昨日買った駅弁を朝食として喰う。
07:08に東京駅に到着し、07:24の総武快速線に乗り換える。
疲労が溜まっていたので贅沢してグリーン車で津田沼まで行き、緩行線に乗り換えて帰る。

今回の旅で四国の旅でJR四国の未乗車区間の予讃線の愛ある伊予灘線と鳴門線、
伊予鉄道郊外線全線と高松琴平電気鉄道全線を乗り潰し、
四国のJR、私鉄、第三セクターの全線を乗り潰しが完了した。
これで四国の鉄道を制覇し、暫くは訪問する理由も見つからなくなってしまった。

さよなら四国。





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