青春の旅立ち−烏山線と東武宇都宮線完乗の旅




 1.青春のラストチャンス−最終日、最後の旅

青春18きっぷは決められた期間の間、
JR旅客会社の全線の普通列車に乗り放題になるという国鉄時代からある企画切符で、
学生の長期休みがある春、夏、冬の年3回発売になる。
利用期間は春季は3月1日から4月10日、夏季は7月20日から9月10日、
そして冬季は12月10日から1月10日となっている。

今年の夏も青春18きっぷの2回(人)を使って、
7月23日土曜日から1泊2日で関西本線や福知山線の乗り潰しを決行、
8月13日土曜日には吾妻線の新線切り替え区間を含む乗り潰し、
そして8月20日土曜日には津山扇形車庫取材を含む津山線と宇野線の乗り潰しに挑戦した。
それでもまだ1回(人)分が残っていて、
当初は7月27日土曜日に烏山線と東武宇都宮線の乗り潰しに挑戦することにしていた。
しかし事前の天気予報では晴れのち曇りだったが、どんどん予報が悪くなり、
前日夜の予報で雨の予報になったために断念、9月3日は日直が入っていたため、
結局夏季利用区間の最終日の9月10日に烏山線と東武宇都宮線の旅を決行することにした。
当初はあまり天気予報が良くなかったが、大雨でない限り決行しようと思った。
9月7日水曜日には台風直撃の予報だったし、かなり厳しい状況だったが、
それでも最終日の9月10日土曜日に予定を決行した。

当日は多少雲は多かったものの日差しも見えて良い天気だった。
JR幕張駅の改札で青春18きっぷの5回(人)のところに、
「ありがとうございますJR東日本 9.10幕張駅」と検印をして貰う。



06:19幕張発の総武緩行線上りで津田沼まで行き、ここで始発に乗り換えて秋葉原まで行く。
秋葉原では新しく出来たフードコートTokyo Food Barの中にある「とんかつ銀座梅林」で、
朝食としてたまごかけごはん定食380円を喰う。
ここから京浜東北線で上野まで行き、07:48始発の宇都宮線で終点の宇都宮を目指す。


 2.蓄電池電車「アキュム」の昼寝と烏山の彷徨

蓄電池電車「アキュム」はその名の通り、
バッテリーを装備して電化区間と非電化区間を直通する。
電化区間はパンタグラフから集電してモーターを回して走行、
同時にバッテリーにも充電する。
非電化区間はバッテリーの電気を消費してモーターを回して走行する。
今までにも回生ブレーキの電気をバッテリーに蓄積させ、
走行の補助に使うハイブリッド気動車は小海線などで運行されているが、
非電化区間を電車が走行するのはこの「アキュム」は画期的である。
この「アキュム」が投入されたのはJR東日本烏山線で、
烏山線は東北本線宝積寺から烏山までの20.4kmの単線非電化区間である。
しかし運用上は宇都宮から烏山まで気動車が直通していた。
ここに「アキュム」が日本で初めての蓄電池電車として投入された。
形式はEV-E301系で、EVは“Energy storage Vehicle”の略である。
宇都宮から宝積寺まではパンタグラフを上げて架線から集電して走行し、
宝積寺停車中にパンタグラフを下げてバッテリー走行に変更、
蓄電池の電気を消費しながら非電化区間を走行して終点の烏山まで行く。
烏山は単式1面1線の有人駅で、このホームには一部に架線設備があり、
定位置で停車すると2号車EV-E301の上だけに架線があり、
乗客が降りた後に運転手はパンタグラフを上げて集電する。

07:48上野駅始発の宇都宮線で1時間48分、グリーン車でゆったりと宇都宮まで行く。
乗り換え時間は27分で、その間に日光線などの車両取材する。
烏山線直通の烏山行きは10:03宇都宮に宇都宮を出発する。
通常の電車と同じようにパンタグラフからの終電でモーターを回して宝積寺まで行く。
5分の乗り換え時間で蓄電池走行に切り替え、35分をかけて烏山まで行く。



烏山駅のホームには運転手に分かりやすいように停車位置を示している。



乗客が降りた後にパンタグラフをかげて集電を開始する。



架線は走行することがないため固定式になっている。
ここでバッテリーに集電するために停車時間は1時間32分になる。
この時間を使って烏山から約400mの距離にある「紫園」というレストランに行く。
しかし時間が早かったのか店には電気が付いていたものの「準備中」の札がかかっていた。
蓄電池電車「アキュム」が烏山に到着したのは10:57で、
折り返して烏山を出発するのは12:29である。
早めに着いたので少し当たりを散策して開店時間を待ったが、
11:40a.m.になってもまだ開店する気配はなかった。
たぶん0:00p.m.開店なのだろうと判断し、ここでの食事は断念した。
駅まで10分前後かかるので、20分で料理が出てきて喰い終わるのはかなり厳しい。
駅まで戻って駅前通にあった喫茶店「グリンハウス」に行き、ナポリタン850円を喰う。
12:29発の蓄電池電車「アキュム」に乗り込み、宇都宮まで戻る。


 3.路線バスの不安と宇都宮で餃子を喰うことの難しさについて

烏山から54分をかけて13:25に宇都宮に到着する。
日光線塗色の205系が留置されていたのでこれを取材し、
宇都宮駅西口を出て、バス停一覧表の近くにあったタッチパネル式の情報提示システムで、
東武宇都宮駅の最寄りのバス停である東武駅前に行くバスのバス停を探す。



東武駅前はいくつかの路線が通過するため、
宇都宮のバス事情に精通していないとどこのバス停に行っていいか分からない。
予定していたバスに乗り込む時にも側面の電光表示に“東武駅前”を確認する。
それでも初めて乗るバスでは本当に目的のバス停まで行くのか不安な気持ちになる。
タレントが路線バスだけで旅する番組が人気だが、分かるような気がする。
鉄道と違って目的地が一緒でも経由によって発車番線が異なったりする。
また同じ終着地でも経路が違うこともあり、その分乗り間違えも多い。
不安な気持ちを抱えながらも東武駅前バス停で下車することが出来た。
そこから路地裏を歩いて行くと東武百貨店が見える。
東武宇都宮線東武宇都宮駅はこの東武百貨店宇都宮店の中に入っている。
バスを下車してから東武宇都宮線の列車の発車時間まで37分あり、
その時間を使って東武百貨店宇都宮店8階のレストラン街「スパイス」内にある、
「宇都宮餃子 来らっせ」でぎょうざを喰おうと思ったが、長蛇の列だった。
JR宇都宮駅東口には有名な宇都宮餃子店が支店を出しており、どこも長蛇の列だったが、
東武宇都宮まで来ればそれほどでもないだろうと高を括っていたがとんでもなかった。
宇都宮餃子の人気を改めて思い知らされた。
浜松とともに餃子で有名な街だけに、宇都宮で餃子を喰うということは至難の業なのだ。
餃子は諦めてそのまま東武宇都宮駅に行き、14:22発の栃木行きに乗り込む。



東武宇都宮線は日中は30分に1本の設定になっている。
8000系4両編成の81105編成が充当されていた。
東武鉄道8000系は1963年登場以来20年の長きに渡って712両が製造され、
更新や組み替えなどによって当初の設定した番号が不足し、
8000系でありながら5桁の付番を施される編成も登場し、インフレナンバーなどと呼ばれている。
東武宇都宮線の81105編成もそのひとつである。
終点の栃木まで行き、ここで駅取材してJR両毛線に乗り換える。


 4.最後の訪問地とさよなら、僕の青春

suica使用で東武宇都宮線を完乗し、終点の栃木で駅取材する。
東武宇都宮線は新栃木までで、新栃木から栃木までは東武日光線だが、
運用上は栃木まで乗り入れている。
また両毛線とも接続していて、ホームを並行している。
駅取材後に再び青春18きっぷでJR両毛線に入場、小山まで行く。



12分の乗り換え時間で東北本線下りでひと駅戻り、小金井に行く。
小金井では20分の乗り換え時間で上野東京ラインに乗り換えるのだが、
その乗り換え時間を利用して駅舎取材する。
以前にも取材しているのだが、当時は駅前が工事中で、
工事用フェンスが写り込んでしまったので撮り直す。
小金井始発の上野新宿ライン沼津行きに乗り込む。
行きもグリーン車を利用したが、帰りもグリーン車を使って東京まで行く。
事前にグリーン券情報をsuicaに登録し、座席の上にあるセンサーにタッチする。



これでアテンダントが見回りに来た時もグリーン券を購入したことが分かるようになっている。
それにしても栃木県の小山駅から静岡県沼津駅までを1本の列車が結ぶ。
上野東京ラインは2つの中距離列車を結ぶことで長距離列車にしている。
それまでは常磐線、宇都宮線、高崎線は上野発着、東海道本線は東京発着となっていて、
上野と東京の間の移動は山手線か京浜東北線を利用するしかなかったのだが、
上野東京ラインの開通で直接東京まで行け、総武快速線との乗り換えも便利になった。
少し時間が早かったので、何時もなら津田沼で総武緩行線に乗り換えるのだが、
今日は稲毛まで行ってここで下車する。
青春18きっぷでの最後の訪問地がまさかの地元の稲毛ということになってしまった。
稲毛は以前に勤務していた支店の最寄り駅でもあり、
通勤で何年も通った駅なのだが、その中でもまだ訪問したことのないラーメン店があり、
青春18きっぷで訪問できるこのタイミングで行くことにしたのだ。
今は通勤ルートから外れていて、折角なので青春18きっぷで全国どこでも下車できるため、
敢えて稲毛で下車し、「屋台拉麺一’s 稲毛本店」に行き、牛骨塩ラーメンを喰う。
こここから緩行線で幕張まで戻る。
これで青春18きっぷを使ったこの夏の旅は全て終わった。
さよなら、僕の青春・・・。

・・・と云っても、来週の連休には東北地方の旅に出掛けるんだけれどね。





REI RINGONO travelnotes
All rights reserved,
Copyright (C) Semisweet Apple Company and REI RINGONO 2016

inserted by FC2 system