仙石東北ラインと仙台市営地下鉄の旅




 1.東日本大震災と女川の後悔−仙台市営地下鉄東西線の開業

東北地方、特に三陸地域は東京から微妙な距離にあり、
日帰りで行くには時間が足りないが、泊まりがけで行くには近い。
宿泊を伴うのならどうしても優先順位は北海道や九州など遠い場所になってしまう。
何時かは行こうと思いつつ、ついつい後回しにしてしまっていたのが三陸エリアである。

そんな中、2011年3月11日金曜日、東日本大震災が起こった。
いずれ取材しようと思っていた未取材区間も多く被災し、
その中にはBRT化や廃線、あるいは復興を目指すが未だに未通区間もある。
石巻線もそのひとつで、小牛田から石巻までは既に2006年4月23日に乗っているが、
石巻から女川までの区間は未乗車で、特に浦宿から女川までの区間は被害が甚大で、
さらに高台移転もありなかなか開通しなかった。
2015年3月21日に内陸に約300m移転して漸く開業、
さらには同年仙石線と東北本線が交わる区間に渡り線を設置した仙石東北ラインも開業、
東北本線を松島まで行き、高城町から仙石線に入り石巻まで行く。
一部の列車はそのまま石巻線に入って女川まで直通する。
実際は東北本線松島と仙石線高城町の約300mに渡り線を設置しただけである。
それでも交流電化された東北本線と直流電化された仙石線を非電化で繋ぐため、
基本的には電車では走れず、そのため仙石東北ライン専用のHB-E210系気動車が投入される。
HB-E210系気動車はハイブリッド気動車で、エンジンで発電した電力を蓄電池に蓄積し、
電力でモーターを回して走行するという気動車で、
気動車でありながら走行システムは電車の技術が用いられている
エンジンで発電した交流電気をコンバータで直流に変換して蓄電池に蓄積、
蓄電池からの電力をVVVFインバータで再び交流に変換して交流モーターを回して走行する。
以前に仙台駅で写真だけは撮ったことがあるが実際に乗ったことはなく、
このHB-E210系気動車にも乗りたい。

さらには以前からアナウンスされていた仙台市営地下鉄東西線が2015年12月6日に開業した。
仙台市営地下鉄は1987年7月15日に八乙女から富沢までの区間が部分開業、
その後も延伸工事が行われ、1992年7月15日に泉中央まで延伸されて全通した。
東西線も工事が進められていたがなかなか開通せず、正式発表から15年かかって漸く開業となった。
仙台市営地下鉄はそれまで乗ったことはおろか、車両を見たことすらない。

そこで仙台に一泊して仙石東北ラインと仙台市営地下鉄全区間の乗り潰し、
さらには石巻専修店の新しい女川駅と周辺の様子の取材などを兼ね、1泊2日の旅を計画した。
2016年には何度か企画を考えたものの、他に優先する企画があって後回しになったこともあり、
なかなか実現に移すことが出来なかった。
しかし2017年春、ゴールデンウィーク明けの土日に計画を実行することにして、
改めて計画を練り直すことにした。


 2.小さな旅ホリデーパスの発売エリアと購入した仙台までの往復乗車券

このたびを実現するにあたって最初は週末パス8,730円を利用しようと考えていた。
しかしいろいろと調べていくと今回の区間を全区間利用できる企画切符として、
小さな旅ホリデーパス2,670円というものがあることを知った。
考えてみると2日目は仙台市営地下鉄に乗るために週末パスでは帰りの新幹線の運賃しか有効にならない。
それなら往復の新幹線代は別料金になるものの、この小さな旅ホリデーパスでの旅を企画する方が良い。
そう思って小さな旅ホリデーパスをの利用を決定、
それに併せて去年5月に仙台一泊の小さな旅ホリデーパスの旅を企画したが、
結局残っていたJTB旅行券5,000円分の使用を目的としてスルッとKANSAI3dayチケットの旅を優先し、
仙台旅行はいったんお蔵入りとなってしまったが、
1年後の2017年5月のゴールデンウィーク明けの13日土曜日、14日日曜日に、
再びこの旅を企画して以下のような計画を立てた。

東京から東北新幹線「はやぶさ1号」で仙台まで行き、東北本線で小牛田まで行く。
ここから石巻線全区間を一気に行って女川ので行く。
2時間17分の滞在時間で女川の復興の様子の取材や昼食を愉しみ、
石巻線で石巻まで戻り、始発の仙石東北ラインで仙台まで戻る。
この段階でまだ15:03なので以前以降と思って雨のために断念した船岡まで行き、
駅前の交流電気機関車ED71形37号機とオハフ61形客車の静態保存車を取材、
仙台まで戻ってアパヴィラホテル・仙台駅五橋で一泊する。
翌日は仙台市営地下鉄の一日乗車券を購入して全区間の乗り潰しと駅取材、車両取材を敢行、
東北新幹線「はやぶさ26号」で東京まで戻る。

しかし今年1月に、8月に企画している山陰本線の飛行機と宿を予約する際、
ついでにアパヴィラホテル・仙台駅五橋も予約しようと思ってアクセスしたところ、全室満室だった。
これには目が点になってしまった・・・。
アパホテルは代表の元谷外志雄氏が部屋に置いている書籍で、
「南京大虐殺」や「従軍慰安婦」の存在を否定したとして、
中国人が宿泊をボイコットししているとニュースになっていたので、
その分予約が取りやすいのではないかと踏んでいたのだが、実際は全然そんなことはなかった。
仕方がないので予約の取れるビジネスホテルを探し、ホテルルートイン名取を予約する。
このホテルを仙台空港鉄道の杜せきのしたから約500m、徒歩6分の距離である。
仙台空港線は小さな旅ホリデーパスの利用範囲外だが、
いずれこの路線も乗り潰しをしようと思っていため、
ついでに仙台空港まで往復して見ようと思った。

小さな旅ホリデー・パスは基本的には利用エリア内の指定席券売機やみどりの窓口で購入可能だが、
JR東日本のホームページには「フリーエリア外のびゅうプラザおよび主な旅行会社では、
フリーエリアを着地に含む旅行商品と同時にお求めいただけます。」と書かれており、
1ヶ月前の4月13日木曜日にJR津田沼駅のみどりの窓口で、
仙台までの新幹線の乗車券と指定席特急券を購入してこれを購入しようと思っていた。
しかし前日の夜に改めてホームページをよく読んだところ、
“フリーエリアを着地に含む旅行商品と同時に”というところに引っかかった。
「旅行商品」ということは普通の切符では駄目ということなのだろうか。
自宅の最寄り駅にも仕事の最寄り駅にもみどりの窓口が廃止になっており、
みどりの窓口に行くには早めに自宅を出て途中下車しなければならない。
そこまでして「小さな旅ホリデーパスは購入できません。」と云われたら癪なので、
この切符は現地購入することとして、
4月14日金曜日にJR幕張駅の指定席券売機で仙台のでの往復乗車券を購入、
同時に往復の東北新幹線「はやぶさ」の指定席特急券も購入する。

 行きの切符



 帰りの切符



しかし実際出発前にこの原稿を書きながら大きなミスをしたことに気付いてしまった。


 3.小さな旅ホリデーパスの落とし穴と購入後の予定変更

この旅を実現するにあたって最初は週末パス8,730円を利用しようと考えていた。
しかしいろいろと調べていくと今回の区間を全区間利用できる企画切符として、
小さな旅ホリデーパス2,670円というものがあることを知った。
考えてみると2日目は仙台市営地下鉄に乗るために週末パスでは帰りの新幹線の運賃しか有効にならない。
それなら往復の新幹線代は別料金になるものの、この小さな旅ホリデーパスでの旅を企画する方が良い。
そう思って小さな旅ホリデーパスをの利用を決定、
それに併せて去年5月に仙台一泊の小さな旅ホリデーパスの旅を企画したが、
結局残っていたJTB旅行券5,000円分の使用を目的としてスルッとKANSAI3dayチケットの旅を優先し、
仙台旅行はいったんお蔵入りとなってしまった。
そして1年後の今年5月に再びこの企画を決行することにして、
今年2月5日日曜日にネット経由でホテルルートイン名取に予約、
4月14日金曜日の出社前にJR幕張駅の指定席券売機で、
5月13日土曜日の東京発仙台着の「はやぶさ1号」の新幹線特急券指定席券、
5月14日日曜日の仙台発東京着の「はやぶさ26号」の新幹線特急券指定席券、
幕張から仙台市内の往復乗車券を購入した。
小さな旅ホリデーパスは現地購入することにしたので、これで全ての準備が整い、
後は当日を待つだけとなった・・・と思っていた。

旅行記の出発前のパートを「小さな旅ホリデーパスと仙台市営地下鉄の旅」のタイトルで書き出し、
ネットなどでいろいろ資料を集めながら書き進めていって、
大きな勘違いをしていたことに気付いた。
確かに現地での料金だけを見ると小さな旅ホリデーパスは2,670円で、
週末パス8,730円より割安だが、週末パスのエリアはJR東日本管区のほぼ南半分、
つまり新幹線の利用区間も含まれている。
一方、小さな旅ホリデーパスは福島から新庄までの区間以外の新幹線には乗れず、
乗車券を別に購入しなければならない。
交通費全額を比較してみると、

   小さな旅ホリデーパスの場合

 幕張←→仙台市内往復乗車券 12,520円
 小さな旅ホリデーパス(現地購入予定) 2,670円
 東京→仙台「はやぶさ1号」普通席新幹線特急券 5,260円
 仙台→東京「はやぶさ26号」普通席新幹線特急券 5,260円
 仙台市営地下鉄全日一日乗車券(現地購入予定) 820円
 仙台空港鉄道・仙台空港線suica使用

 合計 21,270円+suica使用分

   週末パスの場合

 週末パス 8,730円
 仙台→東京「はやぶさ26号」普通席新幹線特急券 5,260円
 仙台市営地下鉄全日一日乗車券(現地購入予定) 820円
 仙台空港鉄道・仙台空港線suica使用

 合計 14,810円+suica使用分

つまり週末パスを使った方が6,460円安く上がるのだ。
そこで4月17日月曜日の通勤時に普段より1本早い電車に乗り津田沼で途中下車して、
みどりの窓口で幕張←→仙台市内往復乗車券の払い戻しを行う。



手数料として220円がかかった。
これは自分の勉強不足、判断ミスに対するペナルティとして享受しよう。
このあと東船橋に出て、ここの指定席券売機で週末パスを購入する。



これで本当に予定通り事前準備が整い、
旅行記のタイトルも「小さな旅ホリデーパスと仙台市営地下鉄の旅」から、
「仙石東北ラインと仙台市営地下鉄の旅」に変更、後は当日を待つだけとなった。


 4.雨の週末と真夜中の予定変更−旅の始まり

計画実行日の5月13日土曜日、14日土曜日の一週間前の天気予報では、
土曜、日曜とも晴れの予報となっていて安心していたが、
3日前の天気予報では土曜日が雨で日曜日が晴れに代わり、
前日には土曜、日曜とも雨の予報になってしまった。
特に土曜日は大雨の予報で、とても外で写真撮影が出来る環境ではないと思った。
その一方で前日の段階では日曜日は午後から曇りになっており、
どちらかというと日曜日の方がまだましだなと思った。
そこで前日の金曜日、5月11ら日に遅番の仕事から帰ってから、
土曜日と日曜日の予定を入れ替えることにして、深夜に予定を入れ替えを行った。
翌日は05:14の電車に乗らなくてはいけないため、本当は早く寝たかったが、
それでも大まかな予定を立て直し、
一太郎で印刷するする手間を惜しんで手書きでメモを作成した。

翌日、睡眠時間を削って作成したメモ帳を持って家を出る。
家を出る時には雲が蔓延っていたものの雨はまだ降っていなかったが、
秋葉原で京浜東北線に乗り換える頃には既に雨が降り出していた。
東京駅で東北、上越、北陸新幹線の改札を潜り、ホームに上がる。



早めにホームに到着し、少し車両取材する。
北陸新幹線が金沢まで延伸、また北海道新幹線が部分開業して東北新幹線と直通し、
これに併せて北海道新幹線にH5系、北陸新幹線にE7系、W7系が新登場した。
既にE7系は取材済みだが、まだH5系、W7系はまだ未取材だった。
さすがにH7系は4編成しかないため、巡り会うことが出来なかったが、
W7系は「はくたか551号」に充当されており、これを十分に取材することが出来た。
そうしていると「はやぶさ1号」のE5系が雨の中、入線してくる。



売店で駅弁「春小町」1,350円などを買い、「はやぶさ1号」6号車19番E席に座る。
06:32にゆっくりと走り出した「はやぶさ1号」は雨の中を上野、大宮と停車した後は一気に仙台まで行く。
本降りの雨の中、予定通り08:04には仙台に到着する。


 5.予定変更の予定変更−仙石東北ラインと仮面ライダーと009

仙台駅で「はやぶさ1号」を下車し在来線口に出て
乗り換え口の横にあるコインロッカーに旅行用バッグを入れ、在来線1番線に降りる。
もともとの予定では08:30始発の東北本線で小牛田まで行き、
ここで石巻線に乗り換えて終点の女川まで行くことになっていた。
同じホームには仙石東北ラインのHB-E210系が停車していて、
これを取材していたのだが、まだ座席が空いていたので途中まで乗ってみようと思った。
昨日、真夜中に土曜と日曜の予定を入れ替えたが、
日曜日は仙台市営地下鉄の乗り潰しの予定だったが、
大雨で途中下車が難しそうなので、逆に云えば時間の余裕がある。
そこで途中まで行ってみようと思ったのだが、
乗りながら結局終点の石巻まで行くことにした。

仙台東北ラインはその名の通り、仙石線と東北本線を結ぶ路線で、
新設区間は東北本線松島と仙石線高城町を結ぶ300mの非電化単線であるが、
運用上は東北本線仙台から渡り線を通り、仙石線石巻を結ぶ区間となる。
また一部の編成は女川まで直通するようである。
仙石線も仙台に接続するが、地下ホームのために乗り換えが不便であった。
また苦竹から地下路線に入るために追い越し線を新設できず、
地下区間での快速運転が出来ないこともある。

仙石線は私鉄の宮城電気鉄道により敷設された路線で、
戦時買収によって国鉄となった路線であり、そのため直流電化されている。
東北本線は黒磯以北は交流電化されているため電化では直通できない。
そこで仙石東北ライン専用にハイブリッド気動車HB-E210系2両編成8本16両が新造された。



ハイブリッド気動車HB-E210系は搭載したディーゼルエンジンで直接車輪を回すのではなく、
ディーゼルエンジンで発電機を回し、交流電気を発電、主変換装置で交流を直流に変換、
蓄電池に充電する時は直流で充電、VVVFインバータで再び交流に変換して三相交流モーターを回す。
モーターに流れる電気を制御するのに現在主流のVVVFインバータは直流を交流に変換するため、
交流電気をいったん直流にコンバータで変換してから再び交流に変換するのである。
蓄電池の容量が少なくなると自動的に発電用エンジンが動くシステムになっている。
そのため運転手が降りた折り返し列車に乗っていると自動的に発電と放電を繰り返す。

途中、東北本線から仙石線に移る時、信号確認のために一旦停止し、徐行で仙石線に入る。
普段は別の路線のために仙石東北ラインが通過する時だけにポイントを変えるので、
ポイントの変更を表示する信号を確認する必要があるのだ。
石巻に到着して乗ってきた仙石東北ラインでそのまま仙台まで戻る。
雨が激しかったために駅舎の外には出なかったが、
以前見たことのある石ノ森章太郎氏のキャラクター、
仮面ライダーとサイボーグ009の001、003、009の等身大フィギュアが迎えてくれた。



同じルートを戻って今度は仙石線から東北本線への渡りを十分に堪能し、11:04に仙台に到着する。
予定を変更して土曜と日曜の予定を変更したため、本来なら「伊達の牛たん・本店」に行くことになっていたが、
まだ外は本降りの雨のために路面店への移動は断念して、
仙台駅改札外の3階にある“牛たん通り”に行き、「伊達の牛たん・牛たん通り店」に行く。
0:00p.m.前だったが既に店の外にまで行列が出来ていた。
普段だったら断念するのだが、雨のために予定が立たないため、
そのまま並び、極厚芯たん定食2,150円を喰う。
午後から日曜に予定していた仙台市営地下鉄の乗り潰しに挑戦する。


 6.仙台市地下鉄の完乗と土砂降りの船岡の攻防

仙台市地下鉄は仙台市交通局が運営する南北線、東西線の2つの路線がある。
南北線は仙塩広域都市計画都市高速鉄道第1号として建設された14.8kmで、
1987年7月15日に富沢から八乙女までが部分開業、
1992年7月15日に八乙女から泉中央までが延伸して全通した。
一方東西線は仙塩広域都市計画都市高速鉄道第4号として建設された13.9kmで、
2015年12月6日に現在開業している全区間が一気に開業した。

JR仙台駅からいったん外に出てすぐ手前にある地下への階段を降りて仙台市地下鉄乗り場まで移動する。
駅の屋根の範囲に地下への入り口があるため、雨に濡れることはない。
仙台市営地下鉄は南北線、東西線共通で使える“地下鉄土・日・休日一日乗車券”がある。



券売機でこれを購入してまずは南北線のホームに行く。
事前の予定では一日かけて南北線、東西線を乗り潰し、地上駅舎を取材するつもりだったが、
外は大雨でとても駅舎取材はかなわないだろう。
そこで今回は乗り潰しだけを実行し、駅舎取材は次の機会の宿題にしよう。
仙台から富沢まで行き、いったん外に出るが勿論大雨で駅舎取材は出来ない。
富沢は島式1面2線のホームに降車ホームと乗車ホームが別れていて、
降車ホームで客を降ろしてからいったん回送し、
乗車専用ホームに入線してから乗客を乗せるような構造になっている。
富沢から北側の泉中央まで行き、ここで折り返して仙台まで戻る。
今度は東西線に乗り換えて八木山動物公園まで行き、
ここで折り返して東側の荒井まで行く。
荒井駅は駅前ロータリーにタクシー乗り場のための屋根が設置してあり、
これを利用して駅舎取材を強行する。
それでも風もあってかなり濡れてしまった。
傘なしでの取材はやっぱり不可能だと判断し、仙台まで戻ってコンビニでビニール傘を購入する。
仙台市地下鉄の全区間の乗り潰しを終了し、再びJRの改札を入り、
預けてあった旅行用バッグをコインロッカーから取り出し、
東北本線15:02発の福島行き上り列車に乗り込む。
もともと土曜日の予定では女川から帰って船岡まで行き、ここで保存車両を取材することになっていた。
事前の予定では15:38に乗ることになっていたので、予定より1本早い列車ということになる。
船岡に到着した時も土砂降りの雨は続いていて、傘を購入しておいて良かった。
しかも保存車両の場所が分からず、少し駅前をうろうろしてしまった。
漸く見つけてED71形37号機とオハフ61形客車を取材する。



金網フェンスに囲まれており、さらに客車の方はメンテナンスもされておらず、
雨に降られて取材した割りにはちょっと残念な結果だった。
しかも場所が分からず駅前で迷っていたため、15:53の上り電車に乗り遅れてしまった。
駅まで辿り着いたところで、列車が出てしまった。
16:16まで待って名取まで行き、いったん改札を出てる。
雨のため駅取材も出来ず、Suicaで再入場して仙台空港線で仙台空港まで行く。


 7.仙台空港の混乱と杜せきのしたの夜と朝

今回の旅では仙台駅付近のビジネスホテルで値段的に妥協出来るところが見つからず、
いろいろと探しているうちに見つけたのがホテルルートイン名取である。
最寄り駅は仙台空港鉄道の杜せきのしたで、仙台空港鉄道は週末パスの範囲外のため、
Suicaを使用していったん仙台空港まで行くことにした。
これにより仙台空港鉄道の乗り潰しを完了、改札を出て空港内のレストランで夕食を取ることにした。
しかし空港まで行くとカウンターの前には長蛇の列が出来ていて、
放送では欠航をお知らせするアナウンスが流れていた。
インフォメーションボードには大阪方面の一部の便を除いてほとんどが欠航となっていた。



そのため翌日の振り替えのためにカウンターに列が出来ていたのだ。
当然のことながら滑走路には飛行機の姿は見えず、
打ち付ける強い雨だけがガラス越しに見えていた。
3階レストラン街に行き、「ロイヤルコーヒーショップ」で、
牛タン辛味噌ラーメン\1,382、はらこ飯\432など喰う。
レストラン街では翌日の手配をした人などでけっこう賑わっていた。
それでも入店した客がインフォメーションを聞いて急に出て行く姿も見えた。
店を出て仙台空港鉄道の待合室で待っていると、隣の客がケータイで電話をしていた。
大声で話していたので内容が聞こえてしまったが、
欠航が相次いでいるため近隣のホテルも満室になってしまい、
北海道に帰るのに新幹線で東京まで行って東京で一泊し、羽田から帰ると話していた。
Suicaで杜せきのしたまで行き、ホテルに行く前に駅に隣接するイオンに行く。
イオンの中の酒売り場で日本酒2本買い、予約していたホテルルートイン名取にチェックインする。
駅からホテルまでは高架線路の脇の遊歩道を辿っていくことが出来る。
ネットで予約していたためチェックインの時にペットボトルの水が貰える。
ホテルルートインは会員登録してあるため、
会員証を兼ねているPontaカード持参でチェックインが簡単に済む。
部屋に行ってカメラのメンテナンス後にホテルで買ったビールや日本酒などを飲む。



日本酒は「ぼとる浦霞」と「萩の白露・浦霞」で、空港で購入した牛たんおかきと笹蒲鉾をつまみにする。
雨に打たれての取材だったこともあり、日本酒の酔いも回って気付かないうちに寝てしまった。
寝たというよりは気を失ったというのに近いかもしれない。

それでも翌朝は5:00a.m.に起床して1階に降りてホテルの大浴場で朝風呂を愉しむ。
部屋に戻ってクールダウンし、6:30a.m.を待って再び1階に降りる。
レストラン「花茶屋」でバイキング形式の朝食を喰う。



ウインナー、フライ、烏賊の揚げ物、餅ポテト、玉子焼、スクランブルエッグ、
蕎麦、味噌汁、サラダ、フルーツヨーグルト、コーヒーなど。
このホテルのオリジナルなのか、蕎麦があったが、
もしかしたら御飯の代わりに蕎麦を喰いたいという客向けなのかもしれない。
分からないで御飯と蕎麦を両方取ってきてしまったけれど・・・。
部屋に戻って歯を磨き、7:20a.m.頃、ホテルをチェックアウトする。


 8.緊急停止の仙台空港鉄道と忘れてしまった傘−女川へ

昨日ほどではなかったが、それでも小雨が降っていて、傘を差して駅に向かう。
傘を差して杜せきのしたの駅取材をしようと思ったが、
ちょうど07:32に間に合いそうなので駅取材を断念して券売機で170円の切符を購入する。
名取からは週末パスが有効になるため、スイカデ入場しちゃうと退出記録が出来ないのだ。
そこでそこまでの切符を購入して、名取からはそのまま週末パスを使用したこととする。



ホームに上がって列車の到着を待っていると構内アナウンスがあり、
東北本線内で列車を止める信号が発せられたということで、
美田園を出て杜せきのしたに向かう途中で列車が止まってしまったとのこと。
雨の降る中、屋根のある限界のホーム端に行って望遠で確認する。
高架線路に停車している4両編成のSAT721系が見える。
少しして動き出し、杜せきのしたに向かって徐行してきた。



杜せきのした駅は島式1面1線の高架ホームで、2番線には線路がない。
島式ホームの片側だけを使っており、将来的には1面2線に出来る準備がされている。
3分遅れで杜せきのしたを発車して東北本線との合流の、名取に到着する。
ここで東北本線の下りの方が先発するとのことで少し停車していた。
その時間を利用して車両取材、先発列車を見送って仙台空港線の列車で仙台まで行く。
名取で再び同じ電車に乗り込んだ時に気付いたのだが、
杜せきのしたのホームに昨日買ったビニール傘を置いてきてしまった。
停車中の列車の写真を撮るのに傘を手すりにかけ、
接近してきた列車をギリギリまで撮影していたので慌ててそのまま乗り込んでしまったのだ。
仙台に到着した時もまだ雨は降り続いており、失敗したなと反省した。
旅行用バッグを昨日と同じ場所のコインロッカーに預け、
1番線のホームに降りて昨日乗った仙石東北ラインのHB-E210系を喰いながら取材、
今日はこれに乗らずにその後の08:30仙台始発の小牛田行きに乗り込む。
東北本線のダイヤの乱れはまだ続いており、小牛田には3分遅れで到着する。
途中、仙石線との渡り線を直通するシーンを見学する。
昨日は渡り線を渡ったが、今日は東北本線を直通したのである。
計画では小牛田の乗り換え時間は11分だったが、3分遅れでも乗り換えには十分だった。
ここでキハ110系2両編成の石巻線に乗り換える。
09:27定刻に発車した石巻線の列車は1時間35分かけて女川を目指す。


 9.女川駅の昼下がり−復興と震災の傷跡の混在

小牛田を定刻に発車した石巻線は小雨の中を女川を目指してただ走りつづける。
石巻で仙石線との接続を取るために32分の停車時間がある。
その時間を利用して改札の外に出てみるが、以前来た時と変わらなかった。
ただ、駅の正面のガラスには東日本大震災での浸水位置を現す掲示物があって、
この場所でも膝の位置くらいまで浸水したことがよく分かる。
再び石巻線に乗り込んで女川を目指す。
石巻線を進んで浦宿に到着するまでは雨が降り続いていたが、
女川に到着する頃には小降りになっていた。

女川に初めて駅が出来たのは金華山軌道によって石巻湊と女川に1926年で、
鉄道省(現・JR東日本)石巻線が1939年10月7日に開業、
それを受けて金華山鉄道は廃止に追い込まれた。
2011年3月11日の東日本大震災により女川駅は甚大な被害を受け、
石巻から女川まではバス代行となり、復旧に伴ってバス代行は短くなり、
女川の隣の浦宿までは2013年3月16日に復旧したが、
海から近い女川の被害は甚大で、駅舎は一部の鉄骨を残して全て押し流され、
停車中の気動車は山の中腹当たりまで押し上げられていた。
街の高台移転などを併せて内陸部に200m移動し、2015年3月21日に漸く全線復旧した。
旧駅舎には併設されていた温泉施設の休憩場として、
キハ40が朱色の首都圏色に塗色され保存されていた。

新しい駅舎は木材を基調とした復興を象徴するデザインで、
駅前にはシーパルピア女川という商業施設も同時に開業した。



この中には飲食店なども入っていて、
その中の一つ、「まぐろ屋 明神丸」に入り、トロぶつ丼1,200円を喰う。
ここには他にもテレビなどで良く取り上げられていた段ボール店もあり、
段ボールで造った原寸大のランボルギーニ、“ダンボルギーニ”の店などもある。



シーパルピア女川は東日本大震災の復興の象徴として存在している。
しかしここから出て海まで行くと、未だに瓦礫が散乱して復興が道半ばだと思い知らされる。
その中には横転した女川交番などもあった。



そこには町役場の設置した掲示物があり、以下のように書かれている。

    女川交番

  昭和55年に建設された、鉄筋コンクリート2階建の施設。
 1階が交番、2階が休憩室として使われていました。
 原位置付近で転倒しており、
 津波の引き波により転倒したと考えられます。
  現在満潮時に30cm程度浸水している状態で、
 建物の上部には漂流物による損傷等も見ることができます。
 杭が引きぬかれているのも特徴です。

女川駅の駅舎は旧駅舎の時の温泉施設もそのまま復活されており、
2階部分が温泉施設となっていて、1階の売店が受付になっている。
そのため売店に入るだけでも靴を脱いで上がらなければならない。
3階部分には外から上がれるようになっていて、海まで見渡せる。
しかし一方で逆側を見てみると、高台に復興住宅が建っているのが見渡せる。



以前からの低地には墓地しか残っていない。
2時間22分の滞在時間をたっぷりと愉しみ、13:24始発で石巻まで戻る。
ここで予定していた仙石東北ラインではなく、その後の普通列車に乗り換える。
先代までそのまま帰ったのでは帰りの新幹線の時間には早すぎるため、
途中の駅で下車して駅取材も組み入れようと思ったのだ。


 10.仙石線の起点と再びの雨−旅の終わり

予定では女川から乗ってきた石巻線小牛田行きを石巻まで行き、
ここで9分の乗り換えで13:59始発の仙石東北ラインに乗り換えることになっていたが、
思った以上に混んでいたことや仙石線の取材も考えていたこともあり、
仙石東北ラインを諦め、隣に停まっていた14:24始発の仙石線に乗り込む。



205系3000番台は正面から見ると新型車両のように見えるが、
山手線で使用されていた205系基本番台11両編成を短編成化、
足りなくなった制御車を補うために運転席の部分だけを新造し、
既存の205系中間車に取り付けて先頭車化したものである。
ロングシートの普通車で1時間10分の旅で陸前高砂まで行き、
ここで駅取材することにしたが、偶然新しいマンガッタンライナーを見かけた。
しかし上手く写真を撮ることが出来なかった。
ここから終点というか、仙石線の起点であるあおば通まで行く。
もともと日曜の昼食の行く予定だった「伊達の牛たん・本店」に行こうと思ったが、
地下ホームから地上に上がったらまた雨が降り出していた。
陸前高砂では曇りだったが雨粒が落ちていなかったのだが、約20分で天気が変わったようだ。
場所もよく分からず小雨の中を移動するのは不可能なので路面店は断念し、
昨日昼食に入った「伊達の牛たん・仙台駅3階牛たん通り店」で牛たん定食1,780円を喰う。
在来線に入場してコインロッカーから荷物を取り出し、新幹線改札口を潜る。



売店でお土産やビールなどを買い、17:30仙台発の「はやぶさ26号」に乗り込む。
既に夕食を喰ったため、7号車2番E席について売店で買ったビールだけを飲む。



麒麟麦酒仙台工場限定醸造の「一番搾り・仙台づくり」で、缶には以下のように書かれている。

  宮城の恵みを引き立てる、すっきりとした一杯。

 地元のことを、宮城の皆さまと語り合って生まれた一杯です。
 宮城県産ササニシキのすっきりとした味わいと、
 東北産ホップの優しく華やかな香りを、
 一番搾り製法で引き出しました。
 優しいけれど芯がある宮城の人に、
 地元の食材を囲みながら楽しんでほしい一番搾りです。

          仙台工場長 谷川 満

東北新幹線「はやぶさ」に充当されているE5系には窓側席にコンセントがあり、
ここで少なくなったスマホの充電をしながら東京を目指す。
ノートパソコンを持ち込んで仕事をしながら移動できるようにと、
ビジネス需要にも応需できるように設計されているのだろう。
東京から20:06始発の総武快速線で津田沼まで行き、総武緩行線に乗り換えて帰る。





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