青春の旅立ち−草津線と名松線の旅




 1.2017年夏の青春−挫折と明暗を分けた復活

青春18きっぷは学生の休みに合わせ、春、夏、冬に発売される企画切符で、
国鉄時代の1982年に「青春18のびのびきっぷ」の名称で登場し、
翌年から「青春18きっぷ」に改称されて、国鉄分割民営化後の現在も毎年発売されている。
若者向けに企画され、長期休みに普通列車自由席の旅を愉しめる切符である。
名称に“青春18”とあるが、購入に年齢制限があるわけではなく、誰でも利用可能である。
この切符は利用期間内の5回(人)利用できる切符で、
同一行程なら複数人でも利用できるし、連続して使用する必要もない。
この切符の特性を活かせば往復は飛行機や新幹線を利用することで機動力も確保できる。
主に夏季休暇を利用してほぼ毎年この切符を利用した旅を企画しているが、
2017年夏もにもこの切符を利用した旅を企画した。

7月の土日に2回(人)分を使用して“長浜鉄道スクエアと九頭竜線の旅”を企画、
7月は22日土曜日に東海道新幹線で米原まで行き、北陸本線で長浜に移動、
鉄道保存施設「長浜鉄道スクエア」を見学する。
北陸本線で近江塩津、敦賀で乗り換えて武生まで行き福井鉄道の一日券を購入、
未取材の電停取材をしながら福井まで行って1泊する。
23日日曜日は九頭竜線を九頭竜湖まで往復して北陸本線で金沢まで移動、
北陸新幹線を一気に乗り潰して東京まで戻る。

8月には夏季休暇を含めて3回(人)分を使用して“山陰本線完乗の旅”を企画、
8月18日金曜日に夏季休暇を取得、ANA3811便で羽田から山口宇部空港まで行き、
宇部線草江まで徒歩で移動し、宇部から山陽本線で新下関に行ってここで駅取材、
下関から山陰本線に入って川棚温泉、小串、長門市乗り換えで益田まで行き1泊、
19日土曜日は山陰本線を米子、倉吉乗り換えで鳥取まで行き、因美線で郡家まで往復する。
鳥取で1泊して20日日曜日豊岡、城崎温泉、福知山、園部経由で京都まで行き、
京都から東海道新幹線で東京まで戻る。

1月にはこの企画に併せてホテルを予約、飛行機も予約した。
しかし5月末に家庭の事情で突然外泊を含めた旅が難しくなってしまい、
いろいろ迷った挙げ句、今年の“青春18きっぷ”の旅は全て断念することにした。
既に予約していた益田、鳥取、福井のそれぞれのホテルは予約をキャンセルした。

ところが6月末になって家庭の事情が好転、宿泊を含めた旅も可能になった。
慌てて各ホテルにアクセスしたが、益田のホテルは再予約できたものの、
鳥取と福井のホテルは既に満室となっていた。
8月の“山陰本線完乗の旅”は豊岡のホテルにまだ空室があったため、
旅行の予定を見直して何とか計画を作り直すことが出来たが、
7月の“長浜鉄道スクエアと九頭竜線の旅”は企画自体を中止するしかなかった。


 2.2つめの代替日帰り計画−突然の移り気

7月22日土曜日からの1泊2日の“長浜鉄道スクエアと九頭竜線の旅”が中止となり、
青春18きっぷの2回(人)分の使い道が宙に浮いてしまった。
そこで以前から青春18きっぷを使った日帰り旅をいくつか企画してて、
その中で7月22日土曜日に“井原鉄道と水島臨海鉄道の旅”を企画、
残りの1回(人)分で翌週の7月29日土曜日に“水郡線完乗の旅”の企画した。
水郡線はその名の通り水戸から郡山を結ぶ地方交通線で、
厳密には水戸から安積永盛までの137.5kmと支線の上菅谷から常陸太田までの9.5kmである。

7月29日土曜日に東北新幹線で郡山まで移動、
3時間21分かけて水郡線を水戸まで一気に行く。
常磐線で日立まで行ったここで昼食と駅取材、勝田まで戻る。
勝田で始発列車のグリーン車に乗り込んで上野まで戻る。

この計画に合わせて7月3日月曜日に東船橋駅の指定席券売機で、
7月29日土曜日東京07:32発郡山08:55着の「やまびこ125号」の切符を購入する。



乗車区間と新幹線の区間が同じのため、1枚に集約されている。
乗車券が4,000円、新幹線指定席特急券が4,400円の計8,400円である。

ところが突然、別の計画を実行したくなってしまった。
今回、“長浜鉄道スクエアと九頭竜線の旅”の旅がボツになってしまったため、
来年の夏休みにこの計画を実行しようと思ったが、
青春18きっぷの5回(人)分のうち、
この計画を実行したとして残り3回(人)をどうしようかと考え、
いくつか事前に考えていた計画を見直していて、
そのうちのひとつの“松線と武豊線の完乗”だった。
この計画を見直しているうちに、今回の残りの1回(人)分に、
この計画を当てようかと思い始めていた。


 3.青空フリーパスの2つの計画−8分の攻防

青空フリーパスはJR東海が発売している企画切符で、
土曜、日曜、祝日などに発売され、価格は2,570円である。
これで普通列車普通車自由席が1日乗り放題になる。
フリー区間は東海道本線二川駅から米原、関西本線の亀山まで、
紀勢本線の紀伊長島まで、中央本線の木曽福島駅まで、高山本線の下呂まで、
そして武豊線全線、太多線全線、名松線全線、参宮線全線である。
そのほか、伊勢鉄道線にも乗車可能で、これで快速「みえ」も利用可能になる。

この切符の存在は入院中に病棟に置いてあった雑誌で初めて知り、
いろいろと調べてこの切符で“名松線と武豊線の完乗−青空フリーパスの旅”を企画した。
この企画は名古屋で乗り換える快速「みえ51号」に乗り換えが可能かどうかで、
乗り換え時間は8分で、この時間で青空フリーパスを購入しなければならない。
今はみどりの窓口に並ばなくても券売機で購入できることになったが、
東海道新幹線「のぞみ1号」の到着と同時の8分なので、
券売機も人が並ぶ可能性もあり、一旦改札を出てこの切符を購入して再入場し、
快速「みえ51号」に乗り換えが可能かどうかは微妙である。
そこで“名松線と武豊線の完乗−青空フリーパスの旅”は、
快速「みえ51号」に間に合う場合と間に合わない場合では、
そのあとの計画が大幅に変わってくる。
そこで間に合う場合と間に合わない場合の2つの計画を作成した。

 名松線と武豊線の完乗−青空フリーパスの旅 プランA

   ※プランA 快速「みえ51号」に間に合った場合

 東海道新幹線「のぞみ1号」で名古屋まで行き、
 8分の乗り換え時間で青空フリーパスを券売機で購入、
 07:43始発の快速「みえ51号」で松阪[まで行く。
 09:38松阪始発の名松線の全区間を乗り潰し、伊勢奥津から折り返して松阪に戻る。
 4分の乗り換えで紀勢本線で亀山まで行き、ここで昼食を喰う。
 14:24亀山始発の関西本線快速で1時間11分で名古屋まで戻り、
 20分の乗り換えで東海道本線で武豊線の大府まで行く。
 大府から折り返して三河安城で下車し、駅取材する。
 17:44三河安城発の東海道新幹線「こだま672号」で東京に戻る。

 名松線と武豊線の完乗−青空フリーパスの旅 プランB

   ※プランB 快速「みえ51号」に間に合わなかった場合

 東海道新幹線「のぞみ1号」で名古屋まで行き、
 43分の乗り換え時間で名古屋駅の券売機で青空フリーパスと、
 帰りの松阪から名古屋までの快速「みえ20号」の指定席券を購入、
 始発の関西本線でまず亀山まで行き、紀勢本線で松阪まで行く。
 先に昼食を済ませ、13:09始発の名松線で伊勢奥津まで往復、
 松阪で7分の乗り換え時間で快速「みえ20号」に乗り込み名古屋まで戻る。
 夕食後、20:11発の東海道新幹線「のぞみ52号」で東京に戻る。
 この計画では最初から武豊線の取材は諦めているので、
 こちらを実行した場合のミッション名は、
 正確には“名松線の完乗−青空フリーパスの旅 ”となる。

この計画はいつか実行しようと思いながら、ずっと保留になっていた。
青空フリーパスは伊勢鉄道線にも乗車可能であり、
名古屋から松阪に行くには伊勢鉄道線を使うのが近道になる。
青春18きっぷは伊勢鉄道線には乗れないため、
これを回避した計画が可能かを考えてみた。


 4.青空フリーパスから青春18きっぷへ−計画変更と払い戻し

伊勢鉄道線を使わずに名松線を完乗するとなると、
必然的に武豊線の完乗は不可能になる。
そこで最初は行きも帰りも亀山経由で名古屋から往復する計画を立ててみた。
しかしそれではあまり面白くないので、豊武線を断念した代わりに、
同じく全区間未乗車だった草津線を乗り潰し、京都から変える計画を考えた。
しかしそれでは接続が良くなく、上手く繋がらない。
そこで逆転の発想で始めに京都からスタートし、草津線を乗り潰して亀山にアクセスし、
紀勢本線から名松線を乗り潰しルートで検討し、
最終的には以下のような計画を策定した。

東海道新幹線「のぞみ1号」で京都まで行き、東海道本線で草津まで移動する。
草津線を完乗して柘植まで行き、関西本線で亀山まで行く。
ここから紀勢本線に乗り換え松阪まで行って昼食を取る。
午後から名松線を伊勢奥津まで往復して松阪まで戻り、
再び紀勢本線で亀山まで行き、関西本線で名古屋まで出る。
夕食後、東海道新幹線「ひかり534号」で東京まで戻る。

最初は来年以降の青春18きっぷの旅のためになんとなく考えたのだが、
作りながらすぐに実行したいという思いが膨らみ、
予定していた7月29日土曜日の“水郡線完乗の旅”を中止しても実行したいと思った。
既に“水郡線完乗の旅”は企画も完成、
それに併せて東北新幹線「やまびこ125号」の切符も購入していたが、
これをキャンセルしても名松線の旅を実行しようと思った。

7月5日水曜日の出社前に幕張駅の指定席券売機で、
行きの「のぞみ1号」の京都までと、
帰りの「ひかり534号」名古屋からの指定席特急券と乗車券を購入した。
しかしこの時指定席券売機の操作を間違えて、行きの京都の乗車券を往復で買ってしまった。
慌てて払い戻しの手続きをしたが、券売機では出来ずに窓口に行くように表示されてしまった。
仕方がないので、帰りの乗車券は改めて名古屋から買い直し、
往復で買ってしまった京都までの乗車券はみどりの窓口で払い戻しをすることにする。

7月8日土曜日は昼番の土曜日直だったため、
その前に津田沼で昼食を喰い、そのあとJR津田沼駅のみどりの窓口に行く。
まずは“水郡線完乗の旅”のために購入した東北新幹線「やまびこ125号」の切符を払い戻した。



東北新幹線「やまびこ125号」の東京から郡山までの乗車券は4,000円、指定席特急料金は4,400円、
合計で8,400円で、乗車券、特急券それぞれに払戻手数料として550円がかかった。
往復で買ってしまった東京から京都の乗車券は1回までは乗車区間変更が可能であり、
手数料はかからずに東京都区内から京都市内の片道に変更できた。


 5.強行突破の幕張駅と丸の内での検印−旅の始まり

7月29日土曜日、一週間前と同じ時間に起床し、同じ初電で東京を目指す。
JR総武線幕張駅の上り1番電車は04:40である。
この時間に併せて幕張駅に行ったのだが、改札は無人だった。
先週はちゃんと駅員が立っていたのだが、今日は誰も居ない。
多分宿直の駅員は1人か2人だろうから、
ほかの仕事があると窓口が無人になることもあるのだろう。
仕方がないので有人口を強行突破して入場する。
まだ空は薄暗いが、それでも曇り空ということは分かる。



今は自動改札なので基本的に改札は無人でも成り立つのだろう。
総武緩行線で秋葉原まで行き、京浜東北線で東京まで出る。
東京の到着時間は05:27で、新幹線の改札が開くまで3分ある。
そこで一旦改札を出て新幹線切符で再入場する。
先週は八重洲口から出たので今日は丸の内南口の有人改札で、
青春18きっぷの2回(人)のところに、
「ありがとうございます JR東日本 7.29 東京駅(A)」の検印して貰い出場する。



そのまま丸の内駅舎を取材する。
何時の間にか駅の絵の工事用ゲートが半分撤去され、駅舎の中央部が撮影できるようになっていた。
以前は駅の直前までタクシー乗り場があり、なかなか全景を撮ることが出来なかったのである。
丸の内駅舎の全景を十分に撮影してから新幹線用に買った東京から京都までの切符で再入場する。



先週は岡山までの3時間以上の旅だったためグリーン車を取ったのだが、
今回は京都までで2時間8分の乗車時間だったため普通車にした。
新幹線改札口から東海道新幹線構内に入場し、ホームに上がって売店で駅弁を購入、
06:00始発の「のぞみ1号」4号車7番E席で京都を目指す。



駅弁「深川めし」を喰い、うとうとしているうちに名古屋に着いており、
目的地の京都に到着したのは08:08だった。


 6.膳所の小雨と蝉の聲−琵琶湖線と草津線

京都に到着して一端改札外に出て新幹線改札口から在来線外札口に行き、
青春18きっぷで再入場、東海道本線上りのホームに降りて電車を待つ。
東海道本線のうちJR西日本管区とJR東海管区の境界駅である米原から京都までと、
北陸本線米原から長浜までは琵琶湖線という愛称が付けられている。
また京都から大阪までが京都線、大阪から神戸までが神戸線と、
JR西日本管区の東海道本線にはそれぞれの愛称が付けられている。
関西地区の人は把握しているのだろうが、
関東から行くと愛称名の路線がどの区間か分からなくなる。
予定通り08:22の野洲行きに乗り込んで草津を目指す。
蒸し暑くて駅に到着してドアが開く度に蝉の鳴き声が聞こえる。
真夏の中を走っていると思っていたら、膳所に着く当たりから小雨が降り始めた。
雨の心配をしながら23分で草津に到着する。
草津に到着した時には既に雨が止んでいた。
ここでの乗り換え時間は11分で無理して駅舎取材をするかどうか迷っていると、
電光掲示板で特急「ひだ」が発着することを知り駅舎取材を断念、
キハ75特急「ひだ」の車両取材をすることにした。



このあと草津線用のホームに移動して全区間の乗り潰しを目指す。
草津線に関しては途中の貴生川は近江鉄道本線と信楽高原鉄道が接続しており、
近江鉄道乗り潰しでこの駅を取材したことはあるが、
草津線に関しては全区間が未乗車だった。
今回名松線の乗り潰しのために敢えて京都から接続しようとしたのは、
この草津線の乗り潰しをこの機会に実行しようとしたからである。
JR西日本が管理コスト削減の意味合いもあって地域で統一色化を進めており、
京都・北近畿地区の地域統一色では深緑色が採用されており、
草津線でもこの塗色を纏った113系4両編成が充当されていた。



車内はそれほど混雑しておらず、53分かけて終点の柘植まで行く。
柘植は関西本線と接続する駅であり、東海道本線と関西本線を結ぶ路線として機能している。
ただ、柘植での関西本線との接続は悪く、42分の待ち時間になっていた。


 7.柘植の静寂と大混雑の関西本線

柘植まで乗ってきた113系は少しの間駅に停まっていたが、
乗客を乗せると11:00に草津に向けて再び走り出した。
柘植は単式1面1線と島式1面2線の計2面3線の地上ホームを有し、
更に側線もあるという中核の駅であるが、列車が居なくなると当たりは静寂に包まれた。
十分に駅取材したあと、駅前を散策することにした。
ここでの乗り換え時間は42分で駅前には1件だけ喫茶店があるのだが、
松阪で昼食予定だったのでここでは食事はせず、駅付近を散策した。
近くに池があったので行ってみたが、ただの普通の池だった。



芸能人の旅番組では何気なく行った場所に新たな出会いや感動が待っていたりするのだが、
実際の旅では駅前を散策しても特に何も起こったりはしない。
特に何もないということを確認するに行くのが本来の旅の姿なのかもしれない。
もう暫く行くと辺り一面田んぼになり、その先には名阪高速道路が見える。



大和街道を越え、玉林寺の手前まで行ってそろそろ列車の時間が気になりだし、戻ることにする。
駅に戻って入場し、2番線、3番線の島式ホームで関西本線上り列車の到着を待つ。
関西本線は名古屋からJR難波までの174.9kmの路線で、
名古屋から亀山までがJR東海、亀山からJR難波までがJR西日本の管区となり、
JR東海の区間とJR西日本の加茂からJR難波まで馬電化されているが、
亀山から加茂の区間は非電化であり、
JR西日本がローカル線区向けに開発した気動車キハ120系が充当されている。
ホームで待っていると紫の関西本線と色を纏ったキハ120系がやってくる。



これに乗り込んで吃驚したが、車内は立ち客がいるほど混雑していた。
非電化区間で1両での運用だったためそれほど混んでいないだろうと鷹を括っていたが、
実際には旅行客が多くかなり混んでいた。
23分で亀山に到着、ホームの反対側にはキハ25形1500番台、1600番台2両編成が停車していた。
これはキハ25形の紀勢本線、参宮線用の車両である。
乗り換え時間は13分あったが駅舎から遠いホームでの乗り換えだったこともあり、
車両取材のみで11:16始発の紀勢本線で松阪を目指す。
2015年に落成したばかりで乗り心地も良く、49分の旅はゆったりとしていた。
12:05に松阪に到着し、昼食を喰うために改札の外に出る。
松阪では昼食休憩を含めて1時間4分の乗り換え時間を設定していた。


 8.松阪での断念と9分遅れの接続発車

松坂での乗り換え時間1時間4分でこの時間に昼食を喰うことにしていた。
事前にネットで調べて「支那そば北熊・三重本店」で喰うこととして、
事前に地図をプリントアウトしていたためすんなり場所に行けたが、
店は順番待ちの人が多く座っていてかなり時間がかかりそうだった。



このあとの予定は名松線の往復だが運転本数が少ないため、
予定変更すると帰りの新幹線が間に合わない。
そこでここでの食事は泣く泣く諦めて別の店を探すことにした。
北口から踏切を渡って中央口側に渡り、駅前で昼食を食えるような場所を探した。
いくつか候補を事前に調べていたが駅から少し距離があるため、
駅前でないと名松線の発車に間に合わない。
駅前を散策しているうちにどんどん時間がなくなり、
仕方がないので駅舎内の立ち喰い蕎麦店「汽笛亭・松阪店」で天ぷらうどん330円を喰う。
喰い終わってから青春18きっぷで入場するが、
まだ名松線の車両が到着していなかったので少し車両取材する。
松阪駅はJRと近鉄が共同使用しており、
中央口はJR東海が管理、北口は近鉄が管理している。
中間改札がないため青春18きっぷでも近鉄のホームに入ることが出来る。
そこで近鉄のホームに行って30000系「ビスタEX」新塗色を取材する。



12:54に松阪に到着した名松線のキハ11系に乗り込んで発車を待つ。
予定では13:09発車だったが出発時間になってもドアが閉まる気配がない。
車内アナウンスがあって、関西本線の列車の遅れでが発生しており、
亀山から発車した紀勢本線下りとの接続を取るため15分くらい遅れるとのこと。
伊勢奥津での折り返しには35分あるため、
たぶん15分くらいの遅れなら折り返しの待ち時間の短縮で解消できるだろう。
名古屋でも乗り換えに1時間9分を確保していることもあって、
帰りの新幹線の時間には影響ないと判断してそのまま名松線の旅は続行することにした。
実際には9分の遅れで紀勢本線下りと接続し、キハ11系は伊勢奥津を目指して発車した。


 9.土砂降りの名松線と伊勢奥津のもてなし

9分遅れで松坂を発車した名松線のキハ11系は伊勢奥津を目指す。
時刻表上は1時間24分の予定だったが発車時間が遅くなったため、
家城での停車時間を短縮することによって時間調整していた。
通常の予定では13:46に家城に到着、13分の停車時間で13:59に発車する。
遅れて到着した家城では停車時間を短縮して予定通り13:59に家城を発車していた。
途中、激しく雨が降り出し遠くに雷光も確認できたが、
伊勢奥津に到着する頃には雨も止んでいた。
激しい雨で伊勢奥津で外に出るのは不可能かと思ったが、
曇りではあるものの駅取材は可能だった。
名松線は2009年10月9日の台風18号の影響で、
落石や土砂崩れ、路盤の崩壊など40カ所の被害を受けて全線運休、
松阪から家城までは10月14に運転再開したものの、
家城から伊勢奥津は被害が大きいためにバス代行が続いていた。
JR東海では廃線も検討していたが、地元自治体が復旧工事の費用を負担、
その後の維持管理も地元自治体が負担することを条件に復旧が決まり、
2016年3月26日のJRグループのダイヤ改正に併せて運転が再開、漸く全通した。
伊勢奥津から先も路線延長の予定はあったが、実現することはなかった。



蒸気機関車時代の給水塔も今は蔦が絡んで時代の流れを感じさせた。
伊勢奥津には駅に隣接して津市伊勢奥津駅前観光案内交流施設「ひまわり」があり、
時間があったので覗くとお茶をサービスしてくれた。
蒸し暑い時だったので有り難かったし、
こういう気の使い方がリピーターの発掘に繋がっていくのだと思う。
予定通り、15:08発の折り返しに乗り込み松阪を目指す。
行きは時間調整で十分な停車時間がなかったが、
帰りはダイヤ通りの時間だったため家城での停車時間は13分あり、
庫裡時間を利用して駅取材する。
以前、家城まで部分再開した時もここで駅取材したが、
駅前に不通区間の代行バスが駐まっていたためうまく駅取材できず、
どうしてもここで駅舎の再取材したいと思っていたのだ。
名松線は家城から伊勢奥津まではスタフ閉塞となっており、
松阪から家城までも通票を使用するため、この駅で通称交換が行われる。



下りと上りの列車が並び、駅員がが津お互いの運転手から通称を受け取り交換して発車させる。
構内踏切には遮断機はなく、駅員がチェーンで下り列車が到着の時だけ踏切を通行禁止にする。
自動閉塞が全盛の現在で通票交換を見られるのは貴重である。
家城を出た名松線キハ11系は予定通り16:34に松阪に到着した。


 10.亀山の向日葵と名古屋での断念−旅の終わり

松阪での乗り換え時間は17分だったが、
伊勢市から来た上り列車は松阪に16:34に到着、これは名松線の松阪到着と同時だった。
つまり亀山行きの列車は既にホームにあるため、そのまま乗り込む。
暫く松阪に停車していた紀勢本線上りは16:51に亀山に向かって発車した。
亀山で関西本線上りに乗り換えて名古屋を目指すが、
ここでの乗り換え時間は17分あり、既に名古屋行きの電車が停車していたため、
荷物を置いて座席を確保し、そのまま駅の外に出て駅取材を強行した。
駅前には鳥居があり、家に帰ってから調べたら能褒野神社の一の鳥居ということが分かった。
能褒野神社は日本武尊を主祭神とする神社で、
古事記などでは日本武尊は能褒野で死去したとされている。



駅前には向日葵が咲いていて、夏を十分に堪能できた。
関西本線は亀山から名古屋までは電化路線であり、電車が運転されている。
立ち客がいるほどの混雑で、1時間20分かけて漸く名古屋に到着する。
名古屋での乗り換え時間は1時間9分あり、
この時間を使って名古屋駅前の名鉄百貨店の9階にある「矢場とん」に行き、
夕食としてここの名物のわらじとんかつ定食を喰うことになっていた。
しかし実際に行ってみると長蛇の列で、列の半分まででの着席まで20分と書かれていた。
これでは1時間でここで夕食を喰うことは不可能と判断し、
同じフロアにある「文化洋食店・名鉄百貨店本館」で、
ハンバーグ・デミソース1,296円、スープセット540円など喰う。
JR名古屋駅まで戻ってお土産など買い、新幹線改札口を潜る。



ホームに上がって新幹線到着直前に売店で一番搾り・名古屋づくりを購入、
東海道新幹線「ひかり534号」の12号車18番E席に着席する。



名古屋から東京までは1時間44分で、ビールを飲み干してうとうとする。
新横浜まで来て目を覚ますと車窓は土砂降りの雨だった。
「とほほ・・・。」な気持ちで東京まで行き、在来線改札口に出る。
総武快速線で津田沼まで出て総武緩行線に乗り換えて帰る。
津田沼まで戻った時には雨は降っていなかった。





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