青春のリグレット−久留里線と東金線の旅




 1.2016年、青春のリグレット

青春18きっぷは1983年から発売されている、
主に学生が長期の休みに入る春、夏、冬に発売される企画切符で、
期間中の5回(人)に快速を含む普通列車普通席に一日乗り放題になる。
この切符は今までにも何度も使ってきたが、特に夏にはほぼ毎年のように利用してきた。
2016年の夏にも青春18きっぷを利用した旅を企画した。

この年は4月に職場を転勤したばかりで夏季休暇についても状況が分からず、
事前に根回しも出来ない状況だったため主に日帰りを中心とした企画を組んだ。

そして当初企画したのが2回(人)分を使い、1泊で関西本線完乗の旅で、
残りの3回(人)分で日帰り旅行を3回するというもの。
その三回分には以前から企画を考えていた、
吾妻線新線切り替え後の完乗を目指した吾妻線の旅、
畜電池車を充当した烏山線と東武宇都宮線完乗の旅、
そして残りの1回(人)分は土曜当直の日に、
その前に久留里線と東金線を乗り潰すというものだった。
しかし久留里線と東金線の旅は決行日近くになって別の企画に差し替えられた。

それが津山扇形車庫と宇野線の旅である。
以前は事前に申し込んで抽選で当たった人に公開していた津山扇形車庫だが、
有料の常設鉄道保存施設「津山まなびの鉄道館」に生まれかわり、
どうしてもこれを早く見たいと思って宇野線の乗り潰しと絡めた計画を立てた。
青春18ふっぷは1枚で5回(人)を使うことになっているので、
企画の組み合わせでどうしても端数が出てしまい、
それを埋め合わせするために日帰りの企画をいくつか用意しているのだが、
2016年の夏の企画が完成してからもいくつか日帰りの旅を考え、
その中のひとつが津山扇形車庫と宇野線の旅だったのである。
しかしそれを今すぐ決行したいと思い、久留里線と東金線の旅と差し替えた。
久留里線と東金線の旅は新幹線や飛行機を使うことなく、
青春18きっぷだけで旅を完結できるため、ドタキャンしても損失がない。
逆に久留里線と東金線の旅の企画は青春18きっぷでなくても、
休日おでかけパスでも実行することが出来る。
そこで2016年夏の青春18きっぷでは津山扇形車庫と宇野線の旅を決行し、
久留里線と東金線の旅はボツにしてしまった。

2017年夏の旅でも2泊3日と1泊2日の旅を計画したため、
日帰りの旅を差し込むことが出来なかった。
結果として家庭の事情で全ての旅の予定を中止し、
更に事情が好転して2泊3日の旅を再計画したが、
1泊2日の旅の方は宿がどうしても取れずに日帰り旅を2回(人)に変更した。
しかしその時にも井原鉄道と水島臨海鉄道の旅と草津線と名松線の旅を優先し、
久留里線と東金線の旅は実行することはなかった。

そこで2017年の夏の終わり、9月9日土曜日に久留里線と東金線の旅を決行することにした。
当初は土曜日直に併せて内房線から久留里線を往復し、
木更津に戻って朝食を喰ってから改めて千葉から東金線経由で成東に行き、
ここで昼食を喰って千葉に戻り、そのまま土曜日直に出社するという計画を立てていた。
しかし今回は土曜日直に参加する訳ではないので、
当日帰宅できるのなら夜まで掛かってもいい。
そこで計画を組み直し、先に東金線の乗り潰しをしてから久留里線の完乗を実行することにした。


 2.前倒しの旅の始まりと納豆定食な朝食

久留里線と東金線の旅を決行する2017年9月9日の計画では、
土曜日直を考慮せずに一日フルに使えるために早朝から行動する必要はない。
そこで千葉駅構内の飲食店が開店する7:00a.m.に併せて千葉に行き、
そこから先に東金線を往復、内房線で木更津に行って昼食を喰ってから久留里線を乗り潰す。
この計画に沿って6:00a.m.に起床、予定では07:18に乗るつもりだったが、
思ったよりも早くも支度ができたため、06:48に乗ることにした。
その前に幕張駅の指定席券売機で休日おでかけパス2,670円を購入する。




総武緩行線で千葉駅に出て、ここで朝食を喰うことにする。
山手線から転籍してきたE231系500番台を撮ろうと思ったが、
やはりまだ運転本数が少なかったため運良く遭遇することはなかった。
7:00a.m.まで粘ったが撮影できず、構内の「そばいち」に行く。
ここはNREが運営する蕎麦専門店で、
それまでの駅蕎麦のようにうどんと蕎麦が両方注文できるのではなく、
蕎麦のみのメニューで専門性を演出、うどんの設定はない。
店に行くまではかき揚げそば430円を喰うつもりだったが、
ここに朝食用の定食の設定があることを知り、急遽それを注文することにした。
朝10:00a.m.までの限定メニュー朝定390円である。



ご飯、かけそば、生玉子、納豆のセットである。
蕎麦も納豆の小降りで朝食に喰うのにはちょうど良い。
納豆はあまり好きではなく、普段は積極的に喰わないのだが、
今回はあまり深く考えずにオーダーしてしまった。
考えてみると普通の納豆朝定食の味噌汁を掛けぞばに変えただけかもしれない。
予定では08:00始発の東金線経由の外房線に乗ることになっていたが、
出発が早かったため1本早い07:33に乗り込み成東を目指すことにする。


 3.「とほほ・・・。」な成東と木更津駅での極秘ミッション

大網経由の成東行きは07:33に千葉駅を出て外房線を大網まで行く。
209系2000番台2100番台が充当されていて、
種車は京浜東北線に投入されていた209系基本番台である。
10両編成から4両編成、6両編成に組成変更され、
さらに制御車はロングシートからセミクロスシートにアコモ改造されている。
番台区分が2000番台と2100番台に分かれているのは、
ドアエンジンの違いによるものである。
京浜東北線は根岸線にも乗り入れていて使用される車両も多く10両編成78本が在籍、
これを4両編成42本、6両編成26本に組成するにあたり、
状態が良いものを種車にしたこともあり基本番台の製造順とは無関係に改造された。
京浜東北線、根岸線の基本番台は205系との入れ替えに数年を要したため、
途中でドアエンジンが空気式から電気式に変更された。
圧縮空気を利用してドアの開閉を行う空気式からリニアモーターを利用した開閉に変更されたのだ。
基本番台は1次車、2次車が空気式、3次車以降が電気式に変更になっているが、
幕張車両センターに転籍された時には改造順と順番が混在になってしまったため、
車両番号からずくに分かるように空気式は2000番台、電気式は2100番台に区分されている。

大網から大きくカーブを描いて東金線に入り、
単線のために東金で列車交換で4分待ち、08:22に漸く成東に停車する。
成東は2005年にも訪問していたが、2008年に駅舎が改造されていた。
しかし南口の駅前広場の整備が始まっており、駅舎がうまく取材できなかった。



駅に設置されていた掲示物によると完成は平成30年3月となっている。
訪問するのが少し早かったのかもしれない。
「とほほ・・・。」な気持ちのまま、再入場して08:00に千葉駅を発車した列車の到着を待つ。
この列車は08:47に成東に着き、15分の停車のあと09:02に再び千葉に向かう。
上りの東金線、外房線で同じルートを戻り、09:46に千葉に到着する。
予定では10:15発の内房線で木更津に向かうことになっていたが、
09:49木更津行きが3分の乗り換え時間であることに気付き、間に合ったためにこれに乗る。
26分前倒しで内房線に乗車して46分で終点の木更津に到着する。



木更津で昼食を喰う予定になっていたが10:35に到着したため飲食店のランチタイムには早過ぎる。
そこで鉄道乗り潰しの旅人は全く関係がないが、別のミッションを先に決行することにした。
それは木更津駅を発着している路線バス日東交通のバス案内所に行く。
かつて木更津にある会社に通勤していたが、急に転勤になってしまったため回数券が余ってしまった。
木更津駅西口のアクア木更津B館に1階外にあるバス案内所でそれを換金する。
換金ルールは使用残から販売価格を差し引いた額に手数料210円が引かれる。

 100円券 10円×11枚残(使用0枚)=100円
 100円券 10円×3枚残(使用8枚)=20円
 600円券 60円×6枚残(使用5枚)=300円
 600円券 60円×10枚残(使用1枚)=540円
 600円券 60円×11枚残(使用0枚)=600円
 2000円券 200円×11枚残(使用0枚)=2000円
 2000円券 200円×11枚残(使用0枚)=2000円
 2000円券 200円×10枚残(使用1枚)=1800円
 2000円券 200円×10枚残(使用1枚)=1800円

合計9,160円−210円(手数料)=8,950円が返金された。
1冊ずつ手数料が掛かるのかと思っていたが、まとめて210円が掛かっただけだった。
このあと漸く昼食を喰うことにする。


 4.観音堂の見える喫茶店と久留里線の旅

日東交通のバス案内所の窓口の担当者が思わずぼやいていたが、
こんなにたくさんの回数券を一度に換金したことはないらしく、
メモ用紙とそろばんを使って何度も計算し、その分時間が掛かってしまったが、
おかげで11:00a.m.を少し超えた時間になり、ランチタイムにちょうど良くなった。
自然にネットで調べておた洋食店に向かったが、開店時間になっても「準備中」のままだった。
仕方がないので東口の駅前を散策して昼食を喰える店を探し、
駅前の喫茶店「ラビン」で特製日替わりランチ880円を喰う。
この喫茶店は窓から観音堂が見える。



この観音堂は木更津駅を建設した時に多くの人骨が発見されたことにより建てられたもので、
人骨は幕末の官軍と幕府の残党との戦いで戦死したものであったという。
開業当時の木更津駅では事故が多発したこともあってこの観音堂が建てられた。
木更津駅からバスで通勤していた時には駅員が揃ってお参りしている姿をよく見かけていた。
昼食を終え木更津駅に再入場し、久留里線に乗り込む。
久留里線は過去にも2回乗車したことがあるが、当時はキハ30、キハ37、キハ38だった。
しかし国鉄時代の気動車が淘汰され、今はキハE130形が投入されている。
今回はこの久留里線用キハE120形100番台の取材も目的だった。
木更津駅は幕張車両センター木更津派出が併設され、側線に久留里線の気動車が留置されている。



キハE130形はJR東日本のキハ100形、キハ110形に続く標準型気動車で、
キハE120形が片運転台、キハE130形が両運転台である。
基本番台が水郡線に投入され、続いて投入された久留里線では100番台に付番されている。
余談だが、八戸線に500番台が投入予定である。
12:06始発の久留里線に乗り、終点の久留里を目指す。


 5.青春の残り火とピーターパンな旅の終わり

12:06に木更津駅を出たキハE130形は46分かけて久留里まで行く。
以前はタブレット閉塞だったが、今は信号機が設置されてそれに従って走る。
久留里線は横田、久留里で車両交換をする単線であり、
以前はこの2つの駅でタブレット交換が行われていた。
久留里線は木更津から久留里までが千葉県営鉄道久留里線として1912年に建設され、
1923年に国有化され、将来的には木原線と接続することになっていた。
1936年に久留里から上総亀山まで延伸されたが、
その先上総中野までは建設されず、大原から敷設した木原線の区間は廃止され、
第三セクターのいすみ鉄道に転換された。
久留里から木更津始発で1日17本設定されているが、
そのうち12本が久留里止まりで終点の上総亀山まで行く設定は1日5本しかない。
12:06始発の列車も久留里止まりだった。



久留里駅まで乗ってきた列車は暫く止まっていて、
次の下り列車が到着するのを待って木更津行きとして発車する。
ホームで待っていると上総亀山行きのキハE130形が2両編成で到着した。



久留里から先は居住者も少なく、利用者も少ないと思ったが、
木更津から来た列車はかなり混んでいて立ち客もいたほどだった。
久留里で乗り込んだ時には分からなかったが、
終点の上総亀山で下車した時にその理由がなんとなく分かった。
この駅は無人駅のために運転手が下車する客から切符を回収するのだが、
その時に青春18きっぷを提示して下車する客が結構いた。
そう云えば青春18きっぷの夏季の利用期間は7月20日から9月10日までで、
9月94日はまだ青春18きっぷの利用期間だったのだ。
特に首都圏から新幹線などを利用せずに青春18きっぷだけで来られる久留里線は、
最後に残った1日分の消化のためにはちょうど良い路線と云える。
たぶん、残った1日分を使い切るためにここに客が集まったのだろう。
15分の停車で折り返し、1時間9分で木更津まで戻る。
予定では一度君津まで行き、始発で千葉まで戻ることにしていたが、
大分前の調べだったのか予定していた列車が運行されておらず、
15:45久里浜行きの快速でそのまま千葉まで行くことにした。
JR千葉駅では9月7日木曜日にペリエ千葉の2階から7階が開業しており、
その2日ごということもあってかなり混んでいた。
3階にも直接出られる改札口が設置されていたが、SuicaなどのICカード専用だった。
構内のピーターパンJrでパン2個を購入する。



総武緩行線で帰宅し、家に戻ってからフォカッチャドッグと塩バターロールを喰う。
今日、東金線と久留里線の久留里から上総亀山までを乗り潰し、
これで漸く千葉県内の全ての旅客路線を乗り潰すことが出来た。





REI RINGONO travelnotes
All rights reserved,
Copyright (C) Semisweet Apple Company and REI RINGONO 2018

inserted by FC2 system