寄らば大樹の陰−リバティとSLの旅




 1.鬼怒川温泉日帰りの旅−突然の計画中止

今まで鉄道取材の旅は全て個人行動であったが、
今回初めて仕事関係の仲間が一緒に行きたいと熱烈にお誘いを受け、
いろいろと考えて計画したのが鬼怒川温泉日帰りの旅であった。
東武鉄道に2017年4月に登場した新型特急「リバティ」に乗りたいと相談を受け、
いろいろと調べて鬼怒川温泉への日帰り旅を企画したのだ。
今回鉄道の旅を一緒に行きたいと持ち掛けてきたYさんの希望は、

 ○新型特急「リバティ」への乗車
 ○特急スペーシアの個室の利用

であった。
そこで東武鉄道のホームページを隈無く見て以下のような計画を立てた。

09:00浅草始発の特急「リバティ会津111号」で2時間7分の旅を愉しみ、
鬼怒川温泉で下車して4時間36分滞在する。
帰りは15:43鬼怒川温泉始発の特急「きぬ138号」で2時間2分の旅で浅草に戻る。
帰りの「きぬ138号」の車体は100系「スペーシア」を使用しているため、
ここで個室を予約してゆっくりと戻ることにする。

決行は土曜日で当直の予定のない日ということで、6月17日土曜日に決まった。
特急「スペーシア」の個室は東武鉄道お客様センターでの電話しか取れないとのことで、
計画に合わせて1ヶ月前の5月17日水曜日、
朝からずっと東武鉄道お客様センターに電話を掛け、11:14a.m.に漸く繋がる。
時間が経ってしまったので特急「スペーシア」の個室は無理かなと思ったが、
まさかの全て予定通りの予約が出来た。
翌日の5月18日木曜日、早めに家を出て船橋まで行き、
東武船橋駅有人改札横の案内所で予約番号を告げ、昨日予約した切符を購入する。

 ○特急「リバティ会津111号」浅草発−鬼怒川温泉着
  ※運賃1,550+特急料金1,440=2,990円×2名分=5,980円
 ○特急「きぬ138号」鬼怒川幹線発−浅草着
  ※運賃1,550+特急料金1,440=2,990円×2名分=5,980円
  ※個室料金3,700円/室

切符も購入できてあとは6月17日土曜日を待つだけとなった。
しかし家庭の事情で突然この日にどうしても外せない用事が出来てしまった。
仕方がないのでYさんに謝罪し、この日の予定は中止にして、
一週間前の6月10日土曜日に船橋に出て切符の払い戻しをする。
こうして鬼怒川温泉日帰りの旅はお蔵入りとなってしまったのだった。


 2.SL「大樹」の登場と新たなる旅の計画

その後お蔵入りのまま数ヶ月が過ぎ、
再びY氏から前回の旅行の計画を再開できないかと相談を受ける。
この時はまだ家庭の事情も漸く安定してきたところだったので、
前回と同じ計画を再度実行しようと思い、
11月の3連休のあとの11月18日土曜日に決めた。
ダイヤ改正などがないか確認するため、
もう一度時刻表を見ていてあることに気付いた。
2017年8月10日よりSL「大樹」が運行されていたのだ。
前回計画した6月の段階ではまだ運行されていなかったが、
今回はこれを上手く絡めないかと考え、計画を練り直した。

SL「大樹」はJR北海道所属のC11形207号機を借り受け、
さらにJR貨物、JR西日本から緩急車、JR四国から客車、
JR東日本からDLを譲り受けて編成された観光列車である。
東武鬼怒川線の下今市から鬼怒川温泉までを休日に3往復している。

 09:02下今市−大樹1号−09:38鬼怒川温泉
 13:00下今市−大樹3号−13:36鬼怒川温泉
 16:32下今市−大樹5号−17:08鬼怒川温泉

 11:08鬼怒川温泉−大樹2号−11:41下今市
 14:35鬼怒川温泉−大樹4号−15:09下今市
 18:09鬼怒川温泉−大樹6号−18:43下今市

前回の計画では09:00浅草始発の特急「リバティ会津111号」に乗り、
11:07に鬼怒川温泉で下車、4時間36分を過ごし、
15:43鬼怒川温泉始発の特急「きぬ138号」で浅草に戻る。
鬼怒川温泉到着と大樹2号の接続は1分で乗り換えはほぼ不可能である。
いろいろと考えた結果、大樹3号なら十分に間に合うのでこれを狙うことにした。
従来の予定では約4時間半の間に日帰り入浴を愉しむことにしていたが、
それを犠牲にすれば大樹に乗ることが出来るのではないか。
そこで特急「リバティ」の車両取材を十分にする意味もあり、
浅草で乗り込む列車を「リバティ会津」から「リバティけごん」に変更、
東武日光駅付近で昼食を喰い、普通列車で下今市まで行って駅取材する。
09:00浅草発の「リバティ」は6両編成で、
下今市で会津田島行きの「リバティ会津」と東武日光行きの「リバティけごん」に分かれる。
特急「リバティけごん」は1時間54分で10:54に東武日光に到着する。
ここで昼食を喰い、12:30東武日光の普通列車8分で下今市まで行く。
SL「大樹3号」への乗り換えまで22分の時間がある。
ここで駅取材してからSL「大樹3号」で鬼怒川温泉まで行く。
もしSL「大樹3号」の指定席が取れなかったら下今市で車両取材だけして、
普通列車で鬼怒川温泉まで行き、
前回の予定で乗ることにしていた特急「きぬ138号」で浅草まで戻る。
この予定に合わせて10月18日水曜日に、
東武鉄道お客様センターに朝から電話して指定席を予約する。
懸念していたSL「大樹3号」も特急「きぬ138号」の個室も取ることが出来た。
約1時間ずっと電話して漸く繋がったが、全部予定通りに取れて良かった。
その日の出社前に船橋に行き、東武野田線船橋駅で予約していた特急券と乗車券を購入する。
これで改めてSL「大樹」と特急「リバティ」を愉しむ旅の計画が完成した。


 3.雨の予報と曇天のスカイツリー−旅の始まり

11月18日土曜日の1週間前から当日は雨の予報になっていて、
それは当日まで変わらず、朝起きた時は雨は降っていなかったものの、
曇天のままでの旅の始まりとなってしまった。
予定では07:04の上り電車で浅草橋まで行くことにしていたが、
早めに支度ができたため06:41で津田沼まで行き、
「松屋・津田沼南口店」で朝食としてソーセージエッグ定食を喰う。
07:14始発で浅草橋まで行き、都営浅草線で浅草まで出る。
特急「リバティ」発車の1時間前に浅草に到着し、まずは雷門に行く。



まだ時間が早いためかそれほど人出はなかったが、
それでも外国人を中心に自撮り棒で写真を撮る観光客が見えた。
まだ時間があったため吾妻橋の麓から隅田川沿いに出て、
東武鉄道の鉄橋やスカイツリーの写真を撮る。



この段階でポツポツと雨が降り出し、この先も天候は絶望的になったと思った。
写真を撮り続けているとY氏から連絡が入り、
撮影を中止して東武鉄道浅草駅の改札口に向かう。
Y氏と落ち合い、一旦駅舎を出て近くのコンビニに行き、
車内で飲み食いするビールやおつまみを購入する。
事前に購入していた切符で東武鉄道浅草駅の改札を潜る。
既に09:00始発の特急「リバティけごん11号」は入線していた。
これに乗り込んで荷物を置き、単独で車両取材する。
東武浅草駅はビルの2階部分にホームがあり、
屋根に囲まれているため自然光での車両取材は出来ない。
不十分なままの車両取材のまま再び特急「リバティ」に乗り込んだ。


 4.特急「リバティ」と東武日光の昼食

特急「リバティ」は東武鉄道が26年ぶりに投入した新型特急であり、
形式名500系の愛称であり、2017年4月1日に運行を開始した。
基本編成3両で2本を連結して6両での使用も可能である。
新型車両だけあって車内の居住性も良く、約2時間快適な旅が出来た。
特急「リバティけごん11号」3両編成は特急「リバティ会津111号」3両編成と連結して、
6両編成で09:00に浅草駅を静かに出発した。
大きなカーブとともに隅田川をゆっくり渡り、スカイツリーの麓まで行く。
空は暗雲に包まれており、今にも雨が降り出しそうである。
とうきょうスカイツリーの次は北千住に停車、
そこから春日部、栃木、新鹿沼と停車し10:42に下今市に停車する。
下今市で日光線と鬼怒川線に分かれて運行される。
先頭の3両は「リバティ会津」として会津田島まで運行される。
残された後ろの3両が「リバティけごん」として東武日光に向かう。
5分の停車時間で2つの車両を分割し、ポイントを切り替える。
連結器が連結したまま貫通路の幌を自動で格納、仕切り扉が左右別に閉じる。



貫通扉が完全に閉まると特急「リバティ会津」の出発が告げられ、
連結器を自動開放して会津田島に向けて発車していく。
残り3両で東武日光線の終点東武日光に7分の最後の旅に出る。
10:54に東武日光に到着、ホームに少し残って車両取材する。



ここまで乗ってきた500系特急「リバティ」や隣の100系スペーシアを撮影していると、
普通車用の2番線ホームに会津鉄道の気動車が2両編成でやってきた。



東武日光は終着駅なので頭端式が採用され、全てのホームに平行移動できる。
3面5線構造になっているが、3番線が欠番になっているため、
1番線、2番線はホーム長が4両分しかなく、普通列車が使用する。
4番線から6番線はホーム長を確保するために、
駅舎の脇に線路を延ばすことで6両分を何とか確保しており、特急はこちらに停車する。
そのため普通車と特急用の間には中庭が設置されている。
十分に車両取材してから改札を出る。
東武日光で昼食を喰ってから普通列車で下今市に向かうが、
乗り換え時間は1時間36分あり、十分に時間が取ってある。
そこで駅前を散策して目に付いた「かまや〜カフェ・デュ・レヴァベール」に入店する。
Y氏は名物だという数量限定のNIKKO丼、自分はかまや特製ハンバーグセットを喰う。
食後に少し駅舎で休んでから再び改札を入場する。


 5.SL「大樹3号」の旅−あっという間の36分

東武鉄道日光線はPASMOが導入されているためSuicaが使えるが、
Y氏はSuicaやPASMOを持っていなかったため、切符200円を購入した。
既に新栃木行きの普通列車6050系は2番線に停車していた。
ボックス席タイプでこれに乗り込み8分で下今市に到着する。
雨の心配をした旅の始まりだったが、
曇天なもののここまでほとんど雨は降っていなかった。
下今市には12:38に到着した時には既にSL「大樹」が側線に入線していた。



乗り換え時間は22分でSuicaで入場したために一端改札を出て駅取材する。
駅舎もSL「大樹」運行に併せてレトロモダンに改築されていて、
待合室にも昔ながらのコーラの販売機などが設置されていた。



但し、これはオブジェで実際にはコーラは販売していない。
事前に購入した鬼怒川温泉までの切符で再入場する。
駅の中で待っているとSL「大樹」が煙を吐きながら入線してきた。



SL「大樹」は下今市から鬼怒川温泉までの12.4kmを36分かけて走る。
車内ではアテンダントが観光案内から物販販売までをこなす。
更に手書きのSLアテンダント通信というパンフレットを配っていた。
車内検札の時に乗車記念証が渡された。



SL「大樹」3号乗車記念証と書かれていることから、
別の列車では絵柄が違うのかもしれない。
車内販売でSL大樹黒バニラアイス300円を買って喰う。
味はバニラアイスなのだが、色は石炭をイメージした黒だった。
13:30に下今市を発車したSL「大樹3号」は30分かけて東武ワールドスクエアに到着した。
東武ワールドスクエアは同施設の最寄り駅として2017年7月22日に開業した。
更に6分で終点の鬼怒川温泉に到着する。
あっという間に鬼怒川温泉まで到着、少し物足りなさも感じたが、
それくらいがちょうど良いのかもしれない。


 6.転車台の「大樹」と個室での帰京−旅の終わり

鬼怒川温泉に到着したSL「大樹3号」は客を降ろすとホームから出て行った。
それを見送って改札を出て駅取材していると、駅前にアナウンスが流れる。
それによるとこれから転車台で「大樹」を牽引したSLの回転をやるという。
鬼怒川温泉駅前には転車台が設置され、C11形207号機の方向転換を見せる。
これはすごく良いアイディアだと思った。
本来は機関車の方向転換などは車庫などでこっそりとやるものだが、
それを公開することで観光資源としようとは良い考えである。
転車台の前でY氏と待っていると、遠くから汽笛が聞こえてくる。
そして車庫のあると思われる方向からC11形207号機がゆっくりやってくる。



C11形207号機の後方には車掌車が連結され、そこにも乗務員がいる。
ゆっくりと転車台に乗りロックされる。
何故車掌車が連結されているのか疑問だったが、
転車台の上に乗った状態で初めて気付いた。
機関車に車掌車が連結された状態で転車台の寸法にちょうど良いのである。
転車台は機関車本体の後ろに炭水車を連結したテンダー車の寸法に作られているため、
石炭や水を機関車本体に搭載している小型のタンク車では寸足らずになってしまうのである。
それでも勿論いいのだが、転車台のギリギリまで乗せることで観客との距離が縮まるし、
その分迫力も出せることになるため車掌車を連結したのだろう。
転写台に乗ったC11形207号機と車掌車は回転をはじめ、途中で止まって汽笛を鳴らす。
汽笛にはそれぞれ意味があってアナウンスでそれを解説する。
停まることで写真を撮りやすくしているのかもしれない。
回転を終えるとまたゆっくりと車庫に戻っていった。



これを見送ってまだ1時間半以上時間が残っていたのでY氏とともに駅前を散策、
偶然見つけた「れすとらん八家」でバウムセットでブレイクする。
それでもまだ時間が余ってしまったので駅まで行って待合室で時間を潰す。
帰りは15:43鬼怒川温泉始発の特急「きぬ138号」で帰ることになっている。
早めにホームに入って列車の入線を待った。



特急「きぬ138号」は100系「スペーシア」109編成が充当されていた。
東武鉄道は100系「スペーシア」を2011年からリニューアルが実施してきた。
109編成は2012年2月6日に「粋」編成に改造それ、
窓枠のラインも「隅田川の水をモチーフとした淡いブルー」に変更された。
今回はスペーシアに1両だけ連結されている個室をY氏と折半で予約していた。



やはり個室だとゆったり出来るし、椅子に座りっぱなしの移動よりはリラックスできる。
2時間2分で浅草まで戻り、帰りに一杯飲もうということになり、
東武鉄道浅草駅の駅前にある「神谷バー」に入ろうとした。
しかし満席で名前を書いて待たされることになり、
駅近くの別の店を探し「魚きち」で子持ちししゃもや中トロでビールを飲む。
解散してから神谷バーの売店でデンキブランを購入し、
都営浅草線で京成線直通で青砥まで行き、京成本線で京成津田沼、
京成千葉線に乗り換えて帰る。





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