明知鉄道と長良川鉄道の旅




 1.九州完全制覇の旅の計画と挫折

2017年8月28日、全日空からお知らせメールが来る。
そこには「本日が翌年3月24日までの『旅割』の販売がスタート」と書かれていた。
“旅割”はANAが販売している早期割引の航空券で、
搭乗日からの期間で割引率が変わってくる。
当然早ければ早いほど割引率が高くなり、

 旅割75/予約・購入開始日から搭乗日の75日前まで
 旅割55/予約・購入開始日から搭乗日の55日前まで
 旅割45/予約・購入開始日から搭乗日の45日前まで
 旅割28/予約・購入開始日から搭乗日の28日前まで
 旅割21/予約・購入開始日から搭乗日の21日前まで

の各設定があり、更にタイムサービスの旅割Xまである。
このメールを見て、以前から考えていた計画をこれを持って実施してみようかと思った。
それは九州の鉄道の未乗車区間を一気に乗り潰す計画である。
この時点で九州の未乗車区間は、

 JR筑豊本線/若松−直方
 熊本電気鉄道・菊池線/北熊本−御代志
 福岡市地下鉄・七隈線/橋本−薬院

の熊本と博多の3路線になっている。
そこで1泊2日で土曜日に熊本に降りて熊本電気鉄道を乗り潰し、
九州新幹線で当日博多に移動してここで1泊する。
日曜日に筑豊本線の若松線という支線扱いの区間を乗り潰し、
午後から地下鉄を乗り潰して福岡から空路で帰京する。

この計画に合わせてその日の夜中にANAのホームページにアクセスし、

 2月17日土曜日 07:10羽田空港−ANA3711便−09:10熊本空港
 2月18日日曜日 19:25福岡空港−ANA268便−21:00羽田空港

のチケットを旅割75で予約、座席を指定してクレジット決済した。
博多に宿泊することとして前回使ったホテルルートイン博多駅前に予約を取ろうとした。
しかしこの時点では予約を開始しておらず、少し待つことにした。
時折ホテルルートイン博多駅前のホームページにアクセスし、
予約が開始されるのを待っていたがなかなか開始されず、
3ヶ月前の12月になってもネット予約が開始されない。
不安になり近隣のビジネスホテルに検索をかけてみたが、満室だった。
もしかしたら何らかのイベントがあるのかもしれない。
博多でホテルが探せないので折尾や小倉、さらには熊本でも探したが、
3ヶ月前ということもあって頃合いのホテルが探せなかった。
ここで九州完全制覇の旅は断念するしかなく、
予約したANAのチケットも手数料を払ってキャンセルした。


 2.代替の新たなる旅の計画

2月17日土曜日は旅行に行くことにしていたため、
会社でも日直を入れないように半年前から調整していたのだが、
その予定が完全になくなってしまった。
しかし折角休みを確保したのだから代替の案はないかと思い、
いろいろ迷い最初は北陸第三セクターの旅を考えた。

これは1年前、2017年2月に企画していた計画で、
土曜日に千葉発の特急「あずさ3号」で南小谷まで行き、大糸線で糸魚川まで行く。
ここでえちごトキめき鉄道のフリーパス購入で日本海ひすいラインを乗り潰し、
糸魚川駅近辺のホテルで一泊して夕食はご当地B級グルメ“糸魚川ブラック焼きそば”を堪能、
翌日曜日はあいの風とやま鉄道とIRいしかわ鉄道共通一日乗車券を購入、
富山での路面電車取材も絡めて金沢まで行き、北陸新幹線で帰京する。
しかし2016年12月22日午前に発生した糸魚川大河で中断を余儀なくされた。
火災から1年が経ち、糸魚川の街も少し落ち着いてきたと考え、
1年前に予定していた糸魚川のテルジオパークにホームページ経由で予約を入れた。
しかしよく考えてみると日本海に面した糸魚川に2月に行くということは、
雪を想定しなければならないということで、厳しいかもしれない。
予定では雪で列車が遅延は運休した時のことを考えて計画されているが、
それでも春になってから計画を遂行した方が楽であることには変わりない。
少し気持ちが萎えてきたところに新たな計画を思いついた。

もともと日帰りで考えていた長良川鉄道の乗り潰しを考えていた。
06:00東京発の「のぞみ1号」で名古屋に行き、中央本線で多治見、
多治見始発の太多線で美濃太田まで移動する。
美濃太田から北濃までを繋ぐ長良川鉄道越美南線を乗り潰しする。
帰りは高山本線経由で岐阜まで移動、東海道本線で名古屋まで戻って新幹線で帰京する。
しかし日帰りでの往復だと美濃太田まで辿り着くのに時間が掛かるため、
日帰りの計画を1泊2日にすることで途中下車も可能になる。
これとは別に会社の会議で名古屋に1泊する予定があり、
前々日に家族の不幸があって急に欠席することになったことがあったが、
この時に翌朝帰京する新幹線に乗らず、東海交通事業・城北線を喰いながら乗り潰し、
三河安城まで移動して駅取材してから名古屋に戻って帰京することにしていた。
東海交通事業・城北線の乗り潰しをすると美濃太田まで行くのは厳しくなるが、
敢えて「こだま」に乗れば三河安城で下車することも可能になる。
乗り潰しでいえば愛知環状鉄道の岡崎から八草までが未乗車になっている。
そこで三河安城から東海道本線で岡崎まで移動、愛知環状鉄道で高蔵寺まで一気に乗り潰し、
中央本線を多治見まで移動し、太多線で美濃太田まで行く。
翌日、長良川鉄道・越美南線を乗り潰し、さらに美濃市で途中下車して駅取材することにする。
これは行けるのではないかと思い、これで計画を立ててみることにした。


 3.計画決定−3つの第三セクターの乗り潰し

改めて計画を立て直し、1日目の中央本線で多治見まで移動する前、
そのまま乗り越して恵那まで行き、明知鉄道の乗り潰しが可能であることに気付いた。
そこでこの予定を加えてミッション名も“明知鉄道と長良川鉄道の旅”と決定、
美濃太田に一泊することにして計画を立案した。

  2月17日土曜日

 06:33東京発の東海道新幹線「こだま631号」で2時間25分で三河安城まで移動、
 駅取材後に青空フリーパスを購入して東海道本線で岡崎まで移動して駅取材する。
 ここから別料金で愛知環状鉄道で高蔵寺まで移動してここで昼食を取る。
 中央本線で恵那まで行き、明知鉄道・一日フリー切符を購入して終点まで往復する。
 中央本線で多治見まで戻り、太多線で美濃太田まで行って一泊する。

  2月18日日曜日

 ホテルで朝食を喰い、チェックアウトして長良川鉄道1日フリーきっぷを購入する。
 長良川鉄道越美南線で美濃市まで行き、廃線になった名鉄美濃駅を取材、
 そのあと終点の北濃まで行ってここで昼食を喰い、美濃太田まで戻る。
 帰りは高山本線L特急「ワイドビューひだ14号」で名古屋まで戻り、
 東海道新幹線「のぞみ244号」で帰京する。

美濃太田にはルートイン美濃加茂があり、
ホームページで確認したところここは予約が可能であった。
そこでこのホテルを予約、17日土曜日の幕張から三河安城までの乗車券と、
東海道新幹線「こだま631号」の指定席特急券を1ヶ月前、
1月17日水曜日の出社前に幕張駅の指定席券売機で購入した。
翌日の18日木曜日の美濃太田から幕張までの乗車券と、
美濃太田から名古屋までのL特急「ワイドビューひだ14号」と、
名古屋から東京までの東海道新幹線「のぞみ244号」の指定席特急券を、
1月18日木曜日の出社前に津田沼で下車し、みどりの窓口で購入した。
それ以外の乗車券は当日購入することにした。
2月17日土曜日のJR区間は青空フリーパス2,570円をみどりの窓口で購入、
愛知環状鉄道は切符870円を券売機で購入、
明知鉄道は一日フリー切符1,380円を購入する。
2月18日日曜日は長良川鉄道は1日フリーきっぷ2,700円を購入する。
ホテルを押さえ、切符を購入し、あとは当日を待つだけとなった。
今回は天気予報もずっと“晴れ”のままで、雨の心配はなさそうだった。


 4.東海道新幹線「こだま」と青空フリーパス−旅の始まり

2月17日土曜日、初電から3本目の05:14の総武緩行線に乗り込む。
今回は共通のフリーきっぷはなく、その都度切符を購入することにしていたため、
幕張から三河安城までは前売りの切符を購入していた。



空は天気予報通り雨は降っていなかったが、朝が早い分寒さは厳しかった。
秋葉原で京浜東北線に乗り換え東京まで行く。
東京駅の東海道新幹線改札口でここまでの切符と新幹線の特急券を重ねて通過する。



東京での乗り換え時間は28分で、まだ「こだま631号」はまだ入線していなかった。
売店で「必勝出陣弁当」1,050円とお茶を買い、入線を待って乗り込む。
「こだま」でもN700系が充当されていていたが、
「のぞみ」とは違って自由席が多く設定されていた。
それ以外にも「のぞみ」との違いは車内販売もなければ自販機さえ設置されていないこと。
事前に売店で購入して持ち込まなければならない。
今回は新幹線停車駅でありながらまだ未取材だった三河安城で在来線に乗り換える計画のため、
敢えて各駅停車の「こだま」に乗り込むことにした。
乗車時間は2時間25分で、「のぞみ」なら2時間22分で新大阪まで行ける。
距離的には東京から名古屋の手前の三河安城までの営業キロが336.3km、
新大阪は552.6kmなので、約6割りの距離を行くのに各駅停車だとほぼ同じ時間になる。
逆に「のぞみ」のスピードと移動距離が驚異的だとも云える。
駅弁を喰いながらそんなことを考えていると08:58に漸く三河安城に到着する。
三河安城は新幹線と在来線の両方にホームのある駅だが、
新幹線と在来線が斜めに交差しており、交差地点より少し東寄りにホームが設置されている。
そのため新幹線と在来線の駅舎は独立しているが、連絡通路で繋がれている。
新幹線駅舎の北口と南口を取材し、連絡通路を歩いて在来線駅舎まで行く。
そのまま改札には入れるが一旦外に出て駅舎取材してから窓口に行く。
ここで青空フリーパス2,570円を購入する。



余ったオレンジカードがあったので使えるか訊いてみたところ、
既に窓口での支払では使用不可だが、券売機ではまだ使えるとのこと。
青空フリーパスは土曜、日曜及び年末年始にのみ発売されるJR東海の企画切符で、
その範囲も名古屋を中心に武豊線、名松線、参宮線、太多線、関西本線の全区間、
東海道本線の二川から米原と美濃赤坂支線全区間、飯田線の豊橋から飯田まで、
紀勢本線の亀山から紀伊長島まで、中央本線の名古屋から木曽平沢まで、
高山本線の岐阜から下呂までのほか、伊勢鉄道伊勢線も全区間が利用できる。
そのため快速「みえ」の自由席も利用することが出来る。
この切符で上り方面に約10分、岡崎まで移動する。
予定では三河安城での乗り換え時間は29分で09:28に乗り込む予定だったが、
ギリギリ09:15に間に合い、これに乗り込む。
この前倒しの乗車がこの先の予定に大きく影響することになっていく。


 5.前倒しの愛知環状鉄道の完乗と計画変更

愛知環状鉄道は東海道本線岡崎から中央本線高蔵寺を結ぶ第三セクターである。
もともとは岡崎から多治見までを結ぶ路線として計画され、
岡崎から新豊田までは敷設され、1976年4月26日からは旅客営業されていたが、
1986年5月27日に第3次特定地方交通線として廃止が承認され、
同年8月11日に第三セクターに転換去ることが決定、9月19日に設立された。
未成線の瀬戸線として建設されていた瀬戸市から高蔵寺まで、
及びこの二つの路線を繋げて岡崎から高蔵寺までの区間を建設、
1988年1月31日に全区間が愛知環状鉄道に転換された。

三河安城で予定より1本速い09:15に乗り込み、岡崎まで行く。
当然岡崎での乗り換え時間も36分の予定が48分に増えた。
この時間を使って岡崎駅の駅舎取材を敢行する。



早めに開始したため東口、西口と十分に取材し、駅に戻る。
予定では10:14の愛知環状鉄道で高蔵寺まで行くことになっていたが、
1本前の09:55に間に合ったためにこれに乗ることにした。
予定通りだと11:29に高蔵寺に着くことになっていたが、
約20分前倒しの計画だと11:00a.m.過ぎに到着する筈だ。
それても昼食に予定していた洋食店は11:00a.m.開店のため問題はない。
愛知環状鉄道は青空フリーパスの範囲外のために切符を購入する。



JRの券売機の端に愛知環状鉄道の券売機がありそこで切符を購入する。
岡崎駅は橋上駅舎化されていて、単式1面1線と島式2面4線のホーム構造になっており、
単式ホームが0番線に付番され愛知環状鉄道専用のホームがある。
ここには中間改札もあったが切符の提示を求められることはなかった。
JRから直接乗り換えるための有人改札なのだろう。
ホームで待っていると愛知環状鉄道2000系が入線してくる。



愛知環状鉄道2000系はJR東海313系をベースに設計されている。
既存の車両と基本設計を同一にしているために部品コストなどが抑えられる。
しかし前面窓や作業員用の足掛けなど違いもある。
09:55に岡崎を発車した2000系は1時間18分で高蔵寺に到着する。
ここでは青空フリーパスで改札を出てしまったため、愛知環状鉄道の切符は手元に残った。
高蔵寺到着は11:13で予定していた「Kitchen Ichimatsu」に行き、
国産デミグラスソースのハンバーグランチ1,100円を喰う。
サラダとコーンポタージュスープが選べるようになっていてスープをチョイスする。
このあとの予定では12:18高蔵寺発の中央本線で恵那に行くことになっていたが、
前倒しで予定をこなしていたため、このあと予定を変更して大曽根まで戻れないか、
スマホで時刻表を検索して料理が提供される間に計算してみる。


 6.中央本線の完乗と瑞浪での下車

高蔵寺で昼食に入った「Kitchen Ichimatsu」で料理が提供されるのを待っている間、
スマホで時刻表を検索して大曽根まで戻れないかを検討してみる。
予定ではこのあと恵那まで行き明知鉄道を往復、多治見まで戻って太多線に乗り換える。
しかし高蔵寺から大曽根まではまだ中央西線で未乗車で、
時間があるのならこの区間が乗り潰し出来ないかと思い計算してみた。
事前の予定では12:18の上りで恵那に行き、29分の乗り換えで明知鉄道に乗り換える。
そのあとのことも考えると13:40恵那発の明知鉄道の予定は変更できない。
つまり13:40までに恵那まで行ければ大曽根まで戻ることを強行してもかまわないということだ。
時刻表で見てみると13:28に恵那に到着する列車がある。
12分の乗り換え時間があれば明知鉄道の窓口で一日フリー切符を購入時間も取れる。
この列車の大曽根の発車時間は12:37である。
この時間までに大曽根まで行くには12:08に乗らなければならない。
愛知環状鉄道で高蔵寺に到着したのは11:13で、店の前に着いたのは11:27a.m.だった。
計算しながらスープが出て来たのは11:36a.m.、ハンバーグが出て来たのは11:42a.m.だった。
20分で食べれば何とか大曽根まで往復は可能である。

  −事前の予定−

 12:14-18高蔵寺−中央本線・上り2719M(37)−12:55-56恵那[44]
 13:40恵那※−明知鉄道・下り11D(50)−14:30明智

  −変更後の予定−

 12:08-09高蔵寺−中央本線・下り5726M(12)−12:21-22大曽根[14]
 12:36-37大曽根−中央本線・上り5721M(50)−13:27-28恵那[12]
 13:40恵那※−明知鉄道・下り11D(50)−14:30明智

この予定で高蔵寺の駅に行くと列車が遅れていたみたいで、
1本前の11:56が5分遅れでギリギリ間に合ってしまった。
211系3000番台のロングシート車が充当されていて、これで大曽根まで行く。



この駅は以前ナゴヤドームに野球観戦に行った時に取材済みだった。
そのため再度駅取材する必要がなく、変更後の予定の12:37の1本前、
12:15の瑞浪行きにギリギリ間に合ってしまった。
そこでこれに乗って終点の瑞浪で緊急駅取材した。



12:53に終点の瑞浪に到着し、19分で駅取材し13:12の5271Mで恵那まで行く。
ここからは事前の計画通りに予定をこなしていくことになる。


 7.明知鉄道の完乗と突然の雪

明知鉄道は明知線を運営する第三セクター鉄道である。
明知線は静岡県掛川から愛知県大野、静岡県浦川、愛知県武節を経て、
岐阜県恵那に至る鉄道として計画された遠美線の一部として、
1933年5月24日に大井(現・恵那)から阿木までが部分開業、
1934年1月26日に岩村まで延伸、6月24日に明知(現・明智)まで延伸して全通した。
1981年9月18日に 第1次廃止対象特定地方交通線として廃止承認され、
それを受けて岐阜県や地元自治体が中心となり明知鉄道が設立、
1985年11月16日に国鉄明知線が廃止され、明知鉄道に転換された。

恵那での乗り換え時間は12分で、その間に改札の外には出ず、
JR中央本線と明知鉄道の中間改札から乗り換え、
窓口で明知鉄道・一日フリー切符を購入する。



価格は1,380円で明知鉄道全線が1日乗り放題になる。
硬券切符の形状をしており、明知鉄道の社章がデザインされている。
窓口で鋏を入れてもらい、ホームに行く。
既に13:40発の列車は入線しており、乗り込むと思った以上に混雑していた。
座席は既に埋まっており、立ち客もたくさんいてまるで通勤時間帯の車内のようだ。
運転手の車内アナウンスで分かったのだが、
クラブツーリズムの客が40人乗っているとのこと。
その多くが中国語を話していて、ここが日本なのかどうか分からない程だった。
団体客は途中の極楽で降りていった。
極楽はかつてこの地に極楽寺があったために名付けられたが、
駅自体は2008年に出来た新しい駅である。
特に目立つ観光スポットもない無人駅に何で降りていったのだろう。
駅前には大型観光バスが駐まっていたので、ここから直ぐにバス移動なのだろうか。
必要だから明知鉄道に乗ったというのではなく、
物珍しい地方の気動車というものに乗ってみたいということだったのだろう。
ここで40人の乗客が折りねと車内はガラガラになった。
これが本来の明知鉄道の姿なのだろう。
終点の明知まで行くとチラチラと雪が舞い始めていた。
明知での乗り換え時間は44分で、その間に駅取材をする。
駅前には「明智光秀公ゆかりの地」の石碑が建っている。



明智光秀が幼少時代を過ごしたとされる明知城があったとされるが、
1615年の一国一城令により廃城とされ、現存していない。
明智駅からは徒歩約20分の距離にあるようである。
続いて駅に併設されている車両基地に留置されている車両を撮影する。
側線にはアケチ6形が留置されていた。



アケチ6形はアケチ1形の増備車で車内がロングシートになった以外は同型である。
新型車両アケチ100形導入に伴って2017年3月に運用を終了した。
まだ正式に廃車されていないが何れは廃車解体されてしまうだろう。
また明智駅の車両基地には蒸気機関車C12形244号機も留置されているはずだが、
外から見える範囲に見受けられず、屋内に大事にしまわれているのだろう。
ここから再び恵那まで戻るために早めに15:14に乗り込んだが、
車内で発車を待っていると突然雪が本降りになっていた。


 8.美濃太田の夜と朝−長良川鉄道の旅

明智駅を出た時は本降りの雪が舞っていたが、恵那まで戻ると雪は止んだいた。
この天気の差が路線の勾配差を物語っている。
恵那での乗り換え時間は29分で、JR恵那駅も明知鉄道恵那駅も取材済みだったので、
特にやることもなく中央本線下りの名古屋行きを待つ。
中津川を発車した列車は16:31に恵那に到着、21分をかけて多治見を目指す。
多治見は中央本線と高山本線を結ぶ太多線の終着駅であり、
これに乗り換えて起点駅である美濃太田まで行くことにする。
乗り換え時間は29分で、この間に駅取材する。



駅取材が終わって早めにホームに行くと貨物列車が側線に停車しており、
機関車にはEF64形1034号機が連結されていた。
これを撮影してから太多線の車両に乗り込む。
中央本線は直流電化されているが、太多線は非電化でキハ75形が充当されている。
32分の乗車で18:01に美濃太田に到着する。
南口に出てホテルに行く前に事前に調べていた「太田飯店」に行き、
定食メニューの中からホイコーロー定食880円をオーダーする。
近くにコンビニなどはなく、仕方がないので駅の売店で日本酒やつまみなどを買い、
ネットで予約していたルートイン美濃加茂にチェックインする。



ホテルの自販機でビールなどを追加購入して部屋で飲む。
翌朝は5:00a.m.に起床して大浴場に行き、一番風呂を愉しむ。
昨日の夜は子供が多くは大はしゃぎしていたが、
翌朝は時間が早すぎたためか子供たちはおらず、それに付き合う大人たちもいなかった。
部屋に戻ってクールダウンし、6:45a.m.を待ってホテル1階の「花茶屋』に行き、朝食バイキングを喰う。



ウインナー、オムレツ、ハム、イカリング、芋餅、焼き鯖、麻婆豆腐、
美濃加茂やきそば、梅干し、昆布、味噌汁、小判、ヨーグルト、コーヒーなど。
昨日騒いでいた子供たちはたぶん小学生のソフトボール選手のようだ。
ユニフォームに着替えて朝食バイキングを喰いに来ていた。
“美濃加茂やきそば”はルートイン美濃加茂のホームページによると、
「かつて美濃加茂の福寿堂で提供されたやきそばをモデルとして作られた」もののようで、
ソースをあと掛けにするというスタイルが特徴のようで、
美濃加茂やきそば復刻会からの認定を受けているそうだ。
部屋に戻って歯を磨いてからルートイン美濃加茂をチェックアウトする。
コインロッカーで旅行用のバッグを入れ、カメラバッグだけを担いで長良川鉄道のホームに降りていった。


 9.旧美濃駅の保存車両と野口五郎

ホテルをチェックアウトして荷物をコインロッカーに預け、
美濃太田駅の長良川鉄道のホームに降りていく。
南口からJR東海が2面4線のホームが設置されているが、
長良川鉄道は4番線の北側に単独ホームがあり、
階段を降りたところに有人改札がある。
ここで長良川鉄道1日フリーきっぷ2,700円を購入する。



既に長良川鉄道越美南線の気動車は入線しており、まさかのナガラ303だった。
この車両は2012年5月にJRホームから車両取材済みだった。
08:58美濃太田発のこの列車で35分かけて美濃市まで行く。
ここで下車して次の「普通ゆら〜り眺めて清流列車1号」までの55分の間、
近くの名鉄美濃町線旧美濃駅を訪問する。
まずは駅取材してから徒歩で約5分の距離に名鉄美濃町線の終着駅美濃駅がある。



1999年3月31日をもって美濃町線が廃止され、その終着駅の美濃駅が保存された。
駅舎は2005年に国の登録有形文化財に指定された。
駅舎だけではなくホームとそれに接する線路も残され、3両が静態保存、
1両のカットボディがホーム上に設置されている。



行き先表示が「美濃」のモ510形512号、「徹明町」のモ600形601号、
カットボディでホーム上に設置されているモ870形876号。



路面電車タイプのモ590形593号も「徹明町」の行き先表示になっていが、
駅舎側は「関」になっていた。
さらに保存車両は車内には入れるようになっていたが、座席は撤去されていた。
運転席も直接見ることができるようになっている。



車両を十分に取材してから駅舎に戻り、少し中を見学する。
駅舎の改札口の上には営業していた当時の時刻表も残されている。



さらに駅舎の一角には野口五郎コーナーがあった。



美濃は歌手の野口五郎さんの出身地だそうで、
地元出身を応援するためにタレントを応援しようということなのだろう。
ポスターにレコード、さらには「私鉄沿線」の歌詞も提示されていた。
この楽曲の作詞は山路路夫氏で美濃町線をイメージしたとは思えないのだが・・・。
ここを十分に美濃市駅に戻り、10:28着の「普通ゆら〜り眺めて清流列車1号」の到着を待つ。


 10.ゆら〜り眺めて清流列車と豪雪の北濃

早めにホームに入って列車を待っていると大勢の年輩の女性が入ってきた。
ちょうどバスが着いて上り方面の列車に乗り込んでいく。
敗戦の噂もある長良川鉄道だが、
美濃市から美濃太田まではそれなりの需要もあるのだろう。
下り方面の列車は「普通ゆら〜り眺めて清流列車1号」として運行されており、
ナガラ503のロングシート車両が充当されていた。
アテンダントが乗り込んでおり、名所では徐行して解説していた。
また車掌も2人乗り込んでおり、乗客のサポートをしている。
彼らは途中の郡上八幡で降りていき、そこからは普通のワンマン列車になった。
雪は降っていなかったものの、進むにつれて積雪が増えていき、
終点の北濃に着いた時は1メートル以上になっていた。



雪掻きが終わっているところは歩けるけれど、ほかは歩くことは出来ない。
ホームの駅名標も半分以上隠れている。
予定では北濃での折り返し列車へ待ち時間は1時間8分として、
13:12北濃発の列車で美濃太田に戻ることにしていたが、
美濃太田で長良川鉄道1日フリーきっぷを購入した時、
窓口で貰った時刻表を見ると13:12北濃発の列車はなく、
北濃に到着の12:04で乗れる列車は12:40発でその次は14:34になっている。
どうやら時刻表を見間違えてしまったようである。
14:34だと美濃太田到着は16:48で、
これでは16:17の「ワイドビューひだ14号」には間に合わない。
12:40発の折り返し列車に乗り込むしかないようだ。
これだと折り返し時間は36分となってしまう。
予定では北濃駅から南に約340m下ったところにある、
「さんたべーる」というイタリアンに行くことにしていたが時間的に無理だ。
そこで駅に併設されている「花まんま」で軽く昼食を喰うことにした。



道側から見ると「麺類 御飯物」と書かれ、
更に写真入りで「郡上鮎ごはん」が紹介されていた。
店内には一般的な駅蕎麦店のようにそばとうどんのメニューもあり、
カウンターの前のテーブルには“きのこごはん”や“山菜おこわ”、
ほかにはおにぎりなどのパックに入った料理も売っており、
時間的な制約もあるのできのこごはん300円を買い、食堂内で喰うことにした。


 11.計画の失態と午後3時の夕食

事前の予定では13:12で美濃太田に帰る予定にしていたが、
実際にはこの列車は存在せず、時刻表を見間違えたことに下り列車の中で気付いた。
36分の乗り換え時間で駅併設の食堂で軽く昼食を済ませ、
12:40北濃始発の列車で美濃太田まで戻ることにした。
単線でここまで乗ってきたナガラ503が折り返し列車に充当される。



この列車で美濃太田まで戻るが、到着時間は14:45で、
このあと16:19発のL特急「ワイドビューひだ14号」に乗り込み名古屋に向かう。
しかし早めの移動で乗り換え時間が1時間37分になってしまった。
普通列車で名古屋まで移動なら1本早めの列車も考えられるが、
既に「ワイドビューひだ14号」の指定席特急券を購入済みのため、これを待つしかない。
それに北濃で予定していたイタリアンに行けずにパックのきのこごはんだけしか喰っていない。
そこでこの時間を利用してかなり早いが夕食を喰うことにした。
予定では帰りの新幹線の中で駅弁を喰うつもりだったが、
美濃太田は既に駅取材済みで特にやることもないので、早めの夕食を組み込むことにしたのだ。
帰りの列車の中でスマホでいろいろと調べたが、
ランチタイムの終わりの時間のためにほとんどの店が3:00p.m.に一旦閉店してしまう。
美濃太田に到着するのが14:45のために店に到着した時には閉店間近で、
入店するのは厳しいと判断できる。
また日曜日で営業している店も少なく、そうなると行ける店は限られてしまい、
チェーンのラーメン店である「しなとら美濃加茂店」に行くことにした。
営業時間は11:00a.m.から0:00a.m.でランチタイムとディナータイムの休憩時間もない。
この店でしなとららーめん650円、半チャーハンセット350円など喰う。
このあと駅に戻ってコインロッカーに預けていた旅行用バッグを取り出し、
売店でお土産などを買って美濃太田から幕張までの乗車券で入場する。



時間が早いのでこの駅に入線する車両の取材をして時間を潰す。
帰りの列車ですれ違った観光列車「なから」が戻ってきた。
これをJRのホームから取材した。
撮影していると車庫に回送されていった。



ここで十分に車両取材してから待合室に行き、
缶コーヒーで温まりながら16:19発の特急「ワイドビューひだ14号」の到着を待つ。
外は凍るように寒く、待合室はかなり混雑していた。


 12.遅延の「ひだ」と天むすの帰京−旅の終わり

美濃太田から名古屋までは高山本線経由と中央本線経由のルートがあるが、
行きは中央本線経由できたため、帰りは高山本線から帰ることにした。
高山本線で岐阜まで行き、東海道本線で名古屋まで戻る。
時間があれば普通列車で名古屋まで戻ることも可能だったが、
死刑各段階では時間がないと判断し、特急「ワイドビューひだ」で名古屋まで行くことにした。
16:17に美濃太田に到着し、2分の停車時間で次の岐阜まで行くダイヤだったが、
「発車ご案内」には「特急ひだ14号 16:19 名古屋 8両おくれ約5分」と表示されていた。



“おくれ約5分”・・・。
名古屋での乗り換え時間は29分取っていたため、
乗り換えできないことはないと思うが、
ギリギリに考えていたら危ないところだった。
待合室で待っていると漸く到着の構内放送があり、遅れていた列車が到着した。



L特急「ワイドビューひだ14号」は特急型気動車キハ85系が充当されている。
座席は指定席の2号車3番A席で、予想に反して車内は満席だった。



車内放送で知ったのだが、遅れは10分になっているとのこと。
そうなると名古屋での乗り換え時間は19分になってしまう。
勿論、直接乗り換えれば問題はないとは思うが・・・。
岐阜からはスイッチバックして東海道本線を名古屋までは走る。
名古屋で「ワイドビューひだ14号」を下車し、車両取材する暇なく新幹線改札に行く。
間違って「ワイドビューひだ14号」の切符を入れてしまい、自動改札が閉まってしまった。
名古屋からは東海道新幹線「のぞみ244号」で東京まで帰る。



既にラーメンと半チャーハンで夕食は済ませていたが、
おやつ代わりに待合室の売店で米飯手づくり天むすを購入、
乗車直前にホームの売店で一番搾り・名古屋づくりを買って入線した車内に持ち込む。



東京には時間通りの19:13に到着、21分の乗り換え時間で、
始発の総武快速線で津田沼まで行き、総武緩行線に乗り換えて帰る。





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