わたらせ渓谷鐵道完乗の旅




 1.わたらせ渓谷鐵道の設立と乗り潰し計画

わたらせ渓谷鐵道は国鉄特定地方交通線の第2次廃止線だった足尾線を転換し、
1989年3月29日よりわたらせ渓谷線を運行する第三セクター鉄道である。

足尾線は足尾銅山の鉱石輸送のために足尾鉄道に敷設された路線で、
1918年に国鉄に買収され国有化されたが、
1973年に足尾銅山の閉山とともに輸送量も減り続け、
国鉄分割民営化でJR東日本に継承され、
約2年後の1989年3月29日にわたらせ渓谷鐵道に転換された。

わたらせ渓谷鉄道は2003年5月17日に桐生から大間々まで行き、
ここで車両基地に留置されている車両の取材を結構したが、
大間々から先はまだ行ったことがなかった。
そこで日帰りで終点の間藤までの旅を企画したのだ。

しかしその話を以前、仕事関係で知り合ったY氏に話したところ、
一緒に行きたいということになり、5月27日日曜日に決行することにした。
最初は特急「りょうもう1号」で太田まで行き、
東武伊勢崎線の乗り潰しをして、
伊勢崎で両毛線に乗り換えて桐生にアクセスするルートを考えていたが、
これだとトロッコ列車「わっしー」には間に合わない。
そこで特急「りょうもう1号」で終点の赤城まで行き、
上毛電気鉄道で桐生にアクセスするというルートに変更した。
この計画に合わせて1ヶ月前の4月27日金曜日、
出社前に東武トップツアーズ船橋駅支店に行って船車券を購入した。
旅行会社で購入したため、“乗車券”ではなく“船車券”という表記になっていた。


 2.早朝の浅草駅と「りょうもう1号」−旅の始まり

2018年5月27日日曜日、5:00a.m.前に起床し、
総武緩行線で浅草橋まで行き、都営浅草線で浅草まで出る。



当日は雲も多かったものの雨はなく、まあまあの旅行日和だった。
Y氏とは6:30a.m.に東武浅草駅の改札前で待ち合わせた。



浅草駅06:50発の特急「りょうもう1号」で赤城まで出るとになっていたが、
まだ朝食を喰っていなかったため、
駅前のセブンイレブンでビールとサンドイッチを買う。
再び浅草駅に戻り、事前に購入した船車券で有人改札を入場する。



まだ列車は入線しておらず、ベンチで少し待つ。
入線した200系は早朝にもかかわらず、車両基地からの入線ではなく、
どこからか旅客列車として入線してきた列車で、
客が降りたあと清掃待ちが少しあった。
乗り込んでから隣のホームにスペーシア「日光詣」が入線してきたため、
いったん列車を降りてこれを取材、ふたたび「りょうもう1号」に乗り込む。
200系「りょうもう1号」は06:50に浅草駅を出発する。
浅草駅を出ると大きく右にカーブして隅田川を渡っていく。
厳密に云うと浅草駅のホームの段階で既に線路はカーブしている。
隅田川を渡り終えると東京スカイツリーのお膝元であり、
業平橋から改名したとうきょうスカイツリーに停車する。
このあと北千住、東武動物公園、久喜、館林、足利市、太田と停まり、
藪塚、相老と停車して08:51に終点の赤城に到着する。


 3.上毛電気鉄道と「わっしー」の整理券

赤城駅は東武桐生線の終着駅であるとともに、
上毛電気鉄道の途中駅でもある。
改札が共用のために駅の外には出ずにそのまま乗り換える。
特急「りょうもう1号」が赤城に到着したのが08:51で、
6分の乗り換え時間で上毛電気鉄道の下りに乗り換える。
上毛電気鉄道は電化単線でここで上下線が行き違いをする。
この機会に上下線の列車を取材して、下りに乗り込んで西桐生まで行く。
上毛電気鉄道には京王電気鉄道3000系を譲り受け、
2両編成8本の700型が使用されている。
全面のカラーもそれぞれの編成で分かれていて、
下り列車には第2編成デハ712+クハ722、ロイヤルブルーが充当されていた。
因みに上りは第1編成のフィヨルドグリーンが使用されていたが、
この編成は既に2014年11月20日に乗り潰しに挑戦した時に取材済みだった。
赤城から10分で終点の西桐生に到着する。
西桐生からJR上毛線の桐生までは約450mの距離である。
直接上毛電気鉄道に乗り換えたため、駅で乗り越し料金を払って改札を出る。
朝は曇っていたが桐生に到着する頃には日差しも見えてきた。
JR桐生駅は元JR足尾線だったわたらせ渓谷鐵道の起点駅でもあり、
ここで一日乗車券を購入することにしていた。
しかし桐生駅に到着して初めて気付いたのだが、
この駅にわたらせ渓谷鐵道の窓口はない。
たまたま居合わせたJRの職員に尋ねたところ、
わたらせ渓谷鐵道の一日乗車券もJRの券売機で購入出来るそうである。
そこでJRの券売機でわたらせ渓谷鐵道・一日フリーきっぷ1,850円を購入した。



トロッコ列車「トロッコわっしー1号」はホームに入場して、
車掌から直接購入できるとのことで早速に入場した。
桐生駅は島式1面2線の高架ホームで、1番線がわたらせ渓谷線に充当されている。
ここで車掌から整理券510円を購入した。


 4.わ鐵−2つのトロッコ列車と予定外の足尾

わたらせ渓谷鐵道には2つトロッコ列車がある。
以前からあった4両の客車をディー責め機関車が牽引する「トロッコわたらせ渓谷号」と、
2012年4月より運行を始めた「トロッコわっしー号」があり、
こちらは2両の気動車を連結された車両である。
1両は窓のないトロッコ列車でもうひとつは一般的な窓のある気動車となっている。
今回はこのトロッコ気動車「トロッコわっしー」で神戸まで行き、
ここで昼食後に一般車両に乗り換えて終点の間藤まで行く。
車掌から購入したトロッコ整理券は自由席扱いで、空いている席に座る。
トロッコが走り出すと社内に流れ込んでいる風が気持ちよい。
大間々では駅前に旧車両が展示されているのが見て取れた。
桐生から大間々までは2003年5月に乗ったことがあるが、
その先は未乗車で、今回の旅は間藤までの乗り潰しが主な目的であった。
間藤を過ぎると山の中を進んでいくことになり、車窓はみどりで溢れる。



09:30に桐生を出発した「トロッコわっしー1号」は56分かけて神戸に到着する。
神戸駅には東武鉄道のデラックスロマンスカーの中間車両2両を留置し、
列車レストラン「清流」が開業しており、ここで昼食を喰うことにしている。
「トロッコわっしー1号」は10:26に神戸に到着する。



因みに「神戸」は「こうべ」ではなく「ごうど」と読む。
事前の調べでは「レストラン清流」は11:00p.m.開店になっていたため、
34分の余剰時間があったため少し駅前を散策、
駅に戻って「清流」の車両取材をしたのだが、11:00a.m.前なのに既に開店していた。
そこで先に食事をすることとして「レストラン清流無題」に入り、
前から狙っていたやまと豚弁当1,030円とミニそば200円をオーダーする。
ここからは12:29神戸発の普通で終点の間藤まで行くことにしていたが、
レストランの入口に張ってあった時刻表で、
11:41に「トロッコわたらせ渓谷3号」があることを知る。
これはディーゼル機関車牽引の客車列車で、これに乗れたら乗ろうということになる。



入線してきた列車の車掌に交渉したところ、空きがあるということで、
ここでもトロッコ整理線510円を車掌から購入してトロッコ列車に乗り込む。
列車は足尾行きであるが、折り返しの列車に乗り込むためには通洞の方がいいと案内があり、
多くの乗客がここで下車して折り返し列車に乗り込むことにした。
終点の足尾では構内踏切をトロッコ列車が自ら遮り、
上り列車の発車を待たないと動かすことが出来ない。
これが通洞で上りを待った方がいい理由だったのだ。
上り列車が発車したあとでトロッコ列車が間藤側に移動していった。



これで構内踏切を通じて駅舎に出ることが出来る。
予定していなかった足尾駅の取材だったが、
駅前には気動車2両、貨車3両、それに作業用の車両などが静態保存されていた。
駅舎取材のあとに気動車キハ30形35号車、キハ35形70号車、
ガソリン専用タンク車タキ35811、濃硫酸専用タンク車29312
それに緩急車ヨ8928などを取材してもともと乗る予定にしていた列車を待つ。


 5.終着の間藤から相老の乗り換えと浅草でのまったり−旅の終わり

神戸で乗ったトロッコ列車が足尾に到着したのは12:27で、
もともと神戸で乗る予定だった列車が足尾に到着するのは13:01だった。
静態保存車両の取材を十分にして下り列車の到着を待ち、
ひと駅区間だけの旅を愉しみ終点の間藤に到着する。
間藤での乗り換え時間は23分で、駅取材して折り返し列車の準備を待つ。



列車のドアが開くのを待って座席を確保し、1時間17分かけて相生まで戻る。
行きは桐生から出発したが、帰りは相老で直接東武鉄道に乗り換える。
相老での乗り換え時間も23分あり、いったん改札を出て駅舎取材などする。
リニューアルしているみたいで以前取材した時とはイメージが違っていた。
15:08の特急「りょうもう32号」をホームで待つ。



入線してきた列車は200系208編成「普悠瑪デザイン」だった。
特急列車で1時間47分かけて浅草まで戻った。
16:55に浅草に到着、明日も仕事のために早めの帰京としたが、
それでもまだ時間が早いのでY氏が以前行ったという、
隅田川沿いの「Cafe W.E」に行く。



オープンデッキも備えていたが、ちょっと寒かったので店内に陣取る。
店名の「W.E」はホームページによると“WALL FOR EVERYONE”の略だそうである。
スカイツリーを眺めながらビールやソーセージを愉しみ、
Y氏と別れて都営浅草線で京成押上線経由で青砥まで行き、京成で帰る。




REI RINGONO travelnotes
All rights reserved,
Copyright (C) Semisweet Apple Company and REI RINGONO 2018

inserted by FC2 system