みちのくひとり旅



  1.横手職員の苦悩

横手職員は苦悩していた。
「きらきらみちのく」は八戸から大湊までの「きらきらみちのく下北」、
大湊から三厩までの「きらきらみちのく津軽」、
そして三厩から八戸まで戻る「きらきらみちのく八戸」に分かれている。
たぶん八戸から下北半島の最北端の駅大湊と、
津軽半島の最北端の地上駅三厩を巡る「きらきらみちのく」は、
コースを3つに分けることによって3倍の指定席料を徴収するという意図が、
JR東日本のダイヤ編成担当者にはあったのだろう。
しかしそのことが端末から指定席を予約するシステムを複雑にしていた。
JR埼京線浮間舟渡駅勤務の横手職員は、
端末を弾きながらこの3つの指定席を取るのに苦悩していた。
時刻表を開きながら、
「きらきらみちのく」というジョイフルトレインが存在するのを確認し、
更に去年12月から大幅に変わった北東北のダイヤ編成に翻弄されながらも、
窓口業務をスムーズにこなすために悪戦苦闘していた。
彼は「これはなんと読むのですか」と聞いてきた。
JR職員でも「三厩」は読めなかったらしい。
「『みんまや』です」と答えると、
「はあ、そうですか」と云ってまた端末を打ち始めた。
それでも此方が希望した1号車か3号車のC席をなんとかリザーブしてくれた。
「・・・下北」、「・・・津軽」、「・・・八戸」で、
全て座席の位置が変わってしまってはいたが・・・。

2002年12月11日水曜日、外勤に出て一番最初にJR浮間舟渡駅に行き、
1月11日からの3連休の三連休パスを購入する。
これは3連休の時に発売されるJR東日本の特別割引切符で、
3連休の間、JR東日本の新幹線を含む全ての列車が指定席を含めて乗れるというもので、
普通車用で\24,000になる。
当然去年12月に開業になった東北新幹線盛岡−八戸間を行く「はやて」にも乗れる。
そこでこの三連休パスで「はやて」を中心とした北東北の0泊3日の旅を企画した。
しかも今回は少し奮発してグリーン車用の三連休パスを購入した。
グリーン車用は普通車用より\4,000高い\28,000である。
今回は移動距離が長く、ひとつの車両に乗っている時間も長いので、
今回は奮発してグリーン車用を購入する。
しかし初日の「はやて」はグリーン車の席が取れなかった。
JR浮間舟渡駅に着いたのは10:20a.m.頃だったのだが、
予約開始20分で既にグリーン席が完売していた。
さすがにこの3連休には「はやて」で旅行する人が多いのだろう。
仕方がないので普通席で予約を入れる。
1月11日は「はやて1号」で八戸へ行き、
「きらきらみちのく」で下北半島の最北端の駅大湊と、
津軽半島の最北端の地上駅三厩を巡るコースを選んだ。
津軽半島には青函トンネルに竜飛海底駅があるが、これは普段は使われず、
青函トンネルに万が一のことがあったときの脱出用の駅なのである。
快速「海峡」がドラえもん海底列車として、
この竜飛海底駅から竜飛岬まで行くというツアーを開催したことがあるが、
それ以外にはこの駅は個人の意志で勝手に降りることは出来ないし、
それ以前にこの駅には基本的には停まらない。
つまり事実上の最北端の駅ということになる。
帰りの「はやて28号」はグリーン車の席を確保できた。

JRの指定席の予約は1ヶ月前からである。
つまり1月12日分は翌日の12月12日にならなければ予約できない。
翌日も朝一番でJR浮間舟渡駅に行き、1月12日分の指定席を取る。
少し早めに会社を出て10:07a.m.にはJR浮間舟渡駅に着いた。
1月12日は「とき305号」で新潟まで行き、
「きらきらうえつ」で鶴岡まで行って、
更に「いなほ3号」で秋田まで出る。
帰りは「こまち24号」で東京まで戻る。
「とき」、「いなほ」、「こまち」はグリーン車の席が全部取れた。
しかし問題は13日の分だ。
13日は再び「はやて」で八戸に行って車両取材を中心に活動する。
明日12月13日金曜日こそ、
10:00a.m.前にJR浮間舟渡駅に行ってグリーン車の予約を入れよう。

2002/12/15 14:34


  2.決戦は金曜日!

12月13日金曜日、ついに決戦の時は来た。
13日の金曜日といっても別にジェイソンと戦うわけではない。
1月13日分の「はやて」のグリーン車の座席を取るのが目的である。
三連休パスによる0泊3日の旅、その3日目は、
車両取材を中心に行動することにしている。
「はやて1号」で八戸まで行き、
ここで789系「スーパー白鳥」や、
「スーパーはつかり」用として2000年3月に投入されたE751系、
これは2002年12月のダイヤ改正以降、
運用が廃止された盛岡−青森間の「はつかり」にかわり、
「つがる」に転用されている車両などの取材をする。
「はつかり」に投入されていた485系改造車も、
「白鳥」や「つがる」として運行されているし、
更に新幹線開通によって第三セクター化された在来線用の車両なども、
取材の対象である。
「スーパー白鳥7号」で青森まで行き、
ここで秋田から五能線経由でやってきた「リゾートしらかみ」を捉える。
「白鳥22号」で八戸まで戻り、
更に追加取材して「はやて24号」で東京まで帰る。
今回は全ての新幹線や特急、
特に「はやて」で確実にグリーン席がリザーブできるように、
前日から早めに外勤に出られるように準備した。
そして朝一番でJR埼京線浮間舟渡駅まで行き、
予定していた席の予約を入れる。
JR浮間舟渡駅には10:00a.m.ちょうどに着いた。
座席の予約は1ヶ月前の10:00a.m.から出来るようになっている。
ギリギリで駅について予約を依頼する。
担当の佐久間職員は手早い操作で予約を入れていく。
13日の分に関しては全て予定通りに座席を取ることが出来た。
決戦には勝利した!
11日の「はやて1号」は普通席になってしまったものの、
前回の新潟旅行で予約が入れられなかった「きらきらうえつ」も、
去年東北新幹線八戸延伸に先行してデビューした「きらきらみちのく」も、
予定通り座席を取ることが出来た。
特に「きらきらみちのく」は1か3号車のC席を希望していたが、
それも叶えられた。
「きらきらみちのく」は1号車、3号車が2+1のシートアレンジになっていて、
C席はひとり掛け用で、
しかも座席が45度回転して風景を見安くしている。
車両からの写真撮影にはうってつけである。
因みに2号車は畳敷き仕様のボックスシートで、
靴を脱いで座れるようにスリッパまで用意してある。
0泊3日の旅はチケットを取るときから戦いは始まっている。
それにも12勝1敗2引き分けに終わった。
2引き分けというのは、
12日と13日は「すいごう」で東京から帰ろうと思ったのだが、
この特急にはそもそもグリーン車という設定がないのであった。
普通車でもガラガラでグリーン車のようなものなのだ。
指定席争奪戦の仁義なき戦いはほぼ思い通りの結果が残せた。
後は当日寝坊しないようにするだけである(^_^;)

2002/12/15 14:34


  3.“ロ”

JRの車両は、新幹線やJR四国の一部の車両を除いて、
国鉄時代からの名残で種別や等級をカタカナで表記する。
種別は電車の場合、制御車は“ク”、動力車は“モ”で表す。
制御車とはわかりやすく云えば運転台の付いている車両である。
動力車はモーターの付いている車両で、
新性能電車といわれる101系以降の車両は、
2両でひとつのユニットを形成している。
気動車の場合は“キ”で表記し、運転台の有無は問わない。
気動車の場合は運転台のない動力車というのはほとんどないからだ。
それに加えて付随車という客を乗せるために連結する車両は“サ”を使う。
つまり山手線などの通勤形車両は先頭がクハ205-××となったりする。
次に等級を表す記号であるが、これは明治時代、
特等車、一等車、二等車をそれぞれ“イ”“ロ”“ハ”で表記した名残で、
グリーン車を“ロ”、普通車を“ハ”で表記する。
さすがに今の時代では特等車に該当する車両はない。
つまり車体に“ロ”と表記された車両は、
グリーン車を意味するということである。

4:50a.m.には起床しようと思っていたのだが、
目覚ましが鳴らず、
5:15a.m.に予備にかけておいた電話機のモーニングコール機能で漸く目を覚ます。
慌てて支度をして何とか5:35a.m.には家を出る。
まだ夜の闇が当たりを覆い尽くしていて、道には人影はない。
1月11日土曜日、JR幕張駅で5:44御茶ノ水行きに乗り、津田沼で下車する。
ここで6:03の快速久里浜行きで東京に行くのだが、
また時間が12分もあって長い!
kioskも「あじさい」も開いておらず、手持ち無沙汰だった。
普通車は結構人が並んでいたが、グリーン車のところには誰もいない。
ひとりでポツンと並んでいる・・・というか、待っているのは優越感を感じる。
今回の三連休パスはグリーン車用なので、
指定席のほか、快速などの自由席でもグリーン車に乗れるのだ。
いよいよE217系が津田沼駅3番線に入線してくる。
ダブルデッカーの2階席に陣取る。
グリーン車に乗るのは生まれて初めてで、
初体験の興奮に特急にでも乗っているような夢見心地である。
車掌の検札も済ませ、外を見るとまだ漆黒の闇からは完全に明け切られておらず、
街灯の明かりだけが車窓を流れていくのが見える。
車内は落ち着いたパープルでまとめられていて、やはり普通車とは違う。
まだ闇の中を走っていたせいで、何時地下に入ったのかも気が付かないまま、
いつの間にか馬喰町まで来ていた。

2003/01/18 15:21


  4.走れ!はやて

総武快速線久里浜行きは、6:31に東京駅地下ホームへと滑り込んだ。
いつもとは下車する場所が違う。
ドアを降りると目の前がエスカレーターになっている。
こんなところもグリーン車利用客に便宜を図っているところの一環なのか。
総武快速線の地下ホームから3本のエスカレーターを上がり、地上階に出る。
東北・上越新幹線の改札を入場する。
まだ「はやて1号」は入線しておらず、ホームの売店で駅弁を購入する。
東北新幹線八戸延伸とともに新愛称名を募集していて、
それが「はやて」に決まったと聞いた時、
最初に「疾風のように現れて、疾風のように去っていく・・・」という、
昔の正義の味方を連想してしまったが、
誰でも考えることは同じようで、
東北新幹線「はやて」登場を記念して作られた「はやて弁当」\1,050は、
包み紙にE2系「はやて」と競争する月光仮面が描かれていた。
「はやて」乗車記念にこれは喰わなければなるまいと思い、早速購入。
大人の休日ビール\270は缶ビールなのにプラスチックのコップが付いてくる。
注いだ時の泡の立ち具合まで味わおうということなのだろう。
今回はグリーン席が取れなかったので普通車に乗る。
東京駅では7〜8割くらいの乗車率だったが、
上野駅でほぼ満席になる。
大宮からは仙台までノンストップで、ビールの酔いもあって寝てしまう。
盛岡で連結運転していた「こまち1号」を切り離す。
ここで6割近い客が降りてしまうが、また3割くらいの客が乗ってきて、
乗車率は7割程度で八戸まで向かう。
ビールの酔いと早起きの疲れの中、微睡みながら八戸へと向かった。

 ※参考資料「はやて弁当〜おしながき〜」

ご飯       国産減農薬米使用
梅干し      紀州みなべ産の南紅梅を程良い塩味で漬け込みました。
         白いご飯にはかかせない一品です。
ちりめんじゃこ
白ごま
紅鮭の塩焼き   色鮮やかな紅鮭を塩焼きにしました。
         お弁当の代表的なおかずです。
玉子焼き     昭和二十四年創業、東京築地の玉子焼き専門店
         「すし玉青木」による手作りの玉子焼きです。
         お母さんが作ってくれた懐かしい味を思い出して下さい。
するめいかと里芋の煮物
         するめいかと里芋を味が染み込むまでじっくりと煮込みました。
帆立柔煮     帆立を食感を崩さずに軟らかく煮上げました。
昆布大豆     北海道産の大豆と昆布を一緒に甘辛く煮ました。
小松菜の煮浸し  栄養豊富な小松菜に油揚げをあっさりと煮浸しにしました。
ぜんまいの五目煮 ぜんまいを醤油味の田舎風の煮物にしました。
野菜の煮物    大きめに切った野菜を筑前煮風に仕上げました。
 ・人参
 ・ごぼう
 ・蓮根

2003/01/18 15:47

※写真:はやて弁当と大人の休日ビール 撮影時刻 2003/01/11 06:51:25


  5.き・ら・き・ら

10:04「はやて1号」は八戸駅に滑り込んだ。
今日は八戸から大湊線の終着駅大湊と、
津軽線の終着駅三厩を巡って八戸まで戻ってくる
「きらきらみちのく」の旅を楽しむ。
「きらきらみちのく」は10:20発なので、
それまでの時間八戸駅の在来線ホームで車両取材する。
789系交流型特急「スーパー白鳥」、
キハ48系ジョイフルトレイン「うみねこ」、
青い森鉄道701系100番台等。
10:20に「きらきらみちのく」は出発。
弁当を買う暇はなく、自販機で生茶500mlを買うのが精一杯だった。
八戸から大湊までの区間は「きらきらみちのく下北号」と名付けられている。
最初のうちは停車時間も短く、あまり面白みもなかった。
大湊線に入って陸奥横浜で8分の停車時間。
ここで駅取材する。
改札を出ないで駅の脇を通り抜けて外に出てしまった。
これでいいのだろうか。
さすがは田舎の駅だけあって、ここら辺の作りはアバウトである。
12:00、予定通り大湊線の終着駅、大湊駅に着く。
小雪が舞い散る中、駅取材をする。
下北半島に鉄道が通っているのはここまでで、
ここから先はバスでの移動となる。
12:08「きらきらみちのく」は三厩を目指して出発する。
大湊から津軽線三厩までは「きらきらみちのく津軽号」となる。
指定席も移り、指定席料も別料金となる。
陸奥横浜で7分停車、野辺地で6分停車する。
野辺地では僅か6分の間に駅取材する。
13:51、「きらきらみちのく」は青森に到着する。
停車時間は8分間。
一瞬ジョイフルトレイン「リゾートしらかみ」を見かけるが、
慌てて降りていったらもうその姿はなかった。
たぶん「きらきらみちのく」の入線を待って信号が切り替わったのだろう。
「リゾートしらかみ」の取材は明後日までお預けである。
kioskには駅弁は売っておらず、
時間もなかったのでサンドイッチとお茶を買って「きらきらみちのく」に乗り込む。
13:59、「きらきらみちのく津軽号」は三厩に向けて出発する。

2003/01/18 17:38

※写真:大湊に停車中の「きらきらみちのく」 撮影時刻 2003/01/11 12:15:40


  6.あゝ、津軽海峡冬景色

13:59青森駅を出発した「きらきらみちのく」は、
津軽線に入って蟹田に向かう途中の郷沢駅で485系「白鳥」を待った。
津軽線全線に遅れが出いているみたいで、
単線の津軽線ではすれ違うことの出来る駅で、
対向車線の特急を待たなければならない。
予定では14:31に蟹田に到着している筈であったが、
郷沢駅を出たのは14:30になっていた。
蟹田には14:38に到着する。
本来の予定ではここに10分停車する予定になっていたが、
結局予定通り14:41にはここを出たので停車時間は3分になってしまった。
しかしここは帰りにも寄るので、駅取材はその時にしよう。
蟹田を出て三厩に向かう途中、車窓には冬の津軽海峡が望めた。
今は青函トンネルが出来たので、
列車に乗ったまま津軽海峡を渡ることが出来るが、
石川さゆりの「津軽海峡冬景色」で歌われていた時代には、
青森から青函連絡船で函館まで行かなければならなかった。
列車で北海道へ行くのは一日がかりだったのである。
だからこそ青森までの夜行列車が重宝がられたのである。
夜行で青森まで来て、朝一番で青函連絡船乗れば一日北海道内の移動に使える。
東北新幹線八戸延伸で、
上野−青森間の寝台特急「はくつる」は廃止されてしまった。
北海道は始発の「はやて」に乗れば「スーパー白鳥」接続で、
12:04には函館に着くことが出来る。
当日中に札幌まで十分に行ける時間である。
15:11三厩に到着。
青函トンネルは中小国で津軽線と分かれた津軽海峡線が接続する。
三厩は津軽線の終着駅であり、青函トンネルとは接続していない。
竜飛岬方面はここからバスにより移動することになる。
10分ここに停車し、津軽線を青森に向けて戻る。
三厩から八戸までは「きらきらみちのく八戸号」となる。
蟹田で12分停車し、ここで駅取材する。
蟹田駅を出てから男子便所が壊れたと車内アナウンスがあった。
青森駅には16:36-17:07の31分間停車する。

2003/01/18 18:37

※写真:三厩−津軽浜名間の車窓から見た津軽海峡 撮影時刻 2003/01/11 15:31:50


  7.縄文むかしそば

青森での31分の停車時間は車両取材には十分の時間があった。
大阪−札幌間を結ぶ寝台特急「日本海」、
JR北海道のDE10牽引のDC183系お座敷列車、
E751系特急「つがる」等を撮影する。
青森駅での撮影が一段落してから、
駅の立ち食い蕎麦「OASYS mini」で縄文むかし蕎麦\460を喰う。
トッピングはナッツ、もずく、山菜(わらび)、鶏モモ肉、揚げ玉、ナメコなど。
縄文時代からある蕎麦なのか、
縄文人が喰っていただろうと思われるものをトッピングした蕎麦なのか。
たぶん後者だろう・・・。
しかし縄文人が揚げ玉を喰っていたのだろうか。
それなら天麩羅も喰っていたということになる。
これを喰うのは2回目である。
青森に来たら縄文むかし蕎麦を喰うのが定番になっている。
ここを出て17:21浅虫温泉に到着。
ここで10分停車し、駅取材する。
浅虫温泉は昔この地方の人が温泉で麻を蒸していたことに由来するという。
既に真っ暗になっていた。
ここを出ると野辺地、三沢と停車して18:34八戸駅に到着する。
八戸駅でいわて銀河鉄道のIGR7000系0番台を撮影する。
18:55八戸発の「はやて28号」で東京へと向かう。

2003/01/18 18:57

※写真:青森駅の縄文むかしそば 撮影時刻 2003/01/11 16:56:34


  8.貧乏人

コンコースに入って早速弁当を購入する。
まるごと倉石村\1,000と生茶\150。
ホームに降りてドアが開くとともに乗車する。
本当はグリーンアテンダントが迎えてくれるのだが、
彼女が車両から出てくる前に乗り込んでしまった。
帰りはグリーン車の指定席を取れている。
「はやて」「こまち」にはグリーンアテンダントが乗り込んでいて、
色々とサービスしてくれることになっている。
グリーンアテンダントは飛行機で云えば、
スチュワーデス(キャビンアテンダント)に当たる。
おしぼりとドリンクをサービスしてくれる。
ドリンクはホットコーヒーをオーダーした。
暫くすると車掌が来て乗車券を確認していった。
三連休パスはグリーン車用なので、指定席券だけで乗車できる。
しかし「はやて」は自動改札を通過すれば検札は省略されるはずである。
事実、周りの乗客は誰も検札を受けていなかった。
何故おいらだけが検札を受けたのだろう。
確かに自動改札を通過したはずなのに・・・。
見かけが貧乏人臭いからだろうか。
確かに朝時間がなくて髭を剃り忘れてはいたけれど、
外見だけで人を判断していいのだろうか。
貧乏人そうだからグリーン車には乗れないと思っていたのだろうか。
貧乏人はグリーン車に乗ってはいけないというのだろうか。
貧乏人は麦を喰えというのだろうか。
どうせおいらは貧乏人ですよ・・・。
一生懸命お金を貯めてやっとグリーン車での旅が実現したというのに、
おいらには身分不相応というのだろうか。
盛岡では「こまち28号」と連結するシーンを取材する。
八戸では2〜3割の乗車率だったが、仙台では8割〜9割になる。
東京駅で下車する時、弁当のゴミまで捨ててくれた。
やっぱりグリーン車は心地良い。
22:08「はやて28号」は東京駅に着く。
東京駅で少し撮影をして、22:30千葉行きの快速で帰る。
勿論グリーン車に乗る。
津田沼で各駅停車に乗り換え、11:05千葉行きに乗る。
0泊3日の旅、1日目は終わった。

2003/01/18 20:30

※写真:駅弁「まるごと倉石村」と生茶 撮影時刻 2003/01/11 19:02:06


  9.夜撮!

1月12日日曜日、三連休パスの旅、二日目。
昨日は5:44御茶ノ水行きで津田沼着が5:51。
快速到着が6:03と12分の待ち合わせ時間があった。
そこで1日目が終わったあと、時刻表で調べて、
5:45千葉行きに乗れば、
同じ快速に稲毛で5:56に乗ることが出来ることが分かった。
各駅停車の到着は5:50なので待ち合わせ時間は6分で済む。
そこで2日目は稲毛乗り換えにすることにした。
昨日とは違って寝坊せずに目が覚め、
支度も順調だったので1本前の5:35でも間に合うと分かった。
そこでこれに乗って稲毛の駅取材をしようと思った。
しかし家を出て駅に向かう途中で大きなミスに気付いた。
まだ全く日が昇っていないのである。
これでは夜撮と同じじゃないか!
近所の駅で無理して夜撮することもないと思い、
稲毛では降りずに千葉まで行く。
ここで稲毛で乗るはずだった久里浜行き快速に乗り込む。
おいらはなんと浅はかなのだろう・・・。
漆黒の闇に包まれた千葉の風景を眺めながら、
しみじみと感じていた。

2003/01/19 02:51

※写真:総武快速線の車窓から見た街の様子 撮影時刻 2003/01/12 06:29:31


  10.危険思想人物

6:31に東京駅地下ホームに滑り込んだ快速から降り、
地上に上がって新幹線ホームの改札を入場する。
自動改札を通過した。
確かにした!
これで車内検札は来ない筈である。
昨日乗った「はやて」などを取材し、
NREの売店で弁当などを購入した。
幕の内弁当\1,000と生茶のペットボトル\150。
今日は「とき」で新潟に出て、
「きらきらうえつ」と「いなほ」で秋田まで出て、
「こまち」で東京まで戻るというコース。
7:12東京発の「Maxとき305号」のグリーン席に乗り込む。
「Maxとき」は7号車の2階がグリーン席になっている。
1階は普通席。
新幹線でなければ“サロハ”と記号が付くところだろう。
「Maxとき305号」はE4系だった。
以前は上越新幹線のMaxはE1系、
東北新幹線のMaxはE4系と決まっていたが、
最近はE4系も上越新幹線に進出してきている。
やはり乗り心地はE1系よりE4系の方がいいのだろう。
7:12に「Maxとき305号」は東京駅を滑り出す。
上野、大宮の次は越後湯沢までノンストップである。
夢中で弁当を食べていると車掌がやってきて、
「乗車券とグリーン券を拝見します」と云った。
確かに自動改札を通っているのに・・・である。
車掌は手渡された切符を隅から隅まで「ふむふむ」と眺めると、
パチッとパンチを入れて返してくれた。
何故だろう・・・。
自動改札を通れば車内検札は省略される筈じゃないか。
隣に座っていた男が切符を取り出そうとすると、
「あ、お客様は結構です」と云って、車掌はそのまま行ってしまった。
貧乏人だから偽装チケットかも知れないと思っているのだろうか。
それとも切符を買った時、
クレジット決済をしているため名前がばれてしまっている。
危険思想人物としてチェックに来ているのだろうか。
以前、森政権の時にセロリに悪口を書いちゃったので、
それで公安のブラックリストに載ってしまったのだろうか。
国家ぐるみの監視の元、林檎乃麗の旅は続くのであった。

2003/01/19 03:14

※写真:二日目の朝食は幕の内弁当 撮影時刻 2003/01/12 07:17:25


  11.国境の長いトンネルを抜けると・・・

国境の長いトンネルを抜けると、そこは雪国だった。
冬の上越新幹線に乗るたびに、
川端康成のこの書き出しは本当に秀逸だなあと思う。
正しく新幹線が越後湯沢駅に入る直前、
長いトンネルから抜けると辺り一面銀世界が広がる。
それまでは雪など欠片も見あたらなかったのに、
山をひとつ越えるだけで、
こんなにも天候が変わるものだろうか・・・。

越後湯沢を出ると再びトンネルに入る。
次にトンネルを越えた時にも一面の銀世界には変わりないが、
それでも越後湯沢のように吹雪いていない。
ほぼ満席だったグリーン席も、
越後湯沢で大半の客が降りてしまい、
かわりに何人かは乗り込んできたが、
それでも乗車率は3割程度になってしまった。
冬はやはり殆どがスキー客なのだろう。
越後湯沢を出ると浦佐、長岡、燕三条、と停まり、
9:15新潟に到着した。

2003/01/19 20:48

※写真:車窓から見た越後湯沢の街 撮影時刻 2003/01/12 08:34:58


  12.きらきら Part.2

新潟でも取材時間は64分。
以前にも2〜3回来たことがあるし、
新潟発着の在来線は殆ど撮影済なので、
それ程エキサイティングな取材にはならなかった。
不完全だった駅取材を補完して「きらきらうえつ」の到着を待つ。
「きらきらうえつ」は10:00a.m.過ぎに入線してくる。
西口の取材をしたあと、乗車する。
ジョイフルトレイン「きらきらうえつ」は485系改良型で、
新潟に酒井を往復する。
10:19に新潟を出て、村上、桑川、勝木、府屋、あつみ温泉と停車し、
12:26に鶴岡に着く。
この後余目経由で酒井まで行くが、
余目も酒井も既に取材済なので、鶴岡で下車する。
車内ビュフェ「茶屋」では沿線の日本酒をショット売りしていて、
「〆張鶴(雪)」\560をオーダーする。
本当は越乃寒梅をオーダーしたかったが今日は積んでいないとのことで、
店員にお勧めを訊いたら、
「新潟の酒でしたら、村上の『〆張鶴』が旨いですよ」とのことだったので、
店員に勧められるままにオーダーした。
確かに飲み口の旨さはあるが、
正直云って日本酒はよく分からない。
プラスチックの容器に入れてくれる。
つまみは持参したムースポッキー・ブルーベリーヨーグルト(期間限定)。
日本酒にムースポッキーは如何にもミスマッチだが、
これしかないのだから仕方がない。
「きらきらうえつ」は駅の停車時間が短いので駅取材が出来ず、
殆ど写真を撮る暇がなかった。
車窓には日本海の荒波が見え隠れする。
まるで東映映画が始まるのじゃないかと思ったほどだ。
差し込む日差しと日本酒で心地よいまったりとした旅になった。

2003/01/19 21:13

※写真:新潟駅に停車中の「きらきらうえつ」 撮影時刻 2003/01/12 10:08:33


  13.かなしみ本線日本海

鶴岡での取材時間は45分。
走り去る「きらきらうえつ」を見送ると、あとは駅取材のみ。
特に大きな駅というわけでもなく、
あくまで地方では比較的大きめな駅というのに過ぎない。
駅前にジャスコがあるが、あとは特筆するものはない。
はっきり云って時間を持て余してしまった。
しかも特別観光地というわけでもないので駅弁販売所もなく、
kiosk直営のコンビニ「NEWDAYS MINI」だけである。
仕方なくここでサンドイッチや生茶等を買う。
何がかなしくて、羽越本線で日本海沿岸を北上するのに、
コンビニのサンドイッチを喰わなければならないんだ。
13:11鶴岡発の「いなほ3号」で秋田に向かう。
時折車窓から見える日本海は波も高く、
惨めな気分に拍車をかけていった。
14:57「いなほ3号」は秋田に着く。

2003/01/19 21:38

※写真:「いなほ」の車窓から見たかなしみの日本海 撮影時刻 2003/01/12 14:02:19


  14.秋田は飽きた!

秋田の帰りの新幹線は15:57発で、
秋田滞在時間は丁度1時間。
しかし秋田駅まで乗ってきた485系リニューアル車、
485系3000番台、
秋田新幹線「こまち」のE3系と701系しか停まっていない。
車両取材はあっという間に終わってしまった。
しかも秋田に来るのはこれが3回目で、
駅舎取材も完了している。
本当は15:09の奥羽本線快速で大曲まで来て、
ここで駅取材しようと思ったが、
また45分掛けて在来線に乗る気力もない。
在来線の車両を何本か撮影したあと、
改札を出て秋田ステーションデパート「トピコ」内の、
石川酒店で地ビール1本購入する。
「あきたこまちラガー」はその名の通り、
あきたこまちを副原料に使った地ビールである。
その他にもまだ飲んだことのない地ビールが多く、
全部買って帰りたかったが、
さすがにカメラが重く、
これ以上の荷物は持って帰られないと思い、
1本だけで我慢した。
ベンチでボーっと時間を過ごしたあと、15分前に再入場する。
男鹿線用のキハ40系2両+キハ48系2両が停まっていて、
これを撮影したりする。
そうしているうちに「こまち24号」用のE3系が入線したので、
新幹線用の改札をくぐる。

2003/01/19 21:53

※写真:飽きちゃったのでこういう角度で撮影してみました 撮影時刻 2003/01/12 15:26:20


  15.おばこ

「『おばこ』とは、秋田弁で(娘、少女)という意味です」

新幹線用のホームに入ってまず駅弁を購入した。
まだちゃんと昼食を喰っていなかったのである。
しかしおおかたの弁当は売れ切れていた。
夕食にはまだ早い時間なので、
たぶん昼食用の売れ残りしかないのだろう。
4時頃というのは弁当屋にとっては丁度中途半端な時間なのかも知れない。
売れ残っていた「おばこ弁当」\900と生茶を購入する。
15:57秋田新幹線「こまち24号」は秋田を滑り出す。
今回も勿論グリーン席である。
「こまち」でもグリーンアテンダントのサービスがあった。
おしぼりとドリンクのほか、簡易スリッパのサービスまである。
至れり尽くせりである。
今回もおいらだけ車掌から検札を受けた。
どうせ来るだろうと思って、ちゃんと切符を用意しておいた。
弁当を喰い終わると、シートの心地良さもあって熟睡する。
大宮に着くまでぐっすり寝てしまった。
普通席ではさすがにこうはいかないだろう。
前回秋田から東京まで普通席で乗った時は、
途中で目が覚めてしまい、非常に退屈な時間を過ごしたのだった。
やはり4時間は普通席に座っているのは辛い。
この今日はグリーン車でなければ快適な旅は過ごせないと思った。
この至福の時は、やはり無理してグリーン席を取っただけのことはある。
盛岡で「はやて24号」と連結した「こまち24号」は、20:08東京駅に着く。
本当は20:45「すいごう」の東京−千葉間の指定席を取っていたのだが、
快速でもグリーン席なら必ず座れるので、
20:24君津行きのグリーン席で帰る。

2003/01/19 22:30

※写真:「こまち」の車窓から見た暮れゆく秋田の雪景色 撮影時刻 2003/01/12 16:22:49


  16.フォトグラファー

三連休パスの旅、三日目は八戸と青森での車両取材が中心である。
いよいよフォトグラファーとしての本領発揮というところだ。
昨日、おとといの経験を生かして最良のアクセス方法として結論が得られた、
5:45千葉行きで稲毛に行き、
ここで快速久里浜行きに乗り、東京を目指す。
車窓はまだ暗闇に包まれていて、
街灯の明かりだけが街の面影を残している。
6:31東京駅地下ホームに滑り込んだE217系を降り、
エスカレーターを3つ乗り継いで地上階に出る。
この時間にこのルートはこれで三日目だ。
グリーン車を降りると目の前がエスカレータの上りになっている。
こういった配置も至れり尽くせりなのだ。
新幹線の改札を通り抜け、
23番線に「はやて/こまち1号」が入線するのを待つ間、
NREの売店で駅弁を購入。
東京駅から新幹線に乗るという旅行はもう何度も行っているので、
既に殆どが食べたことのあるものばかりで、
何を買ったらいいのか何時も迷う。
今日は中華弁当\1,000にした。
更に今日は写真を撮るのが目的なので、
ビールはやめて生茶500ml\150にする。
フォトグラファーは辛いのだ!(なんちゃって・・・)

2003/01/23 21:20

※写真:中華弁当と生茶 撮影時刻 2003/01/13 06:50:45


  17.さよなら

どんなに愛し合っている二人でも、
何時かは別れはやってくる。
永遠の愛を誓い合っても、
またそれぞれの道を選ぶ時も来る。
かなしいけれど、
人は別れを積み重ねて生きている。

若い二人にもその時はやってきた。
「はやて」は新幹線として本道を行く。
しかし「こまち」は新幹線線用軌道を抜けて、
在来線に降りて行かなくてはならない。
盛岡で二人は別れていった。
「はやて」を置いて旅立つ「こまち」をそっと見送りながら、
彼は「今でも、愛している・・・」とその背中に呟いた。
出来ることなら自分も田沢湖線に降りてゆきたい。
しかし俺にはやらなくてはいけない使命がある。
八戸で俺の到着を待っている人たちのためにも、
このまま新幹線軌道を突き進まなければならないのだ。
「こまち」が去ったあと、
ポイントが切り替わると「はやて」は昨年12月に開通した、
盛岡−八戸間の新幹線軌道を走り出していた。
降りしきる雪がフロントマスクに当たり、
パラパラと音を立て、
それは車体を伝い後ろに流れていく。
それが雪の固まりなのか、
それとも「はやて」がそっと流した涙なのか、
誰にも分からなかった。

2003/01/23 21:35

※写真:さよならの瞬間 撮影時刻 2003/01/13 09:34:08


  18.心のこり

6:56に東京を出た「はやて1号」は、
上野、大宮でそれぞれの客を乗せたあと、
一気に仙台まで進んだ。
今日は行きもグリーン席が取れたので、
グリーンアテンダントのおしぼりとドリンクのサービス付である。
朝食後にゆっくりとホットコーヒーでくつろぐ。
シートはふかふかで、
昨日までの疲労の蓄積もあって、
ぐっすりと眠ってしまい、
仙台までは全く目が覚めなかった。
仙台の次は盛岡に停まり、
ここで「こまち1号」を切り離し、
いわて沼宮内、二戸と停まり、10:14八戸に着く。
午前中はここで2時間8分の間、たっぷりと車両取材する。
「はやて」用のE2系1000番台新幹線のほか、
IGRいわて銀河鉄道のIGR7000系100番台、
青い森鉄道の701系100番台、
JR北海道所属の「スーパー白鳥」用789系、
JR東日本所属のキハ40形、701系、
「白鳥」用485系3000番台、
E751系「つがる」等、
エキサイティングな取材が出来た。
しかしEH500の新型JR貨物所属の電気機関車「金太郎」は、
2度も見かけながらレンズを向けることが出来なかった。
それだけが心のこりである。
貨物列車はインフォメーションがないので、
何時も突然現れてあっという間に過ぎ去っていく。
それを上手く撮影するというのは至難の業なのだ。

2003/01/23 23:40

※写真:八戸駅東口全景 撮影時刻 2003/01/13 10:33:30


  19.独特の味

八戸で車両取材の合間に駅舎取材する。
地方のターミナル駅の宿命として、
殆どの在来線が新幹線接続の良さを目指してダイヤが組まれているため、
新幹線乗り換えで順次発車していくと、
暫くガランとした状態が続く。
その間を利用して駅舎取材する。
2回目の波が引いた状態の時に、
「はやて」という立ち食いそば屋に入り、かき揚げうどん\350喰う。
麺も汁も東京のものとは違っていた。
麺は平たく、
汁も出しの味が前面に出ていて、
醤油の味が控えめである。
これが東北地方独特の味なのであろうか。
0:00p.m.過ぎに789系が入線してくる。
これは折り返し、「スーパー白鳥7号」となって函館まで行く。

2003/01/23 23:51

※写真:八戸駅構内のそば処「はやて」 撮影時刻 2003/01/13 11:28:14


  20.優しい雨

12:16、789系「スーパー白鳥7号」は八戸駅を出発した。
出発の直前に細かな雨が降ってきた。
本来なら粉雪になっているところなのだが、
やはり気温が暖かいのだろう。
優しい雨に包まれながら、
789系「スーパー白鳥7号」は青森を目指して東北本線を北上した。
789系はJR北海道が「スーパー白鳥」のために開発した特急型電車で、
JR北海道の特急というと、キハ261系、キハ281系、キハ283系など、
気動車が中心だったが、
函館から青函トンネルを抜けて八戸まで至る区間はオール電化区間であるため、
初めてのオリジナル電車形特急が開発された。
789系は「スーパー宗谷」に使われているキハ261系のデザインを踏襲し、
ヘッドの塗色をJR北海道のコーポレイトカラーの萌葱色にしたもので、
ディーゼル特急と区別している。
789系の八戸方1号車は“クロハ”、
つまり半室グリーン車になっている。
今回は勿論グリーン席を予約している。
485系のクロハなどとは違い、最初から半室グリーンに設計されている。
グリーン席は白木の木目調の仕切で、落ち着いた感じになっている。
座席配列は2+1で、革張りのシートに肘掛けは仕切と同じ木目調になってる。
また座席の窓下にはパソコン用のコンセントまで用意されている。
至れり尽くせりだ。
ここまでの設計思想はJR東日本にも是非見習って欲しい。
利用者の立場から見た車両作りという発想だ。
13:15、優しい雨に包まれながら「スーパー白鳥7号」は青森に着く。

2003/01/25 13:34

※写真:八戸駅に入線する789系「スーパー白鳥」 撮影時刻 2003/01/13 11:57:26


  21.青森ディスティネーション

青森駅では一度も改札を出ず、
予定の1時間34分を車両取材に費やす。
今回の最大の目的だった、
五能線ジョイフルトレインキハ48系「リゾートしらかみ」のほか、
485系「かもしか」やE751系「つがる」、
おととい乗ったキハ48系「きらきらみちのく」、
そのほか在来線の701系などを取材する。
青森は以前にも来ていて、
その時に駅舎取材しているので今回は車両取材に集中できたわけだ。
1時間34分という時間はあっという間に過ぎていった。
途中ホームに1両の車両もなくなった時もあったが、
相対的に見てエキサイティングな時間がもてたのではないかと思う。
ホームのNEWDAYSでプランタンサンド\185と、
今回はキングドーナツ\30もオマケに買う。
確かおとといも同じサンドイッチを買ったような気がする。
ここでは駅弁は売っていない。
昼食は帰りの新幹線までお預けだ。
買い物をしていると丁度485系「白鳥」が入線してきた。

2003/01/25 13:56

※写真:青森駅に入線するキハ48系「リゾートしらかみ」 撮影時刻 2003/01/13 13:38:18


  22.白鳥の歌が聞こえる

帰りの「白鳥」は485系3000番台、
つまり485系のリニューアル車だ。
しかし789系と比べるとなんだか惨めだ。
グリーン席でも2+2の座席配列で、
シートのデザインも普通席と比べるとちょっと立派という程度だ。
これも“クロハ”だが振り子式ではないためにかなり揺れる。
485系「かもしか」よりはマシなのかも知れないが、
やはりE751系「つがる」や789系「スーパー白鳥」と、
同じ特急料金、同じグリーン席料金を払うのかと思うと、
やはり不公平感はぬぐえない。
14:49に青森を出た「白鳥22号」は八戸へとひたすら走った。
帝の名を受け東方遠征に出掛け、
天叢雲剣を失い、力尽きて死んだ日本武尊の魂が、
白鳥になって故郷の大和へ帰っていったように、
485系3000番台「白鳥」もまた、
その歴戦の勇士としての自負も、
長い旅路の中で傷ついた心も、
その全てをFRPフロントマスクの下に隠し、
北の地で第二の人生を、
そしてたぶん最後の特急としての走りを続けていた。
15:51、「白鳥22号」は八戸に到着する。
八戸で1時間ほど在来線の取材をする。
これが今回の旅での最後の取材となる。
485系「白鳥」は再び青森を目指して旅立っていった。
ここで64分の取材のあと、
「はやて24号」で東京に戻る。

2003/01/25 14:13

※写真:青森駅に入線する485系3000番台「白鳥」 撮影時刻 2003/01/13 14:51:02


  23.めぐり愛

永遠の愛を誓いながらも、
盛岡で田沢湖線と東北新幹線本線に別れた「はやて」と「こまち」は、
長い時を経て同じ盛岡の地で再び出逢った。
20m、それが再び出逢った二人の距離だった。
そして「こまち」はゆっくりと「はやて」に向かって歩みを進める。
「はやて」は大きくてをひろげて「こまち」を受け入れる。
二人の間にもはや言葉などは要らない。
5m、2m、1m・・・、そして二人は再び結ばれた。
「もう決して君を離したりはしない!」
「愛しているわ・・・」
目と目を見つめ合う「はやて」と「こまち」。
そしてふたりはひとつになった・・・。

2003/01/25 14:22

※写真:めぐり愛の瞬間 撮影時刻 2003/01/13 17:45:42


  24.推定無罪

「はやて24号」は16:55、八戸を出た。
売店で昼食として(あくまで昼食用として・・・)、
味噌カツレツ\600と生茶500ml\150を買って車内で喰う。
八戸は新幹線の駅としては去年12月に開業したもっとも新しい駅のひとつで、
ここの最新式の自動改札は一度に4枚までの切符を入れることが出来る。
東京駅の改札は一度に2枚までしか入れることが出来ないが、
八戸駅では指定席券までも重ねて入れることが出来るのだ。
構内アナウンスを聞いて「ふむふむ・・・」と思い、
入場の時に三連休パスの切符と指定席券を同時に入れてみた。
2枚重ねて入れると2枚重なって出てくる。
ここで指定券はチェック済のためか、
「はやて24号」の車内では車掌から検札を受けることはなかった。
自動改札でチェックが利いているからだろう・・・。
或いはもしかしたらこの3日間で、
テロ行為と認識されるような行動がなかったため、
推定無罪ということになったのだろうか。
真意は定かではないが、
それでも公安の監視の目がゆるめられたことは確かであった。
公民権を取り戻した林檎乃麗の旅はまだまだ続くのであった・・・。

2003/01/25 14:32

※写真:味噌ヒレカツと生茶 撮影時刻 2003/01/13 16:56:50


  25.ブルジョワジー

16:55に八戸を出た「はやて24号」は二戸、いわて沼宮内に停まり、
盛岡で「こまち24号」と連結し、
仙台、大宮、上野と停車し、20:08に東京に到着した。
今回もグリーン席を確保していたため、
グリーンアテンダントのおしぼりとドリンクサービスがある。
弁当を食べ終わったあと、
食後のホットコーヒーを飲んでくつろいでいたら急に睡魔が襲ってきて、
結局大宮に着くまで熟睡してしまった。
これもグリーン車のふかふかなシートのおかげである。
こんなブルジョワジーな体験は初めてである。
さすがは\4,000も払っただけのことはある。
東京から快速で津田沼まで戻る。
昨日と同じ20:24君津行きに乗ろうと思ったが、
グリーン席も結構並んでいたので、
3番線の折り返し20:32始発の津田沼行きに乗って帰ることにする。
津田沼行きならそんなに混んではいない。
グリーン車に乗るのもこの東京−津田沼間が最後である。
明日からはまた満員電車に揺られながら、
死んだ魚のような目をした大人達に囲まれて通勤しなければならない。
3日間のブルジョワジーな体験を密かな心の糧として・・・。

 −取材結果−

1月11日土曜日 E10:撮影200枚、保存 82枚
S40:撮影 35枚、保存 20枚
1月12日日曜日 E10:撮影148枚、保存 65枚
S40:撮影 36枚、保存 16枚
1月13日月曜日 E10:撮影287枚、保存107枚
S40:撮影 46枚、保存 16枚
合計 E10:撮影635枚、保存254枚 採用率 40.0%
S40:撮影117枚、保存 52枚 採用率 40.1%

 ※E10:OLYMPUS CAMEDIA E10(メインカメラ)
  S40:Canon PowerShot S40(サブカメラ)

2003/01/25 14:50

初出:ASAHIネット電子フォーラム、serori・networkの中の会議室「短文文筆家集合所」




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