文月岩手三陸純情物語



  1.一枚のパンフレットと困惑するJR稲毛駅職員

それは一枚のパンフレットから始まった。
何時ものように会社から帰って幕張駅で下車した時、
一枚のパンフレットが目に入った。
それは「岩手・三陸フリーきっぷ」と書かれたペラだった。
ペラとは、綴じていない、一枚の印刷物のことである。
そこには「この夏だけの期間限定!絶景の三陸・八戸へ」と書かれてあった。
往復の新幹線普通車指定席に加え、
フリーエリア内の普通車自由席が4日間乗り放題で\28,100である。
この切符のフリーエリアは一ノ関から八戸までの東北本線と、
東北本線から分離されたIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道、
大船渡線、気仙沼線の南気仙沼まで、
釜石線、山田線、岩泉線、八戸線、北上線ほっとゆだまで、
それに三陸鉄道北リアス線及び南リアス線である。
今回の目玉は盛岡から宮古に至り、そのまま久慈まで行く、
ジョイフルトレイン「kenji」使用の「さんりくトレイン北山崎号」である。
このエリアは土日きっぷの対象外であり、三連休パスでなければ行くことが出来ない。
勿論、正規料金を払えば問題はないが、
フリーきっぷでなければ自由な取材が出来ないのだ。
この切符の利用期間は6月1日から10月3日で、お盆の時期は利用できない。
「kenji」は偶然見かけて車両取材は済んでいるものの、
リニューアルしてからは見ていないし、それに乗ったこともない。
そこでこの切符の旅を7月21日土曜日、22日日曜日で企画した。
今回は「さんりくトレイン北山崎号」の旅を中心に駅取材し、
さらに未取材であるIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道を使って、
東北新幹線盛岡−八戸間の2つの駅も取材する。
さらに今回北上線のほっとゆだまでがフリーエリアになっていることから、
いつかは取材したいとずっと思っていたほっとゆだ駅も取材する。
それらをふまえて以下のような計画を立てた。

7月21日(土)

05:44幕張−総武緩行線・上り515C(41)−06:25秋葉原[5]
06:30秋葉原−山手線・外回り571G(4)−06:34東京[22]
06:56東京※−東北新幹線はやて1号(146/2:26)−09:22盛岡[21]
09:43盛岡※−快速「さんりくトレイン北山崎号」(246/4:06)−13:49久慈[57]
 ※区界10:25-35(10)
 ※宮古11:52-12:12(20)
 ※田野畑12:55-13:02(7)
14:46久慈※−八戸線・上り448D(118/1:58)−16:44八戸[8]
 ※階上15:45-53(8)
16:48八戸※−青い森鉄道、いわて銀河鉄道・上り3516M(38)−17:26二戸[17]
17:43二戸−いわて銀河鉄道・下り4539M(12)−17:55目時[16]
18:11目時−いわて銀河鉄道・上り4536M(80/1:20)−19:31盛岡

 ※スーパーホテル盛岡チェックイン

7月22日(日)

09:06盛岡※−東北本線・上り1532M(48)−09:53北上[40]
10:33北上※−北上線・下り731D(43)−11:16ほっとゆだ[78/1:18]
12:34ほっとゆだ−北上線・上り732D(44)−13:18北上[26]
13:44北上−東北本線・下り1539M(52)−14:36盛岡[7]
14:43盛岡※−いわて銀河鉄道・下り2571M(34)−15:17いわて沼宮内[26]
15:43いわて沼宮内−いわて銀河鉄道・下り4537M(35)−16:18二戸(50)
17:08二戸−東北新幹線はやて28号(180/3:00)−20:08東京[22]
20:30東京※−総武快速線・下り2007F(42)−21:12千葉[16]
21:28千葉※−総武緩行線・上り2171B(10)−21:38幕張

この計画で計画実行日の1ヶ月前、6月21日にJR稲毛駅で切符と指定席を購入する。
「さんりくトレイン北山崎号」の指定席が取れなければ、
今回の計画は実行しないと決めて、まず窓口で「さんりくトレイン北山崎号」の指定席を取る。
用紙に09:43盛岡発、13:49久慈着と書いて窓口に提出した。
しかし駅員がマルスを叩いては首をひねっている。
時刻表を取り出してまたマルスを叩くが、更に首をひねっていた。
奥に行って別の職員を連れてきて、
二人で時刻表を見たりマルスをいろいろと操作しながらも、
また二人して首をひねっていた。
こちらは間違っていたのかと不安になってくる。
20分くらいマルスと格闘して、最終的に理由が分かった。
今回は「岩手・三陸フリーきっぷ」は指定席券売機で購入することにして、
追加の「さんりくトレイン北山崎号」だけ指定席を取ることにしたのだが、
列車自体は盛岡から久慈まで行くものの、
指定席の扱いは宮古までだったのだ。
宮古から三陸鉄道に入った区間は指定席扱いはせずに、全席自由席になる。
そのため盛岡−久慈ではマルスが反応しなかったのである。
盛岡−宮古までの指定席、3号車4番D席を\510で購入する。
この席はパノラマウインドウの最後列になる。
指定席券売機で「岩手・三陸フリーきっぷ」\28,100を購入し、
同時にゆき券で東京−盛岡の「こまち1号」の指定席15号15番D席を取る。
本来は「はやて1号」を取るつもりだったが、
「こまち」は新在直通のために普通車でも4+4の座席アレンジになっている。
翌日にはかえり券で二戸−東京の「はやて28号」の10号車3番E席の指定席を取る。
これで後はホテルの予約を入れれば完了だった。
しかしここで目が点になる。
予定していた「スーパーホテル盛岡」が7月21日土曜日は満室だったのである。
これは困った。
仕方がないので検索エンジンで調べてR&Bホテルの盛岡駅前に予約を入れる。
ここはワシントンホテルの系列で、金沢で2回泊まったことがある。
これでようやく全ての準備が整った。

2007/06/23 11:47


  2.70%の憂鬱−旅の始まり

1週間前からずっと雨の予報だった。
木曜日にYahoo天気予報で調べた時にも、盛岡、宮古も降水確率70%になっていた。
今度の旅は雨に悩まされる旅になってしまった。
5:00p.m.に起床して、05:44幕張発の総武緩行線で秋葉原に行き、京浜東北線で東京へ。
家を出る時には雨は降っていなかったが、
秋葉原で乗り換えた時には既に小雨が降り出していた。
東京駅で新幹線改札を入場し、売店で幸福弁当\1,300とお茶\150を購入する。
幸福弁当は竹篭に入っていて、お品書きには以下のように書かれている。

 《幸福弁当》 〜おしながき〜

老舗の味
 銀鱈粕漬け 〈人形町・魚久〉大正三年創業、八十余年「旬を生かす、
       味を守る」をモットーに味、原料、酒粕の色にもこだわり、
       日本料理魚久の伝統技法を受け継ぎ、一切れづつ手作りで
       仕上げた粕漬けです。粕漬けの中でも、魚久の思い入れも
       ひとしおで、脂がのり冷めても美味しく頂ける銀鱈を
       粕漬けにしました。
 玉子焼き  昭和二十四年創業、東京築地の玉子焼き専門店
       「すし玉青木」による手作りの玉子焼きです。
       お母さんが作ってくれた懐かしい味を思い出して下さい。
こだわりの素材
 人参   千葉県富里産      有機栽培
 牛蒡   青森県八戸産      有機栽培
 里芋   宮崎県野尻町産     有機栽培
 蓮根   茨城県霞ヶ浦産     無漂白蓮根
 蒟蒻   群馬県昭和村産勇気蒟蒻芋使用
 筍    福岡県八女産
 沢庵   千葉県富里産      有機栽培
 梅干   紀州和歌山産南高梅使用
 ご飯   契約栽培農家による秋田県産有機認証米 あきたこまち使用
一福団子
相鴨ロース焼
渡り蟹真丈揚げ

東海道新幹線のホームには500系が停まっていた。
N700系投入で500系のダイヤが変更になったため、この時間に500系を見ることができるのだろう。
06:56発の「こまち1号」で盛岡まで行く。
この列車は盛岡までは「はやて1号」と連結して走り、
盛岡で八戸方面と秋田方面に分離される。
定時に東京駅を出発し、駅弁を食ったあとに爆睡する。
目が覚めたのは仙台の手前だった。
09:22に盛岡に到着し、ここでE2系「はやて」とE3系「こまち」の分離作業を取材し、
新幹線改札口から在来線のホームに出る。
在来線のホームに下りていくとそこには既に「さんりくトレイン北山崎号」は停車していた。

2007/11/06 22:11

※写真:東京駅に停車中の500系新幹線 撮影時刻 2007/07/21 06:51:24


  3.「さんりくトレイン北山崎号」の旅と幻の「うに弁当」

「さんりくトレイン北山崎号」は、
キハ58、キハ28採用のジョイフルトレイン「kenji」を使用した臨時列車で、
この列車は以前偶然取材したことはあるが、
塗色変更されリニューアルしてからはまだ取材していなかった。
しかも実際に乗るのは今回が初めてである。
今回の北東北ディスティネーションに合わせて、特別ラッピングされている。
今回は盛岡から宮古までの山田線のほか、
三陸鉄道北リアス線に入り、久慈まで直通運転される。
盛岡駅で停車中の「kenji」の車両取材をして、
更に測線に留置中の国鉄色の気動車を見つけたため、望遠レンズでこれも取材する。
車両取材に夢中になっていたら、出発時間の09:43が間近になり、
そのため飲み物を購入している暇もなくなってしまった。
少し遅れて出発し、約50分の旅で最初の停車駅である区界に停車した。
区界では列車のすれ違いのために10分の停車時間が設定されている。
その間に駅の待合室では特産品などが販売される。
駅舎取材のあとに即売所でお茶と、「岩手紫蘇 かわいペリーラ」という、
紫蘇を使ったドリンク剤を購入する。
紫蘇のエキスを純粋蜂蜜で割ったという地元の特産品だそうである。
今回の「さんりくトレイン北山崎号」ではパノラマウインドウの4列目が取れたので、
全面眺望を楽しみながら旅が出来た。
11:52に宮古に到着し、ここで駅取材と三陸鉄道の車両取材する。
ここでの停車時間は20分で、十分な取材時間のあと、再び「さんりくトレイン北山崎号」に乗車する。
指定席はここまでで、ここからは全席自由となる。
しかし大半の乗客は宮古で降りてしまい、久慈に向かう列車は思ったよりも空いていた。
スイッチバックで逆方向に走り出す。
盛岡での出発の遅れがここでも響いていて、途中田野原で7分の停車予定だったが、
列車遅延のために停車時間が3分になってしまった。
ここでの停車時間に駅取材をするつもりだったが、3分では厳しい。
現場判断で田野原の駅取材は断念するつもりだったが、
駅の構造から跨線橋を渡る必要がなかったことと、
対向列車も遅れていることから駅取材を強行した。
駅前からホームの様子も見えるので、列車が進入してくる様子が確認できたら速攻で戻ることにした。
しかし実際には思ったよりも取材時間を取ることが出来た。
結局、終点の久慈駅にも7分遅れのまま到着した。
久慈駅での乗り換えの予定時間は57分で、7分遅れでもまだ50分もある。
ここでゆっくり三陸鉄道とJRの駅取材し、昼食を取ることにする。
三陸鉄道とJRの両方に立ち喰い蕎麦屋があったが、
せっかくなので三陸鉄道の方で喰うことにした。
しかし三陸鉄道の立ち食い蕎麦屋「三陸リアス亭」に行くとまだ「うに弁当」が残っていた。
この「三陸リアス亭」の「うに弁当」は、一日20食限定の幻の弁当と云われている。
まさかこの時間で帰るとは思っても見なかったので、驚いたがもちろんこれを購入した。
製造販売は“清雅荘”という元旅館で、旅館自体は廃業になったが駅弁だけは残った。
久慈というお世辞にも大都市からのアクセスがよくない場所で、
しかも20食限定という希少価値からテレビや雑誌などで幻の弁当として紹介されているものだ。
特別に海胆好きというわけではないが、弁当一面に敷き詰められた海胆はやはり圧巻である。
価格は\1,260。
JRの方の久慈駅待合室でこれを喰い、14:46始発の八戸行きの列車の発車を待つことにする。

2007/11/06 23:21

※写真:三陸鉄道北リアス線田野原駅に停車中の「さんりくトレイン北山崎号」 撮影時刻 2007/07/21 13:04:34


  4.青い森鉄道とIGRいわて銀河鉄道と境界の無人駅

14:46に久慈を出たキハ40形は八戸を目指して八戸線を北上していった。
途中、階上で8分間の停車時間に駅取材するほか、
車窓から無人の陸中夏井駅の写真も撮る。
列車が鮫駅を出たあたりで雨が降り始め、それは白銀あたりで本格的な降りになっていた。
「とほほ・・・。」という気持ちのままで、
八戸駅で16:48に青い森鉄道の上り電車に乗り換える。
乗り換え時間は4分だが、同じホームの乗り換えなので4分あれば十分である。
予定ではこの列車で二戸まで行き、目時まで戻って再び上りで盛岡に出る筈だったが、
勘違いして先に目時で下りてしまう。
上り電車に乗った時はまだ雨が激しかったが、
目時の一つ手前の駅あたりで雨が止み、目時の駅取材の時は雨に降られずに済んだ。
もともと目時駅は東北本線のただの無人駅であった。
しかし東北新幹線が八戸まで延伸し、
そのために東北本線盛岡-八戸間が分離され、
第三セクター化されたために注目の駅になってしまった。
盛岡-八戸間が第三セクター化された時、
岩手県内はIGRいわて銀河鉄道となり、青森県内は青い森鉄道となった。
本来なら一つの鉄道会社にするべきなのだが、
東北新幹線は更に新青森までの延伸計画が進んでいるために、
青森県と岩手県の利害関係が完全に合致しなかったのだ。
そのために二つの鉄道会社が第三セクターとして誕生することになり、
ちょうど県境にある目時駅が二つの鉄道会社の境界駅となった。
直通する鉄道会社の境界駅が無人駅というのはたぶん全国でもこの駅だけではないかと思う。
現在のところ、IGRいわて銀河鉄道の方が82.0km、16駅、
青い森鉄道が25.9km、5駅とIGRいわて銀河鉄道の方が長く、経営的には有利である。
しかし東北新幹線は新青森までの延伸が決定しており、既に工事が着々と進んでいる。
もし新青森まで延伸が完成すれば、東北本線は八戸−青森間も切り離されることになるだろう。
そうなれば青い森鉄道は121.9kmの営業距離となる。
青森県はこの新青森延伸の東北本線分離を目論んで、岩手県との共同会社の設立に難色を示した。
同じ新幹線開業による在来線分離でも、九州新幹線新八代-鹿児島中央の時は、
鹿児島本線八代−仙台間の分離の時は熊本と鹿児島が共同で肥薩オレンジ鉄道を設立している。
利害関係が食い違うと共同会社間の設立も難しくなるのだろう。
しかし実際には目時での折り返し列車はなく、この駅は単なる県境の駅になっているし、
IGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道は自社車両を所有しているが、
両社の車両は共同運用の形になっているし、一体でダイヤが組まれているのが現状である。
目時の駅取材終了後に予定表を見て、初めて二戸まで行く予定だったのに目時で下りてしまったことに気付いた。
そこで駅に貼りだしてある時刻表を見て検討した結果、
今日は二戸の取材を諦め、下り列車で目時の隣駅の三戸まで行き、
そこで駅取材しながら上り電車を待つことにする。
三戸は有人駅だったが、駅に着いた時は既に窓口業務は終了していた。
三戸で駅取材して盛岡行きの電車を待ち、18:06の電車で終点の盛岡まで行く。
盛岡は2度訪れていて、IGRいわて銀河鉄道が開業した後にも1度訪問している。
ここで予約していたR&Bホテルにチェックインし、部屋に入って直ぐに出掛ける。
R&Bホテルは金沢で2度利用したことがあるが、
カード式ルームキーの自動チェックイン方式のホテルである。
駅ビル内の「らーめんの千草」でラーメン\600、煮玉子\100喰う。
このあと同じ駅ビル内の本屋で「鉄道ファン」を探すが売っていなかった。
コンビニで南三陸の銘菓「かもめの玉子」6個入りと南武せんべいなど購入し、
シャワーを浴びてからつまみにしてビールを飲む。

2007/11/08 22:40

※写真:目時駅を発車した青い森鉄道701系 撮影時刻 2007/07/21 17:17:51


  5.ほっとゆだ駅の入浴施設「ほっとゆだ」

翌日は6:00a.m.に起床してシャワーを浴び、7:00a.m.から1階で無料朝食。
パン、コーヒー、ジュースなどで全てお代わりする。
部屋に戻って歯を磨き、少しゆっくりする。
「ゲキレンジャー」、「仮面ライダー電王」など観る。
日曜日の朝にこの時間に起きて自宅にいることはまずないので、
旅行に行った時だけ子供向けのこれらの番組を観ることになる。
8:35a.m.に部屋を出て、盛岡駅に行く。
R&Bホテルは前払い式でチェックアウトというシステムはない。
09:06盛岡から東北本線・上りで北上まで行き、
10:33北上発の北上線でほっとゆだまで行く。
ここは今回の旅のもう一つの目的で、ほっとゆだ駅は駅に温泉施設のある駅として有名である。
北上線は1920年10月10日に部分開業した西横黒線と、
1921年3月25日に部分開業した東横黒線が1924年11月15日に全通し、
1966年10月10日に北上線に改称された。
“横黒線”の名称は横手と黒沢尻を結ぶ路線という意味で、
現在の北上駅は開業当時は当時の町名を取って「黒沢尻」と呼ばれていた。
しかし1954年4月1日に黒沢尻町と周辺の飯豊村、二子村、更木村、鬼柳村、相去村、福岡村が合併し、
新しく「北上市」となった。
そのため同年11月10日には黒沢尻駅も北上駅に改称された。
ちなみに横黒線が北上線に改称されたのは12年後だった。
44分の旅でほっとゆだ駅に到着する。
ほっとゆだは北上線の中でも一番有名な駅である。
駅舎に温泉施設が併設されていることで、全国的にも有名な駅である。
もともと1922年12月16日に中川尻駅として開業したが、
1989年4月1日に温泉施設「ほっとゆだ」が開業すると、
1991年6月20日には駅名も「ほっとゆだ」に変更された。
ここでの取材時間は1時間18分で、駅取材し周辺を少し歩いた後、
温泉施設「ほっとゅだ」に入浴する。
ここは入浴料おとな\250と温泉施設にしては普通の銭湯並みに安い。
その理由はここは西和賀町の町営公社「西和賀産業公社」が経営しているためである。
利益重視よりも町民の福祉目的が強いためにこの価格に抑えられているのだ。
その代わり、浴室の設備は一般の銭湯並みで、如何にも町営施設といった感じである。
そしてここの施設が有名になった理由の一つが、
浴室内にある信号機である。
普段は点灯していないが、発車約45分前から30分前になると青色が点灯し、
約30分から15分前は黄色、約15分前から発車時間は赤色が点灯するようになっている。
そのために入浴を楽しみながらも列車に乗り遅れることがないようになっている。
「ほっとゆだ」の温泉分析書及び別表には以下のように書かれている。

1.源泉名/川尻温泉(駅前の湯)
2.温泉の泉質/ナトリウム・カルシウム−硫酸塩、塩化物泉
       (低張性・弱アルカリ性・高温泉)
3.源泉の温度/64.1度
4.温泉を公共の浴用に供する場所における温泉の温度/43度
5.温泉の成分(pH 8.1)
   陽イオン
Li 0.43mg/kg
    Na 649mg/kg
K 19mg/kg
Mg 3.6mg/kg
Ca 325mg/kg
Fe 1.0mg/kg
Mn 00.4mg/kg
Al 0.03mg/kg
   陰イオン
F 3.0mg/kg
Cl 663mg/kg
HS <0.5mg/kg
So4 1260mg/kg
HCO3 12mg/kg
Br 11.3mg/kg
I 0.47mg/kg
   非解離成分
H2SIO3 62mg/kg
HBO2 41mg/kg
   その他微量成分
As 0.39mg/kg
Cu <0.01mg/kg
Fe 2 0.06mg/kg
Pb <0.01mg/kg
Hg <0.0005mg/kg
   溶存ガス成分
CO2 0.7mg/kg
H2S <0.5mg/kg
   総成分
3.042g/kg

泉質別適応症は神経痛、筋肉痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、
うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、病後回復期、疲労回復、健康増進と書かれている。
貸しバスタオル\200も借りて入浴する。
ゆっくり入って信号機が点灯するのを待つ。
青信号が点灯するのを待って風呂を出て、再びカメラを持ち込んで浴室で写真を撮る。
ところが浴室内の湿気で直ぐにレンズが曇ってしまい、
入って直ぐにシャッターを切らないと撮れなかった。
信号が黄色になったところで出るが、町営施設なので更衣室に冷房など無く、
汗がなかなか引かなかったが列車が近づいてきたために無理して着替える。
汗だくのまま改札を通り、13:44の盛岡行きの列車を待った。

2007/12/24 20:32

※写真:青が灯った「ほっとゆだ」浴室の信号 撮影時刻 2007/07/22 11:59:10


  6.東北新幹線の駅取材と牛タン弁当−旅の終わり

12:34にほっとゆだを出たキハ100系2両編成は44分の旅で再び北上駅に戻る。
既に北上駅に取材済みだったため、
この時間を利用して昼食を取ることにする。
北上駅の駅蕎麦「はやて」で味噌ラーメン\500喰う。
「はやて」は以前八戸駅でも入ったことのある駅蕎麦店で、
エヌアールイーみちのくが経営している。
北上から東北本線・下りで盛岡に行く。
ここからは東北新幹線八戸延伸時にIRGいわて銀河鉄道と青い森鉄道に分離されていて、
直通運転はされていない。
乗り換え時間は7分で、
しかもJRからはいったん階段を上って改札を出て、
またIRGいわて銀河鉄道の改札をくぐらなければならない。
しかしIRGいわて銀河鉄道の改札で呼び止められた。
最初はきっぷに文句をつけてくるのかなと思ったが、
そうではなくキャンペーン中なので三角くじをひけということだった。
三角くじをひくと白紙で、はずれはポケットティッシュだった。
「岩手・三陸フリーきっぷ」はIRGいわて銀河鉄道s青い森鉄道も乗れる切符で、
それに合わせてこの切符の利用者を対象にキャンペーンをやっているらしい。
盛岡からいわて銀河鉄道・下りでいわて沼宮内へ行く。
ここはもともと東北本線時代は沼宮内という駅名だったが、
東北新幹線の駅が出来て、在来線がIRGいわて銀河鉄道に分離されたのを機に、
いわて沼宮内という駅名に変更された。
取材時間は26分で新刊線駅の取材としてはちょうどいい時間だった。
15:43にいわて沼宮内から更に下って二戸へ行く。
ここは昨日取材しそびれてしまったが、
今日は50分の取材時間があるために十分に取材出来た。
駅取材した後に展望台に上って景色や二戸駅の鳥瞰図などを撮影し、
おみやげなどを購入して新幹線改札口をくぐる。
しかしここでは駅弁は購入出来なかった。
17:08二戸発の東北新幹線「はやて28号」に乗車して東京を目指す。
盛岡で「こまち28号」と連結してさらに東京に向かう。
仙台駅で搬入された駅弁「牛タン弁当」\1,100を車内販売で購入して車内で喰う。
牛タン弁当は紐を引いて加熱させるタイプの弁当である。
3時間の旅で20:0に東京に到着する。

2007/12/24 22:09

※写真:二戸駅展望台から見た二戸駅駅舎 撮影時刻 2007/07/22 16:42:08





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