水無月熊本純情物語



  1.初めてのA寝台の旅−熊本旅行計画

3月に休日勤務の代休がようやく6月に取れることになった。
上司と相談して金曜日が比較的暇だということになった。
そこで寝台列車による熊本旅行を計画することにした。
この計画は、実は去年取得したリフレッシュ休暇の旅の計画の一部である。
去年、勤続20年の表彰で5日間のリフレッシュ休暇と、
15万円分のJTB旅行券を取得した。
リフレッシュ休暇の取得期限は今年の11月までで、
それまでにこの旅行券を使って旅行することになっている。
その計画をいろいろと迷いながら立案していた。
その中で日本縦断の旅を考えたのである。
もともとは大阪から札幌を結ぶ日本最長距離の列車、
トワイライトエクスプレスの旅を考えてていたのだが、
この列車のA寝台はなかなか取れないプラチナチケットとして有名である。
実際に5月、6月と旅行を計画して、
その1ヶ月前の4月5月に実際に“みどりの窓口”に並んで、
トワイライトエクスプレスの一人用A寝台“ロイヤル”を取ろうとしたのだが、
すべて「完売です。」と云われてしまった。
現実的に窓口でトワイライトエクスプレスのA寝台のチケットを取るのは、
ほとんど不可能だと実感した。
そこでその代替案として日本縦断を計画したのである。

 1日目

08:35羽田空港−ANA3771便−10:25鹿児島空港
10:40鹿児島空港−リムジンバス−11:20鹿児島中央駅
 ※鹿児島市電1日券 全電停取材
19:14鹿児島中央−特急「つばめ62号」−20:23熊本
 ※熊本泊

 2日目

 ※熊本市電・市バス1日乗車券 全電停取材
15:57熊本−寝台特急「はやぶさ」A寝台“シングルデラックス”−

 3日目

−寝台特急「はやぶさ」A寝台“シングルデラックス”−09:58東京
 ※一端帰宅
19:15羽田空港−ANA4725便−20:45新千歳空港
20:16新千歳−エアポート213号−21:55札幌
 ※札幌泊

 4日目

09:52札幌−特急「すずらん2号」−11:24母恋
12:27母恋−室蘭本線・上り434D−12:30室蘭
14:02室蘭−室蘭本線・下り4469D−14:15東室蘭
14:24-25東室蘭−特急「スーパー北斗9号」−15:43札幌
16:37札幌−特急「スーパーとかち7号」−18:45新得
19:48新得−特急「スーパーおおぞら11号」−21:43釧路
 ※釧路泊

 5日目

08:15釧路−根室本線・下り5629D−10:36東根室
 ※徒歩もしくはタクシー移動
12:24根室−根室本線・上り5634D−14:49釧路
16:17釧路−特急「スーパーおおぞら12号」−17:45帯広
 ※帯広泊

 6日目

09:20帯広−根室本線・上り快速「狩勝」−10:52幾寅
11:57幾寅−根室本線・下り2429D−12:07-23落合
12:14-15落合−根室本線・上り2432D−14:15滝川
14:19滝川−スーパーカムイ25号−14:50旭川
15:00旭川−スーパーカムイ36号−16:20札幌
17:12札幌−寝台特急「北斗星2号」A寝台個室“ロイヤル”−

 7日目

−寝台特急「北斗星2号」A寝台個室“ロイヤル”−09:41上野

この計画のポイントは日本縦断を前半後半に分けていることである。
トワイライトエクスプレスは大阪発札幌着のため、
一端大阪まで行っての計画だったが、
これを断念して札幌からの帰りに寝台列車を使うことにして、
3日目に一度自宅に戻り、着替えなどを交換し、
さらにCFカードのデータをパソコンに移して空にして、
再び出かけることにしている。
距離を稼ぐために前半後半とも行きは飛行機、帰りは寝台列車を使う。
この計画では5日間のリフレッシュ休暇に土日の休みを合わせて、
7日間で計画にしているのである。
しかし鹿児島から根室まで日本を縦断するのはやはり距離を稼ぐことが目的で、
実際の取材は今ひとつ閑散になる嫌いがある。
そこにちょうど6月に金曜日に休暇が取れ、3連休で旅行が組めることになったので、
前半の1日目から3日目の半分を先に実行することにした。
その代わり、更新の飛行機移動を2日間使って寝台列車の旅に変更し、
さらに残った日程時間を北海道旅行の充実に当てることができる。
そして検討した結果、日本縦断でなければ鹿児島に拘る必要もなく、
さらに熊本市電には1日乗車券のほかに、2日乗車券というものがある。
1日乗車券は\700、2日乗車券は\800と\100しか違わない。
これは使わない手はない。
熊本市電取材に2日間かければ全電停取材も十分に可能だろう。
鹿児島市電は今回は断念して熊本市電に集中することにして、
以下のような予定を作成した。

6月20日(金)

05:47幕張−総武緩行線・上り515C(6)−05:53津田沼[7]
06:00津田沼駅南口−リムジンバス(60/1:00)−07:00羽田空港(第2)[50] \1,200
07:50羽田空港−ANA3711便(110/1:50)−09:40阿蘇くまもと空港[15]
09:55阿蘇くまもと空港※−産交バス(43)−10:38熊本駅前[502/8:22] \670
 ※熊本駅観光案内所窓口 市電・市バス2日乗車券購入 \800
 ※熊本市電全電停取材
 ※熊本市電現有車両
   1060形 1080形 1090形 1200形
   1350形 5000形 8200形 8500形
   8800形 9200形 9700形
19:00ホテルルートイン熊本チェックイン

6月21日(土)

08:00ホテルルートイン熊本チェックアウト
 ※熊本市電全電停取材[477/7:57]
 ※熊本市電現有車両
   1060形 1080形 1090形 1200形
   1350形 5000形 8200形 8500形
   8800形 9200形 9700形
15:57熊本※−寝台特急「はやぶさ」シングルデラックス(1081/18:01)−
 ※門司18:46-19:15(29)
 ※下関19:22-27(5)

6月22日(日)

−寝台特急「はやぶさ」シングルデラックス(1081/18:01)−09:58東京

路面電車の取材は全電停取材とともに、
全形式取材も同時に進行することにしているので、
消し込みができるように全形式を表記してある。
予定の約1ヶ月前の5月26日月曜日、
通勤の前に幕張駅の“みどりの窓口”に行って乗車券と寝台特急券を購入した。
乗車券・熊本→東京都区内6月21日から8日間有効\14,700、
特急券・A寝台券(個)・熊本→東京6月21日はやぶさ号8号車12番個室
シングルデラックス\16,500・内訳:特3,150、寝13,350。
寝台券が予定通り取れたことからすぐにANAのホームページから、
07:50羽田空港発のANA3711便阿蘇くまもと空港行きの航空券を取る。
すでに“旅割”の発売期間は終了していたため、“特割7”でチケットを取得する。
ANA MILEAGE CLUBの会員のページからアクセスして、クレジット決済する。
これで当日Skipで入場できる。
ホームページ経由でホテルルートイン熊本にも予約を入れ、
京成バスに電話して20日のリムジンバスの予約を入れる。
帰りは当日空港でチケットを購入できるが、
行きは予約客が優先で、座席がない場合は予約なしでは断られることもある。
これですべての準備は整った。
1週間前あたりの天気予報では、金曜、土曜は曇りになっていたが、
当日が近づくにつれて、降水確率が50%、70%、80%と上がっていった。
この旅は結局、雨に悩まされる旅になってしまった。

2008/06/22 21:29


  2.条件付きフライトと土砂降りの雨

3月の休日勤務の代休を6月20日金曜日に取り、
2泊2日とちょっとで熊本旅行に行く。
帰りは寝台特急「はやぶさ」で帰ってくることになっているが、
行きは時間を稼ぐために飛行機で熊本まで行く。
05:33幕張発の上り電車に乗って津田沼へ行く。
今回の旅で普通鉄道に乗るのはこのあと寝台特急「はやぶさ」までない。
ここで予約していた京成バスの羽田空港行きのリムジンバスを待つ。
19分の余裕を持って計画を組んだので一番最初に着いたが、
結局バスが着いたのは出発予定の06:00直前だった。
それでも早朝で湾岸道路も空いていたため予定より少し早く着く。
何時も羽田空港の帰りにはリムジンバスを利用するのだが、
行きにリムジンバスを利用するのは初めてである。
帰りは自販機で直接チケットを購入すればいいが、
行きは電話で予約しておかないと満席の場合は断られることもある。
乗る前に運転手に予約番号を告げて運賃の\1,200を払う。
羽田空港は当然出発ロビー入り口に横付けで、直ぐに手に持つ検査場に進む。
もう何度目かでSkipにも漸く慣れ、手荷物検査場で「搭乗口案内」を受け取り、
1階のバス発着場に行く。
曇りがちだったが羽田空港に来るまでは雨に降られずにすんだ。
しかしフライトインフォメーションには、
「3711便 視界不良のため宮崎空港に向かう場合あり」と表示されていた。
場合によっては少し宮崎で時間を使うのもいいかなと思った。
売店で「鹿児島いづみ鶏竜田揚弁当」とお茶を購入する。
弁当には「かりっと揚げた竜田揚げ
長崎藻塩で焼いたサーモン
北海道有機栽培こだわりの肉じゃが」と書かれている。
バスに乗り込んで3711便のSNAの機体に乗り込む。
羽田空港の混雑で離陸が少し遅れた。
窓の外は今にも雨が降りそうだったが、雲を突き出ると青空が広がっていた。
それでも雲が多くて地上は見えず、
何時も飛行機に乗る時は楽しみにしていた雲から頭を出す富士山も全く見えなかった。
機内放送でも機長の判断で宮崎空港に着陸する場合もある条件付きフライトであることが強調された。
しかし結局無事に阿蘇くまもと空港に無事着陸できた。
フライトが遅れたために逆に阿蘇くまもと空港発のリムジンバスが直ぐの出発になった。
阿蘇くまもと空港からJR熊本駅まで約45分の間に、途中ザーッと雨が降り出したり、
また止んだりしていたが、JR熊本駅に着いた途端、激しい雨が降ってきた。
まさに土砂降りの雨だった。
出鼻を挫かれたような気がしたが、それでも予定通り熊本市電市電・市バス2日乗車券\800を購入する。
キオスクでビニール傘を購入し、土砂降りの中をまず健軍交番前まで行く。
この雨では熊本市電の取材はちょっと無理なので、
少し早いがここで昼食を喰うことにした。
昼食を喰ったのは霜降りハンバーグとして熊本で有名な「平家の郷」。
熊本市電終点の健軍町の一つ手前の健軍交番前電停から徒歩10分間の距離にある。
しかし車中で居眠りしてしまい、結局終点までいってしまった。
ここから健軍交番前電停まで歩く。
熊本駅前電停で路面電車に乗った時は土砂降りの雨だったが、
車中で居眠りをしている間に雨は小降りになっていた。

2008/07/13 16:17

画像:SNA3711便の窓から見た雲の様子 撮影時刻 2008/06/20 08:48:39


  3.霜降りハンバーグ「平家の郷」と雨の熊本市電取材と再びの「平家の郷」

霜降りハンバーグの「平家の郷」は宮崎の「平家の郷」の系列店であるが、
直営店ではないようだ。
それでもここのハンバーグのうまさは今まで喰ったハンバーグの中で一番だと思った。
熱した鉄板の上に俵型のハンバーグが乗せて出てくる。
客は紙ナプキンを広げてその4分の1をテーブルの上に置き、
その上に鉄板を乗せた木製のトレーが置かれ、
店員が客の目の前でその俵を二つに切り、
それを鉄板に押し当てて焼いてくれる。
レアでも食べられるというハンバーグはミディアムレアで焼かれ、
デミグラスソースをかけて喰うことになるのだが、
絶品の食べ応えで期待したとおりだった。
お昼のチーズハンバーグ\980+ドリンクセット\100を喰う。
このあと小降りになった雨の中を熊本市電取材を開始する。
健軍町、健軍交番前はすでに昼食前に取材しているので、
動植物園前から取材を再開する。
健軍校前、神水橋、商業高校前、水前寺公園と取材する。
ここでレトロ調車両の101号車型を見かけたのでそれに乗り、再び健軍町へ。
ここで3号線に乗り、終点の上熊本電停に行く。
以前ここに来た時はJR上熊本駅は1913年に完成した2代目の駅舎のままだったが、
現在は九州新幹線新八代−博多間の延伸工事のため、
プレハブの仮駅舎になってしまった。
旧駅舎は熊本市電の上熊本駅前電停に移設された。
しかし電停の構造上、建物をすべて移設することができず、
正面と屋根だけを移設することになった。
そのため正面から見ると木造西洋建築の立派な建物だが、
脇から見ると普通の屋根付き電停で、何だかテレビや映画のセットのように見える。
以前来た時にあった夏目漱石の銅像は道路を挟んだ反対側の公園に移設されていた。
銅像には設置の経緯が書かれている。

  若き日の漱石

夏目漱石(本名夏目金之助)は、旧制第五高等学校の英語教師として赴任、
明治二十九年四月十三日、ここ上熊本駅(当時池田駅)に降り立った。
漱石は、四年三ヶ月を熊本で過ごし、その間結婚や長女の誕生を迎えている。
漱石来熊百年を記念して、熊本で過ごした若き日の漱石の面影を偲び、
いつまでも多くの人が親しめるよう、ここにモニュメントを設置する。

平成八年十一月九日
     「’96 くまもと漱石博」推進百人委員会

さらに借り移設された経緯が説明書きの脇に貼られていた。

  漱石モニュメント

 この銅像は、夏目漱石来熊百年を記念して1996年に
「’96くまもと漱石博」推進100人委員会によりJR上熊本駅前広場に設置されました。
 今回、九州新幹線建設事業及びJR鹿児島本線等連続立体交差事業に伴い、
この地の仮移設しております。

 熊本市役所 観光政策課
 (328)2393

   平成18年10月

ここでは隣接する熊本電気鉄道で5000系車両の取材をする。
熊本電気鉄道の5000系は元東急5000系でその形から“青ガエル”などと呼ばれている。
東急の歴史を象徴するような車両で、そのカットボディが渋谷駅ハチ公前に設置されているくらいである。
しかも前回来た時はオリジナル塗色を纏っていたが、今回は東急時代の塗色が復元されていた。
熊本電気鉄道5000系は1両のワンマン車両で、
妻切型の連結部にも運転台を取り付けられ、貫通扉もそのままに残されている。
5000系5101A号車を取材し、再び熊本市電の取材に戻る。
県立体育館前、本妙寺前、杉塘、段山町、新町、洗馬橋、西辛島町と3号線を取材し、
辛島町から慶徳校前、祇園橋、田崎橋、二本木口と2号線を取材する。
取材が終わって本来なら予約していたホテルルートイン熊本駅前に行くことになっていたが、
まだ少し時間が早いので、先に夕食を喰うことにする。
健軍交番前電停まで行き、再び「平家の郷」に行く。
今までいろいろな場所に行き、いろいろなものを食べたが、
さすがに同じ日の昼食と夕食で同じ店に行ったことはない。
さらにオーダーはチーズハンバーグ400g\2,289、Bセット\504と昼と同じものを喰う。
昼と夜とでメニューの構成が違うので価格は大きく違うが、
同じチーズハンバーグであることには変わりない。
ハンバーグは200gから400gまで大きさを選ぶことができ、
今回は一番大きい400gをオーダーした。
たっぷりうまいハンバーグを喰うことができて大満足だった。
チェックイン予定の7:00p.m.に間に合いそうもなかったので、
店から携帯でホテルに電話をかけて1時間遅れる旨を伝える。
雨は本降りになったり小降りになったりしながら、結局夜まで続いた。

2008/07/13 18:52

画像:熊本「平家の郷」外観 撮影時刻 2008/06/20 12:40:34


 4.再びの熊本市電の雨の日取材ともう一つのハンバーグ

ホテルルートイン熊本駅前は前に2度熊本に来た時に泊まっていて、
今回は3度目の利用である。
ホテルに行く前にJR熊本駅の売店でつまみになるお菓子などを購入する。
チェックインしてから部屋で少し休み、ラジウム人工温泉大浴場「旅人の湯」に行く。
ここでじっくり風呂につかってから自販機でビールを購入し、
部屋に戻って購入したつまみを食いながら飲む。
今回はシングル禁煙席が用意できなかったということで、
ツイン禁煙室を用意したとのこと。
もちろんシングルの値段で利用できるので得したともいえるが、
一人でツインの部屋に泊まるというのはちょっと寂しい気もする。
翌朝はホテル1階の「花茶屋」でバイキング形式の無料朝食を喰う。
普段はバイキングの時はパン食にするのだが、
今回はおかずが和食中心なのでご飯、味噌汁、納豆、ソーセージ、玉子焼きなど喰う。
生玉子がなかったのがちょっと残念だったが、それでも満腹で喰い過ぎた。
コーヒーで仕上げて部屋に戻り、チェックアウトする。
昨日の天気予報では今日は雨も弱まると行っていたが、
思ったよりも雨は強く、しかもずっと強いままで止み間がないのが特徴で、
その分取材がし辛かった。
昨日取材できなかった八丁馬場、国府、水前寺駅通と取材し、
さらに徒歩でJR新水前寺駅に行き、駅取材する。
このあとさらに雨が強くなり、味噌天神前を取材してそのまま上熊本駅前まで行く。
九品寺交差点、交通局前と取材し、
ここで偶然路面電車の牽引シーンら遭遇した。
交通局前電停の取材中に8500形8502号車を牽引している9700形9703号車を見かけた。
しかし9700形9703号車の方が“回送”の表示になっており、
真ん中のドアが開きっぱなしで走っている。
むしろ牽引されているのは9700形9703号車の方だったようだ。
そして信号で交通量を見極めながら8500形8502号車に牽引されて、
ドアの故障した9700形9703号車がゆっくり交通局の中に入っていった。
路面電車の場合は車のようにレッカー車もないし、
鉄道のような事業用車両もないので、
営業用車両で牽引するしかないのだなと、この時初めて気付いた。
このあと水道町、通町筋と取材し、ここで昼食を取る。
隣接するアーケード街を歩き、リッチモンドホテル1階の「肥後馳走屋 いねや KUMAMOTO」に行く。
ここはちょっとお洒落な和食屋で、
日替わり昼定食の場合は幾つかの小鉢の中から二つをチョイスできる。
小鉢はおでん、肉じゃが、ロールキャベツ、豆腐などのおかず系から、
野菜サラダや牛蒡サラダ、さらには温泉玉子からケーキまで多岐に渡る。
カウンターの上に小鉢が並んでいて、
日替わり昼定食をオーダーするとお新香だけが載せられた木製のトレーが渡され、
好きな小鉢を二つチョイスしてご飯とおかず、味噌汁が来るのを待つ。
オーダーは日替わり昼定食のカレーハンバーグ\780で、小皿は温泉玉子と牛蒡サラダをチョイスする。
この価格でこれだけのグレードはお得だと思う。
特に味噌汁が出来たてで熱かった。
こういう定食もので善し悪しを判断する基準の一つは味噌汁の熱さではないかと思う。
ちゃんと熱い味噌汁が出てくるところはそれだけで合格点を出せると思う。
しかしよく考えてみると昨日の昼も夜もハンバーグで、
今日は和食を選んだのにまたハンバーグを選んでしまった。
とほほ・・・。
このあと市役所前、熊本城前、河原町、呉服町と取材し、辛島町まで戻って蔚山町の取材をして全電停の取材を完了、
熊本駅前電停で寝台特急「はやぶさ」の時間まで車両取材する。
この頃になって漸く雨は小降りになってきた。

2008/07/13 20:58

画像:二本木口電停付近を走る9700形9703号車 撮影時刻 2008/06/20 17:03:17


 5.A列車で行こう−寝台特急「はやぶさ」の旅

小雨の中、熊本駅前電停で車両取材を終了し、
3:00p.m.過ぎに駅に行く。
駅に行くと構内アナウンスで熊本以南の列車が運休していると云っていた。
さらに三角線は大雨の影響で土砂崩れがあり、
駅の改札口にはホワイトボードに以下のように書かれていた。

 お知らせ

本日、三角線波多浦〜三角間の線路内に
土砂が流出した影響を受けまして
三角線の上下列車とも運転見合わせ中です。
なお運転再開につきましてはめどが立っておりません
三角線ご利用のお客さまにはご迷惑をおかけ致します

         熊本駅長

熊本からは代行バスが運行されていて、
駅で待っているとちょうど代行バスが到着したところだった。
駅の売店でお土産などを購入し、
“乗車券 熊本→[区]東京都区内”で入場する。
早めに入場してキハ140、キハ147の取材などをして、
寝台特急「はやぶさ」の入線を待つ。
売店でビールとつまみを購入して、入線した「はやぶさ」の取材をする。
寝台特急「はやぶさ」は東京と熊本間を結ぶ寝台特急で、
下り列車はEF66型電気機関車に牽引されて18:03に東京駅を出発し、翌朝08:32に下関に着く。
ここで関門トンネル専用のED76型電気機関車に付け替えて九州に渡り、08:46に門司に到着する。
ここまで連結運転されていた大分行きの寝台特急「富士」と分かれて、
交流区間も走れるEF81型電気機関車に付け替えて終点の11:49に熊本に到着する。
上り列車は15:57に熊本を出発し、18:46に門司に到着する。
ここで寝台特急「富士」を待って連結し、
EF81型電気機関車からED76型電気機関車に付け替えて関門トンネルを潜り、
下関で東京まで行くEF66型電気機関車に付け替える。
翌朝09:58に東京駅に到着する。
客車は熊本車両センターに所属する14系が使用される。
今回はこの列車に乗るのが一番の目的だった。
今まで寝台列車は「北斗星」のBコンパートメントと「北陸」のソロはあるが、
正直云ってA寝台には乗ったことがなかった。
そこで今回は最初からA寝台に乗ることを目的に予定を組んだ。
期待して予約した“はやぶさ号 8号車12番個室 シングルデラックス”に乗り込む。
最初の感想は「狭っ!」。
寝台特急「はやぶさ」の一人用A寝台個室“シングルデラックス”は、
“デラックス”と銘打っている割にはとてもデラックスとは言い難い広さで、
以前乗ったB個室ソロとあまり変わらない感じがした。
それでも天井まで占有できるので室内で背伸びができることや、
テーブルの下に洗面台が設置してあり、歯磨きが自分の部屋で出来るのは利点である。
ただ、アメニティーは“さくら”、“はやぶさ”、“富士”の、
ヘッドマークがあしらわれたタオルしかないのが残念だったが・・・。
しかも列車自体にシャワー設備がついていないのもちょっと残念。
18時間1分の旅なので、これは設置してほしいと思う。
しかしこの列車ができた時には開放B寝台が当然だった時代なので、
個室というだけでもデラックスなのかもしれない。
小雨がまだ残る中、予定通り15:57に熊本を出発した。
程なく車掌が来て検察し、乗車券と特急券・A寝台券(個)に検印して貰う。
“博多 6.21 車掌区”といったスタンプを押して貰い、
そのあと買い込んだビールを早速飲む。
寝台設備はそのままソファも兼ねていて、テーブルの下には洗面設備が着いている。
部屋のほとんどはベッドが占めていて、床の部分は少ない。
廊下側のドアの上には荷物を置くスペースが確保されており、
部屋が狭い分、その荷物置きスペースは有用だった。
18:46に門司に門司駅に到着する。
ここで29分の停車時間の間に大分から来る寝台特急「富士」と連結し、
牽引機関車を交直流区間用のEF81型電気機関車から、
関門トンネル専用のED76型電気機関車に付け替えが行われる。
門司駅に停車した「はやぶさ」は一端ドアを閉めて回送される。
隣のホームに大分からの「富士」が到着し、ここで牽引機関車が外され、
回送していた「はやぶさ」が連結される。
この回送連結シーンを取材しつつ、
門司駅の改札外の売店で駅弁「かしわめし」\750とビールなどを購入する。
製造は北九州駅弁当で、かしわめしは折尾駅が有名だが、北九州一帯に似たようなものがあるようだ。
箱には「明治二十四年創業 九州駅弁元祖/長崎街道室町宿/甘辛天下御免/
かしわめし/とくとご賞味あれ」と書かれている。
門司駅を出るといよいよ関門トンネルを潜り、本州に入る。
関門トンネルは青春18きっぷで日本最南端の駅を駅を目指した時に通ったことがあるが、
九州から本州に渡ったのは今回が初めてである。
下関に到着してここで東京までの長距離を牽引するEF66型電気機関車に付け替える。
この5分間の付け替えを取材してこれでホームに降りられるのはもう東京までない。
ここで漸く夕食の「かしわめし」を喰うことになる。
500ml缶ビールを2本購入し、1本は夕食時に、残りの1本は寝る前に飲もうと思ったけれど、
もちろん冷蔵庫がついているわけではなく、
直ぐにぬるくなってしまうため、結局立て続けに飲んでしまった。
寝台列車の旅は“冷やす系”の酒より、
ウイスキーや日本酒のような生のままでいける方がいいようだ。
文庫本を読みながらウイスキーをチビチビやるというのも、
かっこいい寝台列車の楽しみ方なのかもしれない。
翌朝は6:20a.m.頃に車掌からの車内放送があり、
06:30停車の浜松で車内販売が乗り込んできて、
ここで朝食に「日本の味博覧」\1,000とコーヒー\300を購入する。
ジェイアール東海パッセンジャーズ製で、
以下のように書かれている。

 日本の味博覧

飯  俵物相
    黒米
    白
    さつま芋
香物 甘塩梅干し(紀州南高梅)
   新生姜酢漬け
   ひたし豆
口取 厚焼き玉子
   白胡麻豆腐
   キングサーモン塩焼き
   鶏照焼き
   玉蜀黍さつま揚げ
   焼かまぼこ
   ししとう素揚げ
炊合 季節野菜旨煮
    長芋オランダ煮、かぼちゃ、
    馬鈴薯、エリンギ、
    白丸こんにゃく、割り人参、
    グリーンアスパラ、パプリカ(赤)

監修 かいせき井中居(姉妹店 黒茶屋、燈々庵)
   総料理長 田中博敏
 (株)なだ万に二十四年間勤務、一九六八年なだ万本店
 山茶花荘籍の折東京サミットにおいて総理大臣
 主催の公式晩餐会の調理担当に任命される。
   
また弁当の外箱には「健康弁当宣言
 ・品目数は20品目以上
 ・野菜は120g以上使用
 ・使用する油はコレステロール「0」
 ・合成着色料は一切不使用
 ・特A評価の国産米を100%使用
などと書かれていた。
ここから東京までは車窓をコンパクトデジカメの動画撮影機能などで撮りながら遊ぶ。
東京駅10番ホームに到着し、
ここで牽引のEF66型電気機関車が外され、
9番線が空くのを待って機回り回送し、
しばらく留置線で待ってから東海道線の列車の合間を縫って反対側に取り付け、
そして品川駅に隣接する車両留置場まで回送されていった。
この間もずっと取材し、総武快速線で千葉までで、緩行線で帰る。
東京に着いた時は完全に雨が止んでいたが、
幕張駅を降りた時にはまた雨が降り出していた。
今回の旅は結局最後まで雨に悩まされる旅となってしまった。

2008/07/13 23:49

画像:熊本駅に停車中の寝台特急「はやぶさ」 撮影時刻 2008/06/21 15:53:27




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