道央一日散歩きっぷ−もうひとつの雪物語



 1.超割

正月休みの暇に任せて、3月の航空会社の特別割引チケットにあわせた旅行を考えた。
3月になればプロ野球のオープン戦も始まるので、その観戦と鉄道写真取材に出かけようと思う。
西武ライオンズのホームページで調べて、3月9日の札幌ドームの西武−巨人戦に決定する。
本当は普段見られない在京以外のセリーグの球場に行きたかったのだが、
3月3日日曜日の広島戦くらいしかなく、
広島だと鉄道写真の取材で大した収穫が期待出来ないのでここは諦めて、
9日土曜日の札幌ドームにする。
これなら札幌駅でJR北海道の特急をほとんど取材出来る。
1月3日、ANAのバーゲン型運賃“超割”で、3月9日の羽田−札幌と、3月10日の札幌−羽田を予約する。
しかしホームページの操作が今ひとつ分からずチケットレスの予約が出来なかった。
5日に再びチケットレスに挑戦するが申し込みと同時でないとチケットレスにはならないようで、
ということは、全日空の支店か旅行代理店に発券手続きに行かなければならないということにになる。
それは非常に面倒くさいと思い、3月7日から始まるJALのバーゲンフェアでチケットを取ることにした。
ANAのチケットの購入期限は7日でそれ以降は予約は無効になる。
その7日にJALのホームページにアクセスしバーゲンフェアで羽田−札幌のチケットを取ろうとした。
しかし仕事から帰ってすぐにアクセスしたが9日の羽田−札幌はスーパーシートのみ、
10日の札幌−羽田はすでに売り切れだった。
初日なのにすでに売り切れているとは・・・。
たぶんi-MODE等の携帯から朝のうちにアクセスしたケースが多いのだろう。
この段階ですでにANAでgetしていたチケットも料金を振り込まなかったために自動的にキャンセルになっていた。
結局3月の北海道旅行は諦めるしかないと思った。
諦めて風呂に入り湯船の中でぼんやりと考えていたら、もう一つだけ方法があることに気付いた。
今日付けでANAで確保しておいた座席がキャンセルになる・・・、ということは、
その分の座席が一つ空くことになるので、0:00a.m.を超えるのを待って、
再びANAにアクセスすれば一つ座席が空いていることになる筈だ。
早速0:00a.m.過ぎにアクセスしてANAの超割で往復のチケットをgetする。
今回は間違えずにカード決済にする。
これで当日空港に行けば即発券してもらえる。
12日土曜日になるのを待ってホームページで目をつけていた東横イン札幌北大前店に電話を入れ、
3月9日の予約を入れる。
シングル1泊ですぐに予約が取れる。
これで予約関係は終了した。
後は当日、空港に行くだけである。

※写真:離陸直後のANA機 撮影時刻 2002/03/09 08:40:12

Date: 21 Mar 2002 20:12:58


 2.体調体力最悪

ここ一週間、仕事上では一番忙しかった。
同僚の退職で急に仕事が増えてしまい、毎日残業の連続だった(しかもサービス残業!)。
そのため、3月9日当日も体調体力は最悪だった。
いっそのことキャンセルして休みたいなと思ったが、
それでもフォトグラファーとしての使命がそれを思い留まらせた。
薬物投与にもかかわらず、鼻水は止まらないし、
花粉症なのか風邪なのかよく分からない。
そんな最悪のコンディションの中、06:19幕張発の総武線で秋葉原まで出て、山手線で浜松町へ。
東京モノレールで羽田空港まで行く。
いつの間にか東京モノレールではパスネットが使えなくなっていた。
JR東日本に買収されたからだろうか。
それならiOカードが使えるようにしてほしいものだ。
それはともかく羽田空港について直ぐにANAのカウンターの自動発券機で、
クレジットカードから予約していたチケットを発券する。JASでは発券と搭乗手続きが別だったが、
ANAでは発券機に入れると往復のチケットが発券され、更に行きの搭乗手続きも完了していた。
この辺のところのサービスは良い。
少し時間があったので屋上に行って飛行機の写真を撮る。
08:50フライトのANA57便で札幌へ。
飛行機の写真を撮っていたため朝食を喰っている暇がなくなってしまい、
機内で出されたコンソメスープがこの日初めて口にした食べ物だった。
約1時間半、10:25には新千歳空港に着く。

※写真:搭乗途中に見たANA57便 撮影時刻 2002/03/09 08:58:14

Date: 21 Mar 2002 20:14:23


 3.歓声の宴

羽田空港が少し混んでいて離陸が若干遅れたためか、
新千歳空港で飛行機を降りて、
予定では10:33の快速エアポート105号か10:48の快速エアポート107号で札幌を目指すつもりだったが、
結局乗れたのは11:06発の快速エアポート111号だった。
当初の予定より20分遅れの11:39札幌に着く。
ここから市営地下鉄東豊線で福生を目指す。
今回の旅の目的の一つは札幌ドームで開かれる巨人VS西武のオープン戦を観戦することである。
札幌で乗り換える時に少し迷ってしまい、更に予定より遅れてしまった。
それでも何とか内野B席のチケットを取ることが出来た。
殆どの人が事前にチケットを取ってあったらしく当日券売り場は驚く程空いていた。
球場内の会議室で販売していたのだが、大きな会議室一面にロープを張り巡らし、
並んだ人の整理をする予定だったが、
10人くらいしか並んでおらず無駄に張り巡らされたロープが寂しげだった。
内野B席2,500円を購入していざ球場へ。
Aゾーン3塁側73通路50列237番。
ここは内野指定席ゾーンだけではなく外野を含めたすべてが指定席になっているらしい。
ダフ屋対策なのであろうか、とにかくチケットさえ購入出来れば立ち見と云うことはないし、
一人で何席も陣取ってしまうということもない。
この方法は大変だけれどもいい方式と云えよう。
さすがは新しい球場だけのことはある。
ここはサッカーのスタジアムと兼用でしかもサッカーのコートは天然芝である。
普段はドームの外で自然の光の中で育成されていて、
サッカーの試合の時だけドーム内に移動させるという画期的な多目的ドームなのである。
球場内の売店で弁当「歓声の宴」1,000円を購入し、西武のバッティング練習から観る。
タンクを担いだ売り子のお姉さまからビール600円も買い、飲みながら弁当を喰う。
この度で初めての真っ当な食事である。
巨人の先発は新外国人のワズディン、西武は三井だった。
空きっ腹に急にビールを飲んだのがいけなかったのか、
更に鼻炎止めの抗アレルギー剤との相互作用なのか、試合途中で急に眠くなってきた。
途中で殆ど感染出来ないくらいの眠気におそわれ、どうしようもない。
歓声の宴も薬物とアルコールの相互作用には勝てなかったようだ。

※写真:札幌ドームで食べた弁当「歓声の宴」 撮影時刻 2002/03/09 12:59:28

Date: 21 Mar 2002 20:16:24


 4.入場券

あまりにも眠く巨人の二番手上原が登場した辺りで球場を後にする。
あまりにも早い退場なので球場係員が一度出たら再入場出来ませんよと念を押されたくらいだ。
北海道は巨人のファンが多いと聞くが今回のオープン戦も大半が巨人ファンで、
レフト側にも巨人ファンで溢れなんだか適地に迷い込んだようだった。
西武ファンは外野の一部に陣取った関東の応援団くらいだった。
眠気を覚ますために福住駅上にあるイトーヨーカドーの地下でソフトクリーム150円+7喰う。
少しは目が覚めた。
札幌まで戻って入場券を購入しここでJR北海道の鉄道車両の取材する。
国鉄がJRに分割民営化して約15年、各社が独自で開発してきた車両が大半を占め、
国鉄時代の車両が老朽化してきている今、各地の車両を取材するのは有意義である。
特になくなりつつある国鉄時代の車両はもうすぐ老朽廃車になる可能性があるので急がなくてはならない。
785系「スーパーホワイトアロー」、キハ281系「スーパー北斗」、キハ283系「スーパーおおぞら」、
JR北海道の新造通勤近郊型電車721系、731系、同気動車キハ201系、
学園都市線の国鉄時代からある気動車などいろいろと撮影した。
2時間撮影した後改札を出て、電話で予約していた東横イン札幌北大前にチェックインする。
チェックインの時に明日の朝食も頼む。
朝食は500円+25でバイキング形式。
朝食があるのもこのホテルに決めた理由の一つ。
シャワーを浴びて着替えをした後、撮影に必要な最低限の荷物をバッグに詰めて再び出かける。

※写真:札幌市営地下鉄福住の駅とイトーヨーカドー 撮影時刻 2002/03/09 15:54:41

Date: 21 Mar 2002 20:17:25


 5.「すみれ」

今回の旅行のもうひとつの目的に「純連(すみれ)札幌本店」で味噌ラーメンを喰うことがある。
ここは新横浜ラーメン博物館内にある「純連(すみれ)横浜店」の本店に当たる。
ラーメン好き、特に味噌ラーメン好きにはどうしてもいってみたかった店である。
いろいろな味噌ラーメンを喰ってきたけれど、
個人的には「純連(すみれ)」の味噌ラーメンは味噌ラーメンの最終形だと思う。
これ以上はどう努力しても美味くならない、その限界を極めた逸品であると思う。
札幌から市営地下鉄南北線に乗って中の島まで行く。
ここを降りて徒歩15分、「純連(すみれ)札幌本店」に着く。
本来なら10分くらいで行けるのだが降り積もった雪に足を取られ、
何度も転びそうになって何とか着く。
雪は降っていなかったが以前降った雪がカチカチに凍っていて、滑りやすくなっていた。
特に測道から店に行くところは凍った雪が轍にっていて滅茶苦茶滑りやすい。
クルマもまるでオフロードを走っているかのようにバウンドしながら、
時には後輪を滑らせて何とか店に行っていた。
店に着いたのは7:25p.m.で列は店の外にまで延びていた。
席に座れたのは7:40p.m.、オーダーが出てきたのは7:55p.m.になっていた。
オーダーはみそチャーシュー950円、煮玉子100円。
麺は縮れていてコシがあり、スープはこってりとして濃厚で表面に油が浮いていて冷めにくい。
麺もスープもチャーシューも美味で至福の時だった。
煮玉子は半熟になっていて、味噌と混ざって更にうまみを出している。
喰い終わってまた凍った路面に足を取られながら中の島へ向かう。

※写真:札幌中の島の「すみれ」 撮影時刻 2002/03/09 19:44:46

Date: 21 Mar 2002 20:18:39


 6.札幌の夜と朝

味噌ラーメンで腹を満たした後は再び札幌に戻って入場券で入場し、2時間鉄道写真を撮りまくる。
すすきのの夜には素敵なお店や素敵なお姉さまがたくさんいるというのに、
何でこんなところで鉄道写真を撮っているのだろうと自問自答しながらも、
夜間でしか取れない急行「はまなす」や「まりも」、「利尻」などを中心に撮りまくる。
2時間写真を撮りまくった後、コンビニでビールとつまみを買ってホテルに戻りテレビを見ながら飲む。
モーニングコールは6:30a.m.に設定。
起きてからシャワーを浴びた後、昨日購入した朝食券を持って1階の朝食コーナーへ。
ホテルのロビーが朝は朝食コーナーになっている。
フロントの裏から料理がどんどん運ばれてきている。
トーストにコーヒー、マカロニサラダ、ウインナーとブロッコリーの炒め物のウインナーだけ、
生野菜、バナナ、コンソメスープなど。
トーストとコーヒーはお代わりしてしまう。
7:45a.m.にはチェックアウトする。
宿泊料5,200円+260。
ここを出て札幌駅に向かう。
今日はフライトの時間まで鉄道写真を取材に邁進する。

※写真:OLYMPUS CAMEDIA E-10と充電中のバッテリー 撮影時刻 2002/03/09 23:31:35

Date: 21 Mar 2002 20:19:39


 7.道央一日散歩きっぷ

まず札幌駅に行き、みどりの窓口で道央一日散歩きっぷ2,040円を購入する。
これはその名の通り、道央のフリー区間内の普通列車の自由席に限り、
今日当日何度でも乗り降り自由というきっぷで、
札幌、新千歳空港は勿論、小樽、長万部、新十津川、富良野、滝川、美瑛、新得、
夕張、苫小牧、様似、室蘭の各駅を通るエリアがフリー区間となる。
8:00a.m.過ぎに入場し札幌駅で鉄道撮影する。
札幌駅は雪の対策のためか、ホーム全体が一つの屋根に囲まれている感じになっていて、
逆にいうと昼間でも陰になる部分が多く、写真を撮るのが難しい駅の一つである。
ここで約2時間、入線してくる車両を片っ端から撮影し、10:11の快速エアポートで小樽へ。
北斗星やトワイライトエクスプレスでは編成の長さを計算に入れず、
牽引のディーゼル機関車がホームの外に外れてヘッドマークを撮影出来なかったりした。
入線の車両の時間までは調べていなかったので、入線する車両の撮影が出来なかった。
今度来る時はこの辺のところもきちんと調べておこう。
快速エアポートで小樽へ行き、小樽駅周辺を取材する。
駅ホームには石原裕次郎の等身大のパネルがあり、観光客がパネルと並んで写真を撮っていた。

※写真:小樽駅の石原裕次郎の等身大のパネル 撮影時刻 2002/03/10 11:07:43

Date: 21 Mar 2002 20:20:55


 8.CFカード購入

本来の予定では小樽から札幌まで戻って札幌市電乗りつぶしをする予定だったが、
市電取材は中止し駅取材を集中する。
11:15快速エアポートに乗り札幌では降りずにそのまま千歳まで行き、更に乗り換え時間2分で苫小牧まで行く。
ここで下車して苫小牧駅の取材をする。
同じ路線を戻って千歳駅、南千歳駅、新千歳空港駅を取材する。
接続時間が良すぎて昼食を喰っている暇が全くなかった。
結局昼食を喰ったのは、新千歳空港レストラン街の「フォルテ」でレジ精算時間で2:19p.m.だった。
ロースカツ御膳980円と地ビール「ピリカワッカ」580円、+78。
ここは窓から飛行機が見える。
持参したCFカードが途中で書き込みエラーになってしまい、急遽新しいCFカードを購入することにした。
快速エアポートで札幌まで戻り、
「Bic P kan札幌店」でLEXER Media コンパクトフラッシュ128MB 8倍速11,800円+540購入。
再び札幌駅に入場して取材開始。
取材の合間に駅のベンチで新しく購入したCFカードをカメラ本体を使って初期化し、撮影を続行する。
札幌駅でとことん取材し、18:05発の岩見沢行きの711系に乗り厚別へ向かう。
ここで最後の鉄道取材をする。

※写真:新千歳空港の「フォルテ」のロスカツ御膳と地ビール「ピリカワッカ」 撮影時刻 2002/03/10 14:25:21

Date: 21 Mar 2002 20:23:08


 9.敗北

厚別は函館本線の札幌から3つ目の有人駅である。
特別に観光地化されている訳でもない在り来たりの住宅地で、
駅前のロータリーには積み上げた雪がまだそのまま残っていた。
「鉄道ファン4月号」の情報によるとキハ400座敷2両が「厚別18:50着2番19:19発」になっていて、
この車両を取材するべく早々に厚別に乗り込んでこの車両の入線を待っていたのである。
しかし予定の時間になってもこの車両は現れなかった。
何らかの事情で予定が中止になったのだろう。
肩すかしだった。
それに夜の7時を過ぎてこんな北海道の田舎町に一人でたたずんでいて、
明日には東京でまた朝早くから仕事に行かなくてはならないのに、
本当に大丈夫なのだろうかと不安になってくる。
今回の旅でJR北海道のすべてを取材出来るつもりでいたが結局は負けた。
それほど甘くはなかったようだ。
また来年か再来年には再び北海道を訪れたい。
19:05手稲行きで札幌まで行き、乗り換え時間5分で快速エアポートに乗り換え19:56p.m.新千歳空港へ。
搭乗手続きをしてフライトの時間までレストラン街の「ROYAL」でスパゲティアラビアータ880円、ビール580円、+73等喰う。
20:50フライトのANA74便で東京へ。
22:25に羽田に着き、京急で品川まで出て、
総武線快速直通の横須賀線で津田沼、15分待って各駅停車で家まで帰る。
家に着いたのは、0:10a.m.になっていた。

※写真:搭乗途中から見たANA74便 撮影時刻 2002/03/10 20:56:33

Date: 21 Mar 2002 20:24:10


 ※「テーマの果実の樹」2002年3月テーマ「もうひとつの雪物語」より改題及び改稿

初出:ASAHIネットの電子フォーラム、serori・network「テーマの果実の樹」




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