三都物語2002



 1.しゅぽしゅぽ

北海道旅行から帰ってきた次の日、
JALからバーゲンフェアのインターネット会員先行予約のメールが届いた。
早速ホームページ上からアクセスし、
5月18日土曜日、19日日曜日の大阪便の予約を入れた。
そして土曜日の101便、東京羽田07:05−大阪伊丹08:05と、
日曜日の110便、大阪伊丹20:00−東京羽田21:05のチケットをgetする。
今回もチケットレスのクレジットカード決済で、
当日空港に行けば発券と同時に搭乗手続きが出来るようになる。
後は当日空港に行くだけ・・・と思っていたが、甘かった。
去年9月の大阪旅行で林檎乃麗の計画をことごとく打ち破ってきた、
大阪に住む浪速の魔の力は、今年も容赦なく襲いかかってきたのである。
その最初の攻撃は“しゅぽしゅぽ”であった。
5月3日のホリデーパスを使った京浜東北線取材で、
たぶん・・・川口の駅でビールを飲んだくれていた時、
“しゅぽしゅぽ”で愛機Canon CAMEDIA E-10のレンズを掃除して、
そのままベンチに置き忘れてしまったのである。
その後“しゅぽしゅぽ”をなくしたことに気付いた時は、
既に大阪旅行まで買い物に行く機会はなくなっていた。
これももしかしたら浪速の魔の力が、
林檎乃麗に大阪で写真を撮らせないための最初の攻撃だったのかも知れない。
仕方がないので5月15日水曜日、大阪旅行の3日前に仕事を早く切り上げて、
池袋の「さくらや」で“しゅぽしゅぽ”とついでに予備のCFカードを購入した。
ここで購入した時、初めて“しゅぽしゅぽ”が正確にはブロアーブラシだと云うことを知った。
何はともあれ、これで大阪旅行の準備は整った。
後は当日、寝坊しないように心がけるだけである。

Date: 12 Jun 2002 23:41:07


 2.目覚めたら・・・雨

5月18日土曜日、朝起きたら雨だった。
04:55発の御茶ノ水行きに乗らなければならないため、
4:00a.m.に目覚ましをかけたのだが、窓の外の雨に愕然としてしまった。
天気予報では朝のうちは降らないと云っていたのに・・・。
これももしかしたら浪速の魔の力の仕業かも知れない。
傘は旅行の邪魔になるので折りたたみ傘を携帯し、
小降りになったスキに駅まで走っていく。
それでも結構濡れてしまった。
総武緩行線で秋葉原に出て山手線で浜松町まで行き、東京モノレールで羽田空港に出る。
東京モノレールがJR東日本の子会社になり、おかげでSuicaが使えるようになった。
浜松町で切符を買う時間が短縮出来るのは嬉しい。
しかもキャンペーン期間中のため、
モノレール浜松町−羽田空港間が通常470円が60円引きの410円なのである。
06:04に浜松町を出て06:26に羽田空港に着く。
JALのカウンターの発券機でクレジットカードで自動発券し同時に搭乗手続きする。
今回は屋上で写真を撮っている暇はないので、
そのまま手荷物検査のゲートに入り搭乗口で登場開始を待っている。
その間に売店でミックスサンド500円を買い待ち時間に喰う。
大阪行きのJAL101便は07:05出発である。
しかし羽田空港が混んでいてフライトが5分遅れた。
おかげで伊丹空港に着くのも遅れてしまった。
伊丹空港から新大阪駅行きのリムジンバス490円に乗車する。
バスは6割ほどの乗車率だった。
08:50に新大阪駅に降り立つ。
今日のmissionはグリーンスタジアム神戸で野球を観戦することだが、
少し時間があったのでJスルーカードで入場し新大阪駅で電車の写真取る。
11:40発の新快速愛媛行きで三宮へ。
ここで駅取材し、神戸市営地下鉄西神・山手線で総合運動公園へ。

※写真:雨の羽田空港で搭乗待ちのJAL101便 撮影時刻 2002/05/18 07:05:54

Date: 12 Jun 2002 23:42:59


 3.グリーンスタジアム神戸

三宮から神戸市営地下鉄西神・山手線330円で総合運動公園に来る。
地下鉄と云いながら妙法寺を出てからは地上に出る。
総合運動公園も地上駅で、駅名通り神戸総合運動公園の中にある駅である。
帰りの事前に切符を購入してグリーンスタジアム神戸に行く。
プロ野球のフランチャイズがどんどんドーム化していく中、
オリックスブルーウェーブのフランチャイズである神戸グリーンスタジアムは、
オープンエアの屋根のない球場である。
オリックスVS日本ハム戦内野自由席2,000円を購入して入場する。
試合の始まる前から入場し、席を確保して弁当800円、ビール600円購入して練習を見ながら喰う。
東京では朝のうち雨だったが、大阪で下りた時は曇りで、神戸に来た時には既に日差しが出ていた。
飛行機に乗っている時には野球中止も覚悟していたのだが、
結局雨の反動で強い日差しの降り注ぐ暑い陽気になった。
この球場は試合開始の時やオリックスの選手がホームランを打つと、
センターバックスクリーンから炎を吹き上げる。
これは以外と迫力があった。
結局鉄道取材の都合で5回途中で帰る。
球場内の売店で買って喰ったソフトクリーム300円が美味かった。
総合運動公園駅から終点西神中央まで行ってここで車両の写真取る。
因みに「西神」は「せいしん」と読む。
神戸市営地下鉄西神・山手線\330で三宮まで戻り、帰りは阪急で梅田まで出る。
白やアルミ色に慣れた目にとってマルーンの車体はやはり特異に見えた。
三宮から梅田までは310円で阪急梅田駅は9番線まであるかなり広い駅である。
建物の中にあり私鉄に多い始発駅の形態である。
ホームの端が繋がっている。
阪急梅田駅で下車し、大阪駅の取材後、Jスルーカードで新大阪まで行き、
ネットで予約を入れていたヴィアイン新大阪にチェックインする。

※写真:総合運動公園駅から見たグリーンスタジアム神戸 撮影時刻 2002/05/18 12:29:38

Date: 12 Jun 2002 23:44:29


 4.コードネーム“LX”

ヴィアイン新大阪にチェックインして、
まず部屋でシャワーを浴び、少しベッドでウトウトする。
やはり昼間炎天下で野球観戦した疲れが出たのだろうか・・・。
8:00p.m.頃起き出して、serori・network内で“LX”というコードネームを名乗る男に電話する。
彼はserori・networkはもとより、
同じモデレーターの主催するpaseri・networkでは自らの分科会を持つほどの実力者で、
その影響力はserori、paseri内に留まらず、
ASAHIネット全体、いや全世界のネットワークに多大な影響力を持っている。
彼については大阪在住と云うこと以外、その素性は殆ど知られていない。
ネット上で今日お会いする約束を取り付けていたのだ。
しかし電話での彼の反応は「今、薬をやっているので今日は会えない」というものだった。
折角“LX”氏の正体を知る良い機会だったのだが、そのチャンスを逸してしまった。
“LX”氏の謎はまた闇の中へと消え去ってしまった。
自ら名乗るコードネーム“LX”にはどんな秘密が隠されているのだろうか。
全ては謎のままである・・・。
仕方がないので必要最小限の荷物だけをバッグに詰めて夜の撮影に出かける。
新大阪駅内の“味の小路”にある「かつ市」で一口カツ定食820円を喰う。
この後、Jスルーカードで入場券を購入し、新大阪駅で夜間撮影する。
入場前に自販機で缶コーヒー120円を買って飲む。
今回の夜間撮影では大阪発夜行列車の「だいせん」や「きたぐに」も撮影する。
2時間では足りずで一度改札を出て再び入場券を購入し、再度入場し直す。
「きたぐに」を撮影して撤収しようかと思ったら103系スカイプルー色を見かけこれを撮影する。
そして撤収しようかと思ったら回送の117系を見かけ、これも慌ててホームに行き撮影する。
今日は有意義な撮影が出来た。
新大阪に戻ってコンビニでボーロ105円を買い、
ホテル内の自販機でビール買って部屋に戻って飲む。
軽くシャワーを浴びて、1:00a.m.には就寝する。

※写真:新大阪駅内の“味の小路”にある「かつ市」 撮影時刻 2002/05/18 21:18:15

Date: 12 Jun 2002 23:46:56


 5.レイニー・ブルー“京都”

6:20a.m.に起床してシャワーを浴びた後、
ホテル1階ロビーで無料の朝食喰う。
バイキング形式でパン、コーヒー、サラダの簡単な朝食である。
ロールパン6個、コーヒー3杯、サラダ3皿喰う。
ほぼ3人前分である。
幾ら何でも喰い過ぎだ!
朝食を食べている時からポツポツと雨は降り出していた。
7:40a.m.にはチェックアウトする。
持参した4枚のCFカードのうち、既に2枚を使い果たした。
新大阪駅東口までは何とか傘を差さずに走っていく。
07:58に区間快速米原行きに乗り京都を目指す。
当初の予定では08:04の新快速で行くつもりだったが、
とても座れそうにないので「ひだ」を諦めて区間快速に乗る。
茨木、高槻に停まった後、ここから各駅停車になる。
京都に着いて鞄をコインロッカーに入れる。
機動力を考えたらコインロッカー代の300円は安いものである。
入線してくる雷鳥やサンバーハード、スーパーはくと等の特急のほか、
湖西線の117系や奈良線のウグイス色の103系など、
食指の動く被写体が目白押しで休む暇もない。
午前中、次々と鉄道写真を撮っている中、雨はどんどん強くなっていく。
この分だと午後から予定していた、
梅小路蒸気機関車館の見学は中止かなと思った。
しかし一時は土砂降りに近い雨も午後になると徐々に収まってきて、
結局午後からは日差しも見えてくるほどの天気になった。
浪速の魔の力も予定を変更させるまでには至らなかった。
いったん改札を出た後、駅の取材をして入場券で近鉄の京都駅に入場し、ここで取材する。
Jスルーカードで出ようとした時、
あまりにも長い時間京都で取材していたものだから、
時間切れで自動改札を出られなくなり、
窓口で精算して漸く改札を出ることが出来た。
駅取材の後、「カレーJ」でハヤシライス700円、生ビール(生一丁)340円+52喰う。
コインロッカーに荷物を預けたまま、嵯峨野線でとなり駅丹波口を目指す。
ここから歩いて梅小路蒸気機関車館に行くのである。

※写真:JR京都駅構内の「カレーJ」 撮影時刻 2002/05/19 11:54:15

Date: 12 Jun 2002 23:48:18


 6.梅小路蒸気機関車館の午後

13:18発の園部行きの嵯峨野線でとなり駅の丹波口に行く。
途中、車窓から梅小路公園が見渡せる。
「あ、ここでひとり降ります」と云いたかったが、
田舎のバスじゃあるまいしそういうわけにはいかない。
結局、丹波口で降りて高架沿いを15分歩いて梅小路公園へ。
公園内の「梅小路蒸気機関車館」に入場、入場料大人400円である。
ここは高校の修学旅行で一度来たことがある。
京都はグループで一日自由行動でしかし学校が決めた見学場所のうち、
いくつかは必ず行かなければならない。
そこで待機している引率の先生の判子を貰わなければならないのだ。
三十三間堂や西本願寺/東本願寺などお寺系の件麦場所をお印程度に見学し、
太秦と梅小路に時間を割いた記憶がある。
ただその当時は正面の二条駅舎はなかった。
SLスチーム号のC62形2号機を始め、
扇形車庫に保存されている蒸気機関車の撮影をする。
また隣接されている梅小路運転区に留置されている、
嵯峨野トロッコ列車塗色のDE10型1104号機なども撮影する。
今回の旅行の中でも一番期待していたのがここだが、
実際に来てみると正直それ程の感動はなかった。
「こんなものか・・・」と云ったところだった。
SLに対する憧憬は人一倍あるのだろうけれど、
やはりここにあるのは一部は動態保存されているとはいえ、
所詮は博物館の中の車両なのだ。
そのエネルギー利用率は10パーセントにも満たないという、
滅茶苦茶エントロピーの高い蒸気機関車は、
現代ではノスタルジーとしての運転でしかないのかも知れないのだが、
それでも営業路線を乗客を乗せて走る姿こそ感動を覚えるのだ。
博物館に収まっている蒸気機関車を見ることは、
剥製を見て動物の全てを知ろうとしているのと同じだ。
動態保存されている車両は一台でも多く営業路線での有志を見せてほしいものだ。
帰りはバスで京都まで戻る。

※写真:梅小路蒸気機関車館の正面玄関 撮影時刻 2002/05/19 14:19:38

Date: 12 Jun 2002 23:50:33


 7.「つばさ」のラストオーダー

京都駅に戻って少し駅舎の取材などして、
新大阪までのきっぷを購入して入場する。
すこし車両を取材し、コインロッカーに預けていたバッグを取り出し、
区間快速で新大阪まで戻る。
新大阪で取材し、良い結果が得られないので大阪駅に移動し、
ここで撤収期限の6:00p.m.まで取材する。
団体扱いの583系など意外な収穫もあった。
18:02で新大阪に戻り、空港リムジンバス490円で伊丹空港まで行く。
搭乗手続きをしてから屋上で取材する。
しかしもうだいぶ日が傾いていて、上手く撮影出来なかった。
夕食を喰おうと思い空港内のレストラン街に行き、
「つばさ」というレストランに入る。
さすがに観光客相手だけあってどの店も値段が高い。
「つばさ」でサービスランチ1,300円を喰う。
ハンバーグ、海老フライ、トンカツに味噌汁とサラダが付いている。
既にラストオーダーの時間になっていたらしく、
追い立てるかのように調味料の瓶などを片付けていた。
味噌汁は既に冷めていて、フライト時間に間に合うように直ぐ飲める。
この辺のところが“サービス”ランチの所以なのだろうか・・・。
8:00p.m.フライトのJAL110便で東京に戻る。
9:05p.m.到着予定だが5分遅れた。
帰りは京急で品川まで出て横須賀線で東京、総武快速線で津田沼へ・・・。
Suicaのため、京急から直接乗り換えることが出来ず、
一度改札を出てから再びJRに入場した。
自宅に着いたのは11:10p.m.になっていた。
帰りの電車の中で考えていた。
「自分は浪速に住む魔の力に勝てたのだろうか・・・」
その答えはまだ出ていなかった。
来年、再び大阪に行こうと思う・・・。
フォトグラファー林檎乃麗と、浪速に住む魔の力の対決はまだ勝負が着いていない・・・。
来年、最後の決着をつけるために再び大阪に行こう。
負け犬の汚名を返上するために・・・。
そして林檎乃麗が林檎乃麗であるがために・・・。

※写真:ディズニーキャラで飾られたJAL110便 撮影時刻 2002/05/19 20:04:40

Date: 12 Jun 2002 23:52:45



 ※「テーマの果実の樹」2002年5月テーマ「三都物語」より改題及び改稿

初出:ASAHIネットの電子フォーラム、serori・network「テーマの果実の樹」




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